仮面ライダー鎧武 ― グリドン外伝 ―   作:たかだや

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初瀬は姉の一葉を救うため、沢芽市にクラックを開いた。光実とザック、ペコは警察と連携しインベスの殲滅に赴く。

そして城乃内は覚悟を決め、初瀬との最後の戦いに臨むのだった。
城乃内と初瀬、二人を待つ運命は……





最終話 『Never Surrender』

1.

 

 天樹大学では初瀬一葉に見守られる中、グリドンと黒影、二人のアーマードライダーが死闘を繰り広げていた。

 グリドンはハンマー型のアームズウエポン・ドンカチによる打撃を主軸に、時にタックルや頭突きなど、屈強なドングリアームズのアドバンテージを活かした捨て身の戦法で、黒影にダメージを与えていく。

 一方の黒影はその身軽な身のこなしと影松のリーチを活かしてグリドンから距離を取り、攻撃を避けながら、隙をついて影松の刃でグリドンの身体を切り付ける。

 両者互いに決定的を与えらないまま、ただ時間だけが経過していた。しかし、グリドンは黒影より先に、勝負を仕掛ける。

 

「悪いけど、そろそろ本気でいくよ!初瀬ちゃん!」

 

『ドングリスカッシュ!』

 

 グリドンはベルトのブレードを倒し、ドングリロックシードの出力を開放する。

 グリドンはドンカチの先端にドングリ型の光弾を生成すると、ドンカチをスイングし、黒影に目掛けて光弾を投げつけた。

 

「ウゼェんだよ……!」

 

 黒影は影松でドングリアームズを弾き飛ばす。しかし、目の前には既に、追撃のためにドンカチを構えたグリドンが迫っていた。

 

「グリドンインパクトォ!」

 

 グリドンの渾身の一撃が黒影の胸部を打ち抜き、その身体を吹き飛ばす。ブレードを倒して底上げした分のエネルギーは光弾の射出で消費したが、体重を乗せて放たれたハンマーの威力は相当のものだ。

 

「ぐわあぁ!」

 

 黒影は吹き飛ばされながらも、反撃の一手を既に用意していた。着地するときに破壊したベンチを足で薙ぎ払い、新たな錠前を掲げる。

 

『カチドキ!』

 

 黒影はマツボックリのカチドキロックシードを解錠し、ベルトにセットした。重装甲のアームズが黒影の身体を鎧う。

 

『カチドキアームズ!いざ、旗揚げ!エイエイオー!』

 

「ちまちま戦うのはもうやめだ!」

 

 黒影カチドキアームズは背中に備えてあるカチドキ旗を投げ捨て、おもむろにファイティングポーズをとった。

 グリドンもドンカチを投げ捨て、拳を握りしめる。

 

「アームズ性能でゴリ押しとか相変わらず分かり易いね。初瀬ちゃん?」

 

「お前はいちいちウルセェんだよ!」

 

 それぞれの左ストレートが、お互いの装甲に炸裂する。撃ち負けたのはグリドンだった。黒影は体勢の崩れたグリドンの背を掴み、その腹に膝蹴りを食らわせる。黒影はグリドンの背を掴んだまま地面に叩き付け、その脇腹をつま先で容赦なく蹴り上げた。

 

「ガハッ……!」

 

 城乃内はその仮面の下に、自身の胃の内容物を吐き出した。黒影は、痙攣するグリドンの身体に馬乗りなり、その顔面を殴りつける。

 

「話にならねえな。お前の全力はそんなモンか!」

 

 力の差は歴然だった。ドングリアームズとカチドキアームズ、同じ頑丈さを特徴とするアームズでも、ランクBのドングリロックシードに対して、カチドキロックシードの出力はランクSすらも凌駕する。加えて、グリドンは黒影にマウントポジションをとられている。戦況は絶望的と言えた。

 しかし、グリドンはただ一方的に殴らながら、高らかに笑う。

 

「ハァ、絶好調だね……知恵の実、そろそろ完成しちゃったりする……?」

 

「ああ……お前が弱いお陰でな!」

 

「そりゃどうも!」

 

『ドングリスカッシュ!』

 

 グリドンはそう言うないなや、黒影の隙をついてベルトのブレードを倒し、アームズをドングリ形態に変型させる。

 

「なにっ!」

 

 グリドンはアームズの変型を利用して、自分の上腿を起こした。そして、ドングリの形態に戻ったアームズを、頭突きの用量で黒影の顔面目掛けて投げ飛ばす。

 

「お返し!」

 

 攻撃を受けた黒影はマウントポジションから吹き飛ばされたが、この奇襲を放ったグリドン自身のダメージも決して小さくはない。

 グリドンは足元をフラつかせながら、何とか立ち上がり、既に態勢を立て直していた黒影と対峙する。

 

「こっちもそろそろ、キルプロセスできそうかな……!」

 

 グリドンはそう言ってドンカチを黒影に振るう。しかし、黒影はドンカチを握るグリドンの左腕を自身の右腕で掴み、グリドンの言葉を鼻で笑った。

 

