真遊side
ゲイムギョウ界へ漂流してから1ヵ月の月日が流れた。この世界の文字をようやく覚え、クエスト以外にも書類整理を行えるようになった。
現在僕は亜由美さんと一緒に書類整理を行っている。その内容はプラネテューヌの現在のシェアをグラフにすることらしい。
「シェア低下が酷すぎますね…。」
「ええ、ネプテューヌが毎日仕事を押し付けているからね…。」
僕はグラフを書類に書きながら亜由美さんと会話する。ネプテューヌの日常生活を察するに、シェアの低下は酷かった。そりゃ仕事サボってゲームばっかりやってたらねぇ……○りと○らでも少しはしっかりとした生活送ってるのに…。
「これをこうして………よしっ、終わった~。」
「お疲れ様、真遊。これをイストワールに届けに行くわよ。」
「はい。」
僕達は書類をまとめると、それを持ってイストワールさんがいるリビングへ向かう。
「そういえば亜由美さん。」
「ん?」
「あの時のことなんですけど…。」
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それは、亜由美さん(ポッピー)がプラネテューヌ教会にやって来た日のこと。
『あ、そうそう!いい忘れるところだった!よいしょ!』
ポッピーは思い出したかのようにゲーム画面を内側からスライドさせた。するとそこにはマイティアクションX、タドルクエスト、ドレミファビートを含めた合計10種類のゲームタイトルが表示された。
『この10種類のゲームをぜ~んぶクリアして、ゲイムギョウ界を救うスーパーヒーローになってね!』
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「10種類のゲームをクリアすると、どうなるんですか?」
「単純よ。全てのゲームをクリアすれば、このゲイムギョウ界を救えるヒーローになれるの。」
「10種類のゲームを攻略…?どうやって…?」
僕は亜由美さんから言われたことに疑問を浮かべる。そう、亜由美さんが表示した10種類のゲームの中には、開発中止になったソフトも含まれているからだ。開発中止になったゲームを攻略するって…そんなものどうすればいいんだ?
「いい加減に……!してくださぁぁぁぁぁぁぁい!!!」
「ねぷっ!?それやっちゃダメって説明書に書かれているのに!」
リビングからイストワールの怒号が響いた。ネプテューヌ……また仕事サボってイストワールに怒られてるのか…。
僕は向こうの状況を察しながらリビングに入る。
「イストワールさん、頼まれた書類整理終わr…。」
ガンッ!(会心の一発!)
「!?」
「「「あっ…!」」」
「…。」
突然飛んできたゲーム機本体が僕の顔面に直撃。その瞬間、僕は激痛とショックで倒れた。よい子の皆は絶対に真似しないでね。こうなるからね。
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「申し訳ありません!」
「いったたた………こ、この世からガメオベラするところだった…。」
イストワールさんに案内された薄暗い部屋の中で、僕は強打した顔面を押さえている。亜由美さんに絆創膏を貼ってもらったとはいえ、まだ痛む。ゲーム機を振り回してたのはイストワールさんだったらしく、ゲーム機を僕の顔面に当ててしまったことを謝っている。まぁ、ネプテューヌが仕事サボッてばかりなのが一番の原因なんだけどね。
「それよりも、四人とも“これ”を見てください!」
イストワールさんがこの部屋にあるパソコンの起動ボタンを模した結晶・シェアクリスタルを注目するように言った。僕と亜由美さんはシェアクリスタルを見つめる……が、何故かネプテューヌとネプギアちゃんはイストワールさんの方を注目していた。
「シェアクリスタルの方を見てください!」
見つめられたことが恥ずかしかったのか、両足をもじもじしながら言い直した。
「シェアクリスタルがどうかしたんですか?」
「シェアクリスタルに集まる、我が国のシェアエナジーが最近下降傾向にあるんです!」
ネプギアちゃんの質問に、イストワールさんは丸メガネをかけ、さっき僕と亜由美さんが書いたグラフを見せながら説明した。シェアエナジーとは、それすなわち国民が女神を信じる心のこと。
「まだたくさんあるんでしょ?そんなに心配すること無くない?」
