無味乾燥な6限とホームルームが終わる。
ダラダラと部活に向かう運動部、「ねえ今日は何する?」とグループで集まる部活がない奴ら。
俺はすぐに部室に向かう。いや、教室にいると掃除当番の人に白い目で見られるからとかじゃないよ、本当だよ。
グラウンドを走っている運動部連中を横目にスタスタ歩き部室に向かう。
部室に入りいつも通り挨拶しようとするが誰もいない。雪ノ下も由比ヶ浜も休みなのか?それとも俺だけはぶられたか?などと考えを巡らせていたが、二人とも休みなんだろうと納得する。
さて、帰っちゃおうかな〜、と思ったが平塚先生が来たら怒られそうなので止めておく。一応部室にいようと思い鞄から本を出し、いつもの場所で本を読む。誰も居ないので、邪神の類が出てくるものだ!
本に集中していると突然扉が開き平塚先生が入ってきた。俺はそれに驚き椅子から転げ落ちてしまった。そんな俺を冷たい目で見る先生、俺は何事も無かったかの如く
「ノックぐらいして下さい」
雪ノ下風に言ってみる。だが、誤魔化し切れなかったようで、哀れみの目で「済まなかったな」と言われてしまった。もしや、邪神登場シーンに興奮した俺の笑い声を聞かれたのかもしれない……。
何とも言えない微妙な空気に包まれる。そんな空気を変えるべく口を開く。
「今日は俺だけですけど、何のようですか?」
「ん?ああ、( ̄ω ̄;)エートォ...
ん!そうそう、明日に入部希望者を連れてくるぞ!」
絶対目的忘れてただろ!という反応をされた。そんなに俺の椅子から転げ落ちるのは面白かったですか?ものすごく落ち込むが、依頼者か、どんなやつだろう?少し考えようとすると先生が口を挟む。
「今日居ない雪ノ下と由比ヶ浜には連絡しておけ、私はこれから用事があるから失礼する」
「えっ、そんなん先生がやっといて下さいよ!ボッチに連絡させてもこれ誰?ってなるでしょう」
そう、あれは中学の時だった。俺はキチンとメールしたのに、それなのにあいつら……。中学の頃の悲しみを怒りに変えて論破しようとする。しかし、俺の言葉を遮り無機質な表情で先生が話す。
「あ〜もうそういうの本当にいい、面倒だ」
そう言って部室から出ていってしまった。マジか、先生にも見放されるとは……。もういいや、帰ろう……。
あっ、先生に入部希望者がどんなやつか聞いてねえ……。
帰り道で気づいたが、面倒だったので聞きに行くのを諦めた。明日の俺に任せよう。きっとやってくれるはずだ。
学校に来てから誰とも話さずに、ホームルームまで終え部室に向かう。
「コンニチハ」そう言って部室に入ると雪ノ下は返事をしていつもと変わらない様姿勢で本を読んでいた。
俺は本を読む気にもなれずに入部希望者の事を考える。
(平塚先生に連れてこられるという事は、俺レベルのひねくれたやつか、ボッチか、何にせよかなりの問題児何だろうな〜。もう帰りたいな〜。)
と考えていると部室の扉が開き2人の女性が入ってきた。1人は平塚先生、もう1人は制服を着た少女だった。
しかし、大きな違和感があった。その原因は間違いなく平塚先生と共に入ってきた少女だろう。
整った顔立ち、クラスの連中とは明らかに違う大人びた表情、それは同時に何かを諦めたような表情でもあった。
「新しい入部希望者も連れてきたしあとは若いもんに任せようかね」
いかにも楽しげな顔でそう告げ平塚先生は部室から出て行ってしまった。誰もお見合いか!と突っ込めなかった。
え?紹介も無し?どうする、考えろ、考えろ、女子との会話、自己紹介のファイルを探る……。駄目だ、近所のおばちゃんと話した記憶しかない……。俺の脳内ファイルの少なさに愕然とし、フリーズしていると、少女が仕方ないとばかりに、小さくため息をつき綺麗な澄んだ声で自己紹介を始めようとした。
しかしそれを雪ノ下が遮り、こちらもまた綺麗な声でしゃべる。
「知っているわ、特別クラスに転入して来た朝田 詩乃さんよね、才色兼備、眉目秀麗、スポーツ万能の転校生」
そこまで言って雪ノ下は口を閉じた。
朝田という少女は表情を変えることは無かった。
「私も知っているわ、雪ノ下 雪乃さん常に学年1位の成績優秀者で、容姿端麗、完璧超人の有名人」
そう言って、少し微笑んだ。雪ノ下も微笑んでいた。何だこの、互いが互いを認めあったような感じは、俺が自己紹介する暇が無くなっちゃうだろ……
仕方なく黙っていると朝田の注意がこちらに向けられた。
「えっと、あなたは?」
キタっ!と思い自己紹介をしようとするが、それよりも先に雪ノ下がしゃべる。
「あれは、大変不快なことに私と同じ部活の比企谷 八幡君よ、腐った目と腐った根性が特徴ね」
散々な言われようだった……。
「俺だって好きでここにいるわけじゃねえよ、朝田と同じく平塚先生に連れてこられたんだよ、俺の場合は罰としてだがな」
少し自虐的にはなったが会話に加わることに成功した。そこで、俺は一つの質問をする。
「一つ質問したいんだけどいいか?」
「どうぞ」と言われたので、質問をする。コレ一つでどんな人間か、こっち側か、あっち側かがわかる質問だ。
「友達って何人いるんだ?」
「……まず、どこからどこまでが友達で、どこからどこまでが知り合いか定義してちょうだい」
沈黙の後に出た言葉で分かった。駄目だ、こっち側の人間だ。雪ノ下も察したのか微妙な顔をしている。
「友達いないんだな」
「いたわよ、友達だと思っていた人なら」
悲しげな表情だった。
「あの人達は私が1人暮しだったことを知って近付いてきただけなのよ」
どうやら地雷を踏んでしまったようだった。
「私がもう関わらないでと言ったら手のひらを返して嫌がらせをしてきたわ」
ヤベェ、どうしようこの空気、ものすごく重い。誰も声を出さない。動いたやつが負けるというような雰囲気だ。
その時に、コンコンと控えめに部室の扉が叩かれる。静かな部屋によく響いた。
雪ノ下もこの空気は嫌だったようで、自ら扉を開けに行った。開いた扉から入ってきたのは、戸塚彩加だった。
戸塚は俺を見て笑いかけてくれた。とっても可愛いが男なんだよな……。
可愛い戸塚は朝田に気づいたようだった。俺が状況を説明しようとするがその前に戸塚が口を開く。
「何で朝田さんがここに?」
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