「お前、戦極凌馬の話を聞いていなかったのか?知恵の実を持つ俺のボディは、キルプロセス・プログラムはプロテクトできるんだよ」

 

 黒影は空いた左腕でアッパーパンチを放つが、グリドンは間一髪、右手で黒影の拳を受け止めた。

 

「じゃあ、その処理能力以上のプログラムを流すだけだ!」

 

 グリドンは力任せに黒影を押し退け、距離を取る。そして、なおも黒影に語り掛けた。

 

「そう言えばさ、初瀬ちゃんと腹割って話したこと今までなかったよね……!」

 

 グリドンがそう言い終わる前に、黒影はグリドンを殴り飛ばす。ぼろ人形のように這いつくばりながら、グリドンは言葉を続けた。

 

「昨日一葉さんと出逢って、初瀬ちゃんの話をして、自分がどれだけ初瀬ちゃんと上辺で付き合ってたか、改めて分かったよ。一葉さんは、初瀬ちゃんをずっと心配してた。そんな一葉さんだから、初瀬ちゃんはどんなことをしても助けたい、って思ってるんだよな」

 

 一葉は城乃内の言葉を受けて、黒影を凝視する。

 

「……え?」

 

「チッ……!」

 

 黒影は一葉を無視したまま、グリドンを無理やり起き上がらせ、腹を殴りつけた。

 

「ぐぁっ!……それに比べて俺は初瀬ちゃんをずっと利用してた……!それをいつからか後悔するようになって、謝りたいと思った時には……もう初瀬ちゃんは死んでた」

 

「いい加減黙れ……!」

 

 黒影は左手の甲でグリドンを打ち倒した。地べたに這いつくばるグリドンの元に一葉が駆け寄り、黒影との間に割って入っる。

 

「どけ、姉貴」

 

「どかない!亮二、もう良いよ!やめて!」

 

 黒影は声を落としてグリドンに歩み寄るが、一葉も手を広げて黒影の行く手を阻んだ。

 

「良くねぇんだよ!」

 

「そう、良くないよなァ!」

 

 グリドンはそう声を上げ、自分を見つめる一葉に目を向けた。

 

「城乃内さん……」

 

 グリドンは立ち上がりながら、ベルトのブレードを倒し、ぐっと身体を屈める。

 

「一葉さん、俺は今度こそ初瀬ちゃんを救います。だから今は!全力で戦う!」

 

『ドングリスパーキング!』

 

 グリドンが跳び上がり、蹴りの態勢に入った時には、黒影も必殺の一撃の準備に入っていた。

 

『カチドキスパーキング!』

 

 黒影は跳び上がる直前に、自分の身体に鼓動が駆け巡るのを確かに感じた。

 

「来たか!」

 

 グリドンは黒影の体内で知恵の実が輝くの目の当たりにしながら、必殺のキックを放つ。

 

「うおおおおおおお!」

 

「ハアアアアアアア!」

 

 二人のアーマードライダーは絶叫とともに、互いの必殺の蹴りをぶつけ合う。凄まじい突風が天樹大学の広場に吹き荒れた瞬間、沢芽市全体を黄金の光が包み込んだ。

 

 

2.

 

 南のダンスステージではナックルと黒影・真が機動隊員達とともにインベスと戦っていた。しかし突如として辺りが黄金の光に包まれ、場は騒然となる。

 

「ザック!どうなってんだよこれ!」

 

「きっと、知恵の実が完成したんだ!」

 

 光が収まると、南のステージに明らかな変化がもたらされる。既に殲滅しかけていたインベスの内一体、トナカイインベスが突然巨大化して、黒影・真に突進を仕掛けたのだ。

 

「うお!今度は何だ!」

 

 黒影・真は突然のインベスの攻撃を、尻餅をつきながら何とか回避する。ナックルは、黒影・真に追撃を仕掛ける巨大トナカイインベスをマロンボンバーでなんとか受け止める。

 

「ペコ、しっかりしろ!」

 

「ナイス!」

 

『マツボックリエナジースパーキング!』

 

 黒影・真が動きを封じられた巨大なトナカイインベスに影松・真の三又の刃を突き刺すと、インベスは木っ端微塵に爆散した。

 

「大丈夫か?ペコ!」

 

「俺は大丈夫。でも……!」

 

 黒影・真はナックルにそう答えると、次々と起き上がるインベス達に目をやる。

 

「回復してやがる……!これも知恵の実の力か!」

 

 ナックルは黒影・真と背中を合わせ、マロンボンバーを構える。黒影・真はナックルの顔は見ずに、不安そうに声を漏らした。

 

「俺達は二人だからまだ対応できてるけど、ミッチはこれ、相当キツイんじゃないか……?」

 

 東沢芽公園でも、龍玄と戦闘していたインベスの動きが一気に活性化していた。数体のコウモリインベスが飛上がり、機動隊員達に向けて火炎を放射する。

 

