Muv-Luv MUSHAの名を持つガンダム (アドベンチャー)
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第1話 転生

「ここは…」

 

「ここは生と死の狭間です」

 

大和は辺り一面、白い空間にいた。すると突如、声がしたので後ろを見るとそこに立っていたのは金を溶かした様な黄金の髪とルビーの様な色をした目をした女性だった。

 

「あなたは?」

 

「私は女神と呼ばれる存在の者です」

 

「女神?あのギリシャ神話や北欧神話に出て来る女神?」

 

「はい。そうですよ」

 

キッパリとそう言う大和は目の前の女性を見て思ったことを言う。

 

「……コスプレ?それとも、ただのバカ?」

 

「コスプレでもバカじゃありません!本物です!!本物の女神です!!!」

 

「(どう見てもコスプレにしか見えないんだけれど……)」

 

「え?!私、そんな格好に見えますか?」

 

「まぁ、見えると言え……ん?」

 

女神に返答しようとしたが、大和は先ほどの会話で頭の上に?マークを浮かべる。

 

「……もしかして、読心術でも使った?」

 

「はい♪なにせ”女神”ですから」

 

「ま、マジか……」

 

本当に本物の女神なんだな、と大和はそう思ったのだった。

その後、話を聞くとトラックに轢かれそうになった小学生を庇った大和を見ていた女神は残酷すぎると言うことで何処かの世界に転生してくれるらしい。

 

「で、その何処かの世界って?」

 

「トータル・イクリプスの世界です」

 

「トータル……イクリプス?」

 

大和はトータル・イクリプスと言う題名を聞きいて頭に2回目の?マークを浮かべる。

 

「あれ?トータル・イクリプスと言うアニメを知りませんか?」

 

「知りません」

 

「そ、即答ですね。ならば、今からトータル・イクリプスをみてください!」

 

「え?今から?!」

 

そう言っている大和の前に何処からか持ってきたのかスクリーンが出てきて、空間も暗くなる。そして、しばらくするとトータル・イクリプスというアニメが始まった。

 

 

 

 

 

〜1時間後〜

 

「1話と2話だけでしたが、どうでした?」

 

「率直に言うと……なかなか死亡フラグ全開なアニメだね、コレ!!他のアニメはなかったの?!!」

 

「え、え〜とですね。実はこれしか用意出来なかったので「はぁ、このまま消え去りたい」ちょっと、ネガティヴにならないでください!」

 

女神から少し離れたところで大和は三角座りしながらそう言う。すると、女神が思い出したように言う。

 

「言い忘れていましたが、特典もちゃんとありますよ?」

 

「いくつですか?」

 

「3つです。ちなみに、ロボット関係の知識や操縦方法の能力は事前に追加されますよ」

 

「3つか〜。う〜ん」

 

特典が3つと言われて大和は考える。しばらくすると、決断して女神に3つの特典を言う。

 

「ならこの3つを頼みます。

1つ目、機体は武者ガンダムMK-2

2つ目、身体強化。主にMSの操縦技術

3つ目、補給物資

以上です」

 

「どうして、武者ガンダムMK-2なんです?ツインサテライトキャノンを装備しているガンダムDXやツインバスターライフルを持っているウイングガンダムゼロにしないのですか?」

 

「答えは簡単。自分が好きだから」

 

「トータル・イクリプスの世界に一騎当千並の機体性能(スペック)を持つ武者ガンダムMK-2って、ある意味でオーバースペックすぎませんか?」

 

自分がガンダムシリーズの中で武者ガンダムMK-2を選んだのは、ぶっちゃけて言うとカッコイイからなのである!装甲が鎧武者の鎧であり、武器が二本の刀『虎鉄丸』や薙刀『閃光丸』などを持った武者ガンダムMK-2の姿が実にカッコイイからね。

 

「それではやるべき事もやったので転生と行きますね」

 

「転生するとはいいのだけれども一体、どうやっでするの?」

 

「こうやってするのですよ」

 

【カチッ!】

 

そう言うと、女神はいつの間にか手に持っていたリモコンのボタンを押すと足元の空間が歪み、そして落ちた。

 

「いきなり過ぎるよぉぉぉぉぉ!!」

 

「いってらっしゃ〜い♪」

 

大和が転生したのを見送ると、3つの特典が書かれているタブレットを見る。

 

「う〜ん。機体と能力だけでは少ないからサービスしちゃおうかな♪」

 

そう言うと、女神はタブレットを操作する。そして、操作し終わるとタブレットの完了ボタンを押すのだった。



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第2話 トータル・イクリプスの世界

1997年4月

 

-南太平洋-

 

「……ここ、どこ?」

 

大和は一言で言うと、迷子になっている状況である。

女神に転生させられて目を覚ますと、四方八方に青い海があり空を見上げると綺麗な星空が広がっていた。そして、大和は自分が乗っている()()()()()()()()()を見て少し考える。

 

「何処かで見たような感じがすると思ったのだけれど、コレって………もしかして、ガルダ?」

 

そう。現在、大和は機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)に登場した海に着水している超大型輸送機 ガルダの上にいたのだった。しばらくガルダの上を捜索していると、機内へと繋がるハッチを発見したので中へと入る。

 

「真っ暗だ。ガルダのシステムが起動していないのかな?」

 

そう言うと、大和は機内の壁に設置してある緊急時用のライトを取り出してスイッチをONにする。

 

『ピカッ!』

 

「うっ!」

 

ライトのスイッチをONにした瞬間、光が何かに反射したので大和は顔を(しかめ)た。そして、光の位置を変えると目に見えたのは……

 

「家紋?……もしかして!」

 

光の位置を一気に上の方へと変えた。そうすると、頭部と胸部の一部しか見えていないがこの機体が何なのかがはっきりと分かった。

緑色のツインアイと2本の金色の角が装着している(かぶと)をかぶったように見える頭に胸の中央には家紋のようなマークが彫られている装甲が見えた。

 

「武者ガンダムMK-2……」

 

そう呟くと、大和は目の前の機体『武者ガンダムMK-2』をしばらくの間、ずっと見ていたのだった。

 

「ここがコクピットか。システム起動、機体チェック開始」

 

場所は変わり、格納庫で武者ガンダムMK-2を見た後にガルダのコクピットに来た。そして、機長席である左側の席に座るとシステムを起動させ、ガルダの機体チェックに入る。

 

「出力上昇。エンジンに異常無し。燃料は満タン。周囲に敵影なし。……ん?なんだ、コレは?」

 

ガルダの機体状況を見ていると、座席の下にファイルが挟まっていた。それを見てみると、どうやら女神からの手紙だったので音読する。

 

「え〜と、なになに。

『この手紙を読んでいるということは上手く転生出来たのですね。おめでとうございます。もう、お気づきになっているとは思いますが移動手段として超大型輸送機 ガルダをオマケとしてプレゼントさしていただきました。ガルダの他にも有るので探してください。

 

追記

久しぶりに大サービスしちゃった☆』

しちゃった☆って、おいおい……」

 

手紙の他にもファイルの中を調べて見ると、日本帝国 近衛軍衛士養成学校の転入書類と武者ガンダムMK-2を始めとする各モビルスーツ(MS)とビーム兵器の設計図面データや機体のスペックデータが入っているUSBメモリーが一緒に導入されていた。

 

「さてと、このまま日本に行っても良いのだけれど、先に人類の敵とやらを見に行きますか」

 

そう言うと大和は、ガルダの操縦桿を握り右手で出力レバーを前にたおす。そうするとガルダは前に前進し、次第に機体が浮かび上がり離水すると、最前線であるヨーロッパへと進路をとるのだった。

 

「探せと言われても、ガルダって物凄く大きいからなぁ〜。探し回るのが大変だよ、コレは」

 

ガルダを自動操縦モードに切り替え、十数室ある内の1つの部屋で大和はタブレットで機内案内図を見ていた。

発進してから食料庫・各部屋・サブフライトシステム(SFS)用格納庫・武者ガンダムMK-2がいる第1格納庫などの合計4ヶ所の場所を確認した。後は第2格納庫と第3格納庫を見て回るだけだ。

 

「果たして、何が出るのかな?」

 

そう言うと椅子から立ち上がり、第2格納庫と第3格納庫へと足を運ぶのだった。

 

 

 

 

-第3格納庫-

 

「え〜と、弾薬と素材っていうのは分かるのだけれども……これはパーツなのかな?」

 

1番近かった第3格納庫を先に見ることにして中に入って見ると、そこには大量の弾薬とモビルスーツ(MS)を建造する為の素材、未完成だが機体の一部と思われるパーツなどが数多くあった。

 

「これって……クローアームだよな?」

 

そう言うと、特に完成に近いパーツ『クローアーム』に触り、部品の状態を見る。

 

「ほぼ、完成されているな。ガンダムUCの中でクローアームを装備している機体っていったら……アレかな?」

 

頭の中でその機体を思い浮かべる。

建造するのはまだまだ先になるなと思い、次に第2格納庫へと向かった。

 

「ま、マジか……」

 

第2格納庫に来ると大和は、ここに格納されている4機の機体に驚いていた。

 

「クシャトリヤにヤクト・ドーガ、ジェスタ!それにシナンジュ・スタイン!!」

 

その中で最も驚いたのは、『原石』だった。大和はシナンジュ・スタインの目の前まで来る。

 

「ヤクト・ドーガとジェスタなら分からなくはないのだけれども、クシャトリヤとシナンジュの改修前であるシナンジュ・スタインがオマケで済むレベルなのかなぁ?」

 

MSN-06S シナンジュ・スタイン

サイコフレームの強度と追従性の実験機として開発された試作モビルスーツ(MS)であり、シナンジュに改修する前の姿。その性能は従来のMSをはるかに超える機体性能(スペック)を持っており、スピードに関しては高速MSの約3倍の速度を出すことが出来る機体である。

 

「もしかしたら、単純なスピード勝負だと武者ガンダムMK-2より速いかも……。そろそろ、ヨーロッパに到着する時間だな」

 

そう言うと、大和はガルダのコクピットへと戻る。そして、コクピットに戻るとガルダのレーダーによる地上の状況をスキャンする。

 

「物の見事に赤いマーカー(BETA)ばかりだな。少しだが、青いマーカー(戦術機)がいるということは作戦行動中なのかな?」

 

画面に映し出された状況は、大半が赤いマーカーによって埋め尽くされており、青いマーカーが必死になって反撃しているのが分かる。それを見て考える。

 

「(出撃すると多少は姿を見られるけど……や()えざるを()ないか)」

 

そう決断すると、座席から立ち上がり第1格納庫へと向かう。

 

 

 

 

-武者ガンダムMK-2 コクピット内-

 

MOBILE SUIT NEO OPERATION SYSTEM

 

Generation

Unpubdued

Nuclear

Drive

Assault

Module

 

MUSHA GUNDAM MK-Ⅱ

 

パイロットスーツに着替えて、武者ガンダムMK-2に乗り込むとシステムを起動させ、キーボードでOSを調整する。

 

「CPC設定完了。ニューラルリンケージ。イオン濃度正常。メタ運動野パラメータ更新。原子炉臨界。パワーフロー正常。全システムオールグリーン。武者ガンダムMK-2、起動!」

 

機体調整が終わると武者ガンダムMK-2のツインアイが一瞬だけ光り、次にコクピットから直接ガルダのシステムを操作し、後部ハッチを解放させる。

 

「煌月 大和、武者ガンダムMK-2、行きます!!」

 

そう言うとスラスターを全開にして、戦場へと落下して行った。

 

 

 



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第3話 一騎当千

機体名:武者ガンダムMK-2
所属:???
分類:モビルスーツ
全高:19.5m(兜の角を含む)
武装:太刀『虎鉄丸』×2
火砲『昇竜丸』
薙刀『閃光丸』
手甲クロー×2
ビームサーベル×2

詳細:女神によって与えられた5機の内の1機。全身が鎧武者のような鎧型の装甲で設計されている為に防御力は非常に高く、その防御力はBETAの重光線級のレーザーを直撃されても耐えることが出来るほどの力を持っている。また、大和がOSを調整した為に運動性能が桁外れなレベルに達している。

武装
太刀『虎鉄丸』・薙刀『閃光丸』
一見、普通の太刀と薙刀に見えるが、実は【ユニコーンガンダム2号機 バンシィ】の左腕に装備されている『アームドアーマーVN』と同じ超振動破壊兵器である。その斬れ味は戦術機だと振動によって内部フレームそのものを破壊することが出来、BETAだと突撃級の甲殻などを一撃で斬り砕くことが出来る。

火砲『昇竜丸』
ビーム・マグナムと同じ威力を持つビームライフル。この2つ違いは、ビーム・マグナムはカートリッジ方式であるのに対して昇竜丸は武者ガンダムMK-2の機体ジュネレーターから直接、エネルギー供給されている為にエネルギー切れにならない限り何発でも砲撃が出来る。また、出力をマニュアルで調整することで【ウイングガンダム】のバスターライフル並みの砲撃も可能。

ビームサーベル
形は違うが【ユニコーンガンダム】と同じビームサーベル。




-ヨーロッパ-

 

ユーラシアからヨーロッパへと侵攻して来たBETAに対してはEU軍は防衛線を展開して防衛していたのだが、余りにもの物量差と戦力差があり過ぎてEU軍の戦力は半分以下に減っていた。

 

「くそっ!この化け物共が!!」

 

「このままじゃ……」

 

戦術機【EF-2000 タイフーン】で迎撃している部隊の1人がライフルの弾をBETAに向けて乱射しながらそう言う。しかし、同じ部隊の衛士の1人がこの状況を見て何とかならないのかと思いながら続けてそう言った。そして、アラームが鳴る。

 

「どうした?!」

 

「3時の方向に新手のBETAです!」

 

「なっ!……」

 

部隊長が言うと、フォーメーションの右側を担当していた衛士から返答される。部隊長が右の方向を見ると約1000体のBETAがこちらの方に向かって来る。その瞬間、隙を突かれて要撃(グラップラー)級に部隊長機の両足と左腕を破壊される。

 

「しまった!」

 

「隊長!!」

 

すぐさま要撃級を倒し、部隊の衛士達が部隊長機を守るように囲む。

 

「(このままでは全員が無駄死になる……)仕方がない、私に構わずに撤退しろ!これは命令だ!!」

 

「何を言うのですか!隊長!!」

 

「いずれ、このままでは……おい、後ろ!!」

 

「え?……」

 

部隊長がそう言う前に目の前にいる衛士が乗っているタイフーンに突撃(デストロイヤー)級が突撃して来るように見えたが……

 

『グサッ!』

 

「な、なんだ?……」

 

()られると思ったが突然、何処からか現れた(虎鉄丸)によって突撃級が刺し殺された。

 

「刀?……」

 

「た、隊長。上を見てください……」

 

部隊長が分析していると、部隊の衛士の1人が上を向くように言う。言われた通り、上を向くと()()()()()()()が落下して来て、目の前に降り立った(降臨した)

 

「な、何だ?この戦術機は……」

 

そう言っていると、目の前の機体(武者ガンダムMK-2)は虎鉄丸を回収すると一度だけこちらの方を向き、BETAのいる方向に突っこんで行く。

 

「な、何なのでしょうか?あの戦術機は……」

 

「分からない。だが……どうやら私達の手を借りなくても良いようだな」

 

「どういうことですか?隊長」

 

「……目の前を見てみろ」

 

「こ、これは……」

 

そこには信じられない光景が広がっていた。自分達が今まで苦戦して相手にしていたBETAが武者ガンダムMK-2によって次々と倒されていて、現在で倒された数は500体を超えるか超えないかまで達していた。ふと、部隊長が思い出したかのように言う。

 

「日本でこんな単語がある。意味は1人で1000人の敵を相手にするぐらい強い、と言うことだそうだ」

 

「それをなんと言うのですか?」

 

「そのことを”一騎当千”と言うらしい」

 

その後、部隊長を含む7人の戦術機部隊は戦っている武者ガンダムMK-2を呆然と見ていることだけしか出来なかった。

場所は変わり、武者ガンダムMK-2は残り約500体のBETAを相手に2本の虎鉄丸を二刀流で挑んでいた。

 

「想像以上の数だ。だけど、負けはしない!」

 

そう言うと、バーニアとスラスターを吹かせて、突撃級と要撃級を次々と2本の虎鉄丸で葬っていく。そして、最後の突撃級と要撃級を倒すと突如、コクピットのアラートがなった。

 

『PPPPP!』

 

「クッ!」

 

一瞬の差で、バックステップで回避すると白銀のレーザーが通り過ぎていった。発射された方向を見ると、そこには3数の要塞(フォート)級と十数体の光線(レーザー)級・重光線(じゅうレーザー)級がいた。

 

「いよいよ、ラスボスの登場という訳か。あのサイズを相手に虎鉄丸ではちょっと難しいかな」

 

武者ガンダムMK-2は武器を『虎鉄丸』から『閃光丸』へと変える。閃光丸を両手で握り、最後のBETA達の相手をする。

 

「これが最後だ!」

 

そう言うと、身体強化の1つ『SEED(シード)』を発現させる。そうすると、頭の中で植物の種子が砕け散るような感覚がして、瞳のハイライトが消失する。

武者ガンダムMK-2はバーニアとスラスターを全開にして、1体目の要塞級を閃光丸で切り倒すと、すぐさまに2体目の要塞級の頭に向けて投擲した。

 

「(アレをやってみるか……)」

 

そう思うと、右足のスラスターを左足のスラスターよりも少しだけ出力を上げ、機体を左向きに回転させ陽昇流誠壱式旋風脚(ひのぼりりゅうまこといちせんぷうきゃく)をする。その結果、3体目の要塞級の頭部に勢いよく入り込み、数体の光線級を下敷きにしながら蹴り倒された。

閃光丸を回収すると、残りの光線級と重光線級が武者ガンダムMK-2に向けてレーザーを放ってくるが、それを回避したり回避できなかった場合は閃光丸で斬り裂いた。そして、閃光丸の刃が届く距離になると、一撃で次々と斬り倒していった。

 

「終わった……」

 

『PPPPP!』

 

そう呟くと、アラートが鳴った。周りを見ると、残存した戦術機達がこちら(武者ガンダムMK-2)の方に向かって来る。

 

「(おそらく、武者ガンダムMK-2を鹵獲するつもりだろうけど、そうはいかないな)」

 

そう思うと、腰アーマーに装着していたチャフ入りのスモッググレネード弾を投げる。そうすると辺り一面が白くなり、その間にベースジャバーに乗って、ガルダへと帰投した。

その後、EU軍並びに国連軍は必死になって武者ガンダムMK-2を捜索したが、何の手掛かりもないままに捜索は打ち切られた。

 

 

 

 

数日後

 

-日本帝国 東京-

 

技術省の執務室で『厳谷 榮二』中佐は数日前のEU軍防衛戦の戦闘記録を見て驚愕していた。

 

「こ、これは現実なのか?」

 

「はい。間違いなく現実に起こったことです」

 

机の上に置かれているパソコンの画面には2本の虎鉄丸を両手に持って、BETAを次々と葬っている武者ガンダムMK-2の映像が映っていた。

 

「この戦術機を見て、君はどう思う?」

 

「私見ですが、我々の技術レベルをはるかに超えた戦術機だと思います」

 

「これ程の機体を造ることが出来るとは……一体、何処の所属なのだろうな」

 

そう言うと、厳谷は深く椅子に腰をかける。

 

「ちなみにですが、EU軍の衛士からはこの戦術機(武者ガンダムMK-2)を『剣帝』と呼ばれているそうです」

 

「『剣帝』……剣の帝王か」

 

すると、厳谷は机の上にある計画書を出す。その計画書には『九十九型電磁投射砲 計画書』と書かれていた。

 

 

 

翌日

 

-京都 近衛軍衛士養成学校-

 

桜の木がある校門前には制服を着た1人の少年が手に転入届を持って立っていた。

 

「ここが近衛軍衛士養成学校か……」

 

そう言うと、少年は門を潜って教室へと行く。そして、その転入届の氏名欄には『煌月 大和』と書かれていた。




最近、機動戦士ガンダム0083を見たのですが、GPシリーズ(特にガンダム試作2号機)がカッコイイ!と思ったので登場させようかな?と迷っています。さて、どうしよう?


