ただの旅人と愉快な仲間達が異世界から来るそうですよ   作:神崎優

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「もう何ヵ月ですか・・・前回と比べましてねぇ?」

「そろそろリアルも大変だしな」

「・・・いなくならないでくださいね?」

「ウィッス」


第四十話 強さと覚悟

その日の夜、士道はある人物を探していた。

ずっと疑問に思っていたことがある。

しかし、それは一度話を聞いたときには、なるほどと自分なりに解釈して納得してしまっていた。

だけどこれまでの出来事からその疑問はより重くより大きくなって再び浮上してきた。

だからこそ聞かなければならない。

本当は何を思っているのかを。

本当は何を考えているのかを。

本当は何をしようとしているのかを。

再び現れた疑問は時間とともに膨張していき、もはや破裂寸前にまで迫ってきていた。

これは自分の勝手なのかもしれない。

でも、もう引き返せない。

聞いて、感じて、思って、そして考えて答えを出さなければならない。

そして、目の前に目的の人物を見つけた。

 

「・・・ユウ」

 

それが俺が出来る事だと信じて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・士道か」

 

突然背後に現れた気配に対して、俺は普通に挨拶するように言葉を出した。

けどそれは表面上で取り繕ってるだけだ。

その理由は、士道の目が教えてくれたからだ。

真剣に何かを知りたいという思いが強く伝わって来たからだ。

でもそれをこちらから聞こうとは思わない。

ちゃんと士道の方から聞かせてもらいたいからだ。

 

「それでどうした? こんな時間に外に出歩いて」

 

「・・・もう分かってるんじゃないのか」

 

「・・・」

 

「教えてくれユウ! お前は確かこの世界と他の世界を守るために来たんだよな」

 

「そうだな」

 

「何の為にだ?」

 

「全ての生命を守る為にだ」

 

「それならあの影精霊だって助けられる筈だ」

 

「あいつらを助ける?」

 

正直に言って、なに考えてるんだ?、と思った。

でも次の言葉を聞いて、俺は目を見開いた。

 

「あいつらだって、この世界で生きてる! 命のあるちゃんとした生き物だろ!」

 

「!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「驚いたな。 まさかそれに気がついたとは」

 

「否定しないんだな」

 

俺も最初に琴里から聞いたときには疑った。

あいつらは、魔力と霊力が混ざりあって生まれたものだけど、数値上ちゃんとした生命体だった。

最初の十香の影精霊のときには色々と事態が急変しすぎて、それを信じてる余裕が無くなった。

それどころか疑問が出てきた。

全ての生命を守る―――それは確かに素晴らしいと思う理想だ。

けれど幻想でしかない。

そしてユウはこの事を知っていた。

あいつらが生きてる存在なのを知っていて殺していた。

それも一度ならず二度、三度と繰り返して殺していた。

だから俺も言いたいことを言う。

いったい何を考えているのか知るために。

 

「お前は確かに強い。 でもそんなに力があるんだからあいつら影精霊達だって救えるはずだ!!」

 

「・・・」

 

「ペストだって救うために、別の世界に連れてきたんだろ。 だったら影精霊達を救うための方法があるはずだ!」

 

「・・・お前お人好しって言われないか?」

 

「質問の答えになってないぞ」

 

「なら結論から言わせてもらうと、俺は影精霊達を救えない。」

 

「―――ッ!」

 

「そもそも根底から間違えてるぞ」

 

「・・・何をだ?」

 

そう聞き返すと、ユウは、はぁ、っと大きな溜め息をついた。

そして俺を見据えてこう言った。

 

「あいつらは生み出されたんじゃなくて、作り出された(・・・・・・)ってところだ」

 

「・・・ちゃんとした命のある生き物じゃないと言うのか? そんなの間違ってるだろ!!」

 

「話しは最後まで聞けって」

 

「・・・」

 

「確かにあいつらは魔力と霊力が混ざりあって作られた。 だけどそれなら何故十香達と同じ形に作られてる?」

 

「・・・それは十香達が精霊だからだろ」

 

「何故精霊だからその形にする必要がある?」

 

「? 十香達が強いからその形にしてるんじゃないのか?」

 

「だったら聖杯は尚更作る対象を精霊では無く、お前かエレンの形に作ってる筈だ」

 