「うああああああ!」

 

「マズイッ……!」

 

『ブドウスカッシュ!ジンバードラゴンフルーツスカーッシュ!』

 

 龍玄はロックシードの出力を上げると、そのエネルギーを脚部に集中させ、火炎を放つインベスの間まで一気に駆け抜け、隊員たちの楯となる。

 

「ぐああ!」

 

 龍玄は背中からインベスの一斉放火を食らい、その苦痛に膝を突いた。そして、インベスの攻撃が止むと、龍玄は咄嗟に隊員達に目を向けた。

 

「良かった……!」

 

 龍玄は隊員達全員をインベスの攻撃から庇えたことを確認すると、安堵の声を漏らした。しかし、殺気を感じて振り返った龍玄の目の前には、巨大なシカインベスのタックルが迫って来ている。もっとも、このインベスの攻撃が龍玄に当たることはなかった。

 

「ハアア!」

 

 龍玄の目の前に、疾風の如く現れた白い影が、巨大インベスを薙ぎ払った。白い影はゆっくりと振り返り、龍玄に目を向ける。その姿を見て、光実は仮面の下で目を見開き、驚愕の声を漏らした。

 

「兄さん……!」

 

「よく頑張ったな。光実……!」

 

 龍玄にそう答えたのは、復興局局長にして光実の兄、呉島貴虎が変身するアーマードライダー、斬月・真!

 

 

「どうして、ここに?」

 

 凰蓮と共に東南アジアにいるはずの彼がなぜ沢芽市にいるのか、貴虎は仮面の下でそっと微笑むと、光実のこの疑問に答えた。

 

「また、彼に助けられてしまったようだ」

 

 斬月・真はソニックアローの刃を巨大インベスに向けたまま、そっと自身が現れた方角に顔を向けた。龍玄も立ち上がって、そちらに眼を向けると、インベスが現れていたのとはまた別のクラックが開いていた。

 

「紘汰さん……!」

 

 クラックの先から、光実が良く知る男が、背中を向けたまま微笑み掛けていた。

 

3.

 

 午前5時30分、天樹大学の広場では、グリドンと黒影の激闘に終止符が打たれていた。

 地面にひれ伏す敗者も、敗者を憮然と見下ろす勝者も、既に変身を解除している。そして、その勝者に近づく女が一人。彼女は鋼鉄の異形にゆっくりと変貌しながら、冷め切った声で勝者に語り掛けた。

 

「遂に知恵の実が完成したな。初瀬亮二」

 

「ああ、お前もようやく出てきたな。メガヘクス」

 

 初瀬亮二はうつ伏せに倒れる城乃内に目を向けたまま、メガヘクスの声に応えた。

 

「最早エネルギーを温存する必要もない。メガヘクスが知恵の実を吸収すれば、初瀬一葉の生命は確実に管理できる。君の戦いも、これで終わるのだ!」

 

 メガヘクスがそう宣言すると、初瀬はメガヘクスにその顔を向けた。その、初瀬の顔には殺気に憎悪、そして僅かな感謝、様々な感情がせめぎ合っている。初瀬は意を決したように、口を開いた。

 

「そうだな。だが、終わるのは俺だけじゃない。お前もだ。メガヘクス……!」

 

 初瀬がメガヘクスに左手をかざし、黄金の波動を放った。

 

「なッ……!」

 

 波動を受けたメガヘクスの身体は、みるみるうちにその形を崩していく。崩れたメガヘクスの身体の下から、一葉の姿が現れた。城乃内はうつ伏せになりながら、その様子をただ見守った。

 実態を持った膨大なデータの塊が、コップから水が溢れるように一葉の身体から分離し、そのデータはやがて人型を形成していく。

 

「一葉さんッ……!」

 

 城乃内が倒れる一葉の元に駆け寄り、なんとかその身を抱き留める。城乃内がデータの塊に目を向けた時には、メガヘクスの『変身』は既に完了していた。

 黒煙を吹き飛ばし誕生したのは、新たな知恵の実のエネルギーを吸収した漆黒のメガヘクス『メガヘクス・エヴォリュード』。

 

「どういうつもりだ、初瀬亮二!メガヘクスがいなければ、初瀬一葉を救うことはできないぞ!」

 

 メガヘクスが怒号を浴びせると、初瀬はどこか憑き物が落ちたような目でメガヘクスを見据えていた。城乃内は一葉を地面に寝かせながら、初瀬に代わってメガヘクスに言葉を投げ掛ける。

 

「知恵の実が完成したんだ。今の初瀬ちゃんなら、一葉さんの身体から、ヘルヘイムの植物を完全に除去できるはずだよ……!」

 

「ヘルヘイムの植物の除去は出来ても、メガヘクスと分離した初瀬一葉の身体は、知恵の実の力で回復できる段階を既に超えている!」

 

 頭を抱えて叫ぶメガヘクスに、今度は初瀬が応えた。

 