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第4話 転入と出会い

-大和が転校して来る前日-

 

日本本島から数十km離れたところにある無人島を改造した島に大和はいた。その島の格納庫にはガルダや武者ガンダムMK-2を始めとするMSが収納されていた。

 

「しかしながら、ガルダ級の航空機を収納出来るぐらいの島がオマケの1つとは……一体、どれだけのオマケがあるのだ?」

 

そんな疑問を頭に浮かべながら学校の準備をする。用意してくれた制服・教材・設計データが入っているUSBメモリー・カバンなどを着替えたり入れたりして、本島に行くために武者ガンダムMK-2のコクピットに乗る。

 

「ベースジャバーと武者ガンダムMK-2はいいとして、どうやって気づかれずに行こう?」

 

何とかなるだろうと思い、置いて行く機体の格納庫にパスコードの入力とカードをスキャンして厳重にロックされる。それを見届けると武者ガンダムMK-2(大和)はベースジャバーに乗って京都へと向かった。

 

 

 

 

 

-近衛軍衛士養成学校 教室内-

 

「ねえねえ、今日は転校生が来るんだって!」

 

「転校生?」

 

「うん。なんでも男子らしいの」

 

「でも、珍しいよね〜。ほとんどが女子生徒ばかりなのに」

 

上から志摩子・唯依・和泉・安芸の順に言う。周りの生徒達も同じような会話をしていていると、教官の『真田 晃蔵』と大和が教室に入って来た。

 

「全員そろっているな。今日は転校生がこのクラスに入って来る!煌月、自己紹介を」

 

「はい。初めまして、本日からこの衛士養成学校に転入して来た煌月 大和です。皆さんよろしく」

 

「では、授業を始める!煌月は好きな席に座れ」

 

そう真田から言われると、大和は真ん中よりも少しだけ後ろの席に座る。そして、大和が座ったのと同時に授業が始まった。

今日の授業が中頃になると、下の席にいる女子生徒達の会話が聞こえてきた。

 

「そう言えば、今朝の不明機のことって聞いた?」

 

「不明機?」

 

「うん。霧で姿は分からなかったんだけどね、どうも帝国の機体じゃないらしいの」

 

「ふ〜ん。なんだか物騒なことになっているね」

 

その会話の内容は、大和にとって()()()()()心当たりのある話だった。

 

「(それ、絶対に武者ガンダムMK-2(自分)だ……)」

 

実はオマケの1つで、京都府内にはモビルスーツ(MS)を収納出来る家がプレゼントされていた。その家に行く為に今朝の時点で京都に来ると、霧に包まれていて好都合であったのだが、その時に帝都をパトロールしていた戦術機のレーダーに引っかかってしまい、この様な騒ぎになってしまった、ということなのだ。

 

「(結果的には大丈夫だったけど危なかったなぁ……そういえばコレ(USBメモリー)はどれだけの機体データが入っているんだ?)」

 

そう思うと、制服の胸ポケットから設計データが入っているUSBメモリーを取り出し、タブレットに差し込む。そうすると、画面が起動して文字の入力画面に変わる。

 

「(ネットみたいに検索しろとでも言うのか?)」

 

試しに自分が知っている機体の名前を入力する。すると、数秒後に形式番号と機体名・機体図面などが表示された。

 

RX-80PR

PALE RIDER(ペイルライダー)

 

「(ほ、本当にできた。なら、公式記録から抹消されたガンダム達もあるのでは?)」

 

タブレットに3機のガンダムの名前を検索すると、ペイルライダーと同じく形式番号と機体名・機体図面などが表示された。

 

RX-78GP01

GUNDAM GP01(ガンダム試作1号機) ZEPHYRANTHES(ゼフィランサス)

 

RX-78GP02

GUNDAM GP02(ガンダム試作2号機) PHYSALIS(サイサリス)

 

RX-78GP03/03S

GUNDAM GP03(ガンダム試作3号機) DENDROBIUM(デンドロビウム)/STAMEN(ステイメン)

 

「(ゼフィランサスとサイサリスとステイメンはいいとして、デンドロビウムまで入っているとはな……)」

 

気になったガンダム試作2号機(サイサリス)ガンダム試作3号機(デンドロビウム)を詳しく調べてみると、機体の詳細データと設計データが表示される。

 

「(デンドロビウムとサイサリスがあれば、単機でハイヴを攻略することが出来るんじゃないのかな?まぁ、MK-82レーザー核融合弾は環境的・政治的にマズイと思うけど……)」

 

『キーンコーンカー………』

 

「(昼休みか。さて、これからどうしようかな?)」

 

その後、大和は転校生という事でクラスの生徒から質問攻めにあったのは、また別の話である。

 

「(どこの世界に行っても同じなんだね……)」

 

 

 

 

 

-放課後-

 

大和は家に帰らずに、学校の図書室にいた。

 

「まさか、この機体のデータまで入っているとは……」

 

あの後に色々と調べて見た結果、A.C.(アフター・コロニー)C.E.(コズミック・イラ)・西暦などの時代に登場するウイングガンダムゼロ(EW版)やストライクフリーダム・ダブルオークアンタの設計データはなかったものの……

 

「まさか、ガンプラがモビルスーツ(MS)になっていて、その設計データが入っているとは驚きだったな」

 

そう言うと、表示してある『(あか)いガンダム』と『勇者』・『黒いHi-νガンダム』・『神聖なる金色のガンダム』の合計4機の機体データを見る。

 

PF-78-3A

GUNDAM AMAZING RED WARRIOR(ガンダムアメイジングレッドウォーリア)

 

RM-01・RM-02・RM-03

GUNDAM TRYON Ⅲ(ガンダムトライオン3)

 

RX-93ν-2I

Hi-νGUNDAM INFIUX(ガンダムインフラックス)

 

NK-13

CATHEDRAL GUNDAM(カテドラルガンダム)

 

「まぁ、今の自分にガンダムを造る素材があっても製造プラントがないから無理だけどね」

 

そう言いながら画面を閉じ、USBメモリーを抜くと同時に声が聞こえた。

 

「何が無理なの?」

 

「え?!」

 

声がした方を見ると、同じクラスの唯依が隣りにいた。

 

「君は確か……」

 

「同じクラスの篁 唯依です。よろしくね、煌月君」

 

「こちらこそ、よろしく篁さん」

 

そう言って、大和と唯依は自己紹介をする。そして、唯依が大和に聞く。

 

「そういえば、授業の時もタブレットで何かを見てたけど、そのUSBメモリーに何か入っているの?」

 

「これかい?う〜ん、あえて言うなら()()()()()()()が入ってるかな」

 

「世界を変える力?ふふ、煌月君って面白いことを言うのね」

 

「それ、褒め言葉?」

 

こうして、ガンダムという力を持っている少年と後に近衛軍中尉となる少女が出会ったのであった。

 

 




大和の家はSEED DESTINYでフリーダムが封印されていた家をイメージしてくれば良いかと思います。
ちなみに、アメイジングレッドウォーリアとトライオン3・Hi-νガンダムインフラックス・カテドラルガンダムを登場させた理由はガンダムビルドファイターズトライ アイランド・ウォーズが放送されるという事で、ガンダムビルドファイターズトライを再び見て、その中で作者である自分が登場させたいなぁと思ったからです!


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第5話 白い彗星

大和が転入して来て数ヶ月が経ち、秋の季節になると学校の帰りの電車で大和・唯依・志摩子の3人は来週から始まる実地訓練に向けて戦術機の操縦方法や団体での戦術などを勉強していた。

 

「……だから、こういう場合は低空飛行をして光線級を殲滅することが出来ると言うことなんだよ」

 

「でも、それでは……」

 

その電車の中で大和が唯依に光線級吶喊(レーザーヤークト)についての戦術を教えていた。そして、それを見ていた志摩子が大和と唯依の2人に言う。

 

「何だか、こうして見ていると彼氏と彼女みたいに見えるなぁ〜」

 

「「……え?」」

 

突然の言葉に2人は固まり、しばらくすると唯依はだんだんと顔が赤くなって志摩子に言う。

 

「/////そ、そんな関係じゃありません!私はただ、大和君に戦術の勉強を教えて貰っているだけ!!/////」

 

「へ〜、”大和君”ね」

 

志摩子はニヤけながら唯依をからかい、追い打ちをかける。

 

「/////〜〜〜大和君も『これに対してソ連軍は防衛線を展開し……』

 

唯依は隣りを見ると、電車内に設置されたテレビのニュースを大和が真剣に見ている姿が見えた。

 

「(まずいな。予想よりBETAの侵攻スピードが速い)もう、ソ連まで来たのか」

 

「そうだね。……それよりも志摩子、そこ間違えているよ」

 

「うそ?!どこが?!!」

 

この時、この先の未来を知っている大和はこの様な平和が続けばいいなと思ったのであった。

この日の夜、大和がいるのは武者ガンダムMK-2が収納されている家ではなく、ベースジャマーでガルダなどが収納されている島に来ていた。

 

「やはり、今の状況では私しかBETAに対抗することが出来ないようだな」

 

そう言うと、大和はパイロットスーツではなく茶色のブーツに白いズボンと金の刺繍が入った赤い軍服を着ていた。そして、その顔には赤い瞳をした白い仮面を付けていた。

 

「まさか、フル・フロンタルの服装と仮面の一式があるとは驚いたな」

 

そんなことを言いながら、フル・フロンタルの格好をした大和は『原石』の目の前まで来る。

 

「さぁ、行こうか。シナンジュ・スタイン」

 

そうすると、ハイ・ビームライフルではなくビーム・ライフルに換装したシナンジュ・スタインの赤いツインアイが答えるように一瞬、輝いた。

 

 

 

 

 

-ソ連国境付近-

 

西側のユーラシアから侵攻して来たBETAに対してはソ連軍は防衛線を展開して要撃級を撃退したのは良いのだが、数体の要塞級と数十体の光線級・重光線級によって苦戦しており、次々と戦術機『Su-27 ジュラーブリク』がレーザーによって撃破されていった。

 

「どうして、こんなにたくさんの光線級達がいるのよ?!」

 

「無駄口叩いでないで逃げるぞ!レーザーに丸焦げにされたいのか!」

 

1人の衛士がそんな疑問を言うと、別の衛士がオープンチャンネルでそう言う。すると、前方から数体の要塞級が現れて、退路を塞がれてしまった。

 

「クソ!塞がれた!!」

 

「た、退路が……」

 

終わりか、と思ったが突然、何処からか発射された光の線(ビーム)によって退路を塞いでいた要塞級が倒された。

 

「え?……」

 

「な、なんだ?次々とBETA共が倒れていくぞ?」

 

周りを見てみると、同じようにBETAが何処からか射撃されたビームによって、次々と倒されていった。そして、今度はUNKNOWN(不明)と書かれたマーカーが敵味方識別システム(IFF)に反応する。

 

「不明?友軍機なのか?」

 

「あ!あれ!」

 

1人の衛士がそう言うと、戦術機のメインカメラでシナンジュ・スタインが見えるようになった。

その姿は他の戦術機と比べてみると形状が全く違い、普通ならば腰の部分にあるはずのジャンプユニットがないのと頭部のメインカメラがスリットアイタイプではなくて、ツインアイタイプになっている。そして、右手にはライフル『ビーム・ライフル』・左手には白と黒のシールド・腰にはバズーカ『ロケット・バズーカ』を装備していた。

 

「な、何なのでしょうか?あの戦術機は?」

 

「と言うより友軍機なの?あれ」

 

「一応、話し掛けて見み……って、おい!そこの戦術機!高度を下げろ!死にたいのか!!」

 

部隊の衛士達が会話していると、不明機(シナンジュ・スタイン)は高度とスピードを上げ、光線級・重光線級達がいるBETAの中にスラスターとバーニアを吹かせ、彗星のごとく突っ込んで行った。

場所は変わり、レーザーを発射してくる光線級・重光線をシナンジュ・スタインはビーム・ライフルで応戦した。

 

「なかなか、良いところを突いてくるが甘いな」

 

大和はコクピットのペダルを踏み、シナンジュ・スタインのスピードを加速させる。そうすると、無数に放って来るレーザーを簡単に避けてそのスピードに光線級・重光線級はついていけなくなり、シナンジュ・スタインを補足出来なくなってしまった。

 

「当たらなければ、どうと言うことはない!」

 

そう言うと、我武者羅(がむしゃら)に次々とレーザーが降ってくるのに対してシナンジュ・スタインはそれをバレルロールなどで回避し、カウンターで先に重光線級をビーム・ライフルで倒していく。そして、重光線級を全滅させると、今度は光線級に目を付ける。

 

「そろそろ、大詰めと行こうか」

 

そう言うと、腰に装着していたロケット・バズーカを取り出して、ビーム・ライフルの下部にドッキング(合体)させる。そうすると、バズーカの砲身が伸びて、照準を最後に残された光線級に向ける。

 

「フッ……」

 

仮面の下で少し笑うのと同時に、ロケット・バズーカをドッキング(合体)させたビーム・ライフルのトリガーを引く。そして、発射された弾(散弾)はそのまま一直線に光線級の群れに着弾して複数のBETAを巻き込みながら爆発する。さらに、シナンジュ・スタインはその後もロケット・バズーカを撃ち続けて、最後の光線級を含むBETAを全滅させた。

 

「これで少しは侵攻スペースを遅らせることは出来たかな」

 

『PPPPP!』

 

「……予想はしていたが、これだけ派手に戦えば当然、そうは来るか」

 

シナンジュ・スタイン(大和)は後ろを見ると、そこには生き残ったジュラーブリクがシナンジュ・スタインを包囲するように進んで来ていた。

 

「あいにくだが、ここで君達と(まじ)えるつとりはないので、私はここで失礼させてもらおう」

 

そう言うと、シナンジュ・スタインの左腕に装着しているシールド裏のミサイルを目の前のジュラーブリク達に向けて発射する。そうすると、反射的にミサイルを撃ち落とそうとするが、それよりも速く自爆して中から出てきた白い煙(スモッグ)によって視界が遮断された。そして、視界が回復するとシナンジュ・スタインの姿はどこにもなかった。

後日、生き残った衛士達はシナンジュ・スタインの姿と戦い方から、こう呼ぶようになった。その名は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『白い彗星』

 




何だか、大和の口調がフル・フロンタルみたいになってしまったな……



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第6話 始まり

読者の皆さん、お待たせしました!
最近、現実の方が忙しくて遅れましたが6話の完成です!


