Fate/GO サーヴァントたちのドタバタ日常劇   作:Des

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こんにちわ、デスです。

可愛いですよねエリちゃん。イベントの復刻には嬉しく思ってプレイしています。早く次のイベントにならないかな・・・。

さて、今回でマスターの態度騒動は終わります。ギャグよりになれたか心配です。



マスターの態度騒動 その5

 ベディヴィエールたちが倉庫で古参サーヴァントたちから楽しいマスター講座を受けている間に、ちゃくちゃくと不穏な影がカルデアではうごめいていた。そして、また1人の犠牲者が・・・。

 

「もし、そこのアナタ少しよろしいでしょうか?」

「え?もしかしてなくても拙者でございますかな、御嬢さん?」

「ええ、ちょっと聞きたいことがありまして・・・。」

「デゥフフフ、いいですぞ!()()()聞いてどうぞ!」

「じゃあ、()は吐かないでくださいね?」

「・・・え?」

 

 ほら、また1人の犠牲者が出たのであった。

 

「ほぉああぁぁぁぁぁぁ!?まさか拙者の出番これだけぇーっ!?」

「ああぁ、待っていてください旦那様(ますたぁ)・・・。」

 

 あれれぇ?犯人もう分かっちゃった?でも、できればそのまま知らんぷりお願いします。

 

 

 しばらく倉庫でマスター講座を受けていたアストルフォたち3人は、エミヤたちと別れて残りの古参メンバーを探していた。

 

「いや~、思ったよりマスターのことが分かっちゃったね♪」

「そうだね。まさか、いつもセットしていたと思っていた髪型が寝癖だったとわね。話を聞いている分は結構まわりに気を配っているみたいだけど、自分自身のことには疎いと言うよりものぐさなんだね、マスターは。」

「ええ、これからはマスターの様子に注目して私から接してみます。まずは朝の寝癖を直すところからやってみましょうか。」

「いいね!ボクもそれやりたい!」

 

 仲良く話をしている3人だが、前方から誰から走ってくるのを確認し話を中断した。

 

「ああ、もうっ!何だって言うのよ!」

 

 相手はそうとう急いでいるのかベディヴィエールたちに気づいていないようだ。紫色の長髪をなびかせ、大きな十字架の杖を握りしめ、聖職者を連想させる服装の女性は愚痴りながら向かってきた。

 

「あれって確か・・・。」

「ええ、聖女マルタだ。」

「どうしたのでしょうか?あの慌てようは只事には見せません。」

「そうだね。お~い、そんなに慌ててどうしたのマルタ~?」

「っ!?まずっ!?」

 

 マルタは3人を認識すると少し離れた所で立ち止り、少し乱れた服装と髪を整えると何事もなかったように話しかけた。

 

「うっうんっ!・・・・どうしたのですか御三方、私に何か御用でしょうか?」

「「「・・・・・。」」」

 

 さっきまでの乱暴な言葉づかいはどこにいったのか、そこには可憐で美しく礼儀正しい言葉づかいの女性が立っていた。そう、彼女こそは一世紀に登場した、悪しきドラゴンを聖水と祈りで鎮めたと言われている聖女マルタその人である。そのマルタの代わり様に3人は唖然としていた。

 

「どうかしましたか皆さん?」

「い、いえ、その、聖女マルタ・・・。今向こうから走って来て。」

「な・に・か・言いました?」

「・・・・いえ、何でもありまえん。」

 

 マルタの笑顔のプレッシャーに何も言い返せないベディヴィエール。これは悪い竜も泣きますわ。

 

「そうですか、でしたら私は先を急ぎますので。」

「(やっぱり急いでいたのか。)ああ、すまない。でも教えてくれないかな、君ほどの女性が一体どのような要件で?」

 

 あえて、急いで走ってきたとは言わないデオン。

 

「どうやら急患が()()()()()()()()でたとの報告がありまして、私を含めて治療が出来るサーヴァントが呼ばれているんです。」

「急患?サーヴァントが?クエストで怪我とかしたの?」

「いえ、聞いた話では()()のようです。」

「火傷ぉ?」

 

