南の島の大冒険!! -Alola Generation- 作:natsuki
ククイ博士の研究所までそう時間はかからなかった。イワンが戦うことも無かったのは、有り難かったような気もするし、戦う場面を見られなかったというのは若干寂しかったような気もした。
ドアをノックして中に入る。
「やあ、いらっしゃい。ハウくん。……それと君は確か、」
「サン、です」
僕はククイ博士に自己紹介した。
しかしまあ、うわさには聞いていたけれど、結構ワイルドな恰好だよな。上半身裸の上に白衣を羽織っていて、何か眼鏡をかけている。目が悪そうには見えないし、恐らくサングラスの類なのだろうか。
「おお、サンくんか。君のお父さんにはお世話になっていたよ。どうだい、アローラ地方は。いいところだろう?」
「ええ、そうですね。何というか、自然に溢れている、というか……」
「そうともそうとも。それに、このアローラには他の地方で育まれているようなものが無いというのも見どころだよね。アローラには独特の文化が形成されているから、君が昔居た地方にあったようなジムや秘伝技といったものが存在しない。その代り、ポケモンの力を借りたり、島めぐりという伝統が残っていたりしている」
「島めぐり……。そうだ、それは確かハウも言っていた……」
「おや、ハウ。君もそれを言ったのかい?」
「だって、とっても楽しみだからね。その楽しみをみんなに分け合う! それっていいことじゃない?」
それを聞いて腕を組み云々と頷くククイ博士。
「成る程ねえ……。確かに君らしい考えだ。……そうだ、サンくんに自己紹介をしておこうか」
そう言ってククイ博士は僕に目線を合わせる。
「改めましてこんにちは! 僕の名前はククイって言うんだ。このアローラのポケモンを研究している研究者だよ。よろしく。……それはそうと、サンくん、島めぐりに挑む気はあるかい?」
「島めぐり……そういえば詳しく話を聞いていないのですが」
「そうか。……島めぐりとは、このアローラに残された風習のことだよ。ほとんどの地方ではポケモン協会管轄のリーグ・ジム制が導入されているが、ポケモン協会が存在しないアローラではリーグも無ければジムも無い。代わりにそれぞれの島に『キャプテン』と『しまキング・しまクイーン』が居る。まずはキャプテンと戦って最後にキング・クイーンと戦うことで道が開かれる。次の島に向かうことができる、ということだね」
「……つまり、修行みたいな感じなのですか?」
「修行、か。それとは少し違うかな。正確に言えば、子供たちの鍛錬、子供たちが大人になるための儀式、と言ってもいいかもしれない。アローラに住む子供たちは皆島めぐりをして、そしてキャプテンになっていく。それがこのアローラのルールになっているのさ」