-日本 京都-

 

大和がシナンジュ・スタインでソ連での戦闘から約1週間が経過し、近衛軍衛士養成学校では今日から戦術機『撃震』での実地訓練が始まった。そして、その訓練地域では大和や唯依を含むクラスがいた。

 

「(う〜ん。やっぱり、強化装備よりパイロットスーツの方が良いんだけどなぁ〜)」

 

そんな事を思いながら大和は2番機の撃震を操縦していた。今日の実技課題は”戦術機を手足のように操縦する”と言うことで、ある程度の人数での市街戦勝ち残りバトルロワイヤルをしていた。

 

『そこだぁぁぁ!』

 

「……見つかったか」

 

1機の撃震が上から奇襲してきたが、大和はそれを回避してライフル(ペイント弾)でコクピットブロックを射撃する。

 

『8番機、コクピットブロック被弾により大破!2番機は8人抜き!!』

 

「すごい……」「つ、強い……」などの声が無線から聞こえた。一方、大和は残りの撃震のマーカーを数えて、どうしようかと考えていた。

 

「(残りの数は……2機。そして、制限時間まで残り5分)この2人には悪いけど、少しばかり本気を出させてもらおうかな」

 

そう言うと、2機の撃震が戦っているポイントへといくのだった。

場所が変わり、この場所では2機の撃震が戦っていた。しばらくすると、メインカメラで新たな撃震が見えた。

 

『ん?新手か?』

 

『スキあり!』

 

1機の撃震が2番機の撃震(大和)を見ていると、残りの1機が74式長刃(カバー付き)で斬ろうとするが、あっさりと回避された。そして、大和の撃震が2機の撃震の中に乱入する。

 

「悪いけど、乱入させてもらうよ」

 

1機の撃震がライフルで乱射してくるが、大和は遮蔽物を利用して裏へと周って背後を取る。そうすると、相手は銃口を大和に向けようとするが、それよりも早くコクピットブロックをペイント弾で撃ち抜いた。

 

『う、嘘だろ?!』

 

「(9機目……)」

 

『26番機、コクピットブロック被弾により大破!』

 

1機目の撃震を倒すと、最後の1機の撃震が74式長刃で斬りかかって来てライフルで迎え撃とうとしたが……

 

「っ!弾切れか!」

 

『もらったぁ!』

 

「さて、それはどうかな?!」

 

弾切れになった状態をチャンスと思ったのか、ジャンプユニットを最大出力にして突っ込んで来るが、大和は(から)になった弾倉を()()()()()()投げて相手の姿勢を崩す。

 

『なっ!ライフルごと投げただと?!』

 

投げたライフルは見事に直撃して、相手の撃震は姿勢を立て直そうとするが、その間に大和も74式長刃を展開して相手の撃震を居合(いあい)のようにして斬る。

 

『しまっ「これで終わりだ!」

 

『14番機、コクピットブロック切断により大破!勝者、煌月 大和!』

 

こうして市街戦勝ち残りバトルロワイヤルは大和の勝利で終わったのであった。その後、幾つもの模擬戦・実技試験などあったが、いとも簡単にクリアして操縦技術は訓練学校で歴代1位という成績を収めたのであった。

 

 

 

 

 

 

-1998年 7月-

 

大和がシナンジュ・スタインでBETAの侵攻を遅らせたのもここまでの様で、BETAは朝鮮半島を超えて北九州に上陸した。これに対して日本帝国軍・在日米軍・国連軍の3軍防衛戦を張り、そして大和や唯依などの学生達も戦場に駆り出された。

場所が変わり、京都の嵐山にある仮設備補給基地に大和や唯依などのメンバーがいた。

 

「大和君、何を見ているの?」

 

「ん?コレかい?」

 

そんな中、黄色い強化服を着た唯依が白い強化服を来てガンダムのデータが入っているUSBメモリーをセットしたタブレットを見ている大和に話しかける。

 

「(京都防衛戦が終わった時のことを考えると、タイミング的に見せてもいいかな)この前に世界を変える力が入っている、って言ったのを覚えてる?」

 

「覚えるけど……それがどうかしたの?」

 

「コレが世界を変える力っていう代物だよ」

 

そう言うと大和は唯依を隣りに座らせて見せると、唯依は画面に英語で表示された機体名を言う。

 

RX-104FF

PENELOPE(ペーネロペー)

 

RX-105

Ξ GUNDAM(クスィーガンダム)

 

「ガン…ダム…?」

 

読み終わると同時に上総(かずさ)が来て、慌てたように言う。

 

「皆さん、大変でしてよ!BETA戦闘集団が突出。鷹ヶ峰にまで接近しているって」

 

それを聞くと、戦況の様子を見るために外を見る。そこに映ったのは森・街が燃えている光景だった。

 

「そんな……防衛戦は?」

 

「……食い破られたんだわ」

 

「おい!あそこ!」

 

志摩子・唯依の順に言うと、安芸が指を2機の戦術機の方に向けて指すが光線(レーザー)級によって撃破された。そして、しばらくするとコンディションレッドが発令され、少女(唯依)達にとっては絶望の戦いが始まったのであった。




トータル・イクリプスを見たことがある読者さんはお分かりと思いますが、やっと本編の1話が終わりました!そして、次回からは京都防衛戦&武者ガンダムMK-2の介入と言うことで行きたいと思います!
う〜ん、死亡回避とかどうしよう?


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第7話 犠牲

読者の皆さん、大変長らくお待たせしました!
最近、バンダイから発売されたガンプラを作り続けていたので、更新が遅れてしまい申し訳ございませんでした。


-京都 嵐山-

 

最前線となった嵐山仮設補給基地では、11機の帝国斯衛軍の戦術機『瑞鶴』と1機の大和が搭乗している『不知火』が防衛線を食い破ってきたBETA群を迎撃する為に出撃した。

ちなみに、大和が戦術機『瑞鶴』ではなく『不知火』に乗っているのは、瑞鶴では大和の反応速度について行けないからと言うことで特例として認められて与えられたのである。

 

『篁の率いる第二小隊は突撃級の殲滅!』

 

『第二小隊、了解!』

 

『オレの率いる第一小隊は第四小隊を支援!第三小隊(上総達)は要撃級の殲滅、第四小隊(大和達)は光線級の殲滅を最優先とする!』

 

『第三小隊、了解!』

 

「第四小隊、了解」

 

『如月 佳織』中隊長の瑞鶴F型が随伴する山吹色の瑞鶴F型と10機の白い瑞鶴A型と不知火に指示を出し、それぞれの小隊のリーダーが返事を返す。

迎撃地点に到着した全小隊は、目の前の山間の向こうで真っ赤に燃える炎の先からBETAが向かってくる地点の正面から待ち伏せるように12機の瑞鶴と不知火が迎撃の準備をしていた。

 

「……来た!」

 

「……来たか」

 

 唯依と大和の一言に大地を揺るがす音を立てながら、驚異的な突撃級が突進してくるのが見えた。

 

「ギリギリまで引き寄せる!戦術高度は100メートル以内!!」

 

『了解!』

 

 如月の指示に全小隊が答え、立ち塞がるビルや民家を破壊しながら突撃級が猛然と土煙を巻き上げながら京都の街を駆け抜けてくるBETA群に、13機の戦術機は突撃砲を構えて駆け出していく。

 

「迎撃シフト、楔壱型(アローヘッド・ワン)!全機兵器使用自由!行くぞ!!」

 

 第二小隊を先頭に敵群突入用の突破力を重視した陣形で駆け出して行く戦術機達。しかし、目の前に容赦なく迫ってくる突撃級の群れに初の実戦による恐怖を感じたのか、志摩子の乗る瑞鶴が突撃級の正面に向かって87式突撃砲の36mm弾を連射して攻撃する。だが、突撃級の前面装甲殻に弾丸は簡単に弾かれ、全くダメージを与えられていなかった。

 

「訓練を思い出して!志摩子!!」

 

「あっ!」

 

「突撃級は?」

 

「わ、分かってる!!」

 

無駄に攻撃を続ける志摩子に唯依は訓練で覚えた突撃級の対処法を思い出させるように声を上げると、我に返った志摩子は攻撃を止め、すかさず他の瑞鶴と同時に突撃級を飛び越えるように跳躍ユニットを起動させて機体を浮かせてやり過ごす。そして、唯依と他の機体は空中で反転、志摩子機は背部の可動兵装担架システムを作動させて、突撃級の弱点である装甲殻のない部分に36mm弾をお見舞いして撃破する。

 

「やった!」

 

 断末魔の声を上げて倒れた突撃級の姿に撃破できた事に安堵する志摩子だったが、気の緩みか他の機体より高度を上げてしまった。それにより唯依の乗る機体から光線級のレーザー警報が鳴り響き、唯依が志摩子に向かって叫んだ。

 

「志摩子!高すぎる!!」

 

「えっ?」

 

 唯依が志摩子に向かって声を上げた時、遥か後方からの光線級のレーザーが志摩子の瑞鶴を撃ち抜いた。そして、唯依機の頭上で爆発音がして志摩子は光線級の餌食となった。

 

「志摩子!」

 

「怯むな!敵の懐に飛び込めばレーザーは当たらない」

 

悲痛の叫び声を上げるが、如月が正気に戻させて指示を出す。その後、第1〜3小隊は要撃級・突撃級の殲滅にとりかかり、第4小隊は光線級の殲滅に当たった。

如月が新たな指示を出す。

 

「各個撃破に移れ!第4小隊に近づけるな!!」

 

『了解!』

 

戦闘開始から8分が過ぎ、全員が死の8分を生き残る事ができた。だが、安芸が我を忘れたかのように笑い出して死の8分を生き残ったと言った瞬間、突撃級が安芸の機体を吹き飛ばして爆散した。そして、時間が経つに連れて次々と仲間達がやられて行き、BETAの増援が来る。

 

「新手?!」

 

「どうなっている?!応答せよ!コマンドポスト(CP)!!」

 

上総が叫び、如月がCPに問い合わせるが、ノイズが走る。

 

「こんなヒョッコでは……正規部隊は一体?!応答せよ、CP!」

 

「中隊長、少しいいですか?」

 

そんな中、混乱した部隊で大和が如月に意見具申する。

 

「なんだ、煌月?」

 

「CPと連絡が取れない以上、嵐山仮設補給基地はBETAによって陥落されたと考えた方が良いでしょう。ならば、自分達が次にするべき行動は……」

 

「友軍がいる防衛ラインまで後退する、だな」

 

「そうです。中隊長、決断を」

 

「……わかった。それでは行動開始!」

 

如月は大和の提案を受け入れ、後退しようとした瞬間、レーザー警報が鳴る。

 

「光線級?!」

 

「こんな時にか?!」

 

唯依・上総がそう言うと、大和が先程の提案を修正する。

 

「中隊長、訂正します。このまま、防衛ラインまで後退してください」

 

「煌月?……お前、まさか!」

 

「ええ。殿(しんが)りは自分が努めます」

 

『!!!』

 

大和がとんでも無い事を言い出し、オープンチャンネルによって聞こえていた唯依が大和に向かって言う。

 

「ダメ、大和君!1人で戦うなんて自殺する様なものなんだよ?!」

 

「分かっている。だけど、このままでは光線級や要撃級に倒されて全滅するだけだよ」

 

「でも!」

 

「煌月君。あの数で生き残れる自信はあるの?」

 

大和と唯依が話していると、上総が大和に問う。

 

「別に最後まで戦う積もりはないよ。ただ、皆んなが後退するまでの時間を稼ぐだけさ。大丈夫、瑞鶴ではなく俺はその上の不知火に乗っているんだから」

 

「BETAがそこまで来ている。全員、行くぞ!煌月の決意を無駄にする気か?!!」

 

『り、了解!』

 

如月がそう言うと、機体を防衛ラインの方角へ飛び、それに続いて次々と仲間達が飛んでゆく。最後に残った唯依が大和に向けて言う。

 

「生きて会える?大和君」

 

「うん、会えるよ。今の不知火じゃあ持って3分が限『PPPPP!』もう来たのか?!」

 

コクピット内の画面を見ると、一面がBETAに覆われていて、大和は不知火の両腕とバックパックに装備された36mm弾ライフルで迎撃する。

 

「さぁ、早く行くんだ!」

 

「ッ!」

 

ライフルを撃ち続けながら大和がそう言い、唯依は悔しそうに部隊の後に続く。

 

「(アニメだと唯依はとにもかく、このままでは上総さん達が危ない。早く武者ガンダムMK-2のところに行かなければ!)」

 

考え事をしていると、レーザー警報が鳴って不知火(大和)の後ろにいる仲間達の瑞鶴に命中する。

 

「(ッ!やっぱり、不知火での時間稼ぎは難しかったか?!)」

 

そんなことを思いつつも不知火1機で光線級と要撃級を倒すのは難しく、生き残っている光線級によって如月を始めとした瑞鶴が撃破される。

残り5機となり、瑞鶴に装備されている火器を咄嗟(とっさ)に大和が思い出して、通信で唯依に言う。

 

「唯依!レーザースモーク弾だ!!」

 

『分かった!』

 

そうすると、5機の瑞鶴からレーザースモーク弾が発射され、2人の仲間を失ったが、唯依達は無事に後退することが出来た。

 

「よし。この場所での務めは果たした。今度は!」

 

大和は唯依達の後退を見届けて、目の前にいるBETAをくらませると、進路を武者ガンダムMK-2が収納されている格納庫へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-地下格納庫-

 

家のあった地上部分はBETAによって瓦礫となったが、地下への入口は無事に埋まっておらず、大和は白い強化服からZAFT(ザフト)のパイロットスーツ(白服Ver)に着替えて、武者ガンダムMK-2のコクピットに乗り込む。そして、シートベルトをすると直ちにOSのボタンを押して、立ち上げる。

 

『カチッ!』

 

MOBILE SUIT NEO OPERATION SYSTEM

 

Generation

Unpubdued

Nuclear

Drive

Assault

Module

 

MUSHA GUNDAM MK-Ⅱ

 

そうすると、ディスプレイにOSの画面が映り、機体の外側では整備用のケーブルが次々に解除される。

 

「(生きていてくれ唯依!)」

 

発進準備が(ととの)うと、大和はスラスターのペダルを踏み込み、武者ガンダムMK-2を上昇させる。そして、出口を塞いでいた瓦礫を昇竜丸で撃ち払いのけて唯依達のいる場所へと飛翔する。

 

 

 




唯依が生き残るのは確定として、上総はどうしよう?……(本当に)

自分が友人に「連邦とジオンのMSならどっちが良い?」と聞くと、皆んな「ジオンが良い」と答えるんですよね〜。皆さんはどちらが良いですか?(ちなみに自分は連邦です)


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第8話 剣帝

やっと今話で帝都燃ゆが終わりました!(長かった……)

なので、いつもよりかは字数が多いので何卒よろしくお願いします!



-京都-

 

大和が不知火から武者ガンダムMK-2に乗り換えて、唯依達がいる方向へと出撃した同時刻に唯依・上総・和泉の3人は元教官で上官でもある不知火・壱型丙を搭乗機としている真田と合流していた。

 

「どうして、教官が此処(ここ)に……」

 

「此処では大尉と呼べ。なに、撤退の途中にお前達のコールサインを捉えたものでな」

 

そう言うと、不知火・壱型丙(真田)は自分の背後を見る。そこには京都に侵攻して来た要撃級と突撃級がいた。

 

「さて、殿(しんが)りは私が努める。お前達は第8防衛ライン上の京都駅に向かえ。そこが集積場になっている」

 

「あっ……」

 

そこで唯依があることに気付く。真田の乗っている不知火・壱型丙は激戦であったのだろうか、頭部のアンテナと左腕の肘から下が無くなっていた。そのことに上総と和泉も気付き、状況を見た上総は真田を止める。

 

「上手くすれば補給も受けられるだろう」

 

「しかし!」

 

「上官の命令に逆らうつもりか?!」

 

そう言われると唯依・上総・和泉の3人は口ごもる。上官の命令は絶対であり、何よりも軍規違反でもある。

 

「行け!」

 

真田がそう言うと、3人は命令通りに京都駅の方角へと飛ぶ。それを見送った不知火・壱型丙(真田)はBETAの方へと機体を変えて、右手とバックパックに装備された36mmライフル銃の銃口を向けて射撃体制に入る。

 

「次に会ったときは一人前の衛士になっていろよ?」

 

腹部から血を流しながらも操縦桿を握り、3挺のライフル銃をBETAへと一斉発射(いっせいはっしゃ)する。

場所は変わり、唯依達は真田の言われた通りに集積所がある京都駅に向かって飛んでいた。

 

「見て!京都駅よ!!」

 

「周囲に注意。気を抜かないで」

 

和泉・上総の順に言う。だが、戦場はそう思った通りにはならない。

唯依・上総・和泉の3人と京都駅の間に建っているビルの影から要塞(フォート)級が出現する。

 

「要塞級?!」

 

「あっ!」

 

「危ない!」

 

3人の中で先頭を飛んでいた和泉機が要塞級に当たらないようにメインスラスターを逆噴射して、急ブレーキする。

その結果、上総機と唯依機の2機と衝突して上総と和泉の瑞鶴は地上へと不時着するが、唯依の瑞鶴は要塞級の頭部に当たりながらもビルの屋上に不時着するが、本人の唯依は衝撃で気絶してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フッ、どうやら俺の人生も此処までのようだな」

 

場所は戻り、BETAと交戦していた真田と不知火・壱型丙は絶体絶命の瞬間だった。

搭乗機の不知火・壱型丙の状態は、残っていた右腕も付け根からもぎ取られており、バックパックに装備されてる2挺の36mmライフル銃も1挺は弾切れ、もう1挺は残っているものの残ったBETAを倒すだけの残弾は無かった。

 

「だが、俺の教え子たちが必ず貴様達を倒すぞ!BETA共!!」

 

要撃級のクロー()でコクピットブロックを狙われながらも真田は叫び、潰されそうなその瞬間に()()が無線に割り込む。

 

『ザザァ……そう言ってくれるのは嬉しいのですが、言った本人が死んでしまっては元の子もありませんよ?教官』

 

『PPPPP!』

 

そうすると、不知火・壱型丙のレーザー警報が鳴る。そして、数秒後に赤い光線(ビーム)が真田の不知火・壱型丙ではなくて目の前にいるBETAにへと降り注いだ。

 

「これは一体……」

 

砂煙が晴れると、真田を殺そうとしていた要撃級どころか、周りにいたBETAも一緒にして倒されていた。真田はコクピットにあるレーダーのディスプレイを見るとUNKNOWN (不明)と書かれているマーカーがあった。

