東方天邪録 転生したら天邪鬼 作:トイレの紙が無い時の絶望を司る神
あれから1ヶ月。
情報収集の結果、この体の元持ち主は幻想郷をほとんど崩壊させた後、自ら封印されたらしい。
正しく意味の分からない奴だったらしい。
そしてこの1ヶ月で、屋敷に訪れる客が増えた。
「大ちゃん!!こっちこっち!!」
「チルノちゃん!!人の家で暴れたらダメだよ!!
ごめんなさい。チルノちゃん馬鹿だから.....。」
「なに、見ていて飽きない。
それに気に病むことじゃない。妖精は妖精らしく、いつもはしゃいでいるのがお似合いだ。」
「すいません....。」
<ダイチャーン!!ホンダナガタオレター!!
「チルノちゃん!?何してるの!?」
どうやらここは湖が近かったらしく、そこにいつもいた妖精の2人が探検をしに来た。
そこを歓迎したら来るようになった。
いやぁ......やっぱ元気な女の子見ると微笑ましいね!!
意味深なことじゃなく!!
この2人の名前は、チルノと大妖精。
原作でも有名なコンビだ。
それだけに仲が非常に良い。
見ていてほっこりする。
.......屋敷に張ってあった補足用の結界に誰かが入り込んだ。
この結界、勝手に付いていた物だ。無論俺は作れない。
まず妖力弾から作れない。最近まで人間だったのに無茶を言うんじゃないよ全く。
さてまずはこの結界から相手の会話を聞いてみよう。
『お外』
「全く、早苗の唐突な思いつきにはいつも振り回されて仕方ないぜ。」
「良いじゃないですか!!湖の近くにいきなり建った大きな屋敷!!
くぅぅぅ!!燃えますねぇ!!そこに住んでいる奴が悪いやつなら倒して信仰もゲットできますし!!まさに一石二鳥です!!」
「はぁ......。めんどくさい奴だぜ」
『YASIKI』
とのことらしい。
なんだかめんどくさい事が起きているらしい。
あの黒白魔法使い可愛そうだな。なんか、ごめん。
にしても、このまま上げても話は聞いてくれなさそうだしそのまま退治されそうだな。
「どうしたんですか?」
大ちゃんが話しかけてきた。
「あぁ、どうやら何者かがこの屋敷に向かってきている様でな。
私を退治するとかなんとか.....。」
「えぇ!?たたた、退治!?どうするんですか!?」
「いざとなれば私1人でも十分だが.....「何の話してるの!?アタイも混ぜて!!!」おぉチルノか。
私を退治しに来ている者が居るようでな。どうするか迷っていたのだ。」
「なんだそんなことか!!
大丈夫!!アタイが倒すよ!!アタイは最強だからね!!」
「ち、チルノちゃん!?危ないからダメだ「それじゃ行ってくね!!」あ!!ちょっと!!」
「まぁ大丈夫だろう。馬鹿だと言っても、救いようの無いほど『馬鹿では無い』だろう。」
ん?今馬鹿ではないの所だけ妙に響いたな。
「だと良いんですけど.......。」
とりあえず成り行きを見守ろう。
俺は外の映像を壁に映し出して、大妖精と一緒に見守ることにした。
『お外』
「やいやい!!そこの黒白魔法使い!!」
早速チルノか。
「ん?チルノじゃないか。どうしたんだぜ?」
「あんた達あそこの屋敷に攻め込もうとしてるんだって?
あそこは私と大ちゃんとルーミアの秘密の休憩所なの!!勝手は許さないんだから!!」
「ダメですよチルノさん!!あそこには悪い妖怪が居て、お宝を守ってる設定なんですから!!」
設定って言っちゃったよあの子。
「......誰?」
「そ、そんな!?忘れられていた.....だと!?準主人公なのに!?」
哀れ緑の巫女。
項垂れるのも理解できる。
「でもまぁ、チルノが大丈夫って言うんだから大丈夫だろ。」
黒白魔法使いが帰ろうとするとチルノが止めた。
「ちょっと魔法使い!!まさか逃げるの!?」
「そうだぜ?行く意味もないのに行くのは労力の無駄だぜ。」
「それならアタイと弾幕で勝負してから帰るんだね!!
前の勝負じゃ負けちゃったから次は勝つよ!!」
ん?口調が変わった?
なんだか姉御口調になった気が....。
「そういうことなら良いぜ!!」
あ、良いんだ。
「じゃあ私は隅で観戦してますよぉ......。」
未だショックから抜け出せない緑巫女。
ドンマイ。
「何枚だ?」「2枚でいいでしょ。」「わかったぜ!!」
少女達は互いに距離をとってスタンバる。
「準備は良いか!!」「いつでも行けるわよ!!」
「「それじゃ、始め!!」」
それを口火に綺麗な色の妖力弾が飛び交う。
右へ左へ前へ後ろへ上へ下へと華麗に避けては弾幕を張る。
そんな中魔理沙が早速仕掛けた。
「悪いけど早速攻めさせてもらうぜ!!
魔符『スターダストレヴァリエ』!!」
宣言と共に小さな星屑の様な弾幕が降り注ぐ。
チルノはと言うと....。
「そんな適当にばら蒔いて、隙だらけよ!!」
なんと颯爽と避けていた。
華麗に星屑を一個一個判別して隙間を縫うように。スルリスルリと避けていた。
「なっ!?お前本当にチルノか!?」
「失礼よ!!これくらい避けられるわ!!
なんてたって.....『アタイはアタイ』なんだもん!!」
「は!?どういうことだぜ!?」
そうこうしてる間に魔理沙のスペルカードは終了した。
「次はアタイね!!
氷符『アイシクルフォール』!!」
「その対処法はわかってるぜ!!」
チルノが宣言したと同時に魔理沙はチルノの前に移動する。だが。
「このアタイが弱点をそのままにすると思う?」「!?」
チルノの前に立っていた魔理沙は背後からのつららでピチューんとなった。
「チルノ、お前本当に何があったんだぜ!?」
「だから失礼よ!!白黒魔法使い!!」
そう言いチルノはまたすぐに宣言をした。
「次で決めるよ!!
凍符『マイナスK』!!」
すると、周りの空気が一瞬で凍りつき、空気中の水分が凍った氷達が魔理沙を襲う。
それをヒラリヒラリと避ける魔理沙。
「さ、寒いぜ!!風邪ひかなきゃ良いんだけどな!!」
メチャクチャデカイ氷塊が魔理沙に迫る。
「これは流石に危ない!!
恋符『マスタースパーク』!!!」
八極炉を出し、そこから極太のレーザーを出して氷塊を防ぐ。
「危なかったぜ....。この勝負いつ終わるかわからないぜ。」
「大丈夫だよ、もうアタイの勝ちさね。」
「え?」
チルノは氷塊の影に隠れて魔理沙に接近していた。
魔理沙の横に立ち後ろから氷塊を発生させ、魔理沙にぶつけて撃破する。
「言ったでしょ?白黒魔法使い。
アタイは
結果、チルノの勝利で幕を閉じた.....。
『YASIKI』
その様子を見ていた俺と大妖精。
「......なぁ大妖精よ。」「なんですか?」
声を掛けると笑顔で答えた大妖精。だが笑顔が怖い。
「あれはどうすれば「バカワイイチルノちゃんに戻してください。」.....わかった。」
『チルノは馬鹿だ』
半ば願うように現実を拒絶した。
戻ってきたチルノはいつも通り馬鹿だった。
良かった。本当に。