お前のことだよ、相棒(空崎ヒナ)!!   作:バージ

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新規ヒナが来たから一話増えるておまけが遅くなる。新規ホシノストーリーが来たからホシノの話が増えておまけが遅くなる。そこになんの違いもありゃしねぇだろうが!

というわけで?ついにユメ先輩のグラが出たわけですが、ホシノと髪型同じすぎてうわっ!てなりました。闇すぎる。恰好も言動も装備もユメ先輩と同じにしてて、髪もユメ先輩と同じように伸ばしたことはわかってましたけど、あそこまで一致するとは。
わざわざ髪伸ばしてユメ先輩と同じ髪型にするって、ホシノお前…。
正直たった一人でアビドスの莫大な借金を返し続けるとか狂気でもなきゃやってらんないだろとは思いますが、それでもお労しすぎる。完全に病んでたでしょうね。



夢をなくした少女と、奇跡の同棲

 

私には、二人の大切な先輩がいる。

一人は、もう帰ってくることのない先輩。どれだけ後悔しても、どれだけ謝りたいと思っても、二度と会うことができない先輩。

もう一人は、すごく強い先輩。私のことを手放さなかった先輩。

 

いや。きっと私が知らなかっただけで、気づきもしなかっただけで。きっとユメ先輩も一緒だった。私のことを助けてくれたのは、操夜先輩だけじゃなくて、ユメ先輩も。

 

操夜先輩のことは、実のところそれほど詳しくはなかった。背景を良く知らないというだけで、話すことは良くあったけど。

ユメ先輩とは私よりもずっと長い付き合いで、仲のいい友達。割のいい依頼をいくつも斡旋してくれていて、それは大体善意で助けてくれていること。

ユメ先輩と並ぶと、ゆるふわしてのんびりした人が二人も一緒にいるせいで、独特の雰囲気になる。正直、お似合いだと思わなかったといえばうそになる。

 

そんな操夜先輩との関係が一気に近いものになったのは、あのとき。大切なものをなくしてから気づいた、普段は私が付いていなきゃダメだと思っていたのに、実際のところは逆だったと気づいた、あの。

私の方が、ユメ先輩がいなければいけなかったんだ。私はずっと、ユメ先輩に支えられていた。

 

思えば、二人はどれだけ偉大であったことか。

操夜先輩はユメ先輩と、私よりも長い付き合いだ。操夜先輩には私が知らない友達がたくさんいるのだろうけれど、そんなことは関係なかった。自分も辛いはずなのに、私なんかを……ユメ先輩の近くにいながら助けることのできなかった私なんかを抱えてくれた。

 

あの時私は、操夜先輩のことを拒絶した。あざができるくらいたたきつけて、酷い言葉を浴びせかけた。どうして一緒にいてくれなかったんですか、助けてくれなかったんですかって、そんなことを喚き散らした。

近くにいて、助けるべきだったのは私の方だったのに。

それなのに、操夜先輩は私のことをあきらめなかった。私と一緒にいてくれた。

 

やり方は、少し強引だったけれど。私のことを無理やり連れて帰って、ゲヘナ校区の操夜先輩の自宅でしばらく同棲していた。

 

「最低限、外見が戻るまではここで暮らさせるから。てか、一日一緒にいるから」

「…誘拐ですよ、操夜先輩」

「気にするな、俺は気にしない」

 

めちゃくちゃだと思ったけれど、見るからに意志の固い様子の操夜先輩を拒絶できるほどの気力も、あの時はなかったし。夜寝る時ですら、私が完全に寝入るまではそばを離れない徹底っぷりだった。だから初めの数日は、私が寝入れなかったせいで……私をあやしていたせいで、操夜先輩まで徹夜だった。

そこまでして私から目を離さない操夜先輩の姿に、この人の意思は曲げられないんだと実感させられた。

 

「うへ…。服はどうするんですか」

「大丈夫。ホシノと依頼で一緒になったことあるやつと、服選びが好きなやつに何着か買ってこさせたから」

「いつの間に……」

 

朝になって、着替えがないことに気づいた私に言ったことがこれ。

なんというか、本当にむちゃくちゃやる人だった。それまでは強くて優しくて楽しげで常識まであって、一体どこがゲヘナ生徒なんだって思っていたけれど、こんな形でゲヘナらしい奔放さを見せつけられるとは思わなかった。

 

「朝食は目玉焼きトーストだぞー」

「もしかして操夜先輩、慣れないことしてます?」

「朝は自分一人のときは作らないからな~」

 

片方の目玉焼きが崩れていて、崩れた方を自分のトーストに乗せた操夜先輩を見たり。

…誰かが作ってくれた朝食を一緒に食べているというだけで、また泣いてしまった。

 

「操夜先輩。私はアビドスに戻らないと」

「今日はダメ。んー、とりあえず三日はゲヘナ暮らしな、その間は俺がどうとでもするから」

「私は………私が最後のアビドス生なんです。だから、私がいないと」

「うん、そこも含めて俺に任せればいいから。ホシノの身柄とバーターで一人じゃ無理なとこやっとくから、そういうわけでここにいるように」

 