 マルタに聞いた話に首を傾げるアストルフォ。アストルフォだけでなく、ベディヴィエールたちやマルタさえも理解に苦しんでいた。前にも言ったかもしれないが、サーヴァントとは過去や物語に出てくる英雄や怪物などがほとんどだ。特異点での出動がない今の時点でそんな彼らに火傷を負わす存在など限られてくる。例えば、クエストによってレイシフト先にいたドラゴンなどの幻獣種やそれこそ()()()()()()()()でないと無理な話である。

 

「誰か喧嘩でもしたのかな?」

「いえ、私からはなんとも・・・。とりあえず、貴方たちも気を付けてください。」

「はい、ご忠告ありがとうございます。」

「足を止めてしまって悪かったね。」

「では、これで・・・・。」

 

 何事もなかったようにマスタは速足でその場を去って行った。3人はマルタから聞いた話を検討してみる。

 

「サーヴァントが怪我か~。やっぱり喧嘩かな?ここってサーヴァントがたくさんいるから。」

「確かに、喧嘩腰のサーヴァントにも数人心当たりがいるけど、火傷となると犯人は限られてくるね。」

「警報もならない事からして内部の犯行ですね。とりあえず、私たちも警戒を怠らないようにしなければ。」

 

 ベディヴィエールの提案に頷くアストルフォとデオン。それから3人はマスターの事が心配になり、1度様子を見に行ってみることにする。

 

「あ、マスターと言えば思い出したんだけど、残りの2人には会いに行く?」

「残り?残りって古参組のかい?」

「そうそう、確か清姫とセイバーオルタだったかな?」

「セイバー、オルタ殿・・・ですか。」

 

 アストルフォが思い出した、まだ話を聞いていない残り2人の古参サーヴァント、それが清姫とセイバーオルタだ。セイバーオルタの名が出るとベディヴィエールは難しい顔をした。

 

「・・・やっぱり気になるかい、貴方が仕えた騎士王のあの姿は?」

「・・・・・気にならない、と言えばウソになります。我が王の私が、私たちが知らなかった一面かもしれないあの方の姿には、色々と思うことがあります。」

 

 デオンがセイバーオルタを騎士王と言ったのは彼女がベディヴィエールが仕えたアーサー王、騎士王の違った一面を持つサーヴァントだからである。マスターが初めの特異点で会ったボス的存在だった彼女は、特異点Fを攻略後にすぐ召喚されたサーヴァントである。言えば、マシュと牛若丸に続く古参なのだで、マスターとのやり取りも他のサーヴァントとどこか違うことろがある。

 

「ややこしいよね~、ベディヴィエールの王様もさ。だって他にえ~と、セイバーでしょ、ランサー、ランサーオルタ、リリィ、でセイバーオルタこれで合計5人のアルトリアがここにいるんだよ。ボクはもうややこしくて混乱しているよ。」

「ああ、それは私もだよ。よく皆がアルトリアやアーサー王と呼ぶがどっちか分からない。・・・そういえば、水着の時はアーチャーのクラスだったらしいね。」

「それはマスターの運でしょうか、縁とでもいいましょうか。私としては仕えるお方が多い方が張り合いでます。」

 

 アルトリアが5名、似た顔を足せばさらに増えることからよくサーヴァントたちから混乱するという意見がすでに多く出ている。しかし、それは仕方ない、これはきっと神?が決めた事なのだから。

 

「ええぇ、本当に全員に仕えているの?」

「私はそれでも構わないのですが、ランサーの王たちからは断られました。『そなたは騎士王に仕えし忠誠の騎士、ならばかの王に仕えるべきだ。私のことは気にすることはない。』と言われました。それからは当番制で他の王のお世話をしています。ですが、もちろんランサーの王にも忠誠を誓っています。たまにですが、簡単なお世話をしています。」