「それでも!テメェの操り人形にしておくよりはずっとマシだ!ぐああああ!」

 

 初瀬は絶叫とともに全身から稲妻と黒煙を放ち、その膝を地につける。

 

「なッ……!今度は何を!?ぐおおお!」

 

 メガヘクスは狼狽しながらも自身の異常にも気付いた。初瀬と同じように稲妻と黒煙を放って地に伏すと、その場でのたうち回る。

そのボディからは実体化したデータが離れては消滅していく。

 

「城乃内との戦いで、お前を完全に停止できるだけのキルプロセス・プログラムを知恵の実に蓄積して、一気に放出したんだよ。後は、お前がサーバーごと消滅するのを待つだけだ」

 

 初瀬は苦痛に顔を歪ませながら、それでもどこか満足気にそう言った。

 

「どこまでも愚かなッ……!ならば、初瀬一葉の命を奪い、再びメガヘクスの力を求めさせるまで!」

 

 メガヘクスが叫んだ瞬間、そのボディから溢れていた稲妻は止み、煙の量も減っていく。

 

「俺との接続を切って、キルプロセス・プログラムを完了ギリギリで遮断したのか……!」

 

 初瀬はメガヘクスが立ち上がるのを目の当たりにすると、恨めしそうにそうに吐き捨てた。その一部始終を見届けた城乃内は、ゆっくりと、そして力強く立ち上がる。

 

「初瀬ちゃん、メガヘクスの相手は任せてよ。そのために俺を呼んだんだろ!」

 

 城乃内がそう言って立ち上がると、初瀬は自分のベルトからカチドキロックシードを外し、城乃内に投げて寄越す。初瀬は城乃内が錠前をしっかり掴んだのを確かめると、一言だけ呟いた。

 

「……頼む」

 

「今度は絶対に守るよ。初瀬ちゃんも!初瀬ちゃんの願いも!」

 

 初瀬は城乃内の言葉を聞き届けると、一葉の元に駆け寄り、彼女の身体から、微細なルヘイムの植物を吸収していく。城乃内はその様子を視界の端に捉えながら、初瀬から託された錠前を掲げ、新たな力を解放した。

 

『カチドキ!』

 

「変身ッ!」

 

『カチドキアームズ!いざ、旗揚げ!エイエイオー!』

 

 城乃内の身体を、巨大なマツボックリの鎧が包み込む。誕生したのは胸に黒影の紋章を構えるグリドンの新たな姿、アーマードライダーグリドン・カチドキアームズ!

 グリドンはメガヘクスの頬に、渾身の力で左の拳を打ち付ける。メガヘクス・エヴォリュードのボディからは、キルプロセス・プログラムを受けて崩壊したデータがまた離れていく。しかし、メガヘクスはそんなダメージをものともせずに、ブレード状の腕をグリドンに打ち付け、もう一方の腕で、グリドンの身体を薙ぎ払うように吹き飛ばした。

 

「ぐあッ……!」

 

 グリドンは苦悶の声を漏らしながらも、即座に起き上がり、メガヘクスの往く手を阻んだ。城乃内も、自分の攻撃がメガヘクスに通用すると思っているわけではない、メガヘクスと初瀬の間に立つことに専念しているのだ。そんな、城乃内の考えなどお構いなしに、メガヘクスは声を響かせた。

 

「なぜメガヘクスの救済を拒むのか理解不能。メガヘクスと融合したことによって、初瀬亮二は蘇ることができたのだ。諸君の目的は個を守ることのはずだ。ならばメガヘクスとの利害は一致している。ともに未来を歩もうではないか!」

 

 メガヘクスはそう言って、両腕を開くが、その胴体に、グリドンは取り出した火縄漆黒DJ銃の弾丸を打ち込んだ。

 

「お断りだ。この六角形が!」

 

「なぜだッ……!」

 

 メガヘクスは自身のボディがまた少し崩壊したのを確認すると、苛立たしそうに声を荒げ、グリドンに飛び掛かる。

 グリドンはメガヘクスのブレードをカチドキ旗で受け止め、言葉を続けた。

 

「お前が人間を舐めてるからだよ。お前は一葉さんの体を乗っ取り、初瀬ちゃんの心を踏みにじった。お前をぶっ潰す理由はそれで十分だ!」

 

 グリドンはそう叫ぶと、漆黒のエネルギーをカチドキ旗に込めて思い切り振りぬく。メガヘクスは僅かに後退ったが、即座に大地を蹴って反撃の光弾を両腕から放ち、グリドンを吹き飛ばす。

 

「まったくもって非合理な結論だ。メガヘクスは新たな知恵の実と融合し、この星を完璧な世界に進化させる!」

 

 メガヘクスは両腕のブレードで握るカチドキ旗を弾き飛ばし、グリドンの胴体を何度も切り付ける。

 

「ぐあッ……!」

 

「城乃内秀保、君の力ではメガヘクスに勝つことは不可能だ!」

 

