約束のために、たった一人で足掻いた少女の話。

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O-01-i39 管理情報

 『O-01-i39』は笑うピエロの仮面をつけた女性型のアブノーマリティです。その詳細は判明していません。

 

 

 

 

 

『笑わないピエロ』

 

危険度クラス HE

 

ダメージタイプ R(3-4)

 

E-BOX数 18

 

良い 12-18

 

普通 6-11

 

悪い 0-5

 

 

 

◇管理方法

 

1、作業結果普通以下で、クリフォトカウンターが減少した。

 

2、慎重が3以下の職員が愛着作業を行った場合、その職員は顔を剥がされ『O-01-i39』が被った。

 

3、脱走した『O-01-i39』は殺害した職員から顔を剥ぐと、自ら被った。

 

 

 

◇作業結果

 

本能

1 普通

2 普通

3 普通

4 高い

5 高い

 

洞察

1 高い

2 高い

3 高い

4 低い

5 低い

 

愛着

1 最高

2 最高

3 最高

4 最高

5 最高

 

抑圧

1 最低

2 最低

3 最低

4 最低

5 最低

 

 

 

◇脱走情報

 

クリフォトカウンター 1

 

R 1.0 普通

 

W 1.0 普通

 

B 1.0 普通

 

P 1.0 普通

 

 

 

◇ギフト

 

カーニバル(頭2)

 

 慎重+6

 

 ピエロの仮面の形をしたイヤリング。彼女はこの仮面に、意識を移せるという。

 

 

 

◇E.G.O.

 

 

・武器 カーニバル(ナイフ)

 

クラス WAW

 

ダメージタイプ R・W(4-8)

 

攻撃速度 最高速

 

射程 長距離

 

 白色と赤色のシンプルな投げナイフ。手元に5本ずつナイフが装填され、0になればリロード時間が発生する。

 

 

 

・防具 カーニバル

 

クラス HE

 

R 0.7

 

W 0.5

 

B 1.2

 

P 1.5

 

 ピエロの衣装のような防具。身に纏えば、誰かを笑顔にさせたくなるとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は、笑顔が知りたかった。

 

 いつも笑顔であふれたあの町に、笑いを届けるべき私の居場所はなかった。

 

 私の役割は人々に笑いを届けることであり、私がいなくても笑顔な人々にとって不要なものだった。

 

 ある日、私は笑顔じゃないのにどうして人々に笑顔を届けられるのかと質問されて、ハッとなった。

 

 そうか、私は笑顔を知らないから、人々に必要とされないのか。

 

 ならば、頑張って笑顔を知らないと。

 

 それから私は笑顔を知ろうと頑張った。

 

 観察して、剥いで、被って、隅々まで調べて。

 

 それでも、私は笑顔になれなかった。

 

 私は笑顔を知らない。

 

 そんな絶望に苛まれていた時、不思議な扉に出会った。

 

 そしてその扉をくぐったその時、私の運命を変える出会いがあった。

 

 パンドラ。

 

 笑顔がステキな人だった。

 

 泣いてる私を助けてくれた。

 

 友だちになってくれた。

 

 笑顔を教えてあげると約束してくれた。

 

 私に、名前を付けてくれた。

 

 『エミ』

 

 彼女の大切な人の故郷の言葉で、笑顔という意味らしい。

 

 パンドラはそれが誰か教えてくれなかったけど、見ているだけですぐにわかっちゃった。

 

 彼女に渡したギフトを通して、一緒に同じものを見て、一緒にお話をして、笑顔の彼女を見て……

 

 きっと私は、勘違いしていたんだね。笑顔の本当の意味を。

 

 笑顔にもいっぱい種類があって、パンドラが先輩と一緒にいるときは、それはもう素敵な笑顔だった。

 

 先輩は、変なことばっかりやるけど、それで結果的にみんなを笑顔にさせてしまう。

 

 それと同時に、どうしようもないほど強力な力を、あの扉を通ったときの潮騒も感じる。

 

 彼はきっと、すごいステキな人だったんだと思う。

 

 だからパンドラも、巻き込まれてもなんだかんだで彼を許しちゃうし、一緒にいるときが一番楽しそうだった。

 

 パンドラが楽しいと、その気持ちが私にも流れてきた。

 

 怒りも悲しみも、楽しさや喜びだって。

 

 私が感じたことのない感情、きっとそれが私のことを変えてくれたの。

 

 それまで空っぽだった私の中が、素敵な感情で満たされていく。

 

 それが限りなくうれしくて、たのしくて、ずっとこのままでいたいと感じていた。

 

 ……そんなことは、ありえないのに。

 

 結局、幸せは長く続かなかった。

 