「それは意外だ。ランサーの騎士王たちはどうも近づき難い空気を纏っていて、未だにまともな言葉を交わしていないんだ。そんな彼女達の優しさを知れたのはいいことだ。」

「それは私もです。最初見た時は私でも戸惑いました。何か、その、我が王が生きていた時より謎の威圧感がありまして・・・。」

「へぇ、貴方が言うなら私が感じていたことも勘違いではないと言う事か。」

「ええ、何故と言われても上手く説明できませんが・・・・。」

「(ボクは何となく分かるかもしれないなぁ~。あれはかの聖女を超える素材の持ち主だからね・・・。妬ましい。)」

 

 ランサーとして召喚されたアルトリアは体の成長が止まっていたセイバーの時は違い、体が大きく成長していた。特にアストルフォが嫉妬するほど見事に女の象徴が成長していたのだ。それはもう月とスッポンとレベルではなく、それこそ地平線とエベレストと言っても過言でない。ナイスおっぱい!私は乳上(ちちうえ)が好きだ!

 彼らがアルトリアズの話をしている際に前方に人影を見つけた。どうやら髪の長さからして女性のようだ。

 

「あの白い髪と横から出ている黒いツノって・・・。」

「おそらく清姫さんと思われます。」

「ちょうどいい、彼女も古参組の1人だったね。こうして出会えたことだし、マスターについて話を聞いてみよう。」

「いいね!これで最後にしようよ、オルタはマスターについて愚痴しか言わなそうだし。」

「・・・否定できませんね。いつもマスターに厳しいお言葉をおっしゃっています。ですが、それほどマスターのことをお気にかけている証拠でもあると思います。」

「へえ、さすがベディヴィエール。でも今は清姫だね。お~い、清姫~!」

 

 ベディヴィエールのアーサー王談議が長くなると察したアストルフォはアーサー王話を中断して、目の前の清姫に声を掛ける。清姫は途中で会った小次郎の後に呼ばれたサーヴァントである。初めてのバーサーカークラスの火力をマスターは今でも重宝している。多くのサーヴァントがいる今でも、よくクエストのパーティーに組み込まれている。呼ばれた清姫は長い髪を見事になびかせ、3人の方へ振り返った。

 

「・・・これは騎士の皆さん、こんにちわ。私に何か御用でしょうか?」

 

 清姫はそれは見惚れるほど美しい笑顔でベディヴィエールたちに話しかける。

 

「いえ、清姫さんに聞きたいことがありまして。」

「まあ、私で分かることでしたら、喜んでお答えします。」

「ありがとうございます。では、()()()()()()()()なのですが。」

 

「ますたぁ・・・?」

 

 ベディヴィエールが言ったマスターの単語に異常に反応した清姫。さきほどの清楚な感じはどこにいったのか、180度反対に憤怒の感情が露わになっいく清姫に3人は酷く動揺している。

 

「き、清姫さん?一体どうした・・・。」

「駄目だベディヴィエールっ!近寄ってはいけない!」

「っ!?」

 

 デオンの注意にすぐさま反応してその場を飛び退くベディヴィエール。間一髪のところで彼がいた場所へピンポイントに放たれた火球を躱すことが出来た。床には酷い焦げ跡が付いている。これにはアストルフォは激怒した。いや、アストルフォだけでなくベディヴィエールとデオンもすぐに戦闘態勢に移行した。

 

「・・・あらぁ?外してしまいましたぁ。」

「き、危機一髪だったよ!何するんだよ清姫!?」

「それはこっちの台詞ですわ、アストルフォさん。私はただ、ますたぁ(ダンナサマ)に近づく不穏な影を排除しているだけです。」

「不穏な影って、私たちはただマスターのことを・・・。」

 

 そこでベディヴィエールは何かがひっかかっていた。

 

「(先ほどのマルタさんから聞いたサーヴァントが()()を負った話。そして、目の前には問答無用で火球を放っている清姫さん。これは、もしかして・・・。)」

「清姫、もしかして君は他にもサーヴァントに攻撃を仕掛けていないか?」

 

 ベディヴィエールだけでなく、デオンもある推測にたどり着いたようで清姫に確認をとる。それに清姫は何の躊躇なく答える。

 