「な、なんで俺とエレンなんだ?」

 

「なんで、とは?」

 

「エレンはともかく俺が選ばれる理由が分からないんだ! いったいどういうことだ!」

 

訳が分からなくなってついついキツイ言い方で問いただす。

だって何も分からないのにそんなことを言われても、と思ってしまう自分を見て、ユウは少し溜め息をついた。

 

「良く考えてみろって。 わざわざ強い奴の偽者を作り出すんなら、一番強い奴(・・・・・)をコピーすればいいだけの話だろ?」

 

「まぁ、そう・・・だな」

 

「そしてお前は十香達が強いから十香達の偽者を作り出したという答えにたどり着いた」

 

「そ、それがどうした」

 

「でも十香達は霊力が封じられていないにも関わらず、お前の中には霊力が封じられている。 狂三は知らんけど」

 

「?」

 

「最低でもお前には九つの種類の霊力が封じ込まれている」

 

「??」

 

そんな当たり前な事を言って、何が言いたいんだと疑問符を次々と発生させていたら、ユウに思いっきり溜め息をつかされた。

 

「まだ分かんないのか?」

 

「???」

 

「だから手っ取り早くお前(・・)をコピーすればいいだけの話だろ」

 

「あっ」

 

「それかエレンに精霊達の戦闘能力を付与した影人形を作ればいいだけの話だしな」

 

「そ、それは」

 

「だけど聖杯はそれが出来なかった。 いやしたくても(・・・・・)出来なかった(・・・・・・)って言った方がいいな」

 

「な、何でだ?」

 

士道は少々驚きながらも聞き返す。

この話を聞いていても、自分の質問の答えにはなってないから。

それどころかまた疑問が出てきてしまった。

 

「な~に、ただの容量不足(・・・・)だ」

 

「は?」

 

「言っとくが、ここの聖杯は既に多くのリソースを消費してこの世界に干渉している。 それだからお前をコピーするだけの容量が無いんだよ」

 

「・・・だから十香達をコピーしているのか?」

 

「この世界の起点は精霊だ。 そして霊力をこんな大規模で変化させてしまえば当然容量を食いまくってしまう。 ならどうして十香達のコピーを作り出したのかに行き着くわけだが」

 

「そ、そうだ! それにどうして助けられないんだ!」

 

「落ち着けって。 でもこれで説明は終わるわけなんだが」

 

「・・・」

 

「・・・お前は知っているはずだ。 精霊が引き起こす。 または引き起こしてしまう災害(・・)を」

 

精霊が引き起こしてしまう災害?

そして一つの可能性に辿り着いてしまう。

俺も数ヶ月前まで恐れていた事を。

 

「・・・空間震」

 

「それが影精霊を作り出した理由だ」

 

「で、でも! あれはこっちの世界にやって来なきゃ発生しない! 聖杯はこっちにあるんだろ!?」

 

「なら簡単だ。 起こせないなら、起こせるように(・・・・・・・)改造すればいい(・・・・・・・)

 

「・・・魔力」

 

「そして影精霊達には核が存在した。 それがただ形を保つだけなら良かったんだけどな」

 

「・・・まさか」

 

「そうだ。 あれは空間震を起こすための爆弾だ」

 

「ッ!?」

 

「だから救えない。 もし生かせばそれだけで被害が甚大になる」

 

「そんなのって・・・」

 

「安心しろ」

 

いつの間にか俺の背後に移動していたユウから言葉を投げ掛けられる。

その言葉には、確かな自信が込められていた。

 

「この世界を壊させやしない。 影精霊達もただ殺している訳じゃない。 お前らも守ってやる。 その為に俺は強くなったんだ」

 

そしてユウはそのまま歩き去って行ってしまった。

アイツがいったいどれだけ強いのかは知らない。

でもきっとこの世界に居る俺達の為に戦っているんだなと思ってしまった。

けれど影精霊達もただ殺している訳じゃないってどういうことなんだと、また疑問が発生してしまった。

もしかしてまだ生きているのか?