 頑丈なカチドキアームズの装甲に、無惨な亀裂がいくつも走った。

 それでも、城乃内の心はまだ折れていない。グリドンは、再び手元に生成した火縄漆黒DJ銃にカチドキロックシードを装着し、その銃口をメガヘクスに押し付ける。

 

「……知らねえのか?男子三日会わざれば刮目せよってなァ!」

 

『カチドキチャージ!』

 

 グリドンが火縄漆黒DJ銃の引き金を引いた瞬間、行き場を失ったエネルギーは一気に爆発し、グリドンとメガヘクスを中心に衝撃波が辺り一面に走った。

 初瀬は爆風から一葉の身体を庇い、城乃内は生身のまま爆発から投げ出される。

 地面に叩きつけられた城乃内に、初瀬が叫んだ。

 

「城乃内ィ!」

 

 城乃内は初瀬の声に顔を上げる。作戦を仕掛けておきながら、城乃内は自分が生きていることに少し驚いていた。同時に、もう一人、大切な人物の安否が気掛かりになる。

 

「初瀬、ちゃん……?一葉さんの身体は?」

 

「植物だけは除去出来た。脳の後遺症も、出来る限りのことはした。あとは姉ちゃん次第だ……」

 

 初瀬はそれだけ言うと、身体から火を噴きながら仰向けに倒れた。

 

「初瀬ちゃんッ……!」

 

 城乃内が初瀬に駆け寄ろうとした瞬間、今日何度目かも変わらない叫び声が、大学広場全体に響いた。

 

「おのれェッ!許さんぞォ!」

 

 城乃内が咄嗟に振り返ると、メガヘクス・エヴォリュードはその漆黒のボディを無傷のまま、怒号とともに襲いかかって来ていた。

 

「このロボット野郎ォ!」

 

 城乃内は毒吐きながら再びカチドキロックシードを構えるが、その瞬間謎の銃弾の嵐がメガヘクスを襲った。突然の出来事に、城乃内も初瀬も呆気に取られている。

 呆然としている城乃内の耳に、馴染み深い声が響いた。

 

「あら……?坊や、ちょっとはマシな顔付きになったんじゃなくて?」

 

 城乃内が声の聞こえた方に目をやると、いつの間にやら開いていたクラックの先で、一人の男が佇んでいる。両腕に巨大なガトリング砲を抱えるその大男の名は凰蓮・ピエール・アルフォンゾ、城乃内のパティシエとしての師にして、フランス軍に従軍した歴戦の勇士だ。

 

「凰蓮さん……?どうして?」

 

「ちょっとした『神業』(かみわざ)、だそうよ」

 

 色々な意味を込めてぶつけた城乃内の言葉を、凰蓮は一言で片づける。

 

「紘汰か……!」

 

 凰蓮は城乃内の言葉に頷くと、悠然とその傍らに歩み寄る。メガヘクスは忌々しそうに頭を抱えた。

 

「葛葉紘汰……!どこまでもメガヘクスの邪魔を!」

 

「あら、アナタの邪魔をするのは、水瓶座の坊やだけではなくてよ?」

 

 凰蓮はそう言って、自身の錠前・ドリアンロックシードを掲げる。

 

「変……身ッ!!」

 

『ドリアン!』

 

 凰蓮は錠前をベルトにセットすると、自身の姿を敵に見せつけるように身体を広げ、ステップを踏むと同時に、ブレードを倒した。

 

『ドリアンアームズ!Mr.……Dangerous!!(ミスター・デンジャラス)

 

 棘に覆われたその姿は、正に全身凶器、凰蓮はアーマードライダーブラーボに変身を完了させる。城乃内が錠前を解錠しようとすると、ブラーボはそれを手で制する。

 

「凰蓮さん……?」

 

「坊や、お友達のところにお行きなさい。アナタにとっては必要なことよ!」

 

 城乃内が迷っている隙に、城乃内の往く手を阻もうとメガヘクスが襲い掛かる。

 

「これ以上、メガヘクスの邪魔をするなァ!」

 

「うるせェな!外野はすっこんでろ!」

 

 ブラーボは罵声とともにメガヘクスにタックルを食らわせると、なおも城乃内に向かって叫んだ。

 

「坊や!さっさと行きなさい!」

 

 ブラーボはメガヘクスを押さえつけながら、城乃内は僅かに躊躇ったが、やがてブラーボの顔を見て力強く頷き、初瀬の元に走っていった。

 

「初瀬ちゃんっ……!」

 

城乃内は初瀬の元に駆けつけると、跪いて初瀬の身体を抱き起す。初瀬の身体はずっしりと重く、温かい。人間としての初瀬はすでに死んでいることが、一瞬、城乃内の中で揺らぎそうになる。

 それでも、今目の前で初瀬が消滅しようとしていることは、データに分解されていく初瀬の身体を見て、直ぐに分かった。

 

「初瀬ちゃん……」

 