 

「何なんだアレは……」

 

そこには周りの中で一番高いビルの上に1機の戦術機(MS)がいた。

しかし、ただの戦術機ではない。全身が蒼と金色のカラーをして両肩・両膝・胸部には家紋のマーキングが彫られている武者鎧で覆われており、普通ならば腰の部分にあるはずのジャンプユニットが2本の和刀『虎鉄丸』が装着されているのと頭部のメインカメラがスリットアイタイプではなくてツインアイになっている。

さらには右手に先ほどの赤い光線(ビーム)の正体である昇竜丸を握っていた。

 

『大丈夫ですか?教官』

 

「その声……まさか煌月?!」

 

UNKNOWN(武者ガンダムMK-2)から通信が入り、そのパイロットが自分の教え子の1人である大和だと真田は驚く。

 

『はい。唯依がいる場所に行く途中、教官が見えたので助けました』

 

「しかし煌月、お前は一体……」

 

『その話は後で。今は』

 

そう言うと、武者ガンダムMK-2(大和)は昇竜丸の砲撃で生き残ったBETAを見る。

 

『残りは自分が()りましょう。教官は此処にいてください』

 

「待て煌月!」

 

真田が大和を止めるが、それよりも早く武者ガンダムMK-2のスラスターの出力を上げて昇竜丸を右手から左手に持ち替えると、空いた右手で左腰の鞘に収まっている虎鉄丸を抜刀して交戦する。

 

「急いでいるんだ。初めから全力で行かせてもらうぞ!」

 

これから唯依達の身に起こることを知っている大和は急いでおり、そう独り言を言うとSEED(シード)を発現させる。そうすると、頭の中で植物の種子が砕け散るような感覚がして瞳のハイライトが消失する。

 

「(数は200……いや、300か)」

 

残りを数え終えると、戦いやすいように昇竜丸で先頭にいる突撃級を狙撃する。

そうすると昇竜丸はユニコーンガンダムの主武装『ビームマグナム』並みの威力があるので突撃級だけではなく、後ろにいた要撃級と周りにもいた突撃級・要撃級を巻き込んで撃ち倒された。

 

「(今ので30ぐらいは減ったかな?)」

 

そんなことを思いながらも続けて昇竜丸を5発ほど撃つ。そして、BETAと武者ガンダムMK-2との距離が近くなると、昇竜丸をバックパックのアームに接続させて右腰の虎鉄丸へとウエポンチェンジ(武器交換)する。

 

「(残り120!)」

 

そう言って次々と要撃級を2本の虎鉄丸で葬っていくが突如、武者ガンダムMK-2がビルへと吹き飛ばされた。

 

『あれは要塞級!』

 

真田の通信で武者ガンダムMK-2を吹き飛ばした正体が分かった。

おそらく、要塞級が持っている衝角で吹き飛ばされてビルに突っ込んだのであろう。そして、その衝角は砂煙で見えないが武者ガンダムMK-2に刺さったのではないか、と思った真田は大和に呼びかける。

 

『大丈夫か?!煌月!!』

 

「大丈夫ですよ、教官。流石にビックリしましたけどね」

 

『(し、白刃取(しらはど)り?!)』

 

返事が返ってきて砂煙が晴れると、武者ガンダムMK-2は強酸性溶解液を持っている要塞級の衝角を白刃取りで免れていた。

 

「切り落とす!」

 

そうすると、右腕の手甲クローを展開させて要塞級から衝角を切り落とす。

BETAにも痛覚があるのか要塞級は痛がり、その隙を突いて武者ガンダムMK-2は右足のスラスターを左足のスラスターよりも少しだけ出力を上げ、機体を左向きに回転させて回し蹴り『陽昇流誠壱式旋風脚』(ひのぼりりゅうまこといちせんぷうきゃく)をする。

その結果、要塞級の頭部に勢いよく入り込み、残りの要撃級を下敷きにしながら蹴り倒されて全滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、気づいた唯依は山吹色の瑞鶴から降りて和泉と上総を探しに行っていた。

しばらくして、ライト付き小型拳銃を頼りにしてホールの中へと進んで行くと兵士級によって襲われている和泉の姿があった。

 

「(兵士級!)」

 

ライトを消して手で叫ぶのを塞ぎながら後退すると、上総からインカムで通信が入る。

 

『篁…さん……』

 

「山城さん?何処にいるの?」

 

唯依は周囲を見てみると、そこには複数の戦車級によって破壊されていく上総の白い瑞鶴があった。

 

『篁さん、お願い……』

 

「山城さん?」

 

唯依は瑞鶴へと近づいて行き、戦車級によってコクピットブロックを引き出される瞬間を見る。

 

「山城さん!」

 

「篁さん……お願い…私を撃って……」

 

そう言われて唯依は上総に向けて拳銃を向けるが手が震える。それもそのはず、いくら仲間を救うとはいえ人を殺すのは簡単な覚悟では出来ない。

戦車級がそこまで来たとき、上総は唯依に向かって叫ぶ。

 

「撃ってよぉぉ!コイツらに喰われる前に!!唯依ぃぃぃぃぃ!!!」

 

「あ"あ"あ"あ"あ"ぁぁぁ!!」

 

唯依が拳銃の引き金を引こうとした時、2人のインカムに()()から通信が入る。

 

『待て!唯依!!』

 

「「……え?」」

 

その声が聞こえるのと同時に唯依と上総の周りにいた戦車級が散弾によって倒される。そうすると、爆風によって唯依は近くにあった遮蔽物に頭を打ち、上総はコクピットから放り出されて地面で気絶していた。

唯依は視界がぼやける中で上空から飛来して来た機体を見る。

 

「ガン…ダム……」

 

咄嗟に唯依は呟く。そこには蒼と金色のカラーをした武者鎧で覆われているガンダム『武者ガンダムMK-2』がいた。それを最後に唯依は気を失ってしまった。

場所は変わり、大和は自分の搭乗機である武者ガンダムMK-2に感謝していた。

 

「ありがとう、武者ガンダムMK-2。おかげで唯依と上総を救うことが出来た」

 

大和は残っていたBETAを全滅させた後、不知火・壱型丙から散弾を装填された36mmライフル銃を拝借して此処まで来たのであった。

 

「さて、後は……」

 

地面に着地すると、残った戦車級が群がって来る。それに対して武者ガンダムMK-2(大和)は36mmライフル銃と薙刀『閃光丸』で全ての戦車級を(ほうむ)った。

 

「やっぱり、この姿で集積所まで行くのは難しいかな?……」

 

戦車級を殲滅させた後、大和は上総を武者ガンダムMK-2のコクピットへと運んだ後に今度は唯依を運ぶ為に今後のことを考えながら走っていた。

 

「まぁ、遅かれ速かれ帝国軍と話すことは決まっているんだし良いか」

 

そう結論を出すと、怪我をしているかもしれないので唯依を背負う。そうすると……

 

「(柔らかい……)」

 

強化装備服ごしとはいえ、唯依の胸部が大和の背中に当たり、その感触が刺激する。

 

「(この状況で唯依が目を覚ましたら、絶対に殴られそうだな……)」

 

そんなことを思いながらもコクピットへと連れて行き、大和はハッチを閉めて集積所に向かったのであった。

 

 

 

 

 

 

 




前々から思っていたのですが、MAと鉄血のMSを登場さようかな?と、悩んでいるのですがどうでしょうか?


次回からは帝都燃ゆ編とユーコン基地編の間のストーリーとなります。オリジナルストーリーとなるので、少々時間がかかりますがよろしくお願いします!


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第9話 異世界人

3月18日にガンダムSEEDに登場するガンダム:プロヴィデンスのMGが発売されますね。読者の皆さんはどうしますか?自分はSEED/SEED DESTINYのガンダムが好きなので購入しようと思っています!



ー京都 集積所医療エリアー

 

京都防衛戦から数日が経過したその日、上総は脚を思ったより悪く骨折していた為に今もベッドからは降りられない状態だが、幸いにも唯依は頭を打ったのと右脚にヒビが入っていた程度でリハビリをしていた時のことだった。

 

「あれは……おじ様?」

 

リハビリの為に集積所の周りを歩いて、テントに戻ろうとした時に何台かの黒い車と護衛であろうスーツを着た男性達とその真ん中には唯依が良く知っている人物『厳谷 榮二』がいた。

厳谷も唯依がいるのに気付いたのか、唯依の方に向かって歩いて来る。

 

「やぁ、唯依ちゃん。怪我の具合は大丈夫かい?」

 

「あ、はい。数日後には退院できるそうですが……中佐であるおじ様がこんな所でどうかしたのですか?」

 

そんな疑問を問う唯依に厳谷は少し真剣な表情で唯依に問う。

 

「その前に唯依ちゃん。煌月 大和少尉のことを知っているかい?」

 

「同じ隊だったので知っていますが途中で別行動になったので今、何処で何をしているのかは分からないですけど………大tじゃなくて煌月少尉がどうかしたのですか?おじ様」

 

やはりか……、といった表情で厳谷は唯依の問いに答えた。

 

「さっきの質問だが、今日は煌月 大和少尉のことを知っている人物から彼の情報を聞き出すのと彼と最も親しい人物、つまり唯依ちゃん。君を迎えに来たのだよ」

 

「わ、私をですか?」

 

厳谷はその問いに頭を縦に振る。

 

「此処ではなんだから場所を変えよう。詳しいことは(大和)がいる所で話すよ」

 

そう言うと、厳谷は来た黒い車へと向かう。その後を追いかけて唯依も続く。そして、続けて唯依が厳谷に問う。

 

「あの、おじ様。斯衛軍の少尉とは言え、どうして中佐であるおじ様が近衛軍の新人衛士を調べているのですか?」

 

そう。中佐と言う階級にある厳谷ならば部下に命じて1人の衛士ぐらい調べてさせることは簡単なはずだ。しかし、それは()()の衛士だった場合である。

 

「そのことなんだが唯依ちゃん。驚くことかもしれないが、良く聞くんだ」

 

「は、はい…」

 

「帝国の戸籍を調べてみたところ煌月 大和少尉いや、正確には煌月家と言う外様武家は()()()()()ことが分かったんだよ」

 

「……え?」

 

この時、唯依はその事実をただ単に驚愕するでしかなかったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー愛知県 名古屋基地ー

 

京都防衛戦から武者ガンダムMK-2で集積所になっていた京都駅に向かい、大和は唯依と上総を無事に引き渡したまでは良かったのだが、強化装備服ではなくてZAFTのパイロットスーツだったのと武者ガンダムMK-2の存在が思った通りに悪い状況となり、大和と武者ガンダムMK-2はその場で拘束されると設備が(そろ)っている名古屋基地へと輸送されたのであった。

そして現在、大和は京都防衛戦で不知火と武者ガンダムMK-2で数多くのBETAを迎撃した功績から牢屋入りは免れたが、扉の前には銃を持った兵士がいる監視カメラ付きの士官用部屋で()()()()と通信で話していた。

 

「……と言うわけなのですが、信じてくれますか?」

 

『信じるも何も、微妙に違うけど自分が提唱した論文の実証とこの世界の常識を覆えす程の技術データを見せられたら信じるしかないでしょ?』

 

「理解が速くて助かります。()()博士」

 

そう。現在、大和が通信で話しているのは自他共に認める天才で『因果律量子論』を提唱した人物にしてオルタネイティブⅣの最高責任者『香月夕呼』だ。

夕呼はどこから聞いたのか、京都防衛戦で戦っていた謎の戦術機『剣帝 武者ガンダムMK-2』とそのパイロット(大和)の存在を知り、数時間前に大和に接触して来たのだ。

 

『けどまぁ、いくら日本の為とはいえ、斯衛軍衛士養成学校のコンピューターにハッキングして潜入するとは無茶なことをするのねぇ〜。下手をすれば銃殺刑ぐらいはいくんじゃないかしら?』

 

「そうするしか無かったんですよ(と言うか女神様?学校へ行かせる為にコンピューターをハッキングしたのかよ?!)」

 

此処までに大和は転生ではなく異世界から来たという事と夕呼がおおいに興味を持ちそうなモビルスーツ(MS)の技術の一部、主にクシャトリヤのサイコミュ兵器『ファンネル』とシナンジュのシステム『インテンション・オートマチック』を公開した。それに対して夕呼は今の日本帝国の状況と人類にとって勝利の鍵『オルタネイティブⅣ』の一部の情報。そして、それを良しとしない某国がいるということを教えてくれた。

そこで大和は夕呼にある提案をする。

 

「それよりも夕呼博士。自分と取引しませんか?」

 

『奇遇ね。私も同じことを考えていたわ』

 

大和は今までの状況を整理しながら夕呼に取引を掛ける。

 

「まず、異世界から来たと言っても同じ日本人です。ですから、自分の目的は地球からBETAを殲滅するということなのですが、これは夕呼博士も同じですよね?」

 

『肯定よ。それが私達の生き残る手段だもの』

 

「そして、その生き残る手段『オルタネイティブⅣ』を完遂させる為にはモビルスーツ(MS)の技術と妨害して来るであろう某国から守る兵士が必要不可欠だと」

 

『そう言うことになるわね。技術を提供する変わりに煌月は帝国での国籍と近衛軍に復帰って所かしら?』

 

そう夕呼が大和に問いかける。

 

「それはそうなのですが、今は他の人に自分が異世界から来たということを信じてもらえる説明をして欲しいのと()()()と面会する為の仲介役になって欲しいのです」

 

『説明するのは良いけれど、一体だれと会いたいの?』

 

夕呼がそう聞き、大和は日本で一番偉い人の名を言う。

 

「この国のトップ、政威大将軍『煌武院悠陽』殿下です」

 

『……ソレ、絶対なの?』

 

「はい。殿下と会えれば、もしかしたら世界中にあるハイヴを攻略することが出来るぐらいの戦力が手に入るかもしれません」

 

『…はぁ、分かったわ。やってあげる』

 

「と言うことは……」

 

『ええ。交渉成立よ』

 

夕呼がそう言ったタイミングで大和がいる部屋の扉が開く。

 

「どうやら、お邪魔のようだったかな?」

 

「え?……」

 

突然、その声がした方向を向いてみると、そこには厳谷と京都にいるはずの唯依がいた。そして、唯依は若干(じゃっかん)右足を引きずるようなかたちで大和の目の前まで来ると、不安そうな声で問う。

 

「……ねぇ、大和君。あなたは一体、何者なの?」

 

「その質問をするということは、煌月家と言う外様武家が存在しない事実まで分かったんだね」

 

そう言われると、唯依は頭を縦に振る。

 

「そうか……。なら、名乗るとしようか」

 

そうすると、大和は深く深呼吸をして真剣な表情になる。

 

「改めて名乗ろう。自分は斯衛軍所属 煌月大和少尉。そして、それと同時にこの世界とは違う世界からやって来たいわゆる異世界人だ」

 

「え?……」

 

この時、唯依は夕呼から説明を受けるまで絶句しているしかなかったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

ー無人島 地下格納庫ー

 

海を渡って日本に上陸したBETA によって島は地下格納庫への入り口を除いて焼け野原になっていた。そして、地下格納庫に収納されているガルダの内部で異変が起きた。

突然、ガルダのモビルスーツ(MS)デッキに1機の機体が空間を超えてクシャトリヤとヤクト・ドーガの前に舞い降りる。その機体はコクピットハッチを開けると、人では無くて変わりに1枚の紙が重力によって床に落ちた。そして、その紙には英語でこう書かれてあった。

 

『Present in purplerose and space a base.

By goddess』

 

 

 

 




次回予告

通信兵「BETAが再び侵攻を開始しました!」

唯依「篁 唯依、出撃()きます!」

再び侵攻を開始したBETA。それに立ち向かうのは新たなる機体。その機体の名は……

第10話 再来



どうでしょうか?少しアニメの次回予告を真似てみました。


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第10話 再来

読者の皆様、大変長らくお待たせいたしました!試験や用事などが続いていたので更新が遅れてしまいました。
では、再開して行きたいと思いますのでよろしくお願いします!