「でも、この下降は危険ゾーンよ?」
「そうです!この下降傾向はすなわち、国民の皆さんの心がネプテューヌさんから少しずつ離れているということなのです!」
ネプテューヌ、面倒くさそうに言ってるけど、亜由美さんの言う通りあの下降はやばいと思うよ…。
「え~?私、嫌われるようなことした覚えないよ~?」
「ん~………
“好かれるようなこと”も最近してないかな?」
ネプギアが正論を言い放った。まぁ確かに、あんなにぐうたらしてたら……ねぇ…。
「ネプギアと亜由美さんの言う通りよ、ねぷ子。」
突然アイエフの声が聞こえた。僕達は後ろへ振り返ると、そこにはアイエフとコンパが部屋の中に入ってきた。仕事を終えて戻ってきたようだ。
「すみません、イストワール様。話が聞こえたもので…。」
「アイエフさんとコンパさんなら別に…。」
「あいちゃんまでいーすんの味方して~……コンパは違うy「ねぷねぷ、これを見るです。」…ん?」
ネプテューヌはコンパが取り出した紙を見る。
「えーと…『女神の存在は、No thank youだ』…はうあぁっ!?」
そこには女神アンチの言葉が書かれていた。これにはネプテューヌが、そしてイストワールさんが驚きの声を発した。この女神アンチ、勇介と同じ風に言ってるよ…。
「こういう人たちにねぷねぷを分かってもらうには………お仕事もって頑張らないとです。」
怖っ!?言ってることは正論だけど何なの今のコンパの表情!?
「おおう!?これぞ四面楚歌!?私大ピンチ!?」
「ピンチなのはこの国の方です!」
イストワールがネプテューヌを説教し始めた。
「そういえば亜由美さん、勇介は何処へ行ったんですか?」
「何でも、幻夢の社長から招待が届いて、今はプラネテューヌにある幻夢の本社にいるはずよ。」
幻夢の社長から招待!?すごいな…。
「私、女神の心得を教わってくるよ!」
「……はい?」
亜由美さんと会話している内に、ネプテューヌが提案を閃いた。女神の心得を教わりにいくことらしい。
「教わるって……誰にです?」
「えっと………“ラステイション”の、ノワール!」
「「「「「「ええええええええ!?」」」」」」
なんと、ノワールに女神の心得を教わりにいくというトンデモ提案だった。それ大丈夫なの!?
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プラネテューヌから遠い道程、僕達が訪れたのはラステイション。見た感じ、四大陸の中では工業国のような街並みだった。そのラステイションの教会へ行き、この国を治める女神・ブラックハートことノワールのもとを訪れた…………のだが
「ねぇ、よく分からないんだけど…………どうしてお隣の国の女神が人の教会で寝てるのかしら!?」
「あ~、私の事は気にせずに仕事してていいよ~。」
「私が気にするわよ!」
ノワールが突っ込む通り、ネプテューヌが教会に着いて早々、ベランダにあるデッキチェアに寝転がっていた。
「本当にごめんね、ノワール。うちの駄女神(ネプテューヌ)が…。」
「貴方も大変ね…この世界に迷い込んで、居候してもらっているとはいえ、ネプテューヌがこんなんじゃあ…ね…。」
「まぁ、慣れってものですよ…。それに、もう一人仮面ライダーに変身する人がいますから。今ここにはいませんけど…。」
僕は勇介のことをノワールに話した。するとノワールは何か思い出したかのような表情をした。
「そういえば…こっちにも、国民の中に仮面ライダーを見たという噂があったわ。」
「え…?それは誰なんです?」
「確か…真遊と同じベルトを着けてて、“銃とナイフを持っていた“って聞いたわ。」
「“銃とナイフ”…!?」
すると亜由美さんがノワールの言葉を聞いて反応した。何故か“すごい険悪な表情”で…。
「何か知ってるんですか?」
「銃とナイフを持っているのが確かなら…もしかして…。」
どうやら亜由美さんはそのライダーについて見覚えがあるらしい。あの表情から察するに、変身者は危険な人物らしい。
「お姉ちゃん起きてよ~!女神の心得を教わるんじゃないの~!?」
「え~?いいじゃん別に~。」
一方、ネプテューヌはまだ寝転がっていた。ネプギアちゃんが起こそうとするも、全く起き上がらないネプテューヌ。これはちょっと、檄(物理)を飛ばさないといけないかな…?
