本編の戦闘シーンに難儀してたらこんな時期に…ウゴゴ…取り敢えずクリスマスイブには間に合ったぞ!!
『下』は明日投稿します。
あるあばら家の集合地、その一角で少女達が身を寄せ合い、小さな毛布に包まっていた。
「今日は特に冷えるね」
「ちょっと……!そっち毛布取りすぎだって…!」
「あぁっごめんなさい!」
「おかしいな。去年はもう少し余裕があったはずだが…」
「時が経つのは早いもの」とはよく言う。ことこの少女達にとってはある事情により、1日があっという間に過ぎていくように感じただろう。
「情けねぇな。そんなにガタガタ震える時間があったら外で遊んできたらどうだ?」
理由は勿論この女のせいである。寒さに震える少女達を嘲笑う彼女は見ている側が寒くなる様な季節感のない軽装備でそこにいた。
「アンタ寒くないの?」
「まぁ寒くはあるんだが、それよりもあんまり厚着が好きじゃなく―――って、そんな事が言いたくてわざわざ来てやったわけじゃないんだ。」
「?」
少女達の混乱をよそにキヨはこれ見よがしに4枚の紙とペンを置く。紙にはそれぞれ子供達の名前が書かれていた。
「これは……?」
「クリスマスが近いだろ?それで俺が―――じゃねぇあー……そろそろサンタクロースにプレゼントを用意して貰わねぇとな。だから―――。」
「「「クリスマス?」」」
「………そうか、そこからか。」
きょとんとする3人。しかし、ヒヨリだけが恐る恐る手を挙げた。
「クリスマス……確か、サンタクロースって言う悪い大人が子供に石を押し付けたり袋に詰めて連れ去る日だって聞いたことがあります…。も、もしかして今年は私達が…!?」
「うわぁぁぁん!どうせなら連れ去られた先はここよりはいい場所がいいです!!」
「ちげーよ!!ちがくねぇけどちげーよ!!どうしてそんな的確に悪い事だけ知ってるんだ!?」
泣くヒヨリをたしなめ、キヨは呆れたように溜息を付く。
「あのな、クリスマスってのはガキがサンタクロースって奴から何か一つプレゼントを貰うって言うイベントだ。」
「そろそろその時期だ。サンタに何が欲しいか伝える為にもこの紙に欲しい物を書いておけ。後で回収する。」
そう言い残し、キヨは自身の部屋へ戻っていった。
「……サンタクロース…本当にそんな奴がいるのか?」
「そんなわけないでしょ。むしろじゃあなんで今までは貰えなかったのって話だし。」
「それは……」
サオリの疑問をミサキは即座に否定する。それもその筈、サンタクロースの正体は子供の保護者である。彼女たちのような親のいない子供にプレゼントなど来る筈もない。
「来ない事が分かってる物に期待して裏切られるくらいなら最初から期待しないほうがいい。」
「……」
よってミサキのこの対応も仕方がないものなのである。
しかし、サオリにはキヨが嘘をつくとも思えなかった。本当に『サンタクロース』なる者がいて、願えば今年こそはプレゼントが貰えるのではないかという思い。しかし、家族を糠喜びさせたくないという思い。
「……書くんだ」
「あぁ」
「皆も書こう。あいつが言ったんだから嘘はないだろう。それに安心してくれ、『絶対にサンタクロースは来る』。」
「……」
力強い断言。その確信が何処から来るのかは分からなかったが信頼する姉の言葉に少女達は―――
■□□
―――プレゼントの準備(アツコ)
アツコ達に紙を渡した日の夜、キヨは紙を回収した。全てはアツコにクリスマスプレゼントを渡すため。辻褄を合わせる為に他の子供にもプレゼントを渡さなければならなくなったが、そんな事は些事でしかない。
「さてと、アツコの欲しい物は……?」
―――サンタさんへ
紙には拙い字で文字が綴られていた。どうやらアツコは手紙として伝えることにしたようだ。字の美しさについてはともかく、その丁寧な書きぶりから健気な思いが伝わってくるようだった。
「よーしお姉ちゃん張り切って用意しちゃうぞー!!」
一人でもこの発言を聞いたのなら解釈違いで身震いを起こしていただろう。しかし、そんな事はどうでもよくなるほどにキヨの気分は高揚していた。意気揚々と手紙を読み進める。
―――さいきん とてもさむいです。わたしたちは むかしからいっこの もうふの なかで ねています。
―――でも わたしたちも おおきくなって そのもうふでは みんないっしょに ねられません。
―――だから あたらしい おおきいもうふを ください。
子供らしい、心温まる文章。しかし、
「………クソッ」
先程までの興奮は何処へやら、キヨは冷水を浴びせられたような気持ちになった。
今朝小さな毛布を全員で取り合っていたことに始まり、これまで気付く機会はあったはずだった。毛布を渡したとして、それは確かにアツコが願った物だが、『アツコ個人の物』ではない。
