南の島の大冒険!! -Alola Generation-   作:natsuki

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第十四話 VSロトムⅡ(前編)

 

 その日、僕たちはククイ博士の研究所へ戻ってきていた。

 

「それじゃあ、今日はここまでにしようか」

 

 ククイ博士はいつものように笑いながらそう言った。

 

「ハラさんとの大試練は明日にしよう。今日はポケモンたちも休ませてあげること。トレーナーもポケモンも、調子が万全じゃないと良い勝負は出来ないからね」

「はーい」

 

 ハウは元気よく返事をする。

 ムーンもアシマリを抱えながら静かに頷いた。

 ニャビーは相変わらず僕の足元で毛づくろいをしている。

 なんというか。

 自由だ。

 主人が何を話していても気にしていない。

 だけど、不思議と嫌な感じはしない。

 少しだけ気を許してくれているような気がする。

 

「それじゃあロ!」

 

 突然だった。

 研究所中に響くほど大きな声。

 机の上に置かれていたロトム図鑑が勢いよく飛び上がる。

 

「今日からボクがみんなをサポートするロ!」

「おっと」

 

 そのまま僕の顔へ突っ込んできそうになり、慌てて両手で受け止める。

 

「危ないよ」

「すまないロ!」

 

 そう言いながらも全く反省している様子はない。

 ころころと宙を飛び回るその姿を見ていると、本当にポケモンなのだということを実感する。

 

「ろとろとって、落ち着きないねえ」

 

 ハウが笑う。

 

「ハウの図鑑はどうなの?」

「俺の?」

 

 ハウは腰から図鑑を取り出した。

 ボタンを押してみる。

 しかし。

 しん、と静まり返ったままだった。

 

「…………」

「…………」

「…………」

 

 誰も喋らない。

 いや。

 喋れない。

 

「反応しないロ」

 

 ろとろとが言った。

 

「いや、それは見れば分かるよ」

「博士がロトムを逃がしたからロ」

「それも知ってるよ」

「二匹目を捕まえればいいロ」

「そんな簡単に言わないでくれるかな!」

 

 ククイ博士が勢いよく立ち上がる。

 

「ロトムってそんなに簡単に見つかるポケモンじゃないんだから!」

「博士が逃がしたロ」

「うっ」

「全部博士の責任ロ」

「ぐぅ……」

 

 痛いところを突かれたのか、博士は頭を抱えた。

 ハウは腹を抱えて笑っている。

 ムーンも口元を押さえながら笑っていた。

 研究所は、一気に賑やかになった。

 僕も思わず笑ってしまう。

 アローラへ来たばかりの頃は、知らない土地で不安ばかりだった。

 だけど。

 今は違う。

 ハウがいて。

 ムーンがいて。

 ニャビーがいて。

 ろとろとまでいる。

 まだ数日しか経っていないのに、不思議とここが自分の居場所になりつつある気がしていた。

 その時だった。

 研究所の奥から、小さな電子音が響いた。

 ピッ。

 ピッ。

 ピッ。

 

「ん?」

 

 ククイ博士が振り返る。

 奥の通信機。

 画面には赤いランプが点滅していた。

 

「珍しいな……」

 

 博士は首を傾げる。

 

「本土から通信かな」

 

 画面を開こうとした、その瞬間。

 

 

 ――ザーッ。

 

 

 画面全体に砂嵐が走った。

 映像は映らない。

 音声だけが、途切れ途切れに聞こえてくる。

 

『……こちら……国際……』

『……アロー……』

『……ウルト……』

 

 そこで通信は途絶えた。

 

「故障かな」

 

 博士は苦笑いを浮かべる。

 

「あとで見ておこう」

 

 誰も深く気には留めなかった。

 けれど。

 ろとろとだけは、通信機をじっと見つめていた。

 

「…………」

「ろとろと?」

「……今、知らない周波数を受信したロ」

「え?」

「でも消えたロ」

 

 そう言うと、ろとろとは何事もなかったかのように笑った。

 

「きっと気のせいロ!」

 

 その時の僕は。

 その通信が。

 数年後。

 アローラ地方だけでなく、世界中を巻き込む出来事の始まりになるとは。

 まだ知る由もなかった。

 

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