この光景を見た僕は、ゲーム機を取り出して電源を入れる。それと同時に俺は人格を変え、ネプテューヌに近づく。
「おいネプテューヌ…。」ペキッ!ペキッ!
「ねぷぅ!?真遊!?…ってなんで人格変わってるの!?ゲームじゃないのに…!?」
「ゲーム機の電源入れて強制的に人格変えたんだよ。」
俺は指の骨を鳴らしながらネプテューヌに言う。ネプテューヌは冷や汗をかきながら飛び起きた。
「お前、ノワールから女神の心得を教わるためにここまで来たんだろ?」
「い、言ったけど…そ、それが………?」
「その言い出しっぺが………他人の家でぐうたらしてんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「ねぷぷぷぷぷぷっ!?い、痛い!ユッキーやめて!ごめんなさい!ギブギブギブギブ!」
俺は駄女神(ネプテューヌ)にコブラツイストをかました。
「「「「…。」」」」
アイエフ、コンパ、亜由美、そしてノワールはこの光景を見て呆然としていた。
「ま、真遊さん落ち着いて下さい!お姉ちゃんも反省してますから!」
「…そうだな。」
俺はネプギアに言われてコブラツイストを止める。ネプテューヌはその場で悶絶した。俺は再びゲーム機を取り出すと、電源をオフにした。
「はぁ…これに懲りたら、しっかりと心得を教わるんだよ?」
「は、はい…。」
僕は人格を戻すと、ゲーム機を仕舞いながらそう言った。あの顔を見るに、相当反省しているようだ。
「…と言うわけで、いいかなノワール?」
「悪いけどお断りよ。私、敵に塩を送る気なんてないから。」
僕はノワールにお願いしたが、断られた。
「えぇ~?敵は違うでしょ?友好条約結んだんだし~、もう仲間でしょ?」
「シェアを奪い合うことに変わりはないんだから敵よ。」
ノワールは冷たく切り捨てた。ちょっと、いくら何でも敵と見なすのはあんまりだと思うな…。
「も~、そんな冷たい事を言うから友達がいないとか言われちゃうんだよ?」
「なっ!?…と、友達ならいるわよ!」
「へぇ~……誰なの?どこの誰さん?」
ノワールの弱点を突いたネプテューヌは真顔で問い詰めた。ちょっ、それ以上はいけない!
「え…?そ、それは……。」
ノワールは明らかに焦った表情になっている。そして涙目である。もしかして…本当に友達いないの…?
「お姉ちゃん、この書類終わったよ。」
ここで、ノワールの妹であるユニちゃんが書類を持ってやってきた。その際、ネプギアが手を振ってきたので同じ手を振った。
「………あ、ユニお疲れ様。そこに置いといて。」
「…何かあったの…?」
「べ、別に何でもないわよ…。」
「そ、そう…?ならいいんだけど…。」
ノワールの表情を見て疑問を浮かべながらも書類を近くのデスクに置いた。
「それよりお姉ちゃんどうだった?今回早かったでしょ?私すごく頑張って…。」
「そうね…“普通”レベルにはなったわね。」
「……。」
ユニちゃんはノワールの言葉を聞いて悲しそうな表情になった。ノワールからの褒めの言葉を期待していたユニちゃんにとっては厳しい一言だった。
「あ、もしかして友達ってユニちゃんの事なの?妹は友達とは呼べないんじゃないのかな~?」
「な!?ち、違うわよ!他にちゃんといるわよ!」
「とか言って、本当はぼっちじゃないの~?」
「そ、そんなことないわよ!」
ネプテューヌがまたノワールをからかい始めた。必死に反論するノワール。そんな二人のやり取りの中、落ち込んでいるユニちゃんは静かにその場から去っていった……あれ、今“頭を押さえていた”?…………まさか…!
ネプギアちゃんはユニちゃんが去っていくのを見て、後を追おうとした。
「ネプギアちゃん、僕も一緒に行っていいかな?」
「真遊さん…分かりました。ユニちゃんの後を追いましょう。」
「うん…!」
僕はネプギアちゃんと一緒にユニちゃんの後を追う。あの時“頭を押さえていた”のが前兆なら間違いない………ユニちゃんはバクスターに感染してる!
