δ after   作:青りんご@

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今回はちょっと短いです。
仲直りのくだりは書いてて死にたくなった……
コメントお待ちしております!


with Freyja~change~

寮を飛び出したハヤテは、海辺の方へと走った。

「あいつ何かあったら海に行くし、きっといるよな……」

いつもハヤテとフレイアが話すときに腰掛ける岩に、フレイアはもたれかかっていた。

「フレイア!」

フレイアがびくっと身を震わせて、ハヤテの方を振り返る。

「は、ハヤテ……」

フレイアは一瞬何か言いたげにハヤテを見たが、すぐに視線を落とした。

「さっきは、すまなかった!」

ハヤテはフレイアの目をしっかりと見て、謝った。

「何調子のいいこと言ってるんね! どうせハヤテはマキナさんみたいな胸の大きな子が好きなんやろ?!」

フレイアがそっぽを向いて言い返す。

「違う! さっきのは誤解なんだ!」

「何が誤解なんね! さっきのはどう見たって……!」

「信じてくれよ! 俺が好きなのはお前だけなんだ!」

ハヤテのその言葉に、フレイアが顔を赤くする。

「だ、騙されないんよ! ハヤテの浮気者!」

「騙してなんかない! ほんとに俺はお前だけが好きなんだ!」

繰り返して感情表現をするハヤテを前に、ついにフレイアが折れた。

「じゃあ、証明してくれんね……?」

フレイアがそう言い終わるや否や、ハヤテがフレイアを抱きしめた。

「信じて……くれるか?」

「まだ、足りないよ……んっ……」

まだ足りない、と言われて、一瞬どうすればいいのかとハヤテは考えたが、恋人なのだから遠慮することはない、とフレイアに口づけた。

「好きだ、フレイア」

「うん……私も……」

ハヤテとフレイアは抱き合ったまま、互いに愛を囁きあった。

「全く、あの二人のバカップルぶりには、さすがの私も口から砂糖が出そうです」

二人のことを影からこっそりと見ていたミラージュが、肩を落としながらそう言った。

「まあまあ、ミラミラ。あの二人はあれが平常運転だから」

マキナですらも、苦笑いだった。

「フレイア。話があるんだ」

「なんね?」

ハヤテの真面目な態度から何か不穏なものでも感じ取ったのか、フレイアの笑顔が曇った。

「あのさ、フレイア。寮を出て、一緒に住もう」

「ハヤ……テ……?」

「俺、もっとお前と一緒にいたいんだ。嫌、か?」

「ううん。そんなわけ、そんなわけない!」

いつの間にか、フレイアは瞼に涙をためていた。

「嬉しい……! 嬉しいよ、ハヤテ!」

フレイアがハヤテに思い切り抱きつく。

「ちょ、危ないって! フレイア!」

ハヤテは、フレイアが抱きついてきた勢いで、後ろに倒れそうになった。

「今度の休みに一緒に家を見に行こう、フレイア」

「うん!」

フレイアは満面の笑みで答えた。

 

「ハヤテ! この家良いと思わん?!」

フレイアがハヤテに提案してきたのは、小さな庭がついた一軒家だった。

「おお、いいなここ。ケイオスからも近いみたいだし。俺の貯金でもギリギリ買えそうだ」

「え? 私もお金出すよ?」

「いいからいいから。こういう時こそ男の甲斐性の見せ所なんだから」

「む~……じゃあ、家具買うときは私もお金だすかんね!」

「それはぜひお願いします……」

家を買うと、ハヤテの貯金は雀の涙ほどしか残らない。

もう少し真面目に働いておけばよかったな、とハヤテは今になって後悔した。

「そこの受付の人~! ちょっとこっち来てくれんね~!」

「そんなに急がなくても家は逃げないって」

テンションが上がりっぱなしのフレイアに、ハヤテは思わず苦笑いした。

少し前にフレイアに同棲を提案してから、フレイアはずっとこの調子だった。

いつでもフレイアのルンは明るい光を放っていたし、ワルキューレとして歌っているときも、フレイアは以前よりも生き生きとして見えた。

もちろん、ハヤテも同じだった。

飛んでいるときの挙動一つとっても、ハヤテの動きには躍動感があった。

アラドに言わせると、「ハヤテは以前にも増して楽しそうに飛ぶようになった」らしい。

考えてみれば、フレイアがいたからこそ自分は今ここにいられる。

あいつがいなければ、今頃俺は何をしていたんだろう、とハヤテは考えていた。

「想像つかねえな……」

「ハヤテ~! はよこっち来て!」

フレイアがもう待てない、とばかりにハヤテを急かす。

「わかってるよ!」

ハヤテは苦笑いして、いつの間にかフレイアが座っている大机へと歩き出した。

 

「テーブルはこれで、椅子はこれで……」

女の買い物は長い、とよく言われるが、フレイアも例外ではなかった。

家を決め、家具を買いに来てからかれこれ数時間は経っている。

一度決めても、次から次へと目移りしてしまい、結局まだ一つも買うものを決められていなかった。

「なあ、フレイア。そろそろ……」

「嫌! ちゃんと選びたいの!」

フレイアの断固とした拒否に、ハヤテはがっくりと肩を落とすしかなかった。

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