シオンの召喚従者   作:オーレオーレ

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名も知らぬ彼は人を踏むのが好きなようだ。

 あ、どうもシオン・アルトルです。

 あれから結局召喚した彼は一言も喋らずに呼び出しが来たので、結局、この人の名前もわからず、何て呼べばいいのかすらわからない。

 そんな彼の手を引いて会見場に行くと、すでに他の4人は着いていた。

 右に座っているのは召喚する前にもあったアミリスタとクライク。

 左に座っているのが黒髪の少女とキョロキョロと忙しなく辺りを見ている、顔の作りがボクの召喚した彼と同じような感じの少年だ。

 

「あ、初めまして!私ミーアトと申します!これから一緒に頑張ろうね!そして、こっちがこれから私の執事になる子です!」

「え、えーと俺は琴田ことだ 徳仁のりひとです。よ、よろしく?」

 

 ミーアト、確か今年、平民が王都の学園に編入したと話題になった事のある子かな?

 それにしても執事か・・・貴族とかに憧れでもあるのだろうか。 国の援助を受けた召喚師から召喚された者は最高で騎士の地位を与えられる。

 相手の同意無しに召喚したのはこちら側なので、当然の配慮・・・っと言うことになっている。

 まぁ、大抵は召喚した者が決めるのだが召喚された者が成れるものは【騎士】【執事】【従者】なとがある。

 まぁ、騎士以外は爵位では無いのだが、私達召喚師の執事や従者は騎士団長程度の権力がある・・・っと表向きにはされている。

 まぁ、騎士も執事も従者も自分を召喚した人間に着いていくので王宮内での地位何てあまり意味は無いし、このノリヒトくん?のように、見るからに戦闘や政治ができそうに無い人の意見何て聞くはずもないので、どう考えても必要のない制度だったりする。

 

「よろしく、ボクはシオン・アルトルだよ。よろしくね」

「ほ、本物の獣人だ・・・」

 

 獣人、そう言われて思わず顔をしかめてしまう。

 

「の、ノリヒト!シオンちゃんはどうみても人獣だよ!獣人と違うんだよ!」

「え、そうなの?」

 

 そう言えばこの人は異世界から来たばかりだったね。

 

「ボク見たいに人の体に獣の部位がある種族を人獣、獣の姿で二足歩行して、しゃべったりすることができるのが獣人だね、まぁ、ボクはその4分の1人獣で中途半端なんだよね。ほら、ボクの獣の部位って耳と尻尾だけだし」

「なるほど・・・ご、ごめんな、間違えて」

「いやいや、大丈夫だよ」

「そうですわ!そんな汚れた種族に謝る事なんて無いですのよ!」

 

 ボク達が話をしていると隣からそう言ってくる奴がいた、アミリスタだ。

 

「人族の貴方が、このような者に頭を下げる必要はありませんのよ。例え人のような格好をしていても、所詮獣。我々人族の下で奴隷の用に働いていればいいのよ」

「あ、アミリスタ様、流石に言い過ぎかと・・・」

「いーえ、ミーアトこの獣にはまだまだ言いたいことがありますの!・・・っとそこの殿方にはまだ挨拶をしていなかったですね」

 

 アミリスタはボクの召喚した彼を見て名を名乗る。

 

「私、アミリスタ・ノートルンと申します。貴方もこのような者に召喚されて可愛そうに・・・この者に何かされたら私に伝えてくださいませ」

 

 そう言って軽くウインクを飛ばすアミリスタ。

 綺麗な金髪の髪がフワッと揺れ、軽く微笑む彼女は同じ女の子でも見惚れるぐらい綺麗で、可愛かった・・・

 これは流石に彼も何か口を開くだろう、そう思ってた。

 期待とほんの少しだけど悔しさを感じる中で、思った通り彼は本から目を離して、彼女の顔を見て口を開いた。

 

「・・・あざとい、何か狙っとる用にしか見えん」

 

 空気が氷った。

 たった一度口を開いただけで、この人は空気をぶち壊した。

 顔が真っ赤になっていくアミリスタとそれに比例して、だんだん顔が青くなっていくミーアトちゃんを見ながらボクは『やっと喋れるようになったんだー』っと現実から目を背けていた。

 

「あ、貴方!私を誰だと思っているのですか!」

「・・・」

 

 む、無視したぁ!

