南の島の大冒険!! -Alola Generation- 作:natsuki
アローラのルール。
それを聞いた僕は、気付けば心の中がそれでいっぱいになっていた。
見たこともなければ、聞いたこともないポケモンの数々。さらにそれをはるかに上回るような、独特な気候とシステム。
聞いているだけでチャレンジしたくなる内容ばかりだった。
「……いやあ、うずうずしているようだね?」
ククイ博士に言われて、僕は我に返った。どうやら僕の表情はとっても笑顔だったらしい。
「まあ、この地方が特殊な地方だからね。いろいろなシステムがほかの地方とは違うものになっている。だから、君がそう気になってしまうのは解る」
「島めぐりの始まりは、しまキングのじっちゃんに聞くといいよー。俺も明日から島めぐりするんだ」
ハウはそう言って笑みを浮かべる。
それを聞いたククイ博士は背を向けると、机の上に置かれていた小さいテレビのようなものを持ってきた。
「そうだ。だったら、ハウとサンくん、君たちにはこれをお願いしようかな。ついで、という形になってもうしわけないけれど」
「あれ? でもククイ博士、いいのかい? 俺とサンと、もう一人島めぐりを行う人間がいたはずじゃ……」
ハウがそう質問した、ちょうどその時だった。
玄関のほうで何かがぶつかったような音が聞こえた。
「……噂をすれば」
ため息をして、ハウは玄関を開ける。
そこにいたのは、転んでしまって頭を搔いている女の子だった。背格好的には僕と年齢があまり変わらないになるだろうか。赤い帽子をかぶっていて、木の実柄のシャツはかなりゆったりしているのか下のほうで結んでいる。緑のショートパンツに赤い肩掛けカバンをかけている。
「いてて……。あれ、ハウ。どうしてここにいるの?」
「どうして、って。俺はこのサンに島めぐりのこと、あとククイ博士のことを紹介していただけだよ」
「へえ!」
少女は立ち上がると、そそくさと僕の前に立って笑顔を浮かべた。
「はじめまして! 私、ムーンっていうの! あなた……サンくんも、島めぐりをするの?」
そしてムーンは僕の両手を握ると、ぶんぶんと効果音がついてもおかしくないような激しく上下に振った。
突然のことで何を言えば解らなかったけれど、僕はそれを聞いて何度も頷いた。
「そっかあー。それじゃ、島めぐりの子供たちはこれで三人になるんだね」
「そうだねー。……あ、そういえばククイ博士、俺たちに頼みたかったことっていったい?」
ククイ博士は漸く自分に話が回ってきたと思って、咳払いを一つした。
そして、ククイ博士は手に持っていたその小さいテレビのような何かを、ぼくたちに差し出した。