「ええ、存じています。ますたぁを不審に思っているサーヴァントがいることを。でしたら、あの方のサーヴァント(つま)として守る義務があります。だから、こうしてマスターに近づく不安要素をますたぁに近づく前に取り除いているのです。」

「「「(あなたが/君/清姫が、不安要素そのものです/だ/だよ!)」」」

 

 この瞬間3人の心が1つになった。ぞくに言う『お前が言うな!』である。

 

「存じているとは、誰から情報の提供でもあったのですか?」

「はい、ステンノ様から助言を携わりました。」

「「「(彼女かーー!!)」」」

 

 2度目の心の一致である。そうこれは、女神ステンノによる3人への試練(いたずら)なのである。ステンノが自らマスターの為に動いたものの、実際にはことが簡単に解決していまい拍子抜けだった。それに少しおかんむりな彼女は3人への仕返しにイタズラを考え、早速実行したのである。効果は見た通りに抜群である。妹のメドゥーサはそのことを彼らに伝えようとしたが、ステンノに妨害されて伝えられなかっのだ。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!あなたは何か誤解されています!」

「そうだよ!それにあの女神に一体何を吹き込まれたのさ!?」

「吹き込まれたとは心外な・・・。私はただ「マスターの事を嗅ぎまわっているサーヴァントがいるわ。」としか言われておりません。」

「なら、不穏な影とは言えないじゃないか。そこまでする必要がないはずの君の目的は一体何だい?」

「私の目的ですか?そんなモノ決まっています。その目的は・・・・・。」

「「「・・・・・。」」」

 

「ますたぁに褒めてもらい、あわよくばご褒美をもらう為です!」

「「「・・・はあぁっ!?」」」

 

 これには3人そろってビックリ仰天である。それもそのはず、マスターに褒められたいだけに自分たちを襲っているとは誰が想像できただろうか。

 

「そ、それなら別にこんな強硬策にでなくでもいいのでは?」

「そうだよ!マスターに褒められたいなら、マスターの手伝いでもした方がいいじゃない!ていうか、ボクもマスターに褒められたい!」

「アストルフォ、少し黙っててくれ。そうだ、こんなリスクがあることは止めた方がいいと思うぞ?」

 

 3人は清姫を説得しようとするが。

 

「それでは遅いのです!」

 

 聞く耳を持たない清姫である。

 

「なにが遅いのですか?」

「そんなことは既に何百とやっております!ですが、ますたぁはそれくらいでは感謝はしてくれても、素直に褒めてくれないくらいの照れ屋なのです。そんな奥手なところもステキですが、それでは()()()()()のです。もっとますたぁは私を褒めてくれていいのです!それに今では()()()()を待っていては手伝いなど多くできません!だから、こうして強引にマスターに褒められる案件を逃すほどの余裕はないのです!」

 

 これは狂化EXですわ。まるで話を聞いてくれない清姫に3人はどうしたものか戸惑っていた。

 

「その話、ちょっと待った!」

 

 そこに第3者の声が響いた。3人は助かったと、希望を抱いて声がした方向に顔を向ける。しかし、そこにいたのは・・・。

 

「アナタは・・・モードレッド卿?」

「おう、俺だ!モードレッド様だ!」

 

 アーサー王に仕えた円卓の騎士の1人でありながら、アーサー王に叛逆した騎士であるモードレッド卿が宝剣(クラレント)を肩に担いで立っていた。

 

「あら?モードレッドさんも私に何か御用ですか?」

「おうよ!アンタに一言言ってやりたくてな。」

 

 モードレッドの言葉に3人はこれで清姫を抑えることが出来ると期待した。しかし・・・・。

 

「マスターに褒められるのは俺だー!」

「なっ!?」

「「「(えーー!?)」」」

 

 まったく別の意味で裏切られたのであった。自分を指さし、マスターからの褒美を主張するモードレッド。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!マスターに褒められるって、まさかアナタも清姫さんと同じで!?」