 自分の眼鏡のレンズが、水滴で濡れる。その時初めて、城乃内は自分が泣いていることに気付いた。

 初瀬はそんな城乃内の手に自分の手を合わせると、二人の手の間で光を放ちながら、何かを生成していく。

 初瀬が手を放したときに、城乃内の手の中に残ったのは、ブロンドに輝く新たな錠前だった。

 その形は、かつてフェムシンムの王・ロシュオが、知恵の実の欠片で生成した極ロックシードによく似ている。 

 

「城乃内、これ使え……今の俺の全部だ」

 

 城乃内は錠前を握りしめながら、初瀬の肩に手を掛ける。

 

「初瀬ちゃんは……初瀬ちゃんはどうなるんだよ!?」

 

「そんなこと、分かってここに来たんだろ?最後の最後でいいアシストだったぜ……!城乃内……」

 

 初瀬の身体はほとんど消えてしまってる。それでも、初瀬は微笑みながら、淡々と言葉を続けていった。

 

「お前は俺のことを覚えててくれた。俺の死を悔やんでくれた。俺の死を背負ってくれた。だから、俺はお前に願いを託したんだ」

 

 城乃内は涙を堪えながら、その言葉を一言も聞き漏らさないように、初瀬に顔を近づける。

 

「なあ城乃内、仮面ライダーって知ってるか?」

 

「仮面、ライダー……?」

 

 城乃内は、自分自身に問いかけるように、初瀬の言葉を繰り返した。一応、城乃内もその名は知っている。かつて、紘汰と共にメガヘクスを倒した赤い戦士も「仮面ライダー」と名乗ったのだと言う。城乃内が言葉を探っていると、先に初瀬が話し出した。

 

「助けを呼ぶ声が聞こえたら、必ず駆けつける希望の戦士、らしい。お前は俺を救うって、約束してくれた。俺にとってお前は、仮面ライダーなんだよ。だから、頼む。俺の姉ちゃんを守ってくれ。仮面ライダー……グリドン!」

 

 そこまで言い終わると、初瀬の身体は完全に空に消えた。耐え難い喪失感が城乃内の心を支配する。それでも現実は、彼を放っておいてはくれなかった。

 

「ァ……あああああああああ!」

 

 城乃内の傍らに、ブラーボが苦悶の声を挙げて、倒れた。ブラーボの変身が解除され、傷だらけの凰蓮の姿が現れる。

 

「凰蓮さん!」

 

「坊や……お友達とはちゃんと話せた……?」

 

 城乃内が顔を覗き込むと、凰蓮は穏やかに笑った。

 

「はい。あとは任せて下さい!」

 

「フフ、それじゃあ任せるわ。Merci(メルシー)……!」

 

 城乃内は一葉と凰蓮に背を向けて立ち上がり、メガヘクスに対峙する。メガヘクスは城乃内の左手に握られた錠前を見ると、高圧的な声で語り掛けてきた。

 

「その錠前には、初瀬亮二の意識と知恵の実の力が内包されている……!初瀬亮二、まだ間に合う。初瀬一葉を殺されたくなければ、メガヘクスに従うのだ!」

 

「メガヘクス、もうお前に初瀬ちゃんは渡さない!」

 

 城乃内が錠前を握り締めて啖呵を切ると、メガヘクスは今度こそ城乃内に語り掛けた。

 

「城乃内秀保、その錠前を使えば、君もオーバーロードになるだろう。それでも良いのか?」

 

 城乃内はメガヘクスの言葉を無視して、初瀬から託された二つの錠前を掲げ、解錠する。

 

「行くよ。初瀬ちゃん!」

 

『カチドキ!』

 

『ミックスナッツ!』

 

 城乃内の周りに、木の実型のアーマーがいくつも現れるのと同時に、戦極ドライバーには新たな錠前をセットするためのジョイントが現れる。

 城乃内はカチドキロックシードと、初瀬の全てが込められた錠前をベルトにセットし、思い切り叫んだ。

 

「──変身ッ!」

 

『Lock open!木乃実(きのみ)アームズ!大大大大大行進!!』

 

 勇ましい声が響くのと同時に、カチドキアームズが城乃内の身体を覆い、そこに全てアームズが収縮していく。

 漆黒のカチドキアームズの外装の下から現れたのは、ブロンドに輝くグリドン・木乃実(きのみ)アームズ。胴体を覆う甲冑には、ドングリやマツボックリにクルミ等、様々な木の実が描かれており。背中には漆黒のマントがたなびいている。

 メガヘクスはグリドンの姿を見ると、忌々し気に頭を抱えた。

 

「まさかッ!始まりの男になったとでもいうのか!」

 

「『始まりの男』?知らねぇな。俺は城乃内秀保、仮面ライダーグリドンだ!」

 

『ドンカチ!』

 

 グリドンが木乃実ロックシードを捻ると、ドングリアームズのウエポン・ドンカチが現れる。それだけではない。グリドンの隣に、ドンカチを握った黒影マツボックリアームズが現れた。黒影の身体は煌々と輝き、隣立つグリドンのボディを黄金に照らしだす。