ー無人島 地下格納庫入り口付近ー

 

大和と夕呼、ならびに唯依と厳谷の面談から3日後、大和が異世界人という事を一通り説明するとその証拠である武者ガンダムMK-2とその他のMSを見して欲しいとの事で大和・唯依・厳谷と護衛の為に1個小隊の衛士達と複数の技術スタッフが同行して来た。

 

「そう言えば、夕呼博士はどうしたのですか?」

 

そして現在、最早BETAによって更地となった無人島に揚陸艇で上陸して地下格納庫へと繋がる入り口に向かっている最中、大和が夕呼がいないことを問う。

 

「博士はオルタネイティブⅣ関連で何かすることがあるからっと言って此処にはいない」

 

大和の後ろから付いて来る厳谷が回答すると同時に大和の脚が止まる。

 

「此処なの?」

 

唯依が頭を傾げ、大和に聞く。だが、そこにあるのはただの地面と割れた岩があるだけだった。

 

「まぁ、ちょっと見ててよ」

 

そう言うと、割れた岩の方へ歩いて行き、岩の表面の一部を押し込む。

 

『ギギギィ……』

 

そうすると、ひどく軋むような音が聞こえるものの地下へと続く螺旋階段が現れた。

 

「では行きましょうか」

 

「(この下にあの戦術機(ガンダム)と同性能の機体が……)」

 

唯依は武者ガンダムMK-2をフラッシュバックし、大和が掛け声をすると、大和以外の全員が緊張した表情で螺旋階段を降りる。

長い螺旋階段を降りると、いかにも厳重そうな扉が中のモノを守護するかのように構えていた。

 

「それでは心の準備はいいですか?」

 

『コクリ』

 

全員が頭を縦に振るのを見届けると、大和は扉の横にある開閉端末にカードをスライドする。

 

【CLOSE】→【OPEN】

 

『カッ!』

 

重い扉が開くと同時に天井に設置してある照明灯が光を放つ。

 

『おおぉ……』

 

そこにあるのは灰色の輸送機『超大型輸送機 ガルダ』が繋留ロープに繋がれながら停泊していた。

 

「まだ、驚くには早いですよ」

 

そんなことを言いながら、ガルダへと続く連絡橋を渡り、連れてきた人達をガルダ内へ案内する。

 

「結構広いんだね」

 

「それはまぁ、超大型輸送機だから」

 

「何もかも常識外れということね」

 

「じゃあ、もっと常識外れのモノを見してあげよう」

 

「え?///ちょっと、待っt///」

 

通路を歩きながら大和と唯依が会話していると、大和は唯依の手を握り、目の前にある扉の中へと連れ込む。

 

「ふむ。これが青春というやつか?」

 

「中佐、それは少し違うと思うのですが……」

 

そう言いながらも厳谷達も2人に続いて扉を潜る。そして、そこにあったのは紛れもなく常識外れのモノだった。

 

「では皆さん。コレが自分が異世界から来た証拠である機体『モビルスーツ』です」

 

そう言うと、背後を向きMSがある第2格納庫へと招く。因みに唯依の手を握りながら。

 

「……スゴイ」

 

唯依が呟くと、同時に厳谷達は左右にあるMSに唖然としながら見ていた。

はじめにいたのはUC計画の下、ユニコーンガンダムの随伴機として開発された上位種のジェガン『RGM-96X ジェスタ』×12機

次に緑・金と赤・銀でカラーリングが違い、胸部と手首には『袖付き』特有のエングレービング調の装飾に変更された『MSN-03 ヤクト・ドーガ』×2機

その隣には緑色のカラーリングで4枚の大きな羽根が特徴のMS『NZ-666 クシャトリヤ』

そして、その正面には装甲が薔薇のように組み立てられ、左腕に盾を装備して全身が紫色に塗装されたMS『YAMS-132 ローゼン・ズール』の合計16機のMSが収納されていた。

 

「(あれ?ローゼン・ズールなんていたっけ?)」

 

唯依を筆頭に全員がMSに釘づけになっている間、前回に来た時と比べて違うような気がしたので追加されたと思われるローゼン・ズールの前に行くと、足元に英語で書かれた1枚の手紙が落ちてあった。

 

「(なるほど、あの女神の仕業か。purplerose(ローゼン・ズール)space a base(宇宙基地)……ね)」

 

その手紙を読むと、ひとまず皆んなの元へ行き後々のことを話す。

 

「中佐、いかがでしょうか?」

 

「少尉、コレらの機体があのガンダムと同性能というのか」

 

「いえ、コレらの機体はガンダムよりかは多少劣りますが、ワンオフ機やエース機といった機体ばかりで戦術機と比べると数倍の性能を発揮します」

 

「そうか……」

 

そう言うと、厳谷は真剣な表情をして大和へと対面する。

 

「煌月大和少尉、現時刻を持って貴官の原隊復帰とMSの功績により中尉への昇進を命ずる」

 

「は。了解しました」

 

 

 

 

 

 

 

 

ー数時間後 ガルダ内客室ー

 

厳谷と技術スタッフ達は技術屋の血が騒いだのか、その後もMSに没頭していて、大和と唯依の2人はガルダ内の客室で休憩していた。

 

「昇進おめでとう、大和君」

 

「ありがとう。でも、まさか原隊復帰だけでなくて中尉に昇進までとは驚いたけどね」

 

「それだけMSの存在が衝撃的だったんじゃないのかな」

 

「それもそうなのかな?」

 

そう会話をしていると、丸い形をしたオレンジ色のロボット『ハロ』が何処からか入ってきた。

 

「ヤマト、デキタ!ヤマト、デキタ!」

 

「!そうか、完成したんだね」

 

「や、大和君それ何?」

 

突然のことで唯依は大和にハロのことを聞く。

 

「コレ?コレは独立型マルチAIロボット『ハロ』だよ」

 

「ヨロシクネ!ヨロシクネ!」

 

カバーをパタパタさせながら唯依に挨拶をする。そして、状況の収集が着くと唯依が思い出したかのように言った。

 

「完成したって言っていたけれど、何か完成したの?」

 

「そうだね、説明するよりも見に行った方が早いかな。ハロ、案内を頼めるか?」

 

「リョウカイ!リョウカイ!」

 

そう言うと、ハロは転がりながら部屋を出る。

 

「行こう」

 

「///う、うん///」

 

大和は頰を赤らめた唯依の手を握り、ハロの後を追う。そして、第3格納庫に到着する。

 

「ここ?」

 

「うん。ハロ、やってくれ!」

 

「リョウカイ!リョウカイ!」

そんな大和とハロがやり取りをすると、目の前にあるロープで繋がれた布が解除される。そこに現れたのは……

 

「赤い…MS?」

 

「そう。機体名はシナn『コンディションレッド発令!衛士全員はブリーフィングルームに集合して下さい!繰り返します、衛士……』

 

この瞬間、つかの間の休息が終わり再び戦場と言う地獄へと行かなければならかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー数十分後 発艦デッキー

 

「コレがMS……」

 

「ユイ、ダイジョウブ?ユイ、ダイジョウブ?」

 

横の端末にいる緑ハロがパタパタとさせながら唯依を心配する。

 

「大丈夫、基本的には同じだから」

 

そう言うと、唯依は操縦桿を握ると同時に出撃の合図がでる。

 

「クシャトリヤ、篁 唯依、出撃()きます!」

 

『グポーン』

 

唯依がそう言うのと同時にクシャトリヤのモノアイが光り、4枚の羽根を広げながら戦場へと飛翔する。

 




MSの募集アンケートを実施しているのでよろしくお願いします!


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第11話 世界が変わる瞬間

シナリオを書いていたら、ちょっと長く感じてしまったので前編と後編に分けました。
次回からは戦闘になるのでしばらくお待ちください!


ー数十分前 ブリーフィングルーム内ー

 

そこには厳谷を始めとした大和と唯依、護衛の1個小隊の衛士達がいた。

 

「諸君、もう聞いているとは思うが先程、本州の名古屋基地から緊急通信が入り、BETAが再び侵攻を開始したそうだ」

 

『!!!』

 

「そして、コレが今の状況だ」

 

そうすると、部屋の真正面にあるモニターに地図、BETAと日本帝国軍・国連軍・米軍の相対グラフが映し出される。

 

「現在、侵攻して来たBETAと第1次防衛線の京都にいる戦術機と交戦中。だが、突破されるのも時間の問題だろうな」

 

京都の地図に映っていたのは絶望的で、7割がBETAを示す赤のマーカーで埋め尽くされており、残りの3割の青いマーカーである日本帝国軍・国連軍・米軍が必死になって抵抗していた。

 

「そこで我々は、第2防衛線である名古屋に帰還ならびに防衛線へ参戦してもらう。以上が今後の作戦行動だ。誰か質問などはないか?」

 

普通ならば質問などをする衛士はいなく、直ちに作戦行動に移るのだが、それは()()の場合であった時だ。

 

「中佐、作戦内容の変更と意見具申をします」

 

「や、大和君?!」

 

ところが大和は真っ直ぐに手を上げ、その隣に座っている唯依が声を上げ、1個小隊の衛士達が「な、何を……」と言いたそうな感じで見ていた。それを見た厳谷が面白そうな眼差しで大和に言う。

 

「許可しよう、中尉。貴官の意見を聞かせてくれ」

 

「はい」

 

今後は厳谷に変わり大和が唯依達の前に立ち、モニターに大和が考えた作戦計画(プラン)を出す。

 

「まず、外にある物資をガルダに収容後、当格納庫を破棄。そして、MSによる奇襲作戦と光線級吶喊(レーザーヤークト)を行います」

 

『!!!』

 

作戦内容を聞き、此処にいる全員が驚愕する。そして、厳谷が大和に問う。

 

「しかし、中尉。良いのか?この格納庫に捨てても?」

 

「構いません。元々は隠れ家のようなモノだったのですが、この有り様ではもう無理だと思うので」

 

そうキッパリと言って、作戦内容の説明を再開する。

 

「まず、作戦を3段階に分けます。

First phase(第1段階)

ガルダで京都にいるBETA後方の上空に向かい、戦闘中域上空付近でMS隊を出撃

 

Second phase(第2段階)

MS隊は降下後、直ちにBETAの殲滅と光線級吶喊(レーザーヤークト)を最優先事項で状況開始。なお、ガルダは後方支援に周ってもらいます。

 

Third phase(第3段階)

MS隊による光線級吶喊(レーザーヤークト)終了後、国連軍による爆撃機でBETAを掃討。後は残存するBETAを殲滅して作戦終了、といった作戦計画(プラン)なのですが、いかがでしょうか?中佐」

 

作戦内容を説明し終わると、大和は厳谷の方へと顔を向ける。

 

「確かに、中尉の立案した作戦の方がより効果的だろう。しかし、その作戦を実行するには……」

 

「はい。この作戦を実行する為には爆撃の許可と()()()()()()()()()()M()S()()()()()()ことが前提となっています」

 

そう。この作戦を実行するには戦術機よりも数倍の性能を持つMSを衛士達はぶっつけ本番で自由自在に操らなければならないのだ。

 

「私はこの作戦に賛成です」

 

その一言で沈黙を破ったのは今まで1番、真剣な眼差しをした唯依だった。

 

「煌月中尉、MSと戦術機の相対グラフを映して貰えませんか?」

 

「え?あ、はい」

 

いきなりのことで唯依に驚いた大和は素直に指示を聞く。そして、そこに映し出されたのは全てのガンダムの原点である機体と瑞鶴の設計データがモニターに出された。

 

RX-78

GUNDAM

 

F-4J

ZUIKAKU

 

「……スゴイ」

 

その相対グラフを見て誰かが呟くと、皆は同意するかのように頭を縦に振る。

 

「見ての通り、ガンダム(MS)瑞鶴(戦術機)の約3倍以上の性能を持つ機体です。ですが、このような機体が私達の手の届くところにあるというのに今使わずしていつ使うんですか?!」

 

「私も同意見ですわ」

 

その時、唯依の意見を後押しするかの様に意外な人物がブリーフィングルームに入って来る。

 

「あ、上総!どうして此処に?!」

 

「あら、私も一応煌月君の()()()でしてよ?」

 

「あ……」

 

どうやら上総も唯依と同じく大和と関わりがある人物として招集されたらしい。そして、今までのことを見ていた厳谷が動きだす。

 

「さて、あまりブリーフィングに時間を掛けるのも終わりとして、中尉の立案した作戦に反対する者はいるか?」

 

そう問いかけると、誰も意を唱える人はいなかった。

 

「よし、物資の搬入が終わり次第これより作戦を開始する!」

 

『了解!』

 

この瞬間、1人の異世界人によって世界が変わろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー宇宙基地 格納庫エリアー

 

そのエリアには連邦軍の量産MS ジムスナイパーⅡやジェガンA2型、ジオン軍のMS イフリートシュナイドやゾゴッグが数多く収納されており、中にはエース機であるスタークジェガンなどがあった。

その先には先程の格納庫区画とは違い、そこに()()M()S()が剛鉄のような格納庫ではなく、水面に浮かぶ建造物の中で静かに乗り手を待つかのように収納されていた。そして、その建造物へと続く橋には文章が書かれていたがすぐさまに消えた。

 

『??ガンダム、此処に乗り手を待つ』




ヘルエリオンさんのガンダムとyockさんのジェガン(エコーズ仕様)、かいざーおーさんのスタークジェガンを最後の方ですが登場さしてみました。
ご意見、ありがとうございます!




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第12話 赤い彗星

ー上空15000mー

 

現在、ガルダは格納庫を破棄してから本州の京都に向けて飛んでいる。そんな時、ガルダ内の廊下を歩く上総がいた。

 

「まったく、いつまで掛かっているのかしら?」

 

そう言った上総はある場所へと向かう。

実はと言うと、唯依は上総や護衛の小隊の少尉達とは違い、山吹色の衛士強化装備を持ってきておらず、代わりに物資の中にあったパイロットスーツ(マリーダver)を着ている筈なのだが、あまりにも遅いので上総は唯依がいる部屋へと向かっている途中なのであった。

 

「唯依、入りますわよ?!」

 

『………』

 

上総がノックしながら言うも返事がない。致し方がないと思ったのか、上総が部屋に入いろうとしたとき……

 

『ちょ、大和君。く、苦しい』

 

『ちょっと待って。コレをこうしたら……』

 

『きゃぁ!大和君、どこに触ってるの!!』

 

「(はぁ……まったく、ラブコメですか)」

 

「はいはい。2人共、そこまでですわ」

 

上総は部屋に入り、パンパンっと手を叩いて2人の仲裁に入る。

その後、上総の助力を得てパイロットスーツのサイズの調整が出来たのであった。因みにこの時、唯依と上総の胸部では唯依の方が勝っていたことを知った大和は自分の胸の中にしまっておくのだった。

 

「(コレ、本人達に言ったら絶対殺されるパターンだよな?……)」

 

〜数分後〜

 

場所は変わり、MSデッキがある第3格納庫では整備兵が慌ただしくなって、慣れないベースジャバー(SFS)のシステムチェックをしていた。

衛士(パイロット)である唯依達は固定アームに接続されているクシャトリヤやジェスタを眺めている。そんなところに唯依と同じく軍服から()()()()の服装へと着替えた大和が来た。

 

「では諸君。少し集まってくれるかな」

 

「や、大和君。その格好……」

 

「ん?ああ。コレが()にとってのパイロットスーツみたいなものだから気にしないでくれたまえ」

 

そう言い、大和は6人にこれからのMSによる戦術について説明する。そんな中、上総が唯依に話しかけた。

 

「彼、本当に煌月君ですわよね?」

 

「た、たぶんそうだと思うけど……」

 

2人の目の前にいる大和は一言で言うなら圧倒的な威圧感を放っていた。大和の格好は茶色のブーツに白いズボンと金色の刺繍が入った赤い軍服を着ており、その顔には赤い瞳をした白い仮面を付けていた。そう、フル・フロンタルの格好である。

 

「「(別人みたい……)」」

 

2人は揃ってそう思い、耳を説明に戻すと大和(フル・フロンタルver)が各衛士が搭乗する機体を発表していたところだった。

 

「まず、護衛の少尉達にはベースジャバーに乗ったジェスタを。山城少尉にはローゼン・ズール、篁少尉にはクシャトリヤを担当してもらいたい。なお、クシャトリヤにはサポートとしてハロを付かせる」

 

『ヨロシクネ!ヨロシクネ!』

 

そう大和の足元でピョンピョンと跳ねる。そんなところに護衛の少尉の1人が手をあげた。

 

「中尉、1つ質問をしていいですか?」

 

「許可しよう」

 

「ありがとうございます。では、機体の選択された理由をお聞きしてもいいでしょうか?」

 

「ふむ、理由か。あえて言うなら経験だ」

 

経験?っと全員が頭を傾げる。

 

「私・篁少尉・山城少尉はMSに乗った経験がある。それに対して小隊の君達にはMSには乗ったことがないものの、私達とは違い連携のとれた行動が出来る」

 

「つまり……」

 

「そう。連携重視に君達をジェスタへ。私達は経験を生かしてローゼン・ズールやクシャトリヤにしたわけだ。他に質問等がある者はいないかな?」

 

そう聞かれると、誰も意を唱える者はいなかった。

 

「では、()こうか」

 

『カチッ!』

 

そう言うと、いつの間にか手に持ったスイッチを押して、格納庫の奥にある布で隠された機体がボディカラーである()を輝やせながらその姿をさらす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー現在ー

 

日本帝国軍・国連軍・米軍の戦術機は現在、再び侵攻して来たBETAを食い止めるために防衛線を張り、迎撃しているものの数に押されて劣勢になっていた。

その状況を最前線となった滋賀県の甲賀基地が見ている。

 

「くっ!これでは京都の二の舞だぞ!!」

 

『PPPPP!』

 

「どうした?!」

 

状況が良くないなかでアラームが鳴る。そして、観測員が報告した。

 

「高熱源体で移動する物体あり。数は6、いや7」

 

「ミサイルか?!」

 

「いえ、この動きは戦術機のようですが……」

 

その時、ソレは羽根のようなバックパックを展開させて、さらに加速する。それをモニターで見ていた観測員が驚愕した。

 

「あ、ありえない!先行する機体は後続機の3倍の速度で接近中!!」

 

戦場は変わり、BETA後方の戦域ではその正体であるシナンジュが先行していた。

 

「さぁ、見せてもらおうか。光線(レーザー)級の脅威とやらを」

 

そう言うと、要塞(フォート)級群を追い越して目標を光線級と重光線級に絞り、グレネード装備ビーム・ライフルの銃口を合わせて引き鉄を引く。

 

『!!!』

 

後方からのビームによって数体の光線級が駆逐され、光線級達は標的を先の方にいる戦術機からシナンジュに変更する。しかし……

 

「レーザーが強力であろうと、当たらなければどうということはない!」

 

四方八方からレーザーが矢のように飛んでくるも、圧倒的な機動力を持つシナンジュの前には無意味のようだった。

その後方では厳谷達がガルダの外部カメラでその様子を見ていた。

 

「まるで白い彗星だ」

 

「白い彗星?」

 

副機長席に座っている兵士がそう呟き、レーダー席に座っていた兵士がその単語に頭を傾げる。

 

「約半年前、ソ連にBETAが侵攻して来た時のことだ。状況は最悪で、味方機も少なく、退路も絶たれ、全滅まじかになろうとした時にソレが現れたそうだ」

 

2人の会話に機長席に座っている厳谷も参加し、モニター画面を見ながらそう言った。

その画面には必死になってレーザーを撃つ光線級がいるものの、そのレーザーをシナンジュは縦ロールで回避し、反撃にグレネード装備ビーム・ライフルで確実に光線級を殱滅していく。

 

「聞いたことがあります。たった1機で数万のBETAを全滅さしたとか」

 

「その機体は彗星のごとく、圧倒的なスピードで攻撃をかわし、脅威的なその武器でBETAを倒していくことから『白い彗星』と呼ばれるようになったそうだ」

 

「じゃあ、その機体は今はどこへ?」

 

「なに、答えは簡単なことだ」

 

そう言った厳谷は光線級を全滅させたシナンジュを指す。

そのシナンジュは武器をグレネード装備ビーム・ライフルを後ろ腰にマウントして、左腕から赤いビームサーベルの柄を取り出してビーム刃を展開させる。そして、最後に残った重光線級群の相手をする。

 

「まさか、あの機体が?!」

 

「ですが、色が違うのでは……」

 

「本人曰く、改修したんだそうだ」

 

話している間にもシナンジュは重光線級の懐に入り、ビームサーベルで斬っていく。

 

「赤い彗星……」

 

「ん?」

 

レーダー席に座っている兵士がぽつりと呟き、厳谷がそれに反応する。

 

「いや、白から赤に変わったから赤い彗星だと思いまして」

 

「……ああ、そうだな。(…赤い彗星、か)」

 

心の中でそう言い、画面のシナンジュを見ていた厳谷達であった。

戦場は再び変わり、シナンジュ(大和)の後方で戦い方を見ていたクシャトリヤ(唯依)ローゼン・ズール(上総)はそのスケールの違いに驚いていた。

 

「(すごい。パイロットスーツや衛士強化装備も着ないであんな空中機動が出来るなんて……)」

 

『コウホウ、チュウイ!コウホウ、チュウイ!』

 

そんなことを思いながら見ていた唯依は突然、ハロの警告に気を取り直して、その方向に顔を向ける。

 

要撃(グラップラー)級ですわ!』

 

その隣では上総が一足早く確認していた。おそらく、光線(レーザー)級の救援で戻って来たのであろう要撃級が向かって来た。

 

『どうします?唯依』

 

「決まっている。BETAは(たお)すだけよ!」

 

『ですわよね!』

 

そう言い、2人は自分達の戦場へと向かう。




次回は唯依(クシャトリヤ)をメインにして終わらせようと思うので、どうかしばらくお待ちください!

