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1940年3月
オストマルク・カールスラント国境付近
ネウロイの支配地域
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静かなる世界。
まるでこの世にはこの三人しかいない。
そう思える程に静まり返っているこの場所は、ネウロイの支配地域。
空は雲もない青が広がっている。実に穏やかだ
この場所が戦地だと思う者は誰もいないだろう。
三人は、目指していた村から一キロ程の丘の上に車を止めていた。
「まいったな……」
何処から拾ってきたか分からない、軍用の双眼鏡でグラティアは村を偵察していた。
そして一言ため息まじりの言葉を呟いた。
何故この場所まできて、村に直接向かわずにこんな場所に車を止めたか。
「六匹かぁ……不味いねこれは」
それに続いてまたため息まじりに声を上げるカミラ。
そんな二人を見て、ウルカもつられた様にため息を吐く。
「ネウロイなんだろ? まぁ、支配地域でここまで遭遇せずに来れたのも強運なんだろうが」
「その運も尽きた……そんな感じだな」
ウルカはグラティアから双眼鏡を受け取ると、二人がしていた様に双眼鏡を覗き込む。
村を闊歩する陸戦型ネウロイが数匹、目に飛び込んできた。
こちらに気付く事は無く、居る筈の無い獲物を探す様に歩き回っている。
「こちらが突かなければ、大丈夫だろ?」
「その通りなんだが、車がエンスト寸前だ。予備の燃料も使ったから……」
「あの村に行かざるを得ないんだよねー」
「でもあの村に燃料がある保証も無いだろう?」
あの村に燃料があると言う確証はなかった。
見えている村は、町に少し劣る規模ぐらいしか無い村だ。
周りには畑や、道具を置いてある納屋ぐらいしか存在していない。
農耕機器さえあれば、燃料もある可能性があるのだが、この規模の村ではそれがあるかさえ分からない。
ウルカは二人を見つめて疑問をぶつけた。
「燃料だけの問題じゃないさ。食料もそこをついてる」
「そう言えば……。なんか腹が減った様な……」
「そりゃそうだよ。一日半ぐらい寝てたんだからさ」
「えっ? 冗談だろ……?」
突然の言葉に、ウルカは半信半疑の視線をカミラに向ける。
「嘘言ってどうするのさ。私たちが戦ってた町はトランシルバニアの近く。オストマルクと言っても、ダキアに近い地域だよ。あそこからほぼ丸一日、隊長と交代で車を走らせ続けたんだから。少しは感謝してよね?」
「魔法力が切れてたんだ。仕方が無いだろう」
カミラは少し呆れた様にウルカに言って聞かせた。
魔法力はウィッチに無くてはならない物。
キャパシティ的な物が存在していて、ストライカーを飛ばすのにももちろん使う。
ウルカがあの戦闘で使ったシールドにももちろん使う。
魔法力が切れると、シールドや魔法を操る事が出来なくなる。
さらに酷使すると、長期間の療養をしなくてはいけない程の状態に陥る事もある。
ウルカがあのとき意識を失ったのは、グラティアの言う通り魔法力が切れた事が原因だった。
「ウルカは気にする必要は無い。きっと魔力のコントロールが出来てなかったんだろう」
「まぁ、新兵は結構経験する事だよねー」
「カミラ? 人に言えないだろう」
「すみません……」
グラティアの口ぶりからすると、カミラもそう言った時期があったのだろうと察しがつく。
「それはさておきだ。我々がとれる選択肢はいくつかある」
グラティアは話しを元に戻す様に話し始める。
「ここで待機して来るかも分からない救助を待つ。車を捨てて徒歩で国境に向かう」
グラティアは、指を一本、二本と立てながらいくつかの案の提示する。
「ネウロイが居なくなるまで待機する。あの村に突入して燃料や食料をさがす……。これぐらいか」
「私は、ネウロイが居なくなるまでここで待機するに一票かなー」
カミラの言うことも正しくはあった。