 

 

「初瀬……亮二ィ……!」

 

 黒影の姿を見るなり、メガヘクスは全身を怒りで震わせて、二人に迫っていく。

 グリドンと黒影はドンカチを振りかぶり、メガヘクス目掛けてドンカチを打ち付ける。

 瞬間、凄まじい衝撃がメガヘクスを襲った。メガヘクスの身体の崩壊が一気に進む。

 

「なっ、何だ、この力はッ!」

 

 メガヘクスが垂直に浮遊し、ランス状の両腕から黒い光弾を放つと、グリドンも新たな武器を召喚する。

 

『マロンボンバー!』

 

『影松!』

 

『影松・真!』

 

『クルミボンバー!』

 

 グリドンと黒影は召喚したマロンボンバーで光弾を受け止め、その棘をメガヘクスに向けて射出する。同時に、召喚したアームズが一斉にメガヘクスを襲った。

 

「ぐッ……!小賢しい真似を!!」

 

『火縄漆黒DJ銃!』

 

『ドングリチャージ!』

 

『マツボックリチャージ!』

 

 グリドンは火縄漆黒DJにドングリロックシードを、黒影はマツボックリロックシードをそれぞれセットする。

 二人は落下するメガヘクスに向けて、必殺の一撃を放った。

 

「ぐおおおおおお!」

 

 ブロンドと漆黒、二色の光弾がメガヘクスを吹き飛ばす。

 メガヘクスは地面に叩きつけられると、身体を蒸発させながら、叫びを上げた。

 

「あり得ないッ……!メガヘクスが敗れるなど!」

 

 黒影はメガヘクスの言葉を無視して、グリドンに声を掛けた。

 

「行くぞ。城乃内」

 

「ああ、これで……!終わりだッ!」

 

『木乃実スパーキング!』

 

 グリドンと黒影はゆっくりと身を屈め、同時に跳び上がる。二人は眩い光を放って、メガヘクスの身体に必殺のキックを放った。

 

「うりゃああああ!」

 

「はああああああ!」

 

 二人のキックに貫かれ、メガヘクス・エヴォリュードは地面に倒れ込む。それでも、メガヘクスらグリドンと黒影に向かって、震える手を必死に伸ばした。

 

「何故……何故勝てないのだ!理解……不能ォォォ!」

 

 メガヘクスは断末魔の叫びを上げ、その場で爆発した。地に落ちたパーツが、静かに空へと消えていく。

 

「初瀬ちゃん……?」

 

 グリドンが黒影に顔を向けると、黒影の変身を解いた初瀬もまた、空に消えようとしていた。

 城乃内は変身を解除し、初瀬に語り掛ける。

 

「俺、守れたかな?初瀬ちゃんの願い」

 

 初瀬は無言で笑いながら、木乃実ロックシードと共に、光の粒となって消えていった。その光は朝日に照らされて、辺り一面に広がって行く。

 

───初瀬ちゃんはこれからも、俺達を近くで見守ってくれる。

 

 城乃内はそう信じて、初瀬が残した光に語り掛けた。

 

「これからも、ずっと守るよ。初瀬ちゃん……」

 

 

エピローグ

 

 ヘルヘイム災害の集団墓地に一組の男女が訪れる。女性の方は車椅子に乗っており、男がその車椅子を押している。男は目的地の墓に着いたのか車椅子の向きをその墓前に合わせた。その墓には「初瀬亮二ノ墓」と彫られているが、当然この墓には初瀬の遺骨は埋まっていない。

 城乃内と一葉は中身が空っぽの墓前に花を手向け、目を閉じ、手を合わせた。

 初瀬が消滅してから三ヶ月、城乃内の身の周りでは、色々なことが起きた。一葉が奇跡的に意識を取り戻し、デーブは非正規ではあるが、害虫害獣駆除の会社に就職した。ザックはプロのダンサーを目指して再びアメリカに起ち、光実は桜井と共に今回の事件終結直後に姿を消した戦極凌馬のデータの追跡に奔走しているらしい。凰蓮は相変わらず、貴虎とともに世界中で戦いを続けている。

 

「城乃内さん」

 

 城乃内が手を合わせたまま、自分の近況を初瀬に報告していると、一葉に声を掛けられた。

 城乃内は目を開け、一葉に顔を向ける。

 

「私、病院で眠っている間、ずっと夢を見てました。何故か、私は自分の身体から離れていて、病室で寝たきりの自分を、ずっと見ているんです。私のことを気にしてくれる人は、何人かいました。復興局の局長が私の病室に来て、亮二が死んだこと、私の身体のことを、意識のない私に、必死に謝ってくれました。私の担当の先生はまだ駆け出しの研修医だったのに、私の笑顔を取り戻すって、眠ったきりの私にいつも話しかけてくれました」

 

「不思議な夢ですね……」

 

 城乃内は掴みどころのない一葉の話に、小さなシンパシーを感じる。そして、一葉がこれから何を話そうとしているのか、城乃内にはもう想像がついていた。

 