シナンジュの戦い方はガンダムUC episode2を元に自分なりに表現してみました。


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第13話 防人たちの戦い

かいざーおーさんが考えてくれたタイトルを13話のタイトルにしてみました。
かいざーおーさん、ありがとうございます!


「(すごい、瑞鶴とぜんぜん感覚が違う)」

 

クシャトリヤの操縦に多少、手間取っているもハロのサポートによって機体を上手く安定させることができていて、前の機体である瑞鶴とクシャトリヤとのマシンポテンシャル(性能)の差に驚いていた。

 

『テキ、セッキン!テキ、セッキン!』

 

「!」

 

唯依達の前に現れたのは重光線級の救援として来た要撃(グラップラー)級群だった。

 

「ここから先は行かせない!(私の後ろには大和君がいるんだから!)」

 

少し後ろを見ると、そこには彗星のごとくビームサーベルで重光線級を殱滅していくシナンジュが見えた。

 

「ファンネル!」

 

『ファンネルテンカイ!ファンネルテンカイ!』

 

そうすると、クシャトリヤの4枚ある大型サイドバインダーの前、2枚に収納されている合計12機のファンネルが要撃級に牙を向く。

ハロによって操作された12機のファンネルは先頭の要撃級群に狙いを定めてビームを放ち、12体の要撃級を瞬殺する。その後も次々とファンネルは1体1体確実に仕留めていき、全体の3割を倒したところで戻ってくる。

 

「これがMSの力……」

 

『PPPPP!』

 

『コウホウチュウイ!コウホウチュウイ!』

 

ハロの警告とアラートが鳴り、後ろを見ると十数体の光線級が戻ってきて、レーザーを撃ってきた。

 

「ハロ、ファンネルを全部だして!」

 

『リョウカイ!リョウカイ!』

 

唯依の指示通り、ハロは4枚の大型サイドバインダーから合計24機のファンネルを射出する。そして、24機のファンネルを前の要撃級に、クシャトリヤ本体は後ろの光線級の迎撃に当たった。

 

「(あの時は逃げるだけしか出来なかったけど、クシャトリヤなら!)」

 

レーザーの直撃を避ける為に光線級群へとクシャトリヤの莫大な推進力で真っ直ぐと向かう。光線級も反射的にクシャトリヤを撃墜しようとするが……

 

『Iフィールド、テンカイ!Iフィールド、テンカイ!』

 

対ビームバリア発生装置であるIフィールドによってレーザーが無効化される。

 

「この距離なら!」

 

間合いが取れたところで唯依はクシャトリヤの右腕に内蔵された緑色のビームサーベルを取り出してビーム刃を展開する。

 

「やああああ!」

 

そしてファンネル戦術から近接戦闘に移行し、クシャトリヤ(唯依)はビームサーベルで次々と切り倒していった。

『PPPPP!』

 

「ッ!」

 

しかし、残っている光線級もレーザーをクシャトリヤに向けて反撃する。だが、その程度で負けるようなクシャトリヤではない。

 

「これで!」

 

そうすると唯依は胸部とサイドバインダーに装備されているメガ粒子砲を拡散状態で一斉発射する。その結果、地形ごと光線級を焼き払い全滅させるのと同時に24機のファンネルも戻ってきた。

 

「はぁ……はぁ……」

 

『ユイ、ダイジョウブ?ユイ、ダイジョウブ?』

 

ハロが唯依の心配をする。

 

「大丈夫。ありがと、ハロ」

 

体制を戻すと、別の場所で戦っていたローゼン・ズール(上総)が隣に並ぶ。

 

『そっちも何とかなったようですわね、唯依』

 

「ハロとクシャトリヤのおかげでね。そっちは?」

 

『こっちもこの機体(ローゼン・ズール)のおかげで何とかなりましたわ。後は……』

 

前方を向くと、残存する要撃級が合流してこちらを囲むように迫ってくる。それを見たクシャトリヤとローゼン・ズールは背中合わせで対峙する。

 

『ざっと500弱といったところですわね』

 

「それでも負ける気がしない」

 

『奇遇ですわね。私もでしてよ』

 

そのような会話が終わると、2機は500弱の要撃級と交戦状態に入る。

 

「行くよ、上総!」

 

『了解でしてよ!』

 

接触したのと同時に上総は撹乱するために機体を上昇させて攻撃範囲を広げる。そして、左腕に装備されたIフィールドと3連装メガ粒子砲が内蔵されたシールドを拡散させた状態で撃つ。

 

「これでもくらいなさい!」

 

そうすることで、外縁部にいた要撃級はビームによって一掃されて残るのは中心部にいる要撃級のみとなったが、それでも全体の8割は残っている。

 

「次はコレでしてよ!」

 

次に機体を降下させながら両腕のインコムを射出する。両腕のインコムは宇宙ではないために方向転換することは出来ないが、本体とインコムを繋ぐ長いケーブルを利用して先頭の要撃級に3基の大型クローを直接、突き刺す。

 

「それだけで終わりではありませんでしてよ?」

 

からの、突き刺したインコムに内蔵されている3連装メガ粒子砲を放ち、突き刺さった要撃級を貫通して後ろの別の要撃級までも倒した。

一方、唯依の方でもクシャトリヤを巧みに操縦して要撃級群と交戦していた。

 

「ファンネル!」

 

再び4枚の大型サイドバインダーから24機のファンネルを射出し、右腕のビームサーベルを展開する。そして、先程の戦法と同じくファンネル達が要撃級群を殱滅し、うまく退けたとしてもクシャトリヤ本体によってビームサーベルと胸部に4基あるメガ粒子砲によって倒される。

 

『ピカッ!』

 

「あれは……」

 

唯依は戦っている途中、後ろの方でビーム・ライフルの下部に装備されたグレネードから撤退の信号弾を撃ったシナンジュが見えた。そして、オープンチャンネルで上空にいるシナンジュからの回線が繋ぐ。

 

『戦闘中域にいる全戦術機に告げる。光線級吶喊(レーザーヤークト)が終了し、まもなくすると国連軍の爆撃機による空爆が始まるだろう。生き残った者は直ちに滋賀県の甲賀基地まで後退せよ。繰り返す、甲賀基地まで後退せよ』

 

そう大和からの広域通信が入った。

その後、すぐさまに生き残った兵士達は指示された場所まで後退し、国連軍の爆撃機によって残存のBETAは全滅させられた。そして、この戦いで『赤い彗星』の異名が広がったのと同時に日本初、BETAに勝利した日であったのだった。




次回からはユーコン基地編までの2年間のオリジナルストーリーとなりますので、どうぞお楽しみに!

結果発表
アンケートに答えて下さった読者の皆さん、ありがとうございます!下記にて登場するMSを載せましたので登場までどうかお楽しみに!!
(N-N-Nさんが答えてくれた武装は選抜したのちに登場させます!)

フルアーマーガンダム(サンダーボルトver)
ZZガンダム
バイアラン・カスタム
ジェガンA2型
スタークジェガン
ジムスナイパーⅡ
ガンダム試作1号機
ガンダム試作2号機
ガンダム試作3号機

シナンジュ
ドライセン
イフリートシュナイド





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第14話 宇宙へ

今話は宇宙基地でちょっとしたデート編になります!
お気付きの方はいらっしゃるの思いますが、イメージOPとEDを変更しました!


ー宇宙 ラグランジュ2付近ー

 

「これが…宇宙……」

 

初めて来た未知の領域に衛士強化装備服を着た唯依は武者ガンダムMK-2のコクピットから星の海(宇宙)を眺める。一方、その隣ではシートに座って操縦しているパイロットスーツ(ティターンズver)を着た大和はモニターに映し出されているモノを見ていた。

 

「(ここに一体、なにが……)」

 

そのモニターには大和と唯依が乗っている武者ガンダムMK-2をある場所へと導くように案内(ナビ)する地図が映しだされていた。

数日前、前回の近畿防衛戦の最中に発見した宇宙基地への地図を厳谷に見せたところ、中佐としての権限を使って正式な命令として『MSに関連する拠点の探索』という名目で階級が1つ上がった煌月大尉と篁中尉に向かわせてもらったのだ。そして、その2人を乗せたブースターをオプション装備として取り付けた武者ガンダムMK-2は地球を離れてから2日半が経過していた。

 

『ゼンポウチュウイ!ゼンポウチュウイ!』

 

「「!!」」

 

ハロの警告によって2人はすぐさまに前を向いて警戒する。センサーによって引っかかって現れたのは、まだかなりの距離があるはずなのだが、その巨大な構造物は遠く離れた武者ガンダムMK-2からでもソレの輪郭がはっきりと確認できた。

 

「なに…アレ……」

 

「おいおい、マジかよ……」

 

2人はあまりの大きさに驚愕して、ソレに目が離せなかった。

それはかつて、ジオン公国軍が本国防衛のために2つ建造した基地の1つで、一年戦争における連邦軍とジオン公国軍の最終決戦の舞台ともなった場所。その名を……

 

「宇宙基地、いや宇宙要塞 ア・バオア・クー」

 

そのア・バオア・クーのセンサー圏内に入ったのか、その巨大な宇宙要塞は武者ガンダムMK-2(主人)を持っていた。と言うかのように自動で誘導ビーコンを出して迎い入れる。

場所は変わり、ア・バオア・クー第24番ゲート()には武者ガンダムMK-2が入っていた。

 

「さて、どうしようか?」

 

「もちろん、行くに決まってる」

 

「だよね」

 

そう言うと、大和はコクピットハッチを開けて内部へと2人は進む。

 

「ちゃんと酸素はあるみたいだね」

 

「まぁ、ここは軍事機能の他に工場プラントや宇宙港・居住区もあるぐらいだから、当分は大丈夫だと思うよ」

 

どうやら唯依はパイロットスーツではなく山吹色の衛士強化装備服を着てきたので酸素の心配をしていたようだ。そんな会話をしながら進んで行くと、外部と内部を繋ぐ隔壁が閉じられていた。

 

「どうする?迂回する??」

 

「いや、こんな時には……」

 

そうすると、大和は持ってきたバックから端末を取り出して、ヘルメットに内蔵されているインカムで通信する。

 

「ハロ、聞こえるか?」

 

『ダイジョウブ!ダイジョウブ!』

 

「よし、やってくれ」

 

『リョウカイ!リョウカイ!』

 

インカムで武者ガンダムMK-2の安全と警戒をしているハロと通信し、コードで繋がれた端末を介してハロに隔壁のロックを解いてもらった。

 

【CLOSE】→【OPEN】

 

「(はてさて、なにが出るのやら……)」

 

「(この奥に日本を救うナニかが……)」

 

2人はそれぞれ胸に期待をさせながら開いた隔壁を進むと……

 

「「……ナニコレ??」」

 

大和と唯依の前には居住区があった。しかし、ガンダムUC episode2に登場するパラオの居住区のようなただの居住区ではない。一言で言うなら区画全体が和風といった感じになっていた。

道には桜の木や紅葉の木などの季節ごとの木が植えられており、その風景はBETAによって破壊されたかつての京都に似ていた。だが、重要なのはそこではない。

 

「や、大和君。アレ……」

 

「どうしたの?唯依なにかあっt……」

 

和風の居住区が広がっているなか、その全体の約60%の土地にはあまりにも()()()()()()()が建っていた。

 

「唯依、アレって……」

 

「間違いない、アレは白鷺城。又の真名()を姫路城」

 

そこには日本の国宝五城の1つに数えられている白亜の城『姫路城』が(そび)え建っていた。さらには本丸だけではなく、内曲輪までの建造物や門・石垣なども存在している。

 

「……行ってみよう」

 

「//う、うん//」

 

そう言うと、大和は唯依の手を()()()()で握りしめて歩いて行く。因みにこの時、唯依の頰が赤くなっていたことは大和は気付いていなかった。

 

「(それにしても、オリジナルのア・バオア・クーとは構造がかなり違っているな)」

 

姫路城へと続く砂利道を唯依の手を引きながら大和が周囲を見ていると、転生する前にガンダムの資料集で見たことのあるオリジナルのア・バオア・クーとマブラヴのア・バオア・クーを比較していた。

 

「(それに()()なんてモノはオリジナルには無かったはずだ)」

 

そう。本来のア・バオア・クーにはおおまかに司令部を初め、工廠・宇宙港・MS格納区・居住区の6つの区画しかなく、重力制御ブロックなどなかったはずだ。しかし、このア・バオア・クーには確認できるだけも重力と内曲輪を含めた姫路城がすっぽりと入る構造に変わっていた。

 

「(外見はア・バオア・クーでも、中身は全くの別物というわけか。ア・バオア・クーといい姫路城といい、女神なら何でもありなのかよ)」

 

「(時々、大和君って唐突にするんだから。でも、もう少しこのままがいいな……)」

 

分析している大和と手を繋いでいることに嬉しく感じている唯依は歩いて行くと、陸部と姫路城を繋ぐ橋『桜門橋』を渡ると大手門『桐二の門』を潜り抜け、菱の門を通り、本丸が見える場所まで来た。

 

「ここが姫路城……」

 

「…綺麗」

 

白亜の城と言うだけあって全体的に白色で塗装されており見る者達を引きつける。更には本丸だけではなく、周囲の城壁や城門・各櫓も日本帝国にあった本物の姫路城そのものである。

ふと、唯依が呟いた。

 

「今、思い出したんだけれど、BETAが日本上陸した時に色々な世界遺産が破壊されたんだ。でも、姫路城だけが残骸もなく、まるで()()()ように無くなっていた。って聞いたことがある」

 

「消えた?」

 

コクリっと唯依が頷く。

大和は再び端末を出して、保存してある国土交通省のデータにアクセスする。そして、場所を兵庫県姫路市に設定した航空写真を端末の画面に表示する。

 

「どう?」

 

「本当だ。残骸や石垣すら無くなっている」

 

画面に映っているのは無数の民家の残骸と何もない平地があった。そこで大和はある仮説を立てる。

 

「(唯依の情報とこの航空写真。推測からして、まさか()()()()()()()()とでもいうのか?いや、そうに違いない。こんな芸当ができるのはあの女神ぐらいだ)」

 

大和は女神の権能に呆れる。だが、その顔には喜びを感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーア・バオア・クー内部 MS格納区画ー

 

ジェガンやスタークジェガンなどの量産MS区画とは違い、ガンダムタイプ専用の格納区画があった。

その格納庫にはフルアーマーガンダム(サンダーボルトver)やZZガンダムなどの宇宙世紀のガンダムがパイロットを待っているのだが、その奥には他のガンダムとは違い、鉄で製造され型式番号が付いたカバーに収納されているガンダムもいた。

その中の1つには整備用ケーブルに繋がれたある悪魔の名がつけられたガンダムもパイロットを待っていた。そのナンバーは……

 

【ASW-G-08】

 

 

 

 

 

 

 

 

ー同時刻 地球ー

 

「私も行きたかったですけど、煌月君に頼まれてはいたしがたありませんわね」

 

そう言った上総は大和から渡されたMSの設計データが記録されているUSBメモリーを接続した端末を手に持っていた。そして、その画面にはある機体の設計データが映し出されている。

 

「『大空を掌握する機体』ですか……」

 

そんなことを言いながら、日本帝国斯衛軍が持っている1つの工廠のスペースを山城家の権限で開けてもらい、ガルダから運び込まれた機体パーツを急ピッチで整備兵達が組み立ていた。

 

「全く、とんでもないモノですわね」

 

そう言う上総は組み立て途中の2機の機体を見る。その2機は上総の声に返事をするかのようにバイザーを輝かせた。




次回予告(ガンダムOOver)

女神によって与えられた新たなる地
そこには世界をも覆す機体『ガンダム』
大和は新たなる機体と出会う
次回『力の持つ理由』
問おう、君は強大な力を持つ覚悟はあるか?