 この施設は地獄で、幸せな日々なんて綱渡りでしかなかった。

 

 施設が崩壊したのは、一瞬だった。

 

 気が付けばすべてが手遅れだった。

 

 施設中のアブノーマリティたちが脱走して、彼らを皆殺しにしていった。

 

 その理由は分からない。だけど『F-06-i61』が、あの悍ましきアリスが脱走したのを皮切りに、何もかもが崩壊していった。

 

 パンドラは皆のためにアブノーマリティたちと戦って、人型の赤い怪物に、切り裂かれた。

 

「……後輩!!」

 

「せん、ぱい……」

 

 先輩は、上半身だけになったパンドラを抱えて、泣きそうになっていた。

 

 今まさに、怪物が迫ってきているのに、パンドラとの時間を優先した。

 

「お、ねが、い…… い、きて……」

 

「……あぁ」

 

 一筋の涙を流した彼は、突如左目に開いた鍵穴から古い羊皮紙を取り出すと、赤い怪物を消し去った。

 

 マジシャンみたいにきれいさっぱり消し去った後は、狂ったように施設の中の怪物たちを消し去っていきました。

 

 ……それは、何の解決にもならないはずなのに。まるで、パンドラの敵討ちとでもいうように。

 

「……エミ」

 

『なに? パンドラ』

 

「ごめんね、今必死に私を生かそうとしてくれてるんだね?」

 

『もちろんだよ、だってパンドラは、友だちだもん』

 

「そっか、それじゃあ、友だちのお願い、聞いてくれる?」

 

『もちろん聞くよ、だから生きて!』

 

 私の必死な言葉に、彼女は首を横に振る。

 

 それだけで、もうどうしようもないのだと現実を突きつけられる。

 

 嫌だよ、パンドラ。

 

 もっと一杯教えてよ。

 

 笑顔じゃなくてもいい、恋でも愛でも、知りたいことはいっぱいあるんだよ。

 

「せん…… ぱい……」

 

 うつろな目で、パンドラが呟く。

 

 きっと彼女の目には、ここにいない彼の姿が映っているんだね。

 

 でも、少しだけ瞳に光が戻ると、私の方に顔を向けてくれた。

 

「もう、約束、守れそうにありません」 

 

「ごめんなさい、約束破ったことないって、絶対守るって、言ったのに……」 

 

「あなたに、嘘をついてしまいました……」 

 

『謝らないで、パンドラ』

 

 彼女が涙を流しながら私に謝罪してくれる。

 

 きっと意識も朦朧としていて、先輩と一緒いるときみたいな言葉遣いになっている。

 

 でも、そんな言葉はいらない。だって私は貴方にたくさんの素敵なものをもらったんだから。

 

「でも、もしもこんな私を許してくれるのなら、一つだけ、お願いがあります」

 

「なんだってしてあげます、私のすべてをあげるから」 

 

「お願いだから、私の代わりに……」 

 

 

 

 

 

「ジョシュア先輩のこと、お願いね」

 

 それはきっと、呪いの言葉 

 

 でも、大切な、約束 

 

「……大丈夫、絶対に守りますから」

 

 私の、生きる意味

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ちょっとエミ、これどういうこと!?」

 

「いやぁ、なんでかわからないんですけど、一緒に跳ばされちゃったみたいですね」

 

 路地裏、23区。

 

 路地裏の中で最も危険と言われるこの場所で、一人の人間が言い争っていた。

 

 金髪のスレンダーな女性は、自分の胸元に怒鳴っていた。

 

「嫌だからって、なんでエミが私の体の中にいるの!?」

 

「うーん、たぶんあの時の約束が関係しているような……?」

 

「だからってこんな面白人間みたいになるなんて……」

 

「でも分裂できるんで大丈夫ですよ」

 

「じゃあ最初からそうしてよ!」

 

「……うるさい」

 

 金髪の女性がスレンダーとトランジスタグラマーな女性に分裂すると、真っ白な女性が声をかけた。

 

 真っ白な肉塊のような防具を身に纏い、真っ白な銃器を背負う女性、シロは無表情のまま語り掛けてくる。

 

「……そもそも、なんで珍獣と知らない人が一緒にいるの?」

 

「えっと、そんなこと言われても……」

 

「まぁ、出られただけ儲けものじゃないですか? 本当なら出ることもできなかったっぽいですし」

 

「……でも、ジョシュアがいないし」

 

「それは仕方ないですよ、ほら……」

 

 そういってエミが指さす方向には、いまだに光を放出する場所が見える。

 

「たぶんジョシュア先輩も、まだ終わってないんですよ」

 

 そういって、瓦礫に座り込んだエミは、光が放出されるのをただ眺めていた。

 