それは、アツコの為のプレゼントと言えるのだろうか。
自身の盲目の結果、願う権利を使わせてしまい、彼女個人が欲しい物を求めさせることが出来なかった。
「………ハァ、タラレバ言っても仕方ないか。」
せめて、ここで手に入るものの中で最も良い物を。
そうと決め、翌日の市場に備えることにした。
■■□
―――プレゼントの準備(ミサキ)
「次は…ミサキか。」
すっかり気分の下がったキヨだったが、仕方なく次を読み上げようと手を伸ばした。
次に手に取ったのはミサキの物。
どうやら手紙ではないようだった。まあ、『欲しい物を書け』としか言っていない以上、むしろそれが普通なのだが。
「ん?」
違和感。キヨの目の前にあったのは、白紙。正確には誰が誰のものか分かるようにとキヨが書いておいた名前だけが書かれていた。
「うそだろ………」
時はキヨが紙を渡して自身の部屋に戻った後に遡る。
「……私はこれがいいかな。ヒヨリは何を書いてるの?」
「私ですか!?えぇっと……その……」
サオリの力強い断言により、アツコとヒヨリはペンを手に取った。しかし、
―――ミサキだけは、書かなかった。
サオリはミサキが書いていないのを理解していた。自身の言葉が信用できなかったのか、それとも欲しい物が無いのか。
どちらにせよサオリは少し、悲しさを覚えた。
一方、ミサキは確かに「期待を裏切られる」ことに対する嫌悪感もあった。しかし、そんな事よりもキヨの最後の言葉が気がかりだった。
彼女は確かに言った。「後で回収する」と。
つまり、キヨに自身の願いを見られるということ。
さて、この戒野ミサキという少女。一見落ち着きのあるこの少女達の副リーダーとして振る舞っているが、存外年頃の少女らしい趣味がある。
つまり、
(ぬいぐるみが欲しいなんて書けない……!絶対アイツにバカにされる……!!)
少女は、意地を張った。
別に他の物を願えばいい。しかし、『欲しい物』。この単語を聞いた瞬間にミサキの頭は可愛らしいぬいぐるみが締め、冷静な判断が不可能になっていた。
これが白紙の真実である。
時は現在。
「あんのマセガキ!!どうせ『プレゼントなんか来ねぇ』とか『期待するだけ無駄』とか考えて書かなかっただろ!!」
半分正解である。もう半分はお前のせいである。
キヨは悩む。書かなかった以上、プレゼントは無しと切り捨てることもできる。しかし、他のプレゼントを用意し、ミサキの物だけ用意しなかったら?
気まずい雰囲気になることは避けられない。せっかくのクリスマスの思い出がそうなってはならない。
悩む。考える。無限の思考の末―――
「ぬいぐるみ…?」
キヨはミサキがいつの日かぬいぐるみを抱いて寝ていたことを思い出した。
「そうだ、それがいい。ハハッ!アイツがアツコとかヒヨリ辺りにプレゼントについて言われて顔真っ赤にしてる様が浮かぶ!あんまり大人を舐めるなよクソガキが!!」
こうして、キヨは意図せずミサキの願いを汲み取った。
市場に良い毛布とできるだけ可愛らしいぬいぐるみを買いに向かったキヨ。しかし、一つ問題があった。
「ぬいぐるみが、無い………!?」
正確にはゴミの溜まり場に放置されたボロボロの物など、あるにはあるのだが、流石にそれではマズイだろう。
それに、キヨには狙いがあった。
(できるだけ可愛い物渡してアイツを羞恥で殺す……!)
屑である。
だが、日が落ちる直前まで市場を隅々探してもそんなものは見つからなかった。
「仕方がない……時間もかかるからあまりやりたくはなかったんだが……」
■■■
その日の夜、キヨの目の前には布、針に糸、綿などを机の上に置く。
そして、一冊の雑誌を取り出し、それに載っていた所謂フェルトマスコット、キヨはその製作に乗り出した。
勿論制作は難航した。雑誌に載っていたのは『マスコット』。つまり小さいのだ。それを『ぬいぐるみ』と呼べる程度に大きく変化する必要があった。
1日、2日と時間は過ぎてゆく。少女達に悟られないよう、間違っても起きない時間に、睡眠時間をある程度確保しつつ、いつも通り4人の世話を焼きながら行う必要があったのだ。
そして、
「あっぶねぇ……間に合ってよかったぁ……」
「うん、久しぶりにしてはよくできてるじゃないか。さすが俺だな。」
遂に完成した。
「もうクリスマスイブかぁ……ん?」
12月24日に、である。
つまり、
「やっべ、他のヤツ全然用意してねぇ!?」
タイムリミット、残り23時間!
「アイドルマリーを20連で引いて次の10連でアイドルわっぴーを引いたので投稿者の人生はここまで」
『これはゲーマーとして越えてはならなかった最後の一線こと
「ありとあらゆるゲームで日常的に
今後の流れはどうしたほうがいいでしょうか
-
寄り道無くブルアカ本編に行ってほしい
-
少し寄り道もとい日常回がほしい