仲直りのくだりは書いてて死にたくなった……
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寮を飛び出したハヤテは、海辺の方へと走った。
「あいつ何かあったら海に行くし、きっといるよな……」
いつもハヤテとフレイアが話すときに腰掛ける岩に、フレイアはもたれかかっていた。
「フレイア!」
フレイアがびくっと身を震わせて、ハヤテの方を振り返る。
「は、ハヤテ……」
フレイアは一瞬何か言いたげにハヤテを見たが、すぐに視線を落とした。
「さっきは、すまなかった!」
ハヤテはフレイアの目をしっかりと見て、謝った。
「何調子のいいこと言ってるんね! どうせハヤテはマキナさんみたいな胸の大きな子が好きなんやろ?!」
フレイアがそっぽを向いて言い返す。
「違う! さっきのは誤解なんだ!」
「何が誤解なんね! さっきのはどう見たって……!」
「信じてくれよ! 俺が好きなのはお前だけなんだ!」
ハヤテのその言葉に、フレイアが顔を赤くする。
「だ、騙されないんよ! ハヤテの浮気者!」
「騙してなんかない! ほんとに俺はお前だけが好きなんだ!」
繰り返して感情表現をするハヤテを前に、ついにフレイアが折れた。
「じゃあ、証明してくれんね……?」
フレイアがそう言い終わるや否や、ハヤテがフレイアを抱きしめた。
「信じて……くれるか?」
「まだ、足りないよ……んっ……」
まだ足りない、と言われて、一瞬どうすればいいのかとハヤテは考えたが、恋人なのだから遠慮することはない、とフレイアに口づけた。
「好きだ、フレイア」
「うん……私も……」
ハヤテとフレイアは抱き合ったまま、互いに愛を囁きあった。
「全く、あの二人のバカップルぶりには、さすがの私も口から砂糖が出そうです」
二人のことを影からこっそりと見ていたミラージュが、肩を落としながらそう言った。
「まあまあ、ミラミラ。あの二人はあれが平常運転だから」
マキナですらも、苦笑いだった。
「フレイア。話があるんだ」
「なんね?」
ハヤテの真面目な態度から何か不穏なものでも感じ取ったのか、フレイアの笑顔が曇った。
「あのさ、フレイア。寮を出て、一緒に住もう」
「ハヤ……テ……?」
「俺、もっとお前と一緒にいたいんだ。嫌、か?」
「ううん。そんなわけ、そんなわけない!」
いつの間にか、フレイアは瞼に涙をためていた。
「嬉しい……! 嬉しいよ、ハヤテ!」
フレイアがハヤテに思い切り抱きつく。
「ちょ、危ないって! フレイア!」
ハヤテは、フレイアが抱きついてきた勢いで、後ろに倒れそうになった。
「今度の休みに一緒に家を見に行こう、フレイア」
「うん!」
フレイアは満面の笑みで答えた。
「ハヤテ! この家良いと思わん?!」
フレイアがハヤテに提案してきたのは、小さな庭がついた一軒家だった。
「おお、いいなここ。ケイオスからも近いみたいだし。俺の貯金でもギリギリ買えそうだ」
「え? 私もお金出すよ?」
「いいからいいから。こういう時こそ男の甲斐性の見せ所なんだから」
「む~……じゃあ、家具買うときは私もお金だすかんね!」
「それはぜひお願いします……」
家を買うと、ハヤテの貯金は雀の涙ほどしか残らない。
もう少し真面目に働いておけばよかったな、とハヤテは今になって後悔した。
「そこの受付の人~! ちょっとこっち来てくれんね~!」
「そんなに急がなくても家は逃げないって」
テンションが上がりっぱなしのフレイアに、ハヤテは思わず苦笑いした。
少し前にフレイアに同棲を提案してから、フレイアはずっとこの調子だった。
いつでもフレイアのルンは明るい光を放っていたし、ワルキューレとして歌っているときも、フレイアは以前よりも生き生きとして見えた。
もちろん、ハヤテも同じだった。
飛んでいるときの挙動一つとっても、ハヤテの動きには躍動感があった。
アラドに言わせると、「ハヤテは以前にも増して楽しそうに飛ぶようになった」らしい。
考えてみれば、フレイアがいたからこそ自分は今ここにいられる。
あいつがいなければ、今頃俺は何をしていたんだろう、とハヤテは考えていた。
「想像つかねえな……」
「ハヤテ~! はよこっち来て!」
フレイアがもう待てない、とばかりにハヤテを急かす。
「わかってるよ!」
ハヤテは苦笑いして、いつの間にかフレイアが座っている大机へと歩き出した。
「テーブルはこれで、椅子はこれで……」
女の買い物は長い、とよく言われるが、フレイアも例外ではなかった。
家を決め、家具を買いに来てからかれこれ数時間は経っている。
一度決めても、次から次へと目移りしてしまい、結局まだ一つも買うものを決められていなかった。
「なあ、フレイア。そろそろ……」
「嫌! ちゃんと選びたいの!」
フレイアの断固とした拒否に、ハヤテはがっくりと肩を落とすしかなかった。