時間を待てばネウロイが移動してあの村から居なくなるかもしれない。
しかし、ウルカはその案に賛同出来なかった。
「まず、待機は論外だ。来るかも分からない救助を待つ事のは無駄な事だ」
二人がウルカを見つめると、彼女は自分の見解を話し始めた。
「次に車を捨てる。ネウロイに対して速度の面で圧倒的に不利になる。これも却下」
「じゃあやっぱり様子見だよねー?」
「いや、それも悪いが賛同出来ない」
賛同されると思っていたカミラは肩すかしを食らった表情を見せる。
「なっ、なんで?」
「ここは支配地域。この場所に留まったとして、他のネウロイが襲って来ない保証は無い」
「確かにな……」
「隊長まで……!」
どれも完璧な案ではなかった。
ウルカとグラティアは顔を見合わせると、互いに何か決心した様に頷いた。
「あの村で燃料を探そう」
「それしか無いみたいだな……」
「マジで言ってるの? 蜂の巣を突くとか可笑しいでしょ!?」
カミラの言う通り、このまま突っ込めば自殺行為と言われても仕方が無い。
武器も持たず、ストライカーも無い。
いや、それがあったとしても、手を焼く相手である事は間違いなかった。
驚きを通り越して、苦笑を浮かべてカミラは二人を見つめる。
「言い出したのは俺だ。怖いが俺が行く」
「ウルカ? お前にそんな事させる訳には行かない。お前に死なれては約束が守れなくなる。私が行く」
「ちょ……、ちょっと……」
率先して死地へと行きたがる二人の姿勢に、カミラに罪悪感に似た感覚が襲ってくる。
「あぁっ、もうっ! 三人で行った方が効率いいでしょっ!」
その感覚に耐えられなくなったのか、カミラは声を上げた。
「本当に良いのか?」
「こうなっちゃ断れない事ぐらい、隊長も知ってるっしょ……」
「悪いなカミラさん。助けも来ない状況で待ってる事が俺には出来ないからさ」
あまり悪びれない様子で、ウルカはカミラに謝罪を入れる。
「私の事はカミラで良いよ」
「良いのか? ならそうさせてもらうよ」
「行くとは決めたけど……。危なくなったら二人を置いて逃げるからね?」
「それで構わない。その時はバラバラに逃げよう。その方が生存の確率も上がるからな」
「俺もそれで構わない」
三人は互いの顔を見合って、何か決心した様に頷いて作戦を立て始めた。
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草むらに身を潜めて、村の状況をじっと見つめる二人の影があった。
一人はグラティア。一人はウルカだ。
結局作戦は、二手に分かれて村の探索をすると言う単純な物で纏まった。
どちらにせよ、見つかった時点で生きて帰れない可能性があった。
考え込んでも、一カ所崩れただけで作戦は無駄になってしまう現状に、三人は深く考える事を止めた。
「カミラは大丈夫なのか?」
「あいつはなんだかんだで能力が高いからな。心配は無いさ」
耳元で互いに小声で囁く。
ネウロイには聞こえないであろう距離だが、念には念を入れて二人は細心の注意を向けていた。
全ての音や、自分の一挙手一投足に機を配らなければ、確実に死は自分たちの命を刈り取ってくる。
匍匐でゆっくりと村の一番端の納屋に辿り着くと、二人は物陰から状況を伺った。
「前方一時方向。約十五メートル先に、対空型のネウロイ。水平射を食らえば死ぬな……」
「今の状況じゃなにやられたって即死だろ?」
「あぁ、違いない」
軽口を飛ばし合ってるが、互いの緊張はもはや治まる事を知らなかった。
「上空に注意を向けてる様だし、まずはこの納屋の中を探そう」
「そこの扉から入れるな。音を立てない様に」
「分かってるさ」
グラティアはゆっくりと納屋の扉を上げると、その隙間から屋内の様子を伺った。
薄暗くはあるが、内部の様子をなんとか確認が出来た。
「内部は大丈夫……。入るぞ……」
「あぁ……」
木製の扉を音を立てない様に半分開けると、二人は中に入り扉を閉めた。