聞こうと思い、そのまま後を追い掛ける。

 

「兄様も甘すぎだよ」

 

「うわっ!?」

 

いきなり背後に声がしたので慌てて後ろを振り向いてみると、アンが立っていた。

この兄妹は相手の背後に回るのが好きなんだろうかと思ってしまうけど、それより気になる言葉を口にしていたので聞いてみた。

 

「ユウが甘い?」

 

「ほんとそうだよ。 本来なら貴方が見えているあの透明な球体にそのまま殴り込みに行けばそれだけで終わりなんだよ」

 

「いやそれはどうかと思うけど」

 

「でも兄様はこの世界に最低限の被害を出さないように行動してるんだよ?」

 

「え? だってそうしなきゃ色々と不味いんじゃ?」

 

確かユウはそんなことを言っていた気がする。

自分達が極力干渉しないように抑えてるって。

 

「だって兄様はその気になれば、今兄様が持ってる聖杯を使えばこの世界の聖杯に干渉出来るんだよ?」

 

「・・・あっ」

 

「それをしないのはこの世界の人達に影響を及ぼさないように使わないんだよ」

 

「・・・」

 

「ほんとに甘いよ・・・・・・でもね」

 

ふと、続けて言った言葉に俺は驚愕した。

 

「そんな兄様だからこそ私は兄様の為に命を張ってでも戦える。 そんな兄様だからこそ私は兄様の為にどんな敵とも戦って勝ってみせる。 そんな兄様だからこそ私は兄様の為に一緒に世界を守るために戦う。 そんな兄様だからこそ私は兄様の為に兄様の夢を手伝って同じ景色を一緒に見るために側にいるんだよ」

 

ユウの夢は理想であり、幻想にしか過ぎないと思っていた。

それはそうだ。

だって一人だったらそんなの出来るわけが無いからだ。

でも一人じゃなく、二人だったら?

二人でもなく、三人もいたら?

三人でもなく、もっともっと多くの人達がいたら?

そしてようやくユウの強さが分かった。

ユウの強さは、ユウ個人だけじゃない。

ユウの周りにいる多くの仲間達とともに夢を叶える為に。

その多くの仲間達を守り、一緒に夢である世界を現実にするために、大切な人達の為に(・・・・・・・・)戦い続け、守り続け、そして『全ての生命を守る』願いを皆で叶える為に強くなった事を。

・・・あぁ俺はとんでもない勘違いをしていた。

俺さえもユウの力の一つだというのに、そんな俺が否定してしまったら夢を現実に出来ないじゃないか。

 

「ようやく・・・分かったよ」

 

「そう。 ならさっそく仕事だよ」

 

その言葉に俺は真っ直ぐ空を見据える。

なら俺も戦ってやる。

元よりこっちのも関係者なのだ。

足を引っ張ってばかりではいられない!!

 

「アン! 案内してくれ!」

 

「じゃあついてきて!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ。 やっぱりアイツが関わると俺の仕事が瞬く間に片付いてしまう。 こっちに来る途中であのヴィテに感付かれそうになったけど。 まぁバレても何の問題も無いな。 どうせ全部バレてしまってるだろうし。 おかげでこっちの仕事もやらなくてすむから見に来るだけで終わりだしな。 さぁ、特異点はまだ一つしか解決していない。 これからも様々な試練が襲い掛かってくるだろう。 それでもアイツ等なら必ず全部片付けてしまえる。 果たして全ての世界を救えるかな? それとも【虚空世界】を生み出してしまうのか? 比率で言えば99:1の割合だろうな。 だがたった1%で【虚空世界】が出来てしまうということになる。 結局は頑張り次第って事だな。 頑張りたまえよってこの台詞なんか上から目線過ぎてなんか嫌だな。 うんこう言おう。 頑張れよ? そうしなきゃ全部が飲み込まれてしまう。 それが俺から捧げるエールだ。 数々の世界を旅歩き、数々の世界で生まれた絆とともに見事お前の夢を現実に変えて見せろ。 それがお前の俺への挑戦権(・・・)だ。 叶えてみせろよユウ=クレメンズ。 (お前)お前()は同じ夢を抱き、そして全く別の未来へ辿ったんだ。 これぐらいは越えてみせろ

・・・・・・さてと、俺は説教という名の愚痴を聞きに行くか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「これからも去らないように投稿してくださいね?」

「ひ、暇な時にな?」

「夢の中でヤンデレ化して現れましょうか?」

「ヒイイィィ!!?」
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