ただの旅人と愉快な仲間達が異世界から来るそうですよ 作:神崎優
「すぅ・・・すぅ・・・」
「流石にユウも飛行機に乗ってる間は寝ちゃうんだな」
今俺達は来禅高校の修学旅行で飛行機に乗っている。
この時期は学校とは関係なく俺達は大変だからこういう時間はその事を忘れられる。
でも今俺の隣に座っているユウはそんなことお構い無しに眠りこけている。
・・・そして十香達はと言うと、
「おのれー!!ちょこまかと逃げるな鳶一折紙!」
「逃げてるのではない。立派な戦略」
レオン達から教えてもらった格闘ゲームで盛り上がっていた。
どうやら令音さんによって先生方は全員眠らされているので、ゲームしていてもバレないみたいだ。
というか、何してくれてんだあの人は。
そして一番驚きだったのは、
「あらあら?十香さん?また負けちゃいますわよ?」
この修学旅行に狂三も来ていることだ。
何故か分からないが、大人しくしている様子から今はなにもしてこないと思う。
他のメンバーだと、耶倶矢と夕弦はユウと同じく二人仲良く眠っているし、ロウウィは音楽を聴いている。
零とヤマトは、何やらカタログみたいのを一緒に見ているし、レオンとミーレスと隼はトランプでポーカーをしていた。
因みにここにいない精霊達と異世界から来た皆は天宮市でお留守番というわけだ。
流石に学生以外はこれに参加出来ないからな。
それにしても、この前の戦闘で六喰がユウに言っていた言葉はどういう意味だったんだろう?
実はこの事件の真相が分かってたりとか?
でも六喰が体験したことのあることって言えば、
「知りたいか?」
「うわっ!?起きてたのかよ!」
「さっき起きた・・・あふぅ~」
ユウが大きな欠伸をして、そして真剣な眼を向けてきた。
「で? 知りたいか?」
「・・・いや、止めとく」
聞いたら後に戻れなくなりそうだったので、聞かないことにしよう。
それが俺の為でもあり、ユウの為でもあるだろうから。
「賢明な判断だ」
「そういえばヴィテは付いてこなかったのか? 付いてきそうだったけど」
「最近影が薄くて出番がなかったペストと一緒に残って調べものをするってよ」
「め、メタいな」
「まぁ何しようがアイツの自由だ。 あっちにはバハムートもいるし大丈夫だろ」
「・・・それもそうだな」
バハムートはユウと同じ力を持っている。
そんな人が街に残ってるなら、またDEMが仕掛けてきても平気だろう。
「今はこの旅行を楽しもうぜ?」
「あぁ!」
その頃、士道達の席を見続ける一つの影が、
「こちらは問題ありません。 監視を続行します」
DEMのエレン・M・メイザースが隠れていた。
「我々の計画のためにもあの異世界から来た奴らはあまりにも危険。 隙を見て排除しなければ」
だが正攻法では恐らく勝ち目はあまり無いでしょう。
なら彼らの行動を記録し、それに合わせて始末するとしましょう。
そのための変装としてカメラマンになってみましたが、正解でしたね。
待っていなさいユウ=クレメンズとその仲間達。
そしてこの私に屈辱を与えたバハムート=クレメンズ。
今度こそ息の根の止めてやります。
まずは無事に到着ですか。
このときのために旅行先を変更させて良かったです。
後は潜伏しつつ、彼らの動向を探れれば、
「では行きましょうか」
「あっー!カメラマンさんがいる!」
「え!?マジマジ!?」
「マジやばくねー?」
「!?」
くっ!まさか来禅高校の生徒に邪魔されるとは!
そしてなんでしょうこの気持ちは。
なんかこの三人に絡まれたら嫌な予感しかしないような感覚は!
「くっ!」
「「「あっ!逃げた!!」」」
ここは素直に撤退です。
私の目的は彼らの動向を探ること。
それなのにあんなのに捕まって時間を食われる訳にはいきません。
そして走っていった先には、
「・・・あっ?」
「・・・えっ?」
運命のイタズラかなんなのか。
今もっとも会いたくない存在筆頭角であるユウ=クレメンズの目の前に出てしまった。
・・・最悪です。
「・・・」
「・・・」
・・・あれ、エレンだよな?
いきなり飛び出してきた人影を見てみれば、変装しているのかカメラマンになっているエレンと鉢合わせになってしまった。
恐らく俺たちの監視に来たんだろうけど、こんなところにまで来るのかよ。
そんだけアイツ等も必死なのか、それともなんとなくなのか。
でも恐らく前者だろうな。
「・・・」
「・・・はぁ~」
「っ!」
「馬鹿馬鹿しいや」
「は?」
「お前は『カメラマンのエレン』だ。 んで俺は修学旅行に来た来禅高校の生徒ユウだ。 それでいいだろ」
「は?え?はぁ?」
今一ピンと来ていないエレンを横目に、俺は制服のポケットからチュッパチャップスを二本取り出すと、
「ほらやるよ」
「えっ?おととっ」
一本をエレンに投げ渡して、もう一本の袋を取ってさっさと口にくわえる。
「選別だ」
「えっ?いや待て!」
「じゃあな~」
そして俺は士道達が待っているであろう場所に向かった。
生徒達の安否を確認するための集合場所にへと。
「・・・なんだったのでしょう」
明らかに奴は、私の正体に気付いていた。
その上で見逃したと言うのかあいつは。
そしてこのチュッパチャップスは食べろという意味なのだろうか。
もう一本を食べていたから毒は無いでしょうが。
恐る恐る袋を取って食べてみると、
「・・・・・・・・・美味しい」
そこらのチュッパチャップスとは比べのものにならないほどにかなり甘かった。
そして監視そっちのけでチュッパチャップスを舐めきるまで舐め続けていたのは、それから三十分以上もかかってしまった。
「零~」
「ん?ユウか。 どこ行ってたよお前」
「バカに会ってた」
「は?」