※姫路城について
何故、ア・バオア・クーに姫路城?と思われた読者の方に説明させて頂きます。
トータル・イクリプスを見返していたところ、帝都燃ゆ編で突撃級に金閣寺が粉々に粉砕されるシーンがあったので、作者が好みな城である姫路城もBETAに破壊されるのはちょっと嫌だなぁ、という思い込みから登場させました。
詳しいことは後編で設定書きを載せます。


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第15話 力の持つ理由【前編】

後半のストーリーが思っていたよりも長かったので前編と後編に分けました。


ーア・バオア・クー内部 姫路城ー

 

コロニーでもないのにどういうわけか、朝・昼・夜の時刻も再現されており、現在は夜。

大和と唯依はおそらく住むことを考慮してなのか、白で塗装された木造の宿舎が敷地内に増設されており、2人はここに泊まることにした。

 

「それにしても1度でいいから城に住んでみたいなぁ、とは思ったことはあるけど、まさか本当に叶うとは思っていなかったな」

 

そんなことを言いながら大和は着替えを持って風呂に行くため戸を開けるのだが……

 

「え?……」

 

「……アレ?」

 

どうやら先客(唯依)がいたらしい。しかし、それだけで()むならまだしもパイロットスーツを着ている大和とは違い、唯依は山吹色の衛士強化装備服を脱いでおり、その姿は胴にバスタオルを巻いているものの年齢とは対照的に豊満なる胸が窮屈そうにタオルを押し上げていて、下からはスラッとした脚が見えていた。

 

「ぁ…ぁ…」

 

「落ち着け、唯依。これは」

 

「み、見るなぁぁぁ!」

 

唯依の盛大な正拳突きが大和の顔面にヒットし、その衝撃で意識を失ってしまった。

数分後、大和は当然のように唯依によって床に正座させられていた。

 

「いや、あれは不可抗力というか何というか」

 

「でも見たよね?」

 

「いやあれ「見たよね?」

 

「……ハイ」

 

こうした感じで唯依のお説教を一晩中、聞く大和であった。

 

〜翌日〜

 

時刻は朝。唯依が調理場で朝食を作っている間に大和はア・バオア・クーの内部を探索するために移動手段となるモノを探していた。現在、姫路城の敷地内から出て城下にある倉庫群の中を探している。

 

「そう簡単に見つかるモノでもないか。……ん?」

 

その時、2回りほど大きな倉庫があり、興味本位で行ってみる。

幸い、カギはかかっていなかったのですんなりと入れた。そして、そこにあったのは……

 

「おいおい、何だこれは?」

 

そこには目的の自動車やバイクが駐車されている。ただし、1台2台というレベルではなくて軍用車からスポーツカー・オートバイやモーターレースタイプのバイクまで幅広いマシーンが置かれてあった。

 

「スゴイ……」

 

確認できるだけでもランボルギーニを始めとした世界各地の自動車メーカーの車やKawasaki・HONDAなどの各メーカーのバイクが置かれている。

 

「まるで、ちょっとした博物館だな。1台3000万円ぐらいする車やメーカーのフラグシップモデルのバイクがこんなにあってもいいのだろうか?」

 

あまりの台数に少し罪悪感を感じた大和は一応、目的を果たしたので唯依のところへと戻る。

時刻は進み09:00。大和と唯依は共に朝食を終え、大和は先にどこかへと行ってしまい、唯依の方は桜門橋の前で待っていた。

 

「大和君。一体、どこに行ったんだろう?」

 

少し心配して待っていると、どこからかエンジンの音が聞こえてきた。その正体は先程見つけてきた車庫の中に置かれてあったバイクの1台『CBR-250RR』に乗ってきた大和だった。

 

「ごめん、待たせてしまった」

 

「ううん。それよりソレ、どうしたの?」

 

「見つけてきたんだ。コレはその内の1台」

 

へぇ〜、とした表情を浮かべた唯依。

因みに大和は昨日までパイロットスーツだったが、宿舎内にあった服を拝借して黄色のラインが入った白と黒の2色が組み合わさった服装をしており、その姿はアトラスガンダムの機体配色に似ていた。

 

「?どうしたの?」

 

「べ、べつに……(唯依って美少女とは思っていたけど、ここまで可愛いとは…)」

 

対する唯依は山吹色の衛士強化装備服ではなく、白と青を中心とした服装で上には白いコート・下は青いミニスカートを着ていた。その組み合わせはガンダムエクシアの機体配色に似ている。

 

「では、そろそろ参りましょうか?お姫様?」

 

「もう、茶化さない!」

 

そう言い、ヘルメットを被った唯依は大和の後ろへとバイクに乗る。そして、振り落とされないよう唯依は大和に抱きしめるようにつかまるのだが……

 

「ッ!」

 

「どうかしたの?」

 

「い、いや、何でもない!」

 

「?」

 

実は唯依がしがみつくように乗ったことで大和の背中には唯依の2つの豊かな丘陵が押し付けられたのだ。しかし、ここで理性を崩壊させるわけにはいかないので、急いでクラッチを繋げ、ギアを1速に入れて発進する。

 

「ねぇ!どこに行くの?!」

 

「とりあえず宇宙港に行ってみる!」

 

ヘルメットごしに会話しながら2人は姫路城から続く道をバイクで走り、途中には紅葉や川など美しい景色が広がって地球で起きていることが嘘のように思わせる。

 

「(どうか、少しだけでいいからこのまま平和な時間が続きますように)」

 

唯依は大和に強く寄りかかり、心の中でそう願った。

場所は変わり、大和と唯依は目的地の宇宙港へと来た。そして、2人はバイクから降りてヘルメットを脱ぎ、中へと入る。

 

「わぁ……」

 

「(何かもう、驚くにも疲れてきたな…)」

 

先に行く唯依と追いかける大和はそう思った。

中にあるのはもちろん宇宙船だった。ただし、1隻2隻だけではなくて艦隊規模の船がドックに停泊しており、その全てがロンド・ベルの旗艦『ラー・カイラム』と同型艦 数隻があった。

 

「こんなものまであるのか?」

 

だが、その奥にあるドックには2隻だけ違う船が停泊してあった。

 

【CBS-70 プトレマイオス】

 

【LHM-BB01 ミネルバ】

 

「見てみる?」

 

いつの間にか大和の隣にいた唯依が問う。

 

「無論だ。連絡はインカムで」

 

「わかった」

 

唯依はミネルバ・大和はプトレマイオスへと艦内に入って探索する。そして、しばらくすると大和はミネルバに行った唯依に連絡をする。

 

「唯依、そっちの方はどう?」

 

『結構、大きな船みたい。格納庫の方には何というか、中央部に脚部・上半身・戦闘機?みたいなパーツがあるけど。コレもMS?)』

 

「(なるほど、あのガンダムがあるのか)わかった、一旦合流しよう」

 

『了解』

 

唯依と通信が終わると、大和がいるプトレマイオスの艦橋のモニターにはコンテナ内に格納されているガンダム達が映っていた。

 

「GNドライヴ。そして、それを動力源とする4機のガンダム、か……」

 

「(プトレマイオス2ではないのは太陽炉があるからか?いずれにせよ、強すぎる力はやがて自分の身を滅ぼすことになるからこれで良いのかもしれないな)」

 

ポツリと独り言を言うと、唯依と合流する。

一通り見終わると、今度は修理ドック・MS生産工場というふうにア・バオア・クー全体を2人で探索して周り、最後にMS格納区画に来た。

入口には強奪されないようセキリュティの下、厳重な剛鉄の扉によってロックされている。

 

『(汝、強大な力を持つ覚悟はあるか?)』

 

「!」

 

突如、扉のロックを解除して内部へと入ろうとした時、頭の中に声がダイレクトで響く。

 

「どうしたの?何かあった?」

 

「いや、なんでもない(今のは……)」

 

さっきの出来事を考えながら大和は先に行く唯依の後を追おうとしたのだが…

 

「きゃっ!」

 

唯依が当然、空中に浮かび1回転して地面に着地する。どうやらこの区画は今までとは違い、無重力の状態で設定されているようだ。

 

「……見た?」

 

「…見てない」

 

スカートの裾を手で押さえ、顔を赤くした唯依は片手で顔を隠している大和の答えを聞くと、さっさと内部の方へと進んでしまった。

 

「(……ブルー()だったな)」

 

大和も急いで唯依の後を追いかける。

2人は進むにつれ広い空間に出る。そこにはMSが整列するように固定アームで格納されていた。

 

「一体、何機あるんだ?」

 

「見たところ2個大隊は編成できそう」

 

連邦製MSを主にジェガンA2型・スタークジェガン・ジムスナイパーⅡ・ジムスナイパーⅡ(WD仕様)が多数置かれていて、ジオン製MSはゾゴッグ・イフリートシュナイド・ドライセン(袖付き仕様)と数は少ないものの各戦地で戦えるよう特別仕様に製造された機体があった。

 

「(なぁ、女神よ。BETA殲滅の次は世界征服なんて言わないよな?)」

 

量産型MS格納区画の奥にはさらに内部へと進めるよう通路があるのだが、左右に道が分かれていた。

 

「二手にわかれる?」

 

「そうしよう。何かあった時にはインカムで」

 

コクリと頷いた唯依は右に、大和は左の通路へとそれぞれ進んで行った。果たして、2人を待ち受けるモノとは?




ガンダムOOが放送されてから10周年というわけでプトレマイオスと4機のガンダムを登場させてみました。


余談
久しぶりに劇場版ガンダムOOを見たんですが、改めてガデラーザの設定を見るとオーバースペックすぎませんか?


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第16話 力の持つ理由【後編】

唯依ルート

 

「結構すすんだけれど、どこまで続いているの?」

 

大和と別行動をとってからだいぶと時間が経過したが、見えているのは通路を構成している白い壁と天井に設置してある内蔵型のLEDライトだけだった。そんなことを思いながら唯依は進んでいると、やっとのことで出口が見えてきた。

 

「ここは?」

 

出口を出ると大きなドーム状の造りになっていて、通路の横には何枚もの巨大なガラスが嵌めこまれていることで真下にあるモノがはっきりと見えた。

 

「コーン型の……エンジン?」

 

後に名前を知ることになるが、唯依が見つけたのはプトレマイオスのガンダムに搭載されているGNドライヴとは似て非なるモノ、30基のGNドライヴ[T]と1機のブレイヴ指揮官機と5機のブレイヴ一般機が囲むように置かれていた。

 

「まるで守っているみたい」

 

そんなことを言いながらブレイヴ指揮官機をよく見てみると、左右のサイドバインダーにはGNドライヴ[T]が搭載されていなかった。

 

「やはり、コレはこの機体のエンジンなのね」

 

再びGNドライヴ[T]を見ていると、その奥にはさらに先へと進める通路があった。

 

「(まだこの先に何かあると言うの?)」

 

床を蹴り、唯依はさらに奥へと進む。その先にあったのは……

 

「なんなの…コレ……」

 

出口を出ると、唯依の真下にあったのは戦術機やMSをはるかに超えるモノだった。ソレを人はモビルアーマー(MA)と呼ぶ。

 

「こんな機体が存在するなんて……」

 

床を蹴り、真下にあるMAのところまで降りる。そのMAは固定アームと固定用ワイヤーで奪取されないようにしっかりと繋がれていた。

 

「(封印されてるみたい)」

 

率直な感想を述べると、機体の襟の装甲に英語で名前が入っていた。

 

「ええと、AMA-X7 Shamblo(シャンブロ)?」

 

その真紅のMA シャンブロは今にも武装の大型アイアン・ネイルでワイヤーを引き千切れそうな感じをしたが、さらにそれを超えるMAがその奥に封印されいた。

 

「大和君。私、とんでもないモノを見つけてしまったみたい……」

 

シャンブロから離れると、全体を見るために天井付近まで上がった唯依は先程までに見たシャンブロがそのMAと比べると天と地ほどの差があった。

そのMAの名は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大和ルート

 

時間は少し遡り、唯依と別行動してからすると先程のMS格納区画ほど広くはないが、ガンダムタイプのMSが左右の格納庫に並べられていた。

 

「ここはガンダムタイプ専用の収納区画なのか」

 

床を蹴り、ゆっくりと進む。

大和を一番最初に迎い入れてくれたのは増加装甲を纏ったダークブルーと白のガンダムと重武装をしたトリコロールカラーのガンダムだった。

 

「フルアーマーガンダム(サンダーボルトver)。そして、ZZガンダム」

 

右の格納庫には全関節にはシーリング処理が施されていて、両腕・バックパック・増加装甲内にはビーム兵器と実体弾兵器が大量に装備されており、右腕・左腕・サブアームに合計4枚のシールドを持ったガンダム『フルアーマーガンダム(サンダーボルトver)』

左の格納庫には右手に2本の銃身を持つビームライフル『ダブル・ビームライフル』、背中には巨大なバックパック、更には3つのパーツに合体・分離することができるガンダム『ZZガンダム』

 

「そして、その隣にはペーネロペーとΞガンダム、か……」

 

先程の2機の隣には全身と両肩にフライト・ユニットを装備して、各部にファンネルミサイルを内蔵した30m級のガンダム『オデッセウスガンダム(ペーネロペー)』と『Ξガンダム』

 

「第5世代MSのガンダムまであるのか。…ん?」

 

しかし、その奥には今までのガンダムとは違い、Ξガンダムからの格納庫には全てカバーによって保護されていた。

 

「どういうことだ?」

 

再び床を蹴り、その内の1つの前に移動する。そのカバーには型式番号が入っており、その機体の存在を表していた。

 

「ASW-G-08…。なるほど、自らの手で封印を解けとでも言うのか?」

 

『カチッ!』

 

そう言うと、カバーの開閉ボタンを押すと整備用ケーブルに繋がれたガンダム(悪魔)が姿を見せた。

 

「はじめましてガンダムバルバトス。外に出た気分はどうだい?」

 

その機体『ガンダムバルバトス』は問いに答えるようにツインアイを一瞬だけ輝かせた。

 

『(汝、強大な力を持つ覚悟はあるか?)』

 

「!」

 

『ガシャン!』

 

再び頭の中に声がダイレクトに伝わるのと同時に一番奥にある扉が開き、上階へと上がる階段が見えた。

 

「……」

 

大和は導かれるままに上へと進む。

 

「これは……」

 

上に登って出口を出ると、再び重力が発生して自分の重みが感じてきた。だが、それだけではなかった。

その区画は姫路城の居住区画ほど広くはないものの、半分ぐらいは海になっていてその真ん中には(あか)色の大きな鳥居があり、その正面にある陸部には姫路城と同じほどの知名度を誇る社殿が建っていた。

 

「……厳島神社」

 

大和の目の前の光景には自然と調和し、日本三景の1つに数えられている広島県廿日市にあった神社『厳島神社』があった。

 

『(汝、強大な力を持つ覚悟はあるか?)』

 

「発生源はあれか」

 

声が聞こえた大和は発生源と思われる厳島神社の方へと足を進める。

 

「この神社も女神の仕業なのか」

 

陸地から社殿へとあがり、大和は姫路城と同じく海中と敷地ごと転移したのだと判断する。

しばらく厳島神社を探索していると、本社のところにはあるMSが待っていた。

 

「まさかとは思っていたけど、こっちの世界に来ていたのか。()()()()()()()

 

そこにあったのは赤と金色の塗装が施されたた鎧状の装甲・左腰には太刀『日輪丸』・背中のバックパックには火縄銃型のビームライフル『種子島』と槍『散光丸』と薙刀『電光丸』を装備した武者ガンダムシリーズの1号機『真武者頑駄無』だった。

その真武者ガンダムは意思を持つかのようにコクピットハッチを開けて大和を乗せる。

 

「覚悟、か……」

 

コクピットのシートに座った大和は1つだけ起動している真ん中のモニターに目を向けた。

 

『真武者頑駄無を起動させるには、以下の質問に答える必要があります。』

 

【キョウダイナチカラヲモツカクゴハアリマスカ?】

 

YES(はい)』 『NO(いいえ)

 

この質問を見ると大和は深くシートにもたれ、真武者ガンダムに向かって話すように言った。

 

「なぁ、真武者ガンダム。結論から言うと自分には覚悟なんて無いのかもしれないな…

転生した直後の時、女神の特典から貰った能力と武者ガンダムMK-2で戦って他の機体でも戦って、正直に言うと強大な力で戦うことが当たり前だと思っていたのかもしれない」

 

今までの出来事をポツポツと語っていく。しかし……

 

「だけど、今は違う。日本での生活と防衛戦でわかったんだ。それだけでは世界を救えないと。

だから、これからは世界を救う為・大切な人を守る為・平和な日々を取り戻す為にその力を貸してくれ!ガンダム!!」

 

コクピット内に大和の声が響く。

 

「って、ガンダムに言っても返事がくるはずもないか」

 

そう言うと、真武者ガンダムから降りようするが()()()()()()()()ようだ。

 

『YES』ピッ!