「おう!あのちっこい女神にマスターに叛逆の兆しがるサーヴァントがいるって教えられてな!叛逆と聞いちゃ、俺が黙っている訳にもいかないだろ?」

「ま、またあの女神ですかっ!」

 

 なんとこのモードレッド卿も女神ステンノが向かわせた刺客?なのであった。

 

「それにしても、まさか叛逆の兆しがあるサーヴァントがお前だとはな、意外と不逞な奴だな!」

「アナタには言われたくありませんよっ!?」

「「うんうん。」」

 

 2度あることは3度ある心の一致である。使える王に叛逆した彼女が何を言っているのか。

 

「ああぁっ!?俺がマスターを裏切るわけあるか、バッカッじゃねーの!」

「それもアナタに言われたくありませんよ!」

 

 世にも珍しい円卓コントを繰り広げている円卓騎士2名。これは騎士王の胃もマッハだっただろう。

 

「まさか、アナタまでもますたぁからの褒美(ごちょうあい)を受けたいとは。」

「ん?おう!最近、俺の番が回ってくるのが遅いからな。これでマスターにたくさん褒めてもらえるぜ!」

 

 場の空気を読めないのか話を続ける清姫、ちょっと単語の発音が怪しいところがあった気がするぞ。さすがバーサーカーである。

 

「めぐってきたこの機会を逃すわけにはまいりません。悪いですが、ここは譲れません。」

「それも俺の台詞だせ。マスターとの順番が中々回ってこないから退屈してたんだよ。」

「そうですか。もはやこれ以上の言葉はいりませんね・・・。」

「そうだな。俺は早くマスターに頭を撫でてもらいてぇしな。」

 

 清姫とモードレッドの間に緊張の沈黙が広がっていく。ここでこの場にいる全員の位置取りを説明しよう!アストルフォたちの目の前に清姫、その後ろにモードレッドがいて言わば挟まれている状態なのだ。そんな中で暴走気味な犬属性持ちのサーヴァント、これはもうアストルフォたちは大ピンチである。

 

「ど、どうするの!?2人ともこっちのことなんか気にしていないよ!」

「とりあえず、2人には落ち着いて貰わないと!」

「そんな空気じゃないけどね。」

「いくらなんでも宝具を使わないと思うけど、サーヴァントがガチでぶつかったら・・・。」

「ここにいては、ただではすまないでしょうね。」

「逃げたいけど、下手に動けば彼女たちを刺激しかねない。」

 

 ここはマスターの部屋にも近いこともあり、彼には迷惑をかけられないという気持ちからどうにかして自分たちで解決しようと思考を巡らせる3人。しかし、時間が短いこともあり解決策が浮かんでこない。だからだろう、暴走わんこサーヴァント2名だけでなく彼らでさえ清姫とモードレッドにそれぞれ近づく人影に気が付かないでいた。

 

 ゴチンッ!!

 

「「「!?」」」

「「・・・・・きゅ~。(バタン)」」

 

 鈍い音が鳴り響き、3人が音に反応した時には既に暴走サーヴァント2名は床にうつ伏せに倒れていた。そして、そこに現れた人物の姿が目に飛び込んできた。それは、

 

「わ、我が王!?」

「エミヤじゃん。」

 

 そう、黒いアーサー王ことアルトリア・オルタが聖剣を片手に持ちモードレッド卿を虫けらを見るような目で見下しており、先ほど倉庫で会ったエミヤがフライパン片手に清姫の後ろに立っていた。どうやら、彼女たちが清姫たちを後ろから武器(フライパンもりっぱな武器である)で殴って気絶させたのだろう。

 

「なんだベディヴィエール、私が他に誰に見える?」

「すまない3人とも来るのが少し遅れた。」

「いや、タイミング的にはおいしい気がするよ。でも助かったよ、ありがとう。」

「ありがとうございます。」

「ありがとう~!」

「なに、礼には及ばないさ。」

「こちらもだ、別にお前たちを助けたわけではない。」

 

