南の島の大冒険!! -Alola Generation- 作:natsuki
戦の遺跡。
リリィタウンから北にあるマハロ参道を通ると向かうことができるその場所は、めったに人が入ることができないと言われている。そう確定的な発言ができないのは、ククイ博士から聞いた発言をそのままオウム返しよろしく思い返しているだけだからだ。
「ここに、カプ・コケコが……?」
「居るとは言われているけれどね。でも、あくまでも守り神が僕たち人間の前に姿を見せるのは気紛れだから、いつでも出会えるとは限らないよ。ククイ博士も言っていたと思うけれど、カプ・コケコはアローラの守護神なんだ」
アローラの守護神。
カプ・コケコだけではなく、島に一匹ずつ居ると言われる守護神は、一言で言ってしまえばポケモンだ。
しかしながら、たかがポケモンだと侮ってはならない。
神に認められた彼らに逆らってしまうと、裁きが下ることもあるのだという。
「……まあ、それは普通に何もしなければいいし、実際に裁きが下ったらそのときはそのとき。カプに認められなかっただけのことだ」
イリマさんはそう言って、マハロ参道を上っていた。
聞いた話によると、キャプテンや島キング、島クイーンもカプに認められた者が為ることを許されるらしい。
とどのつまり、カプのご機嫌が悪ければ――なれるものもなれない、ということになる。
言い方は悪いかもしれないけれど、しかし、間違っていない。
聞いた話だけれど、カプの怒りを買って滅ぼされた村もあるらしい。だから日々人々は、カプの怒りを買わないように生活をしているとのことだった。
そして僕たちが向かっているのは――カプ・コケコが祀られている『戦の遺跡』。
戦の遺跡、というかこういう感じで神様に近い存在が遺跡に祀られているのは、どこか別の地方を想起させる。雪国の地方だったと記憶していたけれど、あそこも確か神話についての研究が盛んに行われていたような気がする。かつて数度だけ、兄を訪ねに行ったことがあるけれど、寒すぎてあまり記憶が無い。
それはそれとして。
「ここが戦の遺跡……。でもまあ、カプ・コケコも居ないようだし、どうする? 戻るかい?」
「いや、でも、確か……ククイ博士が言っていた話だと、助手の人が居るんだろ。ええと、名前は……」
「きゃあっ!」
声が聞こえたのは、ちょうどそのときだった。
声の方角を見ると、吊り橋に一人の少女が座ってしまっていた。
もちろん、ただ座っているわけではない。オニスズメの群れに襲われているのだ。
そして、そのオニスズメの群れから、鞄を守ろうとしている。よく見ると鞄の口は開けられていて、何か覗かせているように見えるのだが……。