銃斗side
ベンチに座っている俺は、兄の形見であるコンバットナイフを見つめている。このナイフは昔、兄が戦闘の際に使っていたものだ。兄が戦死した今、俺がこれを形見として所持している。あっちの世界で所持していたら銃刀法違反に引っ掛かるが、ゲイムギョウ界ならその心配がない。
「しばらくぶりだな、傭兵。」
「…グラファイト…!?」
すると、俺のもとへグラファイトが現れた。緑色の竜人のような容姿に背中に折り畳まれた骨の双刃刀。そう…3年前、俺の兄を殺した因縁の相手だ。
「貴様はもはや、生きる屍同然だ。お前の兄と同じく俺がこの手で葬る!」
「奇遇だな!俺もお前に会いたいと思ってたぜ…!」
俺はナイフを仕舞うと、怒りの表情を浮かべながらゲーマドライバーを取り出す。
「3年前の…兄の仇を取ってやるぜ…!」
俺はそう言いながらドライバーを装着しようとした。その時
「全くグラファイト…勝手な事をするなよ。」
「…お前誰だ?」
突然謎の青年が、ゲームをプレイしながらグラファイトの横に並んだ。恐らくあいつもバグスターか…。
「それより賭けようぜ。一番強くて、一番多くのゲームをクリアする仮面ライダーが誰なのかを…。」
「ふんっ…全くお前も物好きな奴だ。」
青年はグラファイトに賭けの話をすると、そのまま消えていった。一番多くのゲームをクリアする…………そうだ、全てのライダーガシャットを揃えれば、あいつらを…バグスターを殲滅できるだけの力が手に入る…!他のガシャットも手に入れないとな…。
「ん…?」
俺はふと見ると、池の畔で黒髪の少女が落ち込んでいるのが見えた。あいつ…バグスターに感染しているな…よし…!
俺は黒髪の少女のもとへ向かう。
真遊side
「ユニちゃ~ん!」
「どこ行っちゃったんだろう…?」
僕達はユニちゃんを追いかけていたが、途中で見失ってしまった。ここの教会もかなり広いため、迷いやすい。早くユニちゃんを見つけないと…!
僕達は探索している中、池の畔までやってきた。
「あ、ユニちゃんだ!」
「本当だ!行こう!」
ようやくユニちゃんを見つけた。
「ユニちゃ~ん!」
「おーい!」
「ネプギア…?真遊さん…?」
僕達は声を掛けながらユニちゃんのもとへ行く。ユニちゃんの目には、先程の件もあってか涙が出ていた。僕達はユニちゃんのもとへ近づこうとしたその時
「ううっ…!?」
「ユニちゃん!?」
突然、ユニちゃんが再び頭を押さえた。まさか…!?
僕はポケットからスマホを取り出すと、亜由美さんと協力してダウンロードした[バグスタースキャナー]というアプリを起動し、カメラをユニちゃんの方へ向ける。すると画面に映っているユニちゃんに銃のマークが寄生していた。やっぱり、ユニちゃんにバグスターが…!
僕はアプリを閉じると、すぐに亜由美さんに電話を掛ける。
「亜由美さん!すぐに池の畔まで来て下さい!」
『どうしたの!?』
「ゲイム病です!ユニちゃんがバグスターに感染してます!」
『っ!分かったわ。すぐにそっちに行くわ!』
僕は亜由美さんに連絡を取り終えると、ゲーマドライバーを取り出して装着する。
「ユニちゃん、大丈夫!?」
「うっ…!頭が…痛い…!」
「安心して、すぐに治すから…!」
僕はそう言ってマイティアクションXを取り出す。
「そいつは俺がやる。」
すると突然、謎の青年がそう言いながら現れた。
「あの……一体誰なんですか…?」
青年は僕の問いかけに答えず、無言であるものを取り出した。
「ゲーマドライバー!?」
それは紛れもなく、僕や勇介が所持しているのと同じゲーマドライバーだった。なんでこの人が持ってるんだ!?