斡旋される依頼や、ユメ先輩の様子とかから、操夜先輩にはゲヘナ風紀委員以外の力があることは察していた。でも、こうまであっけらかんと、あるいは強硬的にそれを行使するとは思っていなかった私が驚かされたり。

 

「銃撃戦始まったから、一緒に鎮圧に行こうぜ」

「正気ですか。他校の生徒なんか連れて、一体どう言い訳するつもりなんです?」

「はい、ゲヘナ制服」

「…………それでも他の風紀委員は騙せませんよね」

「風紀委員にばれても何の問題もないし、起こさせないし。これでもゲヘナの星とか呼ばれてるんだぜー?…ばれない可能性普通にあるけどね」

「…うへー。」

 

そこらじゅうで頻発する問題を対処して回ったり。

 

後から思えば、とんでもないことだった。きっとこのキヴォトスにあって、それこそ操夜先輩にしかできない、ほかの誰にもマネできないことだったと思う。あるいはあれは、私にとっては奇跡だった。

……そしてかつてユメ先輩が、今が奇跡のようなものだと言ったことを、実感と共に思い出した。

 

だから、聞いたことがある。一時的には私が使っている部屋で。どうして私のことを、離さないんですか、って。

 

「勇気をくれたんだ」

「……え?」

「どうすればいいんだって思った時に、強引にでも一緒にいるべきだって。どれだけ拒絶されても、嫌われても、近くにいるのがいいんだって……教えてくれた人がいたから」

 

そうやって答える操夜先輩を、あんなふうに、心の底から嬉しそうな操夜先輩を見て。

あの時自分の中に生まれたどす黒い感情を、きっと一生忘れることはない。

 

どうしようもなく、陳腐な言葉にしてしまうのなら、それは異常な嫉妬だった。

一番大切な人を、私はなくしたのに。それほどに大切な人たちがいる操夜先輩のことを。

私は、なくしたのに。操夜先輩にこんなにも大事にされている、空崎ヒナのことを。

 

「ホシノ?」

 

狂気。

 

何も言わずに押し倒していた。馬乗りになって、過呼吸のような息の粗さで、絶対に言い訳できないようなやり方で体をこすり付けて、首をなめまわした。肩に歯を立てて、流れ出た血を吸った。どれくらいの時間、そうしていたのだろう。

 

失語症。異常執着。異常性愛。自意識の喪失。紛れもなく狂気の発露だった。

 

操夜先輩の目を見たら、その瞳は広い宇宙の彼方のようで、今自分を突き動かしている狂気すら飲み込まれてしまう様に感じて目をそらした。こんな私の有様を見て、血が出るくらいに嚙みつかれて、それでもやっぱり、操夜先輩は離さなかった。

心の奥底で、決して揺るがない操夜先輩の偉大さを理解する。それを通して、ユメ先輩の偉大さも。どうしてそんなに強く在れるのか、どうすればそんなに強くなれるのか。それほどの強さがあれば、ユメ先輩を助けることもできたのだろうか。

あの時、あなたさえいてくれたらと、またそんなことを考えてしまった。もうユメ先輩はいないのに、私が代わりにやらなければいけないのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ家で一緒に生活する日常は、しばらく続いた。

操夜先輩がいたから、希望を失わずにいられた。操夜先輩がいるから、私は一人じゃないんだと思えた。

操夜先輩がどうして星と呼ばれるのか、私も納得できた。ユメ先輩はどこかふわふわした雲のようではあったけれど。操夜先輩は、決して変わることなくそこにあり続ける光。

お星さまは、たとえ隠れて見えなくなることがあったとしても、空の先にあり続けている。絶対不変で、たとえ天地がひっくり返るようなことがあったとしても揺るがないもの。

 

見上げれば、いつでもそこに操夜先輩がいる。だから私は、安心して歩いていくことができた。

 





本世界線では操夜先輩の本気のメンタルケアのおかげで、ホシノの精神はかなり健常になってます。それに無敵の操夜先輩という心の支えがあるので、黒服の提案とかも余裕で蹴ってます。
ユメ先輩エミュレートはここでもやっていますが、狂気の発露によるものではなく、どちらかというと使命感や自分の意思でやってます。

ちなみに操夜先輩ですが、ここまでめちゃくちゃやるための勇気は、ガチでヒナとアケヤにもらったものです。実のところゲヘナなので全然問題ない行動なのですが、操夜先輩だって全知全能ってわけじゃないので。
本作五話の「空崎ヒナ1年生(後期)」で、ヒナが聞いてない中で操夜先輩とアケヤがしていた話というのが、まさにこれでした。

書く予定はあまりないけどアンケート設置。皆さんはどの話が見たいでしょうか?

  • 続編(キヴォトス逆行・操夜先輩帰還後)
  • おまけ(主にホシノナギサアズサあたり)
  • 両方
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