「でも、彼等を見ている方の私には気付いてくれませんでした。そんな私の傍に、亮二がずっと寄り添ってくれたんです。だから、淋しくなかった。多分アレは夢なんかじゃなかったんだと思うんです。そしてきっと、亮二は私が救われた分だけ、ずっと苦しんでいたんです」

 

 城乃内が何も言えないでいると、一葉は城乃内の目をじっと見つめる。そして、覚悟を決めたように、口を開いた。

 

「城乃内さん、もう十分です。足はまだ動きませんけど、貯金も残ってます。私は一人で生きていけますよ」

 

「一葉さん……」

 

 城乃内はそれ以上、何も言うことができない。ヘルヘイムの浸食を受け植物状態だったころの一葉が病院で入院できたのは、復興局が創設した「地球外植物被害特別補助金」によって入院費がまかなわれていたからだ。

 今回の一件でメガヘクスとヘルヘイムの浸食から解放された一葉は、初瀬が消滅してから1ヵ月後に、植物状態から抜け出した。しかし、それは復興局からの補助金の支援が切れることを意味している。植物状態は脱しても、足の動きを司る神経が機能していない今の一葉に、人並みの生活を送ることは難しい。

 今は城乃内が、一葉に無断で入院費を負担している。光実と桜井から聞いた話では、一葉には身寄りがなく、ヘルヘイムの浸食を受けた当時の一葉は入社2年目、現在ではその会社との契約も打ち切りになっている。

 今の一葉に、この先の入院費を払うほどの余裕がないことは城乃内が一番よく知っていた。一葉もそれを分かっているはずだ。

 

「いつまでも、私や亮二に縛られる必要なんてないんです。私達のことは、もう忘れてください」

 

 そう訴える一葉の笑顔はとても穏やかだった。救われているようでもあり、すべてを諦めているようにも見える。

 今回のインベス騒動の全容は、一般には発表されていない。そのため、その原因である初瀬や一葉が糾弾されることもなかった。もしも、誰かに責められでもしたら、一葉は生きる意味を見出せていたのかもしれない。

 一人ぼっちになろうとしている一葉を、城乃内はどうしても放っておくことが出来ないでいた。

 

「忘れるなんて、できるわけありません」

 

 城乃内が震える声でそう言うと、一葉は苦しそうに顔を歪める。

 

「城乃内さんには、これからの人生があるんです。いつまでも過去に囚われていたって、辛いだけですよ」

 

「一葉さん、前に言いましたよね。俺が卑怯だって」

 

 城乃内の言葉に、一葉は少し戸惑う。

 

「すみませんでした。城乃内さんの気持ちも考えずに、あんなこと……」

 

「いえ、一葉さんの言う通り、俺は卑怯者です。あの後仕事してても何してても初瀬ちゃんのこと考えてばっかで……しんどくなって、今もカッコつけてるけど、本当は一葉さんにすがりついてるんです」

 

 城乃内の言葉を聞いて赤くなった目をごまかすために、一葉はそっと目を伏せた。

 

「わかってるんです。こんなの自己満足だって。でも、こうして一葉さんのそばにいないと、今にもおかしくなりそうで……だからもう少しだけ、一葉さんの近くにいさせてください」

 

 城乃内はそう言って、一葉に頭を下げた。二人はそのまま黙りこんでしまう。沈黙を破ったのは一葉だった。

 

「ケーキ……」

 

「えっ……?」

 

 予想外の言葉に城乃内が顔を上げると、一葉は目を濡らしながら無理やり笑っていた。

 

「ケーキ、食べたいです」

 

 一葉は無理に作った笑顔を、ずっと保っている。そんな彼女の顔を見ていると、城乃内も思わず表情を緩めてしまう。

 

「帰ったら、とびきり旨いヤツ、作りますよ」

 

 城乃内はそう言うと、一葉が乗る車椅子の向きを変え、歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―完―




最後まで読んでくれた皆様、本当にありがとうございました。
これにて『仮面ライダー鎧武 ーグリドン外伝ー』は完結です。

このあとがきを読んでくれている方の中には、色々不満を言いたい方もいるのではないでしょうか?
私自身、この作品の反省点はいくつもあります。それでも、こうして城乃内秀保を主人公に据えた『鎧武』の二次創作を書き終え、沢山の方に読んで貰えたことには心から満足しています。

この二次創作を読んで『仮面ライダー鎧武』本編の城乃内や初瀬を見返してくれる方が一人でもいれば、こんなに嬉しいことはありません。

細分の修正はこれからもするつもりですので、感想お待ちしています。

それでは、またどこかで!


ps.

2019年3月、「舞台 『仮面ライダー斬月』 -鎧武外伝-」東京・京都での上演が決定しました。


2020年10月25日、『鎧武外伝 仮面ライダーグリドンVS仮面ライダーブラーボ』が配信開始します。夢が叶いました。


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