「ううっ……!」
そうしている間にもユニちゃんの頭痛は酷くなってきている。あの人の威圧感に恐怖して、ストレスが募っているんだ…!青年はドライバーを装着すると、ユニちゃんに近づこうとする。
「ちょっと待って下さい!」
「どけ、邪魔だ。」
「きゃっ!?」
青年はネプギアちゃんを強引に払い除けた。
「ネプギアちゃん!」
「っ…!」
僕は倒れたネプギアちゃんのもとへ駆け寄る。
「ううっ…………あああっ…………!」
「…!」
「ユニちゃん…!?」
ユニちゃんはバグスターによる頭痛で苦しむ。そして
「『迎撃作戦、開始!』」
ゲイム病を発症したユニちゃんの目が赤く発光し、バグスターの声と重った。そしてユニちゃんの身体がバグスターに包まれると、やがて巨大なデリンジャー型のバグスターユニオンへと変貌した。
『ギィィ!ギィィィ!』
「!」
「い、いやあああああああ!」
ネプギアちゃんは信じられない表情で悲鳴を上げた。
「なるほど、俺と同じゲームのバグスターか。肩慣らしには丁度いい相手だ。」
「……え?」
青年はそう呟くと、紺色のガシャットを左手で持ち、銃のトリガーを引くようにガシャットを起動した。
『バンバンシューティング!』
すると、青年の背後にバンバンシューティングのスタート画面が表示され、ゲームエリア展開と共にあちこちにドラム缶が配置された。
青年はガシャットを右手に持ち変えると、ガンスピンの如くガシャットを回し、読み込み端子が下になるように構える。
「変身!」
そしてもう一度ガシャットをスピンさせながらドライバーに挿入した。
『ガシャット!レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!?』
青年の周りにキャラクターセレクトが展開され、青年は銃を撃つようにバンバンシューティングの主人公に似たバネルを選択した。青年の身体にパネルが取り込まれ、青年の身体にアーマーが装着された。
『アイム ア カメンライダー!』
青年は仮面ライダーに変身した。見慣れたゆるキャラ姿に、頭部はバンバンシューティングの主人公を模しており、頭部には【STG】の文字が刻まれた紺色のヘルメットが装備されており、右目には髪のようなパーツが覆っている。胸部のA、Bボタンに相当する部分にはハンドガンとライフルのマークがあった。
青年の周りにサークルが出現し、銃が写ったパネルが現れ、実体化して青年の右手に装備された。
『ガシャコンマグナム!』
「ミッションスタート!」
青年は銃を撃ちながらバグスターユニオンに突撃した。
「はあっ!たあっ!オラッ!」
『ギィィィ!』
青年はその卓越した身体能力で周りのドラム缶に飛び移り、攻撃を避けながら正確に射撃している。バグスターユニオンが怯んだところで青年は地面に着地する。
「はあああああああっ! てやぁああああ!」
青年は弾丸状のエネルギーを纏うと、回転しながらバグスターユニオンに突撃。バクスターユニオンはこれを受けて爆散し、あっという間にユニちゃんから分離した。
「ユニちゃん!」
「大丈夫かい!?」
僕とネプギアちゃんは倒れているユニちゃんに近づく。ユニちゃんは目が覚めてすぐに立ち上がる。
「いてて……はぁ、やっぱりこれは諸刃の剣だな…。」
一方、青年もその場で膝をついていた。あの攻撃を繰り出した反動で青年の方にもダメージが来たらしく、その証拠にHPが少し減っている。
「真遊!」
「あ、亜由美さん!」
ここで、ようやく亜由美さんが合流した。亜由美さんは青年の姿を見るや否や、険しい表情になった。
「真遊、なんで“あいつ”がここにいるの…!?」
「知り合いなんですか?」
「彼は、仮面ライダースナイプ。」
スナイプ……今度は狙撃手を意味しているのか…。
「…そういえばこのゲーム…開発中止になったバンバンシューティングじゃ…!?」
「流石天才ゲーマー、詳しいわね。ターゲットのリボル隊長を銃で仕留めるガンシューティングゲームよ。」
亜由美さんはバンバンシューティングについて説明した。そういえば、あの10種類の内のゲームの中にバンバンシューティングも含まれていたような…。
そうしている間に、散らばったバクスターウイルスがそれぞれ人型に変化した。一体はバンバンシューティングに登場したリボル隊長を模したキャラであり、残りは陸軍兵士姿の戦闘員だった。
「総員、作戦開始!」
『『『『ピピピッ!!』』』』
リボル隊長の命令を聞いて戦闘員達はアサルトライフルやら、ピストルやら、ショットガンなどの銃火器を構えた。
「いくぜ…! 第弐戦術!」
青年はそう言うと、ドライバーのカバーを開いた。
『ガッチャーン! レベルアップ!』
青年は目の前に出現したゲートをローリングで通過し、ジャンプする。
『ババンバン!バンババン!イェア!バンバンシューティング!』
青年は周りのターゲットをガシャコンマグナムで撃ち抜き、レベル1の体をパージすると、銃を真上に発射した。
紺色がメインカラーで、蛍光イエローのラインが走っている。そして肩から右半身を覆う蛍光イエローのマントが、ガンマンらしいデザインを引き立てている。
『ガシャコンマグナム!』
青年は再びガシャコンマグナムをコールした。さらに左手には、紺色のコンバットナイフが装備された。ノワールが言っていた銃とナイフを装備したライダー……まさにあの人だ!