先ほどグラティアが確認した通り、薄暗くはあるが、見えない程ではなかった。
中には農作に使う道具が雑に置かれており、ここに元居た住人があわてて逃げ出したのか、荒れた状態のまま時間が止まっていた。
「トラクターとかは無いな……。燃料もなさそうだ……」
「食料も無いみたいだな……」
小さな声で言葉を交わす声は、落胆のため息も混じっていた。
「落ち込むなウルカ。まだ建物はあるからな……」
彼女自身も落ち込んでいただろうに、グラティアは慰める様にウルカに笑顔を見せた。
「とにかく次に行こう。カミラも頑張ってるだろうしな」
「あぁ……次に……っ」
パキッ——————ガチャガチャ
乾いた音が、静けさに包まれた世界に、時間を取り戻した様な感覚を与える。
二人は顔を見合わせると、同時に視線を地面へと移す。
音の原因が判明する。
ウルカが踏みつけていたのは、散乱していた鍬に見える農具の柄部分だった。
元から脆くなっていたのか、軽く踏みつけてしまっただけなのに、ぼっきり折れていた。
そして、その所為で先端部分の金属が擦れる音も響いた。
「っ……!」
咄嗟の判断だった。
グラティアはウルカの事を納屋の壁に押し付けて、物陰に二人隠れる。
その後すぐの事。
納屋の壁の一部分が吹き飛んだと思うと、そこに見えたのは、先ほど対空警戒をしていた奴の姿だった。
「っ……っ……!」
「ウルカ……静かに……」
突然な状況に、ウルカは思わず声を出してしまいそうになる。
それを止めたのはグラティアだった。
彼女はウルカの口を手で塞ぐと、身動きがとれない様にしっかりと壁に押し付ける。
そしてウルカの耳元で、落ち着かせるように囁く。
「落ち着け……大丈夫……」
耳元の落ち着いた声に、ウルカは声を出す事無く頷いていた。
密着されているせいで、ウルカの耳にはグラティアの早くなった鼓動が聞こえていた。
それがまた彼女に冷静さを取り戻させた。
『怖いのは俺だけではない』と。
誰が失敗してもいい結果が出る訳が無い。ウルカはそれを再び認識する。
(俺の失敗でみんなが死ぬ……)
グラティアの手を口からどけさせると、ウルカは小さな声で呟いた。
「すまん……落ち着いた……」
ネウロイは部屋に入る事無く、その場所に留まり様子を伺っている。
二人は息を潜め続けた。
しばらくした後、ネウロイはゆっくりとその場から離れていった。
「……大丈夫そうだな」
ネウロイが去ったにもかかわらず、グラティアは少し震えた片腕でウルカを抱きしめ続ける。
「大丈夫か……? グラティア?」
「っ……。すまない正直怖かった……」
「……すまん、今のは俺のミスだ」
ゆっくりと抱きしめている腕からはなれると、ウルカはその震えている手を、両手を包み込む様に握る。
「もう絶対にしない」
「あぁ……。私も気をつける」
震えも治まった事が分かり、ウルカはグラティアの手をゆっくりと離す。
そして物陰から破壊された壁の方を観察する。
ネウロイの気配や足音は感じられない。そして冷静に考える。
「グラティア。可笑しくないか……?」
「……あぁ、あまりにも警戒が甘い。何故あいつらはすぐに立ち去った?」
あまりに甘い警戒に、他に目標でも見つけたのかと勘ぐってしまう二人。
「カミラが見つかった……とか?」
「いやそれは無いだろ。見つかってたらもっと騒ぐだろうしな」
「じゃあ何故?」
「今は見逃してもらえたなら、それで良しとしよう。少し待っててくれ」
地面に音を立てる物は無いかを確認しながら、グラティアは穴の空いた壁の方向へと向かう。
そこから覗き込む様に外の様子を伺った。
「居ない……か」
グラティアはウルカにこちらへ来る様にと手招く。
ウルカはそれに頷くと、そちらに向かおうとした。
瞬間——————。
「!?」
納屋の屋根を突き破って何かが降ってくる。その衝撃に二人は別々の方向へと吹き飛ばされた。
巻き上げられた埃の所為で、視界が殆どゼロの状態へと陥る。