 アルトリア・オルタとエミヤは清姫とモードレッドが気絶したことを再度確認をとると3人に近寄る。その際にオルタはモードレッドを踏んづけていく。「ふぎゅっ!」という悲鳴が上がった。

 

「いいの?モードレッドだって円卓の騎士だったんでしょ?」

 

 アストルフォが倒れているモードレッドを気遣うがオルタの表情には変化がない。

 

「今の私はマスターに呼ばれたサーヴァントに過ぎん。王も騎士も何も関係がない今、あやつに構う暇もない。もう1人の私だったとしても容赦はしなかっただろう。槍の私は知らんがな。」

「でも、今踏まなかった?」

「気のせいだろ。」

「あ、はい。」 

「(王とは関係ないとは言っても、無意識に気になるのですね王。)」

 

 もやは無意識レベルでのモードレッドへの反応に何も言えないベディヴィエール。秘かにモードレッドに同情の念をおくった。

 

「王も関係ないと前にも言った際に、私の事は王と呼ぶなと言ったはずだ、ベディヴィエールよ。」

「も、申し訳ありません。つい癖で・・・。」

「まあ、よい。反省しているのであればよい。だが、次は剣を抜くぞ、いいな?」

「は、はい!」

 

 優しいようなで厳しい上司に叱られる気に入られている部下のようなやり取りである。

 

「それにしてもエミヤ、よく私たちが危ないと分かったね。」

「それにはマタ・ハリに感謝をすればいい。彼女たちのおかげで事態は収束に向かっている。」

 

 エミヤの話によれば、倉庫からの帰り道で偶然モードレッドに何かを吹き込んでいるステンノを発見。諜報スキルで立ち寄って話の内容を聞き、すぐエミヤとブーディカ、他に協力的なサーヴァントと共に事の解決に取り組んだとのこと。マタ・ハリとブーディカ、協力者たちは先回しして色んなサーヴァントに事情を説明。これでステンノは自分の策が通用しないことを把握し、少し満足げに自分の部屋へ戻って行った。既に被害にあっているサーヴァントがいることを知ったエミヤはマスターの安全を確認する為にここに来る途中でベディヴィエールたちを助けたということだ。なお、この騒動を仕組んだ諜報人のステンノには悪びれた様子はまったくなかったそうだ。

 

「でも、被害あったサーヴァントたちには気の毒ですね。」

「そこまで気にする必要もないと思うぞ。被害にあったのは黒髭ティーチとイスラエル王ダビデだそうだ。」

「あ、なら大丈夫だね。」

 

 さらに詳しくいえば、清姫の犠牲になったのはティーチで原因はマスターについて「マスターをつけていれば、きゃっはっうふふな展開に巻き込まれそう。」ということで彼女のストーカー魂に火が付いたようで焼かれたようだ。ダビデにいたっては、モードレッドに怪しいと思われたことが原因のようだ。問答無用の一撃で綺麗に黒焦げになった。まあ、普段から「マスターはもう少し男として本能をさらけ出すべし。」と言っていたことも原因の1つだろう。

 

「だ、大丈夫なのでしょうか?」

「大丈夫だよ、だってあの2人いつも怪我が絶えないって聞いたよ。」

「私もだ。それも女性サーヴァントからの制裁によるものだと。」

 

 もはやそれがお約束になっているレベルになっているカルデアであった。よく幸運Eのサーヴァントたちが巻き添えになっている。ここにいるエミヤもその1人であり、その表情はどこか達観しているようである。

 

「では、私たちは彼女たちを医務室に運ぼう。いつまでもこのままではいかんだろう。」

「そうだな。この者たちは今までの鬱憤でもたまっていたのだろう。気持ちは分からんでもないが、そこで爆発させては意味がないだろうに。」

「あの、それはどういう意味でしょうか?」

「そうそう、清姫とモードレッドがさっき自分の番が回ってこないとか言っていたけど。」

 

 清姫とモードレッドの暴走の原因と思われる発言を気にしていたが、意味が分からなかったアストルフォはエミヤとオルタに聞いてみた。

 