「はあっ! オラッ!」
青年は突撃し、銃を連射して戦闘員達を蹴散らしていく。だが青年の狙いは戦闘員達ではなく、親玉であるリボル隊長だ。僕は青年の行動を見てある事を思い出す。そう、バンバンシューティングが開発中止になった理由が、その理不尽な難易度にあることだ。隊長リボルを倒さないと兵隊がどんどん強化され、最終的にはリボルそのものになり、おまけに本物のリボルはステルス化してしまうからだ。あの青年はゲームの内容を理解している上で、短時間で片付ける構えだ。
「てやっ! そらっ!」
「ぬっ! はあっ!」
青年は左手のナイフでリボルとの格闘戦に挑む。洗練されたCQC、かなりの経験を積んでいると思われる青年の格闘はリボルを圧倒していく。
「ぐうっ!? おい、モタモタするな!援護しろ!」
『『『『『ピッ!』』』』』
リボルの命令で戦闘員達が青年に照準を向ける。青年はガシャコンマグナムのBボタンを押す。
「はっ!」
『『『『『ピピッ!?』』』』』
青年はフルオート射撃で戦闘員達を一掃すると、再びCQCを行う。
「せやっ! オラオラオラオラァ!」
「ぐおっ!? がはっ!?」
青年はナイフでリボルを刺していく。短時間で撃破するとはいえ、これはなかなかにエグい。
「ひっ…!?」
これには流石にユニちゃんも怯えてしまった。その時
『『『ピピピピッ!』』』
突然、新たに戦闘員が出現した。しかも今度は対爆スーツに軽機関銃という重装備だ。
「増えた…!?」
「しかもさっきよりも重装備になってる…。」
亜由美さんとネプギアちゃんはそれぞれ呟いた。ユニちゃんが恐怖したことで戦闘員が強化された状態で出現した…もしかして…バグスターはストレスで増殖するのか…?だとしたらユニちゃんをここに留めるのは危険だ…!
「亜由美さん、ネプギアちゃん、ユニちゃんを連れてこの場から離れて下さい!」
「分かったわ!」
「はい!」
僕は二人にそう言ってユニちゃんを退避させると、マイティアクションXを起動する。
『マイティアクションX!』
ゲームエリア展開と共に俺も人格を変えた。
「ユニの運命は…俺が変えてやる! 変身!」
『ガシャット!レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!? アイム ア カメンライダー!』
俺はエグゼイドに変身した。
「大変身!」
『ガッチャーン!レベルアップ!マイティジャンプ!マイティキック!マイティマイティアクションX!』
俺はさらにレベル2へレベルアップした。
『ガシャコンブレイカー!』
「うおおおおおっ!」
ガシャコンブレイカーをコールすると、増援として呼び出された戦闘員に向かって突撃する。
「はあっ! とりゃ!」
『『『ピッ!?』』』
俺は跳躍力を活かしたジャンプ攻撃で重装備の戦闘員達を攻撃する。いくら対爆スーツで防御力を高めているとはいえ、集中的な衝撃には弱い。あっという間に撃破した。
「よし、俺も本丸を叩くか!」
俺はリボルを倒そうと駆けつける。
「でりゃあ!」
「ぐふっ…!」
俺が駆けつけている間にも、青年はリボルを怯ませた。これはチャンス…と思った矢先
「…! ふっ!」
「うわっ!?」
今度は青年に銃撃されてしまう。
「お前何すんだよ…!?」
「プレイヤー同士が競い合ってこそゲームだ。」
こいつ…ライダー同士のバトルを肯定してるのか…!?俺は青年の好戦的な思考に憤りを感じた。すると青年の背後からナイフを持った戦闘員が奇襲しようとしていた。
「はっ! そりゃ!」
俺はこれを見てブロックを生成しながらジャンプし、ハンマーで戦闘員を倒す。
「プレイヤーが共闘するのもゲームだ!」
俺は先程の言葉にそう言い返した。
「ぐっ…増援部隊!」
リボルは再び増援部隊を呼んだ。すると今度は戦闘員達がリボルの姿へと変化した。やばい、いくら何でも強化のスピードが早い…!