 その様子にため息をついたパンドラは、シロに話しかける。

 

「ねぇシロさん。私がいなかった間の話を聞かせてくれない? 先輩が帰ってくるまでの間に」

 

「……いいよ、えっと」

 

「パンドラでいいよ、それともエミの方がその呼び方がしっくりくる感じかな?」

 

「……いや、あれはずっと珍獣って呼んでたし」

 

「ひどくないですか!?」

 

「ふふっ、そっか。仲がいいんだね」

 

「今ので仲良く見えますか!?」

 

「……よろしく、パンドラ」

 

「こっちもよろしくね、シロ」

 

「私を無視しないでくださいよ!!」

 

 光が満ちるまでの間、彼女たちは語り合った。

 

 自分たちが恋した男の話を、ジョシュアの話を……

 

 

 

 

 

 だが、光が消えて、暗黒が都市を包んでも、白夜・黒昼が終わっても、ジョシュアが帰ってくることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……本当に行くんですか?」

 

「……もちろん」

 

「だってあそこに、先輩がいるって噂があるんだもん」

 

 あれからしばらくの月日が流れ、今世間ではある噂が流れている。

 

 そこに招待され試練に打ち勝ったものは、望む情報を得ることができるという『図書館』。

 

 そこに、彼女たちの探すジョシュアがいるという情報が回ってきたのだ。

 

「でも、あそこには招待状がないといけないんですよね? だったら怪しい『動物園』から先に攻略した方が……」

 

「……これ」

 

 そういってシロが取り出したのは、『図書館』の招待状。

 

 エミが目を丸くしていると、パンドラが口を開く。

 

「それって……」

 

「そう、私たち宛の招待状。シロが食べてた板チョコの銀紙にチョコと一緒に包まってたって」

 

「……どうする? ボクとパンドラは行くけど」

 

「いや、もちろん行きますよ? でも本当にジョシュア先輩が図書館にいたとしてどうするんですか?」

 

 エミの素朴な疑問に、二人は顔を背ける。

 

「……まさか、何も考えていないんですか?」

 

「……たぶん、会えば何とかなると思う」

 

「そ、そうそう、先輩のことだし、何とかなるって!」

 

「全然だめじゃないですか!?」

 

 エミが叫ぶも二人は気まずそうに目を逸らす。

 

 その様子を見て、エミはため息をつく。

 

「はぁ、仕方ないですね。とりあえずジョシュア先輩がいてもいなくても情報自体は得られそうですし」

 

「「……えっ?」」

 

「いや、もしかしてちゃんと招待状見てないんですか?」

 

 そういってエミが指さしたところには、『白い旋律』と書かれていた。

 

「彼の情報を手に入れれば、ジョシュア先輩についても何かわかるかもしれません」

 

「「おぉ~」」

 

 感心したように拍手をする二人に、頭を抱えるエミ。

 

 こんなので大丈夫だろうかと思いながら、二人に向き直る。

 

「それじゃあ、行きましょうか!」

 

「「「目指すは、図書館!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・パンドラ

 

性別:女性

 

年齢:23

 

好意的嗜好:約束、ジョシュア、エミ、人間観察、楽しそうなこと

 

否定的嗜好:嘘、アブノーマリティー

 

 

 

◇特記事項

 

☆約束:幻想体・笑わないピエロ

 

 本来のパンドラが笑わないピエロと交わした約束により、両者が魂レベルで結びつき一つの存在となった。人間であり幻想体、幻想体であり人間という不思議な存在。

 本来であればTT2プロトコルのリセットでなかったこととなるが、様々な要因が重なり彼女の本体まで結びつき決して元に戻ることはなくなってしまった。

 笑わないピエロは約束を何よりも大切にする。彼女にとって約束は何よりも大切なものである、笑わないピエロとの約束を破ることは、それ相応の代償を支払うこととなる。もちろん、彼女もその約束に縛られることとなる。

 彼女は人間と幻想体の二つの特性を併せ持っている。不死性や記憶の保持の他、特定のアブノーマリティーに狙われないなどの特性を持ち、幻想体でありながらビナー相手であっても攻撃を加えることができる人間の性質も存在する。

 また、笑わないピエロという幻想体の、本来の記憶と危機察知能力を合わせて、ジョシュアに危険を知らせることができる。ほかの人物たちにも自ら騒動を起こすことにより注意喚起を行ったりするなど、なるべく人間が被害にあわないように立ち回る。

 彼女がこの先どうなるのか、それを知るものは誰も知らない……

 

 

 




まさかこれに気づいてくださるとは、ありがとうございます。
もしよろしければ、一言でもよいので記念に感想を書いていってくれると嬉しいです。
よろしくお願いします。

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