 

「…え?」

 

突如、押してもいないのにモニターが動きだし、真武者ガンダムのシステムがたち上がる。そして、シートに仕込まれた生体認証システムによって大和の生体データが登録される。

 

『SYSTEM All GREEN

PILOT TOUROKU:YAMATO KOUZUKI』

 

登録が完了すると、真武者ガンダムの全装甲のカラー()が一層に鮮やかな色へと変わり、頭部のツインアイが輝いた。

 

「ありがとう。そして、よろしく。真武者頑駄無」

 

 




いかがでしたでしょうか?
前編をデート話、後編を革命機 ヴァルヴレイヴの起動要素を取り入れた作者なりの大和の成長話にしてみました。
さて、大和の後半主役機となった真武者ガンダム。武者ガンダムMK-2のパイロットはさて置き、唯依は一体なにを見つけたのでしょう?



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第16.5話 これから+設定1

設定だけでは何なので短話を追加しました。


ー1998年 9月下旬ー

 

大和と唯依がア・バオア・クーに行っている日の地球の日本帝国第二帝都 東京では夜になっており、夜風が寒くなってきた頃であった。

その東京の帝都城内にある一室では2人の女性がいた。

 

「姫様、本当に会談なさるおつもりなのですか?」

 

「はい、私はこの殿方を信用に値する者と観ました」

 

そう言った紫と赤の斯衛軍服を着用した人物は現在の煌武院家当主であり現政威大将軍でもある女性 煌武院悠陽と同じく赤の斯衛軍服を着用した月詠真耶がいた。

悠陽の手元には夕呼を通して送られてきた大和に関する情報とガンダムを始めとした一部の技術データが記載されたファイルが置かれてあった。

 

「その理由をお聞きしても?」

 

「そうですね、この者は帝国を護らんとする騎士もしくは武士なのかもしれません」

 

「騎士……ですか?」

 

「ここを見てみてください」

 

そう悠陽に言われた真耶は悠陽が開けたファイルのページを見る。

 

「これは……」

 

そのページに書かれているのは近畿防衛戦の作戦内容から被害状況までが書かれている報告書だった。

作戦の発案者は煌月大和と名前が入っており、その作戦を実行した結果、被害は帝都防衛戦の際と比べると大きく抑えられていた。

 

「確かに私利私欲に囚われている者ならこの様なことはしないでしょう。ですが、私はまだ信じがたいことなのです。異世界から来たなど」

 

「そこのことも事実なのでしょう。現にその証拠となる記録とデータがあるのですから」

 

悠陽はファイルの次のページを開くと、そこには帝都防衛戦で姿を現した武者ガンダムMK-2と近畿防衛戦の時に夜空を彗星のごとく飛翔しているシナンジュの写真が挟まれてあった。

さらに次のページを開くと、あるガンダムの設計データの一部が映されていた。

 

 

MSA-0011[Ext]

Ex-SGUNDAM(ガンダム)

 

 

「それにですね、月詠。私も個人的にお会いしてみたかったのですよ?」

 

「……え?」

 

その微笑みは当主でもなく現政威大将軍でもないただの何処にでもいる1人の少女としての表情をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇宙要塞『ア・バオア・クー』

 

場所:宇宙 ラグランジュ2付近

 

格納艦

プトレマイオス (ガンダムOO)

ミネルバ (ガンダムSEED DESTINY)

ラー・カイラム+同型艦 数隻 (ガンダムUC)

偽装貨物船『ガランシェール』(ガンダムUC)

 

格納機

MS

真武者ガンダム

Ξガンダム

ペーネロペー

フルアーマーガンダム(サンダーボルトver)

ZZガンダム

スタークジェガン×多数

ジェガンA2型×多数

ジムスナイパーⅡ×少数

ジムスナイパーⅡ(WD仕様)×少数

 

ズゴッグ×多数

ゾゴッグ×多数

ハイゴッグ×多数

ゼー・ズール×多数

イフリートシュナイド×少数

ドライセン(袖付き仕様)×少数

 

インパルスガンダム

ガンダムバルバトスルプス

ガンダムエクシア

ダブルオーガンダム&オーライザー

ガンダムサバーニャ

ラファエルガンダム

ブレイヴ指揮官機×1

ブレイヴ一般機×5

 

MA

シャンブロ

ガデラーザ

 

GNドライヴ×5基

GNドライヴ[T]×30基

 

詳細:地球の日本列島付近にあった拠点がBETAの日本侵攻によって修復不可能までに破壊されていたので、地上では再び破壊される可能性があることを踏まえて新しく女神が宇宙に用意した難攻不落の要塞。

要塞機能としては十分にあり、主にMSの生産する工廠(戦術機も可)・地球から往復する為の宇宙港・艦を修理するドック・MSを収納する格納区画・食料や素材などの物資・対空砲撃機能がある。しかし、オリジナルのア・バオア・クーと比べると多少カスタム化されており、保存目的で敷地ごと転移した姫路城と厳島神社が移転されていることや朝〜夜までの時間機能・重力制御というように普通では考えられないことも可能としているので、以上の機能やMS・MA、姫路城と厳島神社があるを考えるとオリジナル以上にスゴイことになってしまった。

データベースにも格納されていたMSやMA、艦艇に関する情報が記録されているので修理・修復ができるようになった。しかし、抑止力の為か、GNドライヴ・GNドライヴ[T]の製造方法までは記録されていなかったので現状、ブラックボックス化しているために大破させると生産・修復不可能。

 

 

 

機体設定・設定変更

 

※ガルダ内とア・バオア・クー内にある全ての機体は17話からミノスキークラフトを装備したことによって陸・空・宇宙というように汎用性がアップした。

(GNドライヴ・GNドライヴ[T]搭載機やバルバトスなどは除く)

 

機体名:真武者頑駄無

所属:後に日本帝国斯衛軍

分類:モビルスーツ

全高:18.18m

武装:太刀『日輪丸』

火砲『種子島』

槍『散光丸』

薙刀『電光丸』

パイロット:煌月 大和

詳細:武者ガンダムシリーズの1号機。

本機とMK-2を比べてみると、基本スペックは同じではあるものの攻撃性重視のMK-2に対して本機は防御性重視になっており、機動性では少し劣るが防御力は2倍という絶対的な防御性能を発揮する。

また、ミノフスキー粒子の粒子散布機能や光学迷彩・生体認証システムなどMK-2には無いステルス機能が付与されており、そのステルス性能はF-22 ラプターを大きく上回る。武装なども粒子を纏わせる事で太刀・槍・薙刀の切断能力やシールドの防御性能を高めている。

MK-2にも言えることなのだが元々、謎が多い機体なのでミノスキークラフト無しでの単独飛行やGNドライヴを搭載してもいないのにもかかわらず半永久的に稼働できることから不明な部分が多いガンダムである。

 

 

機体名:武者ガンダムMK-2

所属:無所属→日本帝国斯衛軍

分類:モビルスーツ

全高:19.5m(兜の角を含む)

武装:太刀『虎鉄丸』×2

火砲『昇竜丸』

薙刀『閃光丸』

手甲クロー×2

ビームサーベル×2

パイロット:煌月 大和→篁 唯依

詳細は第3話を参照。システムがアップグレードされて生体認証システムが追加された。

 

 

Ξガンダム・ペーネロペー

機体そのものは閃光のハサウェイに登場したガンダムであるが、搭載されているミノスキークラフトユニットに手が加えられおり、マッハ2以上という制限から改良されてそれ以上の速度を発揮する。

武装のファンネル・ミサイルも対BETA戦を考慮してファンネル・ミサイルと同サイズのファンネルに換装。パイロットによってファンネル・ミサイルかファンネルに選択することができる。

 

 

ラファエルガンダム

GNビックキャノン側に2基・バックパック側に1基の合計3基のGNドライヴ[T]をGNビックキャノン側に2基のGNドライヴ[T]・ラファエルガンダム本体にGNドライヴを搭載して稼働時間を大幅にアップした。

 

 

機体名:シャンブロ

型式番号:AMA-X7

所属:後に日本帝国斯衛軍

全長:77.8m(水中巡航形態)

頭頂高:31.8m(陸上戦闘形態)

主動力:熱核融合炉

武装

大口径メガ粒子砲

拡散メガ粒子砲

リフレクタービット×12

大型アイアン・ネイル

 

ハイヴ攻略用に用意された最大級クラスのMA。

水陸両用の機体で、頭部に内蔵された大口径メガ粒子砲は直線上しか撃てないもののその火力は驚異的な威力を発揮する。ただし、陸上での速度は遅いので護衛機が必要となる。

 

 

機体名:ガデラーザ

型式番号:GNMA-Y0002V

所属:後に日本帝国斯衛軍

全長:302m

装甲材質:Eカーボン

動力機関:GNドライヴ[T]×7

武装

GNブラスター

大型GNファング×14

小型GNファング×140

GNミサイル×256

GNバルカン

クローアーム

 

シャンブロと同じくハイヴ攻略用に用意された最大級のMA。

運用には難があるものの、そのGNブラスターと合計154基のGNファングからなる火力は最早オーバースペックであり、香月夕呼からは「あなた、世界でも破壊するつもりなの?」と言われるほど。

詳しくはガンダムWikiを参照。




会ってみたかったと言った悠陽。さて、その意味は?

1日速いですがHAPPY BIRTHDAY 悠陽&冥夜


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第18話 報告

ー地球 日本帝国ー

 

宇宙要塞 ア・バオア・クーの探索から1週間半が経過して大和達は現在、静岡県静岡市にある新静岡基地に滞在していた。

その基地の敷地内では夕呼と大和が会話している。

 

「これはまぁ、聞いていた以上の代物ね。良く持って来てくれたわ、煌月」

 

「ほんと、大変でしたんですよ?特にシャンブロ」

 

同基地内では地球へと帰るために調達したミネルバと4機のGN輸送コンテナが停泊していた。

夕呼の目に映っているのはミネルバではなく、大和にア・バオア・クーで見つけた2機のMA シャンブロとガデラーザのどちらかを必ず持って帰還するように!と上官命令させて、300m級のガデラーザを持って帰るわけにもいかなかったので頭部・胴体・右腕・左腕の合計4パーツに分解したシャンブロの組み立て作業を見ていた。

因みに今はコンテナから出した頭部と胴体の接続作業をしている。

 

「アレ、大丈夫なの?」

 

「何がです?」

 

「いくら帝国の整備兵とは言え、作業をしているのは戦術機しか知らない一般兵よ?」

 

どうやら夕呼はまだ情報公開されていないシャンブロを整備兵達に任せて大丈夫なのか?と聞いているようだ。

 

「そこの辺りは心配ありませんよ。作業をしているのは斯衛軍の兵士達で破壊工作などをされることは有りませんし、それにあの大きさですからどのみち完成な隠蔽は無理です。なので、情報が公開されていなくても機体自体を見せておけばいずれ実戦投入する際に兵士達からの意見が殺到されなくて良いものでしょう?」

 

「まぁ、それもそうね。にしても、クレーンだけじゃなくて戦術機も使うなんてそんなに重いの?アレ」

 

見てみると、胴体の首に接続する頭部はクレーン1台と2機のF-4J『激震』によって支えられていた。

 

「頭部だけでも激震の1.5倍ぐらいはありますから、クレーンだけではちょっと『PPPPP!』

 

大和が言っている途中に持っている端末から通信音が鳴る。

その内容はある人物からの通信だった。

 

「どうやら基地内へ戻って来るように言われました。博士はどうしますか?」

 

「私はもう少しだけ見ているわ」

 

「わかりました。では、お先に失礼します」

 

大和は夕呼に敬礼をすると、先に基地内へと戻る。

場所は変わり、基地内に入った大和は通信をかけてきた人物から指定された場所へと向かった。

 

「なんで自分の番号を知っているんですか?()()()()??」

 

「いやぁ、そこは企業秘密ということで頼みますよ、煌月大尉」

 

指定された場所に入ると、そう言って部屋のソファに座っていたのは『帝国の怪人』のこと帝国情報省外務二課長『鎧衣左近』だった。

 

「今日は何の御用なんですか?情報省の課長ともあろう人が暇ではないでしょう」

 

「ごもっともなんですけど、大尉には至急、耳に入れてほしいことがありましてね」

 

『至急』という言葉に大和は引っかかった。

 

「殿下。つまり、政夷大将軍殿下との会談の日程が決まりました」

 

「!」

 

近畿防衛戦の前に夕呼に頼んでおいといた件がやっと決まり、今考えると鎧衣がここに来たのはおそらく伝令役として来たのだろう。

 

「場所は?」

 

「第二帝都 東京の帝都城。ただし、会談は非公開となりますので明日の夜に行います」

 

「わかりました。こちらも準備しておきます」

 

「では、よろしくお願いしますよ、大尉」

 

そう言うと、鎧衣は部屋から退出してまた何処かへと消え去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「明日、か……」

 

鎧衣との打ち合わせが終わり、大和は基地内を特に行くあてもなく、ただ歩いていた。

 

「そなた、少しよろしいですか?」

 

「……え?」

 

突如、背後から声をかけられたので大和は反射的に後ろを向くとそこには()の斯衛軍服を着た1人の女性がいた。

 

「(青……ということは五摂家の人か。だが、どうしてこんなところに?)」

 

大和は軍服の色を見た瞬間、反射的に敬礼をする。そうすると向こうも同じく敬礼をした。

 

「私は帝国斯衛軍斯衛第3大隊指揮官 崇宰恭子大尉です。そなたが京都防衛戦の時に唯依を助けてくれた煌月大尉ですか?」

 

「ハッ、自分が煌月大和大尉です。(崇宰恭子と言ったら五摂家の1つである崇宰家の当主じゃないか)」

 

ここ(通路)で立ち話も何ですから、場所を変えましょう」

 

「あ、はい。では、ご同行さしていただきます」

 

そう言った恭子に大和は付き従うと、指揮官クラスの者に与えられる執務室のような部屋へと案内された。

2人は互いに椅子に座ると大和が恭子に質問する。

 

「あの、先程のことなのですが崇宰様と唯依は知り合いか何かなのでしょうか?」

 

「そうですね、唯依からみて私は従妹叔母にあたる立場の者です」

 

「!(つまり2人は血縁者という訳か)」

 

少しだけ驚いた大和はそのまま恭子の話を聞く。

 

「京都防衛戦の際、私は孤立した学徒衛士達を助けに回っていたのですが、窮地に立たされた唯依を助けることができませんでした。ですが、煌月大尉によって唯依を助けてもらいありがとうございます」

 

そう言って恭子は頭を下げる。

 

「頭を上げてください、崇宰様。同じ隊の仲間を助けるのは当然のことですから!」

 

五摂家の崇宰家当主であろう人物が特殊な存在とはいえ、立場的には一般衛士と変わらない者に頭を下げることなど他の兵士にこのような場面を見られたら大騒ぎどころだけではすまないだろう。

 

「ところで大尉。そなたは唯依と同じ訓練学校の同期であったそうですね」

 

「はい。篁中尉とは共に帝国を守るための勉学に励みました」

 

「あの子は時々、頑張りすぎるところがあるから大尉がよく見ていて下さいね?」

 

「え?あ、はい。全力を尽くします」

 

どういう意味だ?と困惑するが、崇宰家当主からの頼みともあれば断るわけにもいかない。

 

「では明日(あす)、会談の場でお会いしましょう大尉」

 

「ハッ!では失礼しました!」

 

大和はそう言って部屋から退出する。そして指揮官用部屋には恭子だけになった。

 

「(ふふ、あの子が大尉に惚れたのが少しだけ分かったかもしれないわね)」

 

そう思った恭子の表情はまるで妹のことを思う姉のような表情をしていた。

 

 

 

ー同基地 第二格納庫ー

 

恭子との対話を終えると大和はこの格納庫(ハンガー)にミネルバから搬入されたスタークジェガンやジェガンA2型・ジムスナイパーⅡの機体達がいた。

しかし、大和の目には今朝、上総によって届けられた端末に映し出された機体に夢中だった。

 

「ついに完成したのか」

 

RX-160S

Byarlant・Custom(バイアラン・カスタム) 1号機

 

RX-160S

Byarlant・Custom(バイアラン・カスタム) 2号機

 

『大空を掌握する機体』という設計思想の元に開発され、組み上げられた2機の機体は現在、山城家に一時的に預けており受領する日はそう遠くないはずだ。

この2機が配備されることになれば重力下での高い機動力を活かして上空からのBETA殲滅や光線級吶喊(レーザーヤークト)をパイロットの技量にもよるが2機1組での作戦行動が可能であろう。

 

「しかし……」

 

大和が顔を上げると、ジムスナイパーⅡの横にある機体が目に映る。

その機体は後に世界最強の近接戦闘能力を誇る戦術機と言われ、現段階ではまだプロトタイプの量産試作機だがそれでも圧倒的な戦闘力を発揮する武神が次の(いくさ)に向けて静かにたたずんでいた。

 

「あれが……武御雷」

 

その戦術機『武御雷』は青のR型を始め、赤と黄のF型に白のA型・黒のC型を含めて合計5種類の武御雷が勢揃いしていた。

 

「(写真だけでしか見たことがなかったけど、やはり良い機体だ)」

 

私見的な感想を述べた大和は青のR型から黒のC型までの武御雷を一通り見おえると、明日の会談に使う資料を作成するために自室へと戻るのであった。




本作品『MuvーLuv MUSHAの名を持つガンダム』をご覧になられているお気に入り登録されて下さった524名とその他の方々の皆さん、作者のアドベンチャーです。

えー、誠に恐縮ですが本時刻をもって本作品の連載を終了とさせていただきます。
事情説明をいたしますと、2018年の今年に入ってから作者の家庭の事情により4ヶ月ぐらい更新出来なかったのと、作者自身で本作品を読み返してみると余りにも機体数が多過ぎた為に今後のシナリオを書くのが難しくなってきたので、この作品を(もと)にして新しく作ることにしました。すでに8機のアストレイを主人公機としたNEW作品『MuvーLuv 8人の王道でなき者たち』を投稿していますのでこれからはそちらを不定期ではありますが更新していこうと思いますので皆様、どうかよろしくお願いします。


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