ただの旅人と愉快な仲間達が異世界から来るそうですよ   作:神崎優

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第三十二話 心の拠り所

~その日の夜~

 

 

「・・・そろそろ寝るかな」

 

俺は日課に近い読書を終わらせて、寝ようする。

なんで日課に近いのかか?

それはほぼ毎日読んでるからだ。

内容はてんでバラバラなんだけどな。

俺は本を読むときだけかける眼鏡を外し、寝床にて寝ようとする。

そしたら、窓から小突く音が聞こえてきた。

鳥かなんかだろうと思った俺は、興味無しの状態でカーテンを開けるとそこには、

 

「・・・・・・・・・」

 

「入れてください、そろそろ寒いです」

 

何故こうなったか知らんが、服の胸の辺りが血だらけになってる全身ビショビショのヴィテがいた。

正直に言ってすごい気不味い。

とりあえず、

 

「服着替えて、シャワーでも浴びてこい」

 

「洗濯お願いします♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んで?何があった?」

 

「それは話すことは出来ません」

 

「なんでだ?」

 

「これは私の問題です。

だから自分で解決します」

 

ヴィテは真面目な奴だ。

自分に落ち度があれば他人に頼ろうとせず、自分自身の手で問題事を片付けようとする奴だ。

でも、

 

「何か考え込んでたのか?」

 

「・・・・・・」

 

コイツの能力上このようになるのはまずあり得ない。

俺はコイツの実力を嫌と言うほど知り尽くしている。

その経験から言わせてもらえばヴィテには不意打ちが通用しない。

もし、このように殺しかける事が出来たのなら、可能性としては一つある。

それは、ヴィテが能力を使用していないとき。

しかし、任意で解除出来るとはいえ、そう簡単に能力は解除しない。

なら能力が邪魔になるから解除する必要がある行動をヴィテがとっていたことになる。

そう考えた結果が『何か考え込んでた』になる。

 

「・・・何も」

 

「・・・・・・」

 

ったく、ヴィテも本当に素直じゃないんだな。

 

「いいかヴィテ」

 

「はい?」

 

「俺はさ・・・心配なんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺はさ・・・心配なんだよ」

 

・・・本当に優しい人。

今私は能力を使用していない。

何故ならユウ様を本当に信頼しているから。

でも、私はこの方に負担をかけたくない。

この問題は私自身が解決するべきだ。

ユウ様はこことはまた別の世界を救うための旅の途中だ。

それなのに私の件でそれを遅らせる訳にはいかない。

でも、それでも甘えたくなってしまう。

今まで愛情という感情をようやく知れたのに、今はそれは必要ないのに、私は今甘えたくて仕方なくなっている。

ついさっきまで、私は冷たかった。

とても冷えていた。

凄く冷めきっていた。

本当に虚しかった。

・・・馬鹿ですね私は。

ボロが出てしまった。

私は機械。

そう考え込まなければ、私は私ではない。

今までも、ユウ様達と共に歩み始めた時も、これからもそうしていかなくちゃいけないのに。

 

「・・・そろそろ部屋に戻ります、いきなり窓から入り込んでしまって申し訳ございません」

 

甘えたいという感情を押さえ込まなくちゃ。

これからユウ様達はまた戦いを始める。

そのサポートをしなければいけない。

そこに、私の最前席は無い。

・・・頭を冷やしましょう。

これ以上はもうだめです。

 

「・・・・・・」

 

「それでは」

 

「・・・・・・待て」

 

扉に手をかけようとした時、私の視界が反転した。

気付けば、私は部屋を真横に見ている。

いったい何が起こったのか辺りを見てみると視界の上にユウ様の顔が見えた。

とするとこれは、

 

「・・・膝枕」

 

「そっ、少し待ってろ」

 

「・・・何故膝枕?」

 

「ご褒美。従者を労るのは主の勤めだろ?」

 

そう言いながら私の髪を、頭を優しく撫でてくる。

今の私からすればこれは毒だ。

これじゃあ甘えたくなってしまう。

 

「ゆ、ユウ様・・・」

 

「おっ?恥ずかしいのか?なんだよ可愛いな」

 

「足の肉抉りますよ?」

 

「痛いので勘弁してください」

 

「それより膝枕をやめてください」

 

「嫌だ」

 

「何故ですか?」

 

「ん?何故ってヴィテが泣きそうだったからだぞ?」

 

「!!?」

 

「え?自覚なかったの?」

 

「そ、それは」

 

「今は甘えとけ、気負いすぎたら体に毒だぞ」

 

「////」

 

恥ずかしい。

まさかそんな顔をしていただなんて。

そんな顔まるで捨てられそうな小犬に見えたのではないでしょうか。

こ、こうなったら長期記憶される前に大きな衝撃を与えて記憶を消すしかない。

 

「・・・なぁヴィテ」

 

「にゃ、にゃい!にゃんですか!?」

 

あァァァァ~!!!///

変な声を出しちゃったー!!!

ヤバいすごい動揺してる。

でもユウ様はそれに触れずに話しかけてくる。

 

「苦しかったり、辛かったりしたらいつでも頼りに来ていいんだぞ?」

 

「え・・・?」

 

気付かれてた。

それが分かった瞬間、顔が茹でトマトみたいに赤くなる。

うぅぅぅ~・・・・・・。

 

「俺はお前が好きだからいつも笑っててほしいんだよ」

 

「っ~・・・」

 

この好きは何も変な言葉ではない。

でも私にとって媚薬のようなものだ。

抑え込まないと、そうしないと私は。

 

「だからさ?泣きたいなら泣けばいい」

 

「あっ・・・」

 

そっとだけど、私の目から涙が出てきており、それを優しく拭ってくれる。

 

「・・・ユウ様は優しすぎます」

 

「そうか?」

 

「優し・・・すぎますよ」

 

でもそうだった。

私は一人ではない。

いつまでも側にいてくれる人を思い出した。

私の心を芯から温めてくれる人が。

 

「・・・ユウ様」

 

「なんだ?」

 

「・・・ありがとうございます」

 

「どういたしまして」

 

あぁ・・・本当に優しい人だ。

あんなにまで暗くて重かった私の心はもう幸せでいっぱいだった。

まだ見たかったけど、安心したせいか眠気が襲ってきた。

温かい。

それだけで充分だったのか。

そして私の意識は、暗く、温かい黒い世界に沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すぅ・・・すぅ・・・」

 

「・・・お疲れ様ヴィテ」

 

余程疲れていたのかヴィテは可愛い寝息を立てながら俺の膝を枕にして寝ている。

これは全世界の男子からなんかの罰受けんのかな?

改めてヴィテの寝顔を拝見する。

もう涙は流していないから、ちゃんと安心できてたんだな。

こんな小さな女の子にこんな辛いことさせちゃ、駄目だな。

 

「おやすみヴィテ」

 

俺はサラサラの髪の毛を撫でながら囁くようにそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで?来れるか?」

 

『ヴィテがいるならどこへだって行くぞ』

 

「なら、お前に任せる」

 

『それとなユウ』

 

「ん?」

 

『会ったら死刑な』

 

「・・・せっかくの感動が無くなっちゃったよ」

 

『それよりユウ』

 

「今度はなんだよ」

 

『ヴィテのこと・・・ありがとうな』

 

「・・・どういたしまして」

 

「やっぱ俺ら同じだな」

『やっぱ俺ら同じかな』

 

「・・・来るまで任せろ相棒(・・)

 

『着いてから任せろ相棒(・・)




「「「「「「もう付き合えよ」」」」」」

「断る」
「断ります」
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