「貴様たちは()()気づいていないことだが、いつか気づくか。話してやれ、アーチャー。」

「私が説明するのか・・・・。その言葉の意味はカルデアにいるサーヴァントの姿を思い出せば気が付くだろう。」

「・・・・・へんなとこないよね?」

「ええ、強いて言えば皆の顔が笑っているくらいでしょうか?」

 

 姿と言われても、よく笑っている顔や露出が多いサーヴァントが目立つことしか思い浮かばないアストルフォとベディヴィエール。しかし、男性でもあり女性ともして生前を生きてきたデオンが何かに気づいたようだ。

 

「まさか、ほとんどのサーヴァントたちの姿が変わっていることかな?」

「ほう、気が付いたかフランスの騎士よ。」

「どういうことですか、デオンさん?」

「私が見た限りでここにいるサーヴァントが霊基再臨が行われていない数が圧倒的に少ない気がするんだ。」

「・・・・あっ!」

「そういえば。」

 

 新参の自分たちを除けばほとんどのサーヴァントが第2段階の再臨を済ませているのが分かった。

 

「再臨していないのは素材が足りない奴等ばかりだ。だが、お人よしである我らがマスターは奴等も再臨させるつもりで暇なときは素材を集めている。その中途半端で終わろうとしない姿勢は素晴らしい。」

「そういうことだ。だが、彼らもマスターばかり動いては忍びないとのことで、素材集めには再臨するサーヴァントが一緒についていっている。だから、マスターと一緒にクエストに行ける回数が減ってきているのが現状だ。その為か、彼女たちのようなサーヴァントが暴走することもたまにあったのだ。」

「まったく、わんこ属性と言うのか?その属性のサーヴァントたちの何と愚かなことか。」

「(前に騒動を起こした君も人の事を言えないのでは?)」

「なんだアーチャー、何か言いたい事でもあるのか?」

「いや別に。そういう訳でそろそろ暴走期に入るサーヴァントがいるとは思っていたが想像より早かったのだ。そのせいで君たちには迷惑をかけた、すまなかった。」

 

 まるでこの騒動が自分のせいだと言わんばかりに頭を下げるエミヤ。そんな彼を3人は笑って許した。

 

「大丈夫ですよ、エミヤさん。こっちには被害は出ていないのですから。」

「そうだよ~。気にし過ぎだよ。」

「それほどマスターが気に入りられているのだろう?良い事じゃないか。」

「・・・感謝する。」

 

 今度こそ場が治まったことを確認して清姫とモードレッドを医務室に連れて行くエミヤとオルタ。その際にオルタはモードレッドの片足を引きづっていた。

 

「・・・私が2人を運ぼう。」

「いや、こやつは私が運ぼう。心優しい私がな。」

「・・・・・実は気にしているだろ?」

「知らん。これは鎧が邪魔で運びにくいからやっているのだ。他意はない。」

「・・・そうか。」

 

 2人を運ぶ彼らにはこんなやり取りがあったようだ。なお、床に傷が付かないように器用に顔だけが擦れるように運ぶオルタであった。

 エミヤとオルタが去ってことで短いようで濃い騒動に唖然としていた彼らだが、後ろから掛けられた言葉で正気に戻った。

 

「・・・・どうかしたのか?」

「あっ!マスター!」

 

 後ろを振り向けば、そこにいたのはカルデア最後のマスターだった。ここはマスターの部屋からそう離れていないので物音が気になったのだろう。服装は普段から来ている魔術礼装の魔術協会制服である。

 

「何かあった?この床なんて黒いんだけど?」

「なんでもありませんよ、マスター。」

「そうそう、ボクたちも今ここを通っていたらね。」

「そうだ、君が心配することはないよ。」

「・・・なら、いいけど。」

 

 今までの話で聞いた多忙なマスターの心労を気遣った3人は先ほどまで起こっていた、ある意味カルデア全体を巻き込んだかもしれない騒動をマスターに伝えないようにした。

 