「一気に決めるしかない…!」
『ジャ・キーン!』
『ガシューン』
俺はガシャコンブレイカーをソードモードにすると、ドライバーからマイティアクションXを抜き、息を吹き掛けてからガシャコンブレイカーに差し込んだ。
『ガシャット! キメワザ!』
俺は剣にエネルギーを溜める。
『MIGHTY CRITICAL FINISH!』
「はああああ…!おりゃああああああ!!」
『『『『ぐわぁぁぁ!』』』』
俺は剣を構えたまま体を高速回転させ、リボル達に向かって連続で攻撃した。ある程度攻撃したところで、俺は着地する。リボル達はこれを喰らって爆散するその直前
「!?」
なんと爆散する直前、リボル達全てが増援の時に呼び出された戦闘員に戻った。嘘だろ…!?本物はもうステルス状態…どうすりゃ…!?
「……そこだ!」
「ぐはっ!?」
すると、青年がステルス状態になっていた本物のリボルに銃撃を命中させた。
「き、貴様…何故ステルスを…見破った…!?」
「背景の違和感がバレバレだ。」
『ガシューン』
青年はリボルのステルスを見破ると、ドライバーからバンバンシューティングを抜くと、キメワザスロットホルダーに挿入してボタンを押す。
『ガシャット! キメワザ!』
青年は右足にエネルギーを溜める。最大限溜めたところでもう一度ボタンを押した。
『BANGBANG CRITICAL STRIKE!』
「はぁぁぁぁぁ…!」
青年はガシャコンマグナムで牽制しながらリボルに向かって走る。そしてジャンプし、左手のナイフをリボルの肩に突き刺す。
「おりゃあああ!」
「ぐわああああああ!!」
そしてそのまま右足で飛び膝蹴りを繰り出した。これを喰らったリボルは爆散した。
「ミッション、コンプリート。」
『ゲームクリア!』
青年の周りにゲームタイトルが表示され、その中からバンバンシューティングに『GAME CLEAR!』のマークが押された。
『ガシューン』
変身を解除し、人格を戻した僕は3人のもとへ向かう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
僕は先程の池の畔にある小屋へ戻ると、そこには三人がいた。
「あ、真遊さん。バグスターは?」
「大丈夫、倒したよ。それよりユニちゃんは?」
「もう大丈夫。完全に治ってるわ。」
「良かった…。」
ユニちゃんのゲイム病が治った。だがユニちゃんの表情は未だ暗いままだ。すると
「よぉ、久しぶりだな。“ポッピーピポパポ”。」
すると、先程の青年が僕達のもとへやってきた。青年は亜由美さんのことを知っているようだ。
「なんで銃斗がゲーマドライバーとライダーガシャットを持ってる訳…!?」
亜由美さんは表情を険しくして銃斗と呼ばれた青年に質問した。どうやら二人は面識があるようだ。見ての通り険悪だが…。
銃斗は亜由美さんの質問には答えず、僕の方を見る。
「お前、ゲームになると人が変わるタチか。」
「それが何ですか…?」
「また“遊ぼう”ぜ、天才ゲーマー。」
銃斗はそう言い残すと、そのまま去っていく。
「ちょっと…!」
亜由美さんは呼び止めようとしたが、行ってしまった。
「誰なんです…?」
「狙山銃斗。3年前、仮面ライダーだった男よ。」
亜由美さんは銃斗に関して言った。3年前に何か不祥事を起こしたような言い方だったけど…。
「…はぁ。」
ユニは溜め息をついた。先程の件や、ゲイム病を発症したことで精神的な疲労が溜まっていたんだろうね…。
「それよりもユニちゃん、さっきはごめんね。お姉ちゃんが話を遮っちゃって…。」
「いいわよ…お姉ちゃんは私に対していつもあんな感じだから…。」
ネプギアちゃんとユニちゃんが会話していた。ノワールって、自分にも身内にも厳しいのか……確かに、友好条約を結んだにも関わらず、ネプテューヌを敵と断言してしまう辺り、少々きつい部分がある。
「お姉ちゃんよりも仕事できないと褒めてもらえないし……そんなの無理なのに……。」
ノワールよりも仕事できないと褒めてもらえない…それで相当なストレスが溜まってたのか……ん、ちょっと待って…?じゃあ、今までの人達もストレスが原因でゲイム病を発症したってこそなのかな…?