 彼は本から目をはなすことなく、彼女の叫びを一切無視している。

 いや、無視っと言うより声が聴こえてない用にも見えるけど・・・あれ?何か違和感が・・・

 

「静粛に!王の入場である!!」

 

 そう言われて慌てて私達は椅子の隣に立った。

 そして、この国の王が姿を表した。

 

「うむ、皆のもの座って良いぞ」

「「「失礼します」」」

「失礼」

「し、失礼します」

「・・・」

 

 上から順私達、クライクさん、ノリヒトくん、彼である。

 まだ名も知らぬ彼は本を閉じ、王の方をチラッと見るとまた別の本を出して読み始めた。

 その様子を見ていた近衛騎士長が何か言おうとするが王がそれを止める。

 徳王バーテハルト・ワルド。

 民に優しく、多少の無礼なら許すお人で、この国ワルド王国を救った勇者だ。

 

「ふむ、そちらの方を召喚したのはキートとミリヤの娘か。大きくなったな、両親は元気か?」

「はい、バーテハルト様。両親は元気にしています」

「そうか、ならよかった。後でたまには王宮に来いと伝えてくれないか?」

「はい」

「うむ、よろしく頼むぞ・・・さて、まずは召喚の儀を皆無事終えた事、私は嬉しく思う。そして、これから諸君らには国の為に働いてもらうのだが、まずは諸君らが召喚した者達の実力を知りたいので、お主ら召喚された者同士で試合をしてもらう」

「え、えぇー!!!」

 

 そう叫び声をあげたのはノリヒトくんであった。

 

「え、え?戦うのか?マジで俺勝てる気がしない!てか殺させる!」

「ハハハハ!どうやら、お主は平和な世界から呼び出されたようだ。安心しろ、もちろん殺しは禁止だ。それにその子に召喚されたのならば大丈夫だ・・・おっと何で大丈夫かは聞くなよ?それは自分で見つけるのだ」

「は、はあ・・・」

 

 納得がいかないような声を上げるノリヒトくんだが、結局王様に説得され、しぶしぶ納得する。

 

「ふむ、お主達はどうだ?」

「我が主がやれと言うのなら、ワタシの答えは決まっています」

「・・・」

 

 彼は何も答えないから、ボクが答えようとしたら彼は片手でボクの肩を掴んで止めた。

 ボクが彼の方を見ると笑っていた、何か面白いオモチャを見つけた子供見たいに、ただただ笑っていた。

 

「うぬ、なら決まりだ。日時は明日の正午、場所は騎士団の有する闘技場だ。では、楽しみにしておく。解散!」

 

 ――――――――――――――――――――――――

 

 とんで、次の日の正午。

 あの後は彼は何も喋らずに部屋に着いたとたん寝出したので、起こすのもどうかと思い結局彼をどう呼んでいいのかすらわからずに迎えた御前試合、とても・・・不安です・・・

 目の前には腰の剣を抜かず、相変わらず本を読んでいる彼と甲冑を着てロングソードを構えるクライク、そして騒ぐアミリスタがいる。

 周りの観客席には騎士団の幹部や国の重鎮、その他貴族達が見物をしている。

 もちろんその中の一際目立つ場所にはバーテハルト国王がいる。

 

「両者、準備はいいか!」

「応!」

「・・・」

 

 力強く答えるクライクさんに片手を上げる彼。

 

「・・・貴様は何をしている、早くその剣を抜け」

「・・・」

 

 今だ、剣を抜かない彼にクライクは怒りを表す。

 

「貴様!舐めているのか!」

 

 クライクの叫びを無視して、本から少し目を離し、立会人を見て『早く始めろ』っと言わんばかりに首をふる。

 

「う、うぬ。では始め!」

 

 その言葉を聞いたとたんクライクさんが、雄叫びを上げながら彼に向かって走る。

 

「いいだろう!貴様がそのつもりなら、その腐った性根を叩き直してくれる!うぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 ロングソードを振りかぶるクライク、未だ本を読む彼。

 避けられない!っと誰もが思った時、彼が動いた。

 

「・・・」

「がっ!?」

 

 大振りの剣を体を少しだけ横に移動して顔に裏拳を叩き込んだのだ・・・本を読みながら。

 

「くそ!」

「・・・ふぁ」

 

 欠伸をし余裕だと言わんばかりに目を擦り、そのまま上を指差して叫んだ。

 

「全員上を見ろ!」

「ぬ?・・・っ!?」

 

