見てくれた方、お気に入りにしてくれた方、ありがとうございます!
これからも頑張ります!
「うーん、ハヤテの誕生日プレゼントって何がいいんやろ……?」
ワルキューレのレッスンを終え、家に帰る途中に、フレイアは考えていた。
一週間後はハヤテの誕生日で、一度ハヤテに誕生日を祝ってもらったフレイアは、ハヤテを自分の時以上に祝ってやろうと決めていた。
ラグナで一番大きいショッピングモールに何度か足を運び、プレゼントになりそうなものを探してみたが、なかなか良い物は見つからなかった。
それに、ハヤテは何をあげたら喜ぶのか、フレイアにはわからなかった。
気持ちが大事だとよく言うが、やっぱり、もらって喜んでくれるものをあげたかった。
「ミラージュさんに相談してみようかな……」
自分より人生経験が豊富そうなミラージュさんなら、何かヒントをくれるかもしれない、とフレイアは考えた。
「プレゼント、ですか……」
フレイアはその日の晩、早速ミラージュに相談していた。
「そう! どんなのあげたら喜んでくれるんやろって思って」
「そうですねえ……既製品にこだわらなくてもいいとは思いますよ」
「どういうことですか?」
「手作りってことです。ハヤテならきっと喜ぶと思うんですよ」
「なるほど! 手作りですか! それは思いつかなかったです」
「あら、何話してるの?」
フレイアとミラージュが話していると、同室のカナメが帰ってきた。
「あ! カナメさん、ちょうど良いところに!」
そう言ってカナメを迎えたフレイアは、カナメにもハヤテの誕生日プレゼントのことを話し始めた。
「……なるほどね。誕生日プレゼントかぁ……やっぱり日常的に使えるものがいいわね、ちょっと抽象的すぎるけど」
カナメは首を傾げて考える。
「そういえば、カナメさんはアラド隊長に何かあげたりしないんですか?」
突然、ミラージュがカナメに訊いた。
「えっ、き、急にどうしたの、ミラージュさん」
突然の詰問に、カナメは思わず声が上ずってしまった。
「私も聞きたいと思ってたんですよ! カナメさんって、アラド隊長のことどう思ってるんですか?!」
すかさずフレイアも突っ込む。
「あ、わ、私ちょっと用事を……」
「「逃しませんよ?」」
逃げようとしたカナメの腕を、ミラージュとフレイアが同時に掴んだ。
「ひっ……」
ミラージュとフレイアの迫力に、カナメは顔を引きつらせた。
「そういえばカナメさん、結構な頻度でアラド隊長を呑みに誘ってますよね?! ね?!」
おかしなスイッチが入ったのか、ミラージュは普段のクールな様子とは似ても似つかない状態になっていた。
「み、ミラージュさん……?」
「今日という今日は答えてもらいますよ、カナメさん!」
「ふ、フレイア……?」
ミラージュとフレイアは、カナメが答えるまで話すつもりはないらしい。
「わ、わかったわよ……何を答えればいいの?」
「じゃあ、私から行きます!」
やはりミラージュが先に口を開いた。
「カナメさんは、アラド隊長のことが好きですか?!」
「う、うん」
「「えっ」」
ミラージュとフレイアは、揃って固まっていた。
「な、何よ。訊いたのはあなたたちでしょ」
カナメがあっさり答えたのに拍子抜けしたのか、二人は少しの間ぼーっとしていた。
「カナメさんが……女の子になっとる……」
フレイアがぼそっと呟く。
「当たり前でしょ! 私も女!」
少し顔を赤らめて、カナメが抗議した。
顔を赤らめて恥じらうカナメの姿は、ミラージュやフレイアから見ても相当に美人で、思わず二人は見惚れてしまった。
二人が微動だにせず、カナメを見つめていると、さすがに恥ずかしくなったのか、髪をいじりはじめた。
「もう、二人共どうしたの?」
「これはいけます! カナメさん、安心してください! 必ずやこのミラージュ・ファリーナ・ジーナスがアラド隊長とカナメさんをくっつけてみせます!」
そう言うと、ミラージュは部屋を飛び出していった。
「あはは……」
フレイアとカナメが、笑いながらミラージュを見送る。
「ところでフレイア。さっきのプレゼントの話だけど、時計とかどうかしら?」
一気に静まり返って余裕を取り戻したのか、カナメはプレゼントの話を切り出した。
「時計! いいですね! 時計ならいつでもつけてられると思うし! 考えてみます!」
「ええ。私の意見が参考になるといいのだけれど」
「すっごく助かりました! さすがカナメさん、お姉さんって感じです!」
「や、やめてよもう……」
どうやらカナメは意外と恥ずかしがり屋らしかった。
「今から緊急の会議を行いますので、職員は至急、大会議室にお集まりください」
ハヤテの誕生日を三日後に控えた昼過ぎ、突然館内アナウンスで招集がかかった。
「何かあったんでしょうか。気になりますね……」
少し心配症の傾向があるミラージュが、考え込む。
既に大会議室には、たくさんの人が集まっていた。
少しして、大会議室の前方にあるスクリーンの前に、マキナがマイクを持って現れた。
「みなさーん! 集まってくれてありがとー!」
マキナがマイクを持った手をブンブン振る。
それに合わせて、一部の男性陣から歓声があがった。
「相変わらずマキナさんは人気ですね……」
フレイアが壇上のマキナを、羨ましそうに見つめる。
「フレイアもきっと、あんな風になれますよ」
ミラージュは思わずそう言っていた。
ただ励まそうと思って言ったわけではなかった。
ワルキューレに入隊して、フレイアはすぐに受け入れられた。
ウィンダミア人、というハンデを負っていたにもかかわらずだ。
あの人懐っこい性格が、彼女をそうさせているのだろうか。
もし自分があんな性格だったなら、とミラージュは考えたが、想像もつかなかった。
少なくとも、自分にはあんな風には振る舞えない。
「今日集まってもらったのは、ある作戦を発令するからです!」
マキナの司会で、ミラージュの意識は現実へと引き戻された。
「今日、ここに、ケイオスの名のもとにおいて『ハヤテ・インメルマン誕生日パーティー遂行作戦』を発令します!」