南の島の大冒険!! -Alola Generation- 作:natsuki
「何しているの、サン!」
そう僕に声を掛けたのはムーンだった。
ムーンはそう言うと走り出して、吊り橋向かって走り出す。
「お願い、アシマリ!」
モンスターボールをオニスズメの群れに投げると、橋の真ん中でちょうどアシマリがモンスターボールから出てきた。
「あわ攻撃!」
アシマリはあっという間にあわを放ち、オニスズメの群れを遠ざけていく。
オニスズメの群れもそこまで執着心が無かったのか、そのまま姿を消した。
「……ふう、大丈夫?」
「ええ。ありがとうございます。あなたは……?」
ムーンはアシマリをモンスターボールに戻しつつ、告げる。
「私の名前はムーン。あなたは?」
「私は……」
お互いが自己紹介をしようとした、ちょうどそのときだった。
橋の縄が切れて、そのまま橋が崩れていく。
「きゃあああああああああ!」
「不味い! おい、ハウ。どうにか出来ないのか!」
「そんなこと言われたって~。とりあえず、大人を呼んでくるよ。少なくとも空を飛べるポケモンが居ないし……」
僕とハウには、確かに空を飛べるポケモンが居ない。
それはムーンにも言えることだった。
目の前で危機に直面しているのに、何も出来ないのが非常にもどかしい。
どうすれば良いのか……! そんなことを考えていた、そんな時だった。
奥の穴から、何かが飛んできた。
その何かはムーンたちめがけて飛び出して、ムーンたちを捉えると、そのまま地上へムーンたちを運んでいった。
それは翼の生えたポケモンのように見えた。そのポケモンは見たことの無いポケモンだったけれど、どこか荘厳な雰囲気を放っていた。
「カプ……コケコ?」
ハウがゆっくりと、そのポケモンの名前を告げた。
カプ・コケコ。
戦の遺跡に住まうといわれているアローラの守護神。
それが今、僕たちの前にふわふわと浮かんでいた。
そしてカプ・コケコはムーンたちを一瞥すると、そのまま戦の遺跡へと戻っていった。
「大丈夫かい、ムーン」
僕とハウがそれぞれ彼女に質問する。
彼女は服についた泥を手で払い、ゆっくりと立ち上がると笑みを浮かべる。
「ええ、問題ないわ。それより……」
「あ。すいません」
白い帽子を被った少女は立ち上がると、鞄の中身を確認してから、僕たちに頭を下げる。
「あなたたちのおかげで助かりました。それにしても……あなたたちはどうしてこちらへ?」
「僕たちはカプ・コケコを見に来たんだよ。あと、ククイ博士からリーリエという人を探して欲しい、って言われてて」
正確にはそう言われていないけれど、まあ、探してくれと言っているようなものだと思う。だから僕はそう答えることとした。
そうして少女は僕の言葉を聞くと、目を丸くして、
「あっ。そうだったんですか。だったら急いで戻らないと……。その前に、先ずは自己紹介ですね。確か、途中で終わってしまいましたよね?」
どこかお嬢様めいた雰囲気を放ちながら、少女は告げる。
「私の名前はリーリエ。今はククイ博士の助手をしています。よろしくお願いします」