「真遊、どうかしたの…?」
「あ、えっと…ユニちゃんがゲイム病を発症した時、今までにゲイム病になった人達との共通点が分かったんです。」
「共通点?」
「“ストレス”です。」
「ストレス……確かに、ストレスが溜まると、免疫力が低下する…。」
「免疫力が低下すれば…。」
「ウイルスが活性化する…!」
僕と亜由美さんはバグスターが増殖する原因を見つけ出した。この話はネプギアちゃんとユニちゃんも聞いていた。ストレスが原因でゲイム病にかかったと知ったユニちゃんはさらに暗い顔をした。
「…私って駄目な女神候補生だよね…ゲイム病っていう特殊な病気にかかっちゃって…。」
「ユニちゃん…。」
「それに私…今はまだ変身できないし…。」
「変身って、女神化のこと…?」
「はい…今はまだ出来ないですけど、いずれはネプギアも、ロムも、ラムも……。」
「女神の力か……すごいね。」
「「…え?」」
僕は女神の力に興味を抱きながらそう呟いた。まだ覚醒してないとはいえ、ユニちゃん達には女神の力があるからだ。
「…あ、話を折ってごめんね…。」
「い、いえいえ…大丈夫です!」
僕はユニちゃんの隣に座る。
「それにしてもユニちゃんは凄いよ、ノワールさんの仕事をしっかりこなしていて!」
「そんな事ないわよ。私はむしろお姉ちゃんの足を引っ張っているだけよ…。」
ネプギアちゃんが何とか励まそうとするも、ユニちゃんはそう言って落ち込む。どうやらノワールとの劣等感を抱き続けていたらしい。何とかしてユニちゃんを元気づけないと…。
「ユニちゃん、自分に自信を持って。確かにノワールは厳しい面が目立つけど、内面では君のことを褒めているはずだよ。」
「そうだよユニちゃん!沢山努力して頑張っているんだから!」
「ネプギア…でも私は…。」
「ユニちゃんはユニちゃんなりに頑張ればいいと思うよ。たとえ姉を越えられなくても、それ以外に越えられる部分もあるからね。」
未だ劣等感故に自責しているユニちゃんに僕はそうアドバイスをする。
「それに僕は二人のことが羨ましいよ。僕は変身して戦うことができるけど、それはあくまでドライバーとガシャットがあるから。本当は、ゲームが上手い以外はこれと言った力は持っていないんだ…。」
「真遊さん…。」
「たとえまだ女神の力が覚醒してなくても、経験を重ねていけば必ず開花する。だから、一緒に頑張ろう。」
「…はい!」
僕がそう言うと、ユニちゃんの顔に笑顔が溢れた。
「よし、じゃあ戻ろうか。」
ユニちゃんを励ましたところで、僕達は教会へ戻ることにした。
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「やめてぇぇ!?それ以上触らないでぇ!?」
「え~?でも女神の心得その1は整理書類からって~。」
「それは貴女の教会でやって頂戴よ!?」
「「「「なぁにこれぇ?」」」」
教会に戻ってきたら、それはそれはカオスなことになっていた。ノワールも色んな意味で大変だね…。
「…もう少しだけ外に出よう。」
「「「うんうん…。」」」
と言う訳で、僕達は再び教会を後にした。
NEXT GAME…
2つのクエストをこなしに向かう真遊達。そこへ再び現れた銃斗。銃斗は真遊にガシャットを賭けた勝負を申し込む。
“様子がおかしい”エンシェントドラゴンに苦戦し、ピンチに陥った真遊達。ここで真遊は特訓で編み出した必殺技を放つ!
次回[孤独から解き放つFIRE BALL]
真遊「とっておきの必殺技を喰らえ!」