 思わず、思わず全員が上を向いてしまった、だが彼が指差した空には何もなく、ただ青い空があった。

 だが、クライクだけは違った何故なら自分が上を向いた瞬間、突然浮遊感を覚えたからだ、そして直ぐにさとる。

 

「騙したなぁ!!!」

「いや、マジで引っ掛かるとは思ってなかったよ・・・いや、ホントにさ」

 

 突然彼の足元にあった地面が無くなり、彼は落ちていくなか彼を見下ろす顔を見た、その顔は己を馬鹿にしているような顔だった。

 

「なめるなぁぁぁ!!!! 」

 

 そう叫びながら綺麗に着地し跳ぶ、そこそこ深い穴を飛び越え未だ笑っている己を馬鹿にした者を地に伏せるため、そのままの勢いで剣を叩き込もうとすると、そいつはまた口を開いた。

 

「上にご注意ください」

 

 また、嘘だろうと思い構わず切る・・・直前、クライクの上に大量の土が降ってきた。

 

「あーぁ、だから言ったのに。人の忠告は素直に聴こうな」

「くっ・・・何処から土が・・・」

 

 そう呟くクライクに近づきながら答える。

 

「何処からってお前穴にさっき落ちただろ?元々そこにあった土だよ?何?本当に地面が消えたとでも思っているのか?土魔法使いならできるが、あいにくその才能は持ち合わせていないんだよ。だから転移させた、それだけだ。それにしても・・・うん、いいねぇ。このプライドの高そうな奴が俺の前にひれ伏しているのは・・・うんやっぱりいい・・・思わず踏みたくなる・・・クフっ」

 

 そう言ったあと、彼はクライクの頭をおもいっきり踏み始めた。

 

「ふひ・・・フフハハハハハハハ!!!!あぁ!!楽しいぃぃぃ!!!」

 

 ――――――――――――――――――――――

 

 はい、以上回想です。

 あ、どうもシオン・アルトルです。はい、今回2回目のような気がします。

 

「ねぇねぇ!!どんな気持ち!どんな気持ち!あれだけ威張ってたのに何もできずに倒されて、踏まれるのってどんな気持ち!?恥ずかしい!悔しい!それとも俺を殺したい!?あ、俺は素晴らしく楽しいよぉぉ!!!!」

「グハッ!ボァ!?グァ!」

 

 さっきまで全然喋らなかったのが嘘のように、彼は叫びながらクライクさんを踏み続ける。

 え、何アイツ?どっから見ても悪者じゃん。あ、ボクがあの人召喚したんだった・・・

 

「ほらほら!終わりたいなら言えばいいよぉ!負けましたって!刀すら抜いてない奴に負けましたって!ゴミをゴミ箱に捨てるように!プライドを溝に捨てるだけの簡単な作業だろぉ!?さぁさぁ!言っちゃえよ!!!」

「くぅ・・・『我が忠誠は鋼の如く』」

「うん?堅くなった?」

 

 クライクさんが何か呟いたと思ったら彼は踏むのを止めて、クライクさんをじっと見た。

 そして何回かうなずいた後感心するように声を出した。

 

「へぇ・・・精神依存型固有呪文の亜種か。珍しく物持ってるじゃないか!効果は防御力アップに微弱な筋力アップ。しかも防御力アップの上限は無し・・・本当にいいねぇ・・・」

「な、」

「何でわかる!?って感じだろ?うんうん、誰でも思うよ。何回も言われたことだからねぇ・・・でも、教える分けないんだけどねぇ・・・ともかく、これ以上踏んでも意味無さそうだし、十分楽しんだからいいかな?こいつ抜く気も無いしな」

 

 そう腰の剣を撫でながらいい、彼はボクの方へと歩き始め・・・

 

「・・・だからと言って気絶させないって訳では無いんだけどね」

 

 振り向きながらいつの間にか持っていた大鎚をクライクさんに叩きつけた。

 

「グァ!?・・・」

「うちの非殺鎚『非っ殺ハンマー』だ、死ぬことは絶対に無いから安心しな。あ、その呪文の弱点は衝撃は通す事だから気を付けろよ・・・聴いてないか」

 

 そう言うと彼は大鎚をいつの間にかにしまい、今度こそボクの方へと帰って来た。

 そして・・・

 

「っと、挨拶が遅れて悪かったな。俺は雪四季ゆきしきとでも呼んでくれ」

 

 やっとわかった彼の名前は偽名感半端なかったです。

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