「マスターはこれからどちらに?」

「いや・・・まあ、ちょっと倉庫に行こう、と思って。」

 

 ベディヴィエールに対してぎこちなく答えるマスターだが、3人にはその理由はもう知っている。よって、何の迷いなくマスターに接することが出来る。

 

「では、私もご一緒にいきましょうか?そういった組織の内情の確認には自信がります。きっとお力になれるでしょう。」

「・・・いいの?」

「ええ、私は貴方騎士でサーヴァントなのです。遠慮も何もいりません。」

「・・・・じゃあ、行こうか、()()()?」

「ふふ、はい。」

 

 少し照れ臭そうにしているがどこか嬉しそうなマスターであった。

 

「じゃ、ボクも一緒に手伝ってあげる♪」

「なっ!?ちょ、ちょっとアストルフォっ!?」

「では、私もご一緒に・・・。」

「デオンまでっ!?」

「ふふふ、どうしたのかなマスター?」

「あ、いや、その・・・・。」

 

 そんなマスターをにやにや顔で見ていたアストルフォが腕に抱き着いてきた。驚いていたマスターだが、すかさずにもう片方の腕にデオンも両手で捕まり身を寄せる。普通なら相手に顔を見せないようにするのだが、両腕にアストルフォとデオンがいるのでどちらを見ることが出来ないマスター。あたふたしていたマスターは徐々に顔が赤くなっていった。それをとても愛おしそうに見ているアストルフォたち。

 

「と、突然なんで?」

 

 逃げ出そうにも普通の人間がサーヴァントの腕力に適う訳はない。苦し紛れにマスターは話題だけでも逸らせようと問いかけるが、2人は万遍の笑顔で答える。

 

「これからはドンドン、マスターにアッタクするから覚悟してね!」

「君は私に女性であって欲しいと言ってくれた。なら、少しでもそれに応えないといけないと思ってね。」

「・・!?・・・!?」

 

 突然の2人の代わり様に驚くマスターは目の前のベディビエールに助けてとアイコンタクトを送る。

 

「では、まいりましょうマスター。時間は有限ですので。」

「なっ!?ベディ!?」

 

 これまたいい笑顔でマスターを助けずに反応を楽しんでいるベディヴィエールであった。マスターは裏切り者と言わんばかりに真赤な顔で涙目である。

 こうして彼らはマスターとの距離を縮めることが出来たのである。それから彼らは真の意味でカルデアの仲間となった。今日も今日とてマスターは頻繁にスキンシップをとってくるサーヴァントたちと共に騒がしく楽しい日常を送っている。

 

 余談であるが、他のサーヴァントに説教(モードレッドはアルトリアズから)された清姫とモードレッドは激しく落ち込んだ。だが、マスターは騒動の事を知らないので落ち込む彼女たちを励ます為にいつもより長い時間、頭をなでなでしてご機嫌をとったそうだ。それで機嫌が直る彼女達はまさしくわんこ属性である。

 




お疲れ様でした。

どうでしたか?最後に無理矢理ギャグ成分を出してみたのですが、なーんか少ないような気がします。今度はもっとギャグを増やしたいです。

今回の主役にしたサーヴァントは第6特異点で活躍して好感度があがったベディ、1回目のデータが消えてしまって後悔したが最近来てくれて嬉しかったデオン、見た目と性別の扉を開けそうにさせてくれるアストルフォでした。書いていて楽しかったです。

サブ登場のエミヤ先輩も早い段階で来てくれましたのを思い出したので前回、慌てて出番を増やしました。

黒髭とダビデにいたっては罪悪感はあっても反省はしていません。彼らはきっとそんな星の元に生まれたサーヴァントなのでしょうw

清姫とモードレッドに関しては愛情からの暴走でした。作者は2人のことは大好きです。ですが、その愛情ゆえにこのように出させてもらいました。この2人がメインになる話は作りたいですね。

楽しんでくれたら幸いです。ネタは結構思いついているので今度こそギャグになるように頑張りたいです。よければ感想もくれれば嬉しいです。(チラッ

では、また会いましょう!
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