そんな状況に、先に声を上げたのはグラティアだった。
「ウルカっ!! 無事かっ!」
その声に地面に突っ伏していたウルカは立ち上がり、頭をブンブンと頭の埃を払って答える。
「あぁっ! 何が……っ!」
徐々に崩壊した納屋に充満する埃が晴れて行く。
「くっそ! 逃げるぞウルカっ!」
「バレてたんじゃないかっ!」
黒い金属の様な光沢を放つ奴は、体中に赤いラインを光らせながら、足を数度地面へと打ち付けた。
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最悪の一言に尽きた。
絶体絶命のを乗り越えたと思えば、また同じ様な絶体絶命な状況。
二人は逃げる為に別々の方向へと崩壊しかけた納屋を飛び出した。
しかし、状況はもうどうしようもなくなっていた。
「おいおいおいおい!」
「マジかよ……」
納屋の周辺には、二人を取り囲む様に、村中のネウロイが集まってきていた。
その数、降ってきた個体を含めて六……。
二人は中央に逃げるしか無く、気付ば二人は背中をあわせ合って、ネウロイと対峙していた。
「ウルカ……どうする……? 正直、手詰まりだ」
「俺に聞くなよ……。許しでも乞ってみるか?」
「あいつらは聞く耳を持ってると思うか?」
「……ムリだな」
ネウロイ達の装甲に、光が集まり始める。
二人は身構えて手をネウロイの方へと向けてシールドを展開した。
それから間、髪容れずに複数のネウロイから、二人に向けてビームが発射される。
「くっ!」
「あぁっ、くそっ!」
ウルカの表情に一瞬にして余裕が無くなった。
前回、対峙したネウロイは一体。しかし今回は複数のネウロイからの攻撃。
魔法力の調整の仕方も分からないウルカのシールドは、そう長く持たない事は明白だ。
「ウルカっ! 集中しろ! 細い管に魔法力を通す感覚だ……!」
「それって!?」
「必要な力のみ! シールドに回すんだっ!」
今は攻撃を防ぐ事に達する為に、グラティアはこんな状況にもかかわらずシールドの使い方を教える。
ウルカはそんな言葉に、瞳を閉じて言われた通りイメージをする。
「……いいぞっ! シールドが安定してきた!」
「でもっ……防御だけじゃ……!」
命を削られるのみ。
このままでは、二人とも共倒れになってしまう事は明らかだった。
(このままじゃ……俺もグラティアも……っ!)
ウルカの脳内に最悪の状況が思い浮かぶ。
灼かれる。
こんなよく分からない奴に蹂躙される。
奪われる。
(元はと言えば俺のミスでっ……!)
あのとき、何故もっと周りを注意できなかったのか。
後悔と言った感情に胸を締め付けられる。
それと同時に、何としても二人で生き延びなければと、ウルカは歯を食いしばった。
(お前らなんか……吹き飛んじまえば……っ!)
ウルカはネウロイを鋭い視線で睨みつける。
「ウルカっ……?」
空気の流れが変わった事に、グラティアは気づく。
背中に刃物を押し当てられたかの様な鋭い殺気は、間違いなくウルカから発せられたものだった。
「お前らなんか……!」
「ウルカ! しっかりしろっ! 別の感情に流されるなっ!」
ウルカの魔力コントロールが再び乱れた事を感じ取ったグラティアは、その殺意を押さえる様にと叫ぶ。
「お前らなんかっ! ……とん……まえ!」
「シールドに集中するんだっ!」
このままウルカのシールドが不安定になれば、二人は灼かれる事になる。
グラティアの額に汗が滲んだ。
ゆらりと、ウルカの身体から魔法力が流れ出している。
「この魔法力……っ! なんだこの濃度は……!」
「お前らなんかっ! 吹き飛んじまえば良いんだっ!」
そう叫んだ瞬間の出来事だった。
ウルカの目の前に展開されているシールドは、一枚の大きな壁。
そして波となってネウロイに押し迫っていく。
まるで怯えたかの様に、ネウロイは後ずさりすると、魔法力の波に飲まれていく。
そして——————
文字通り消滅する様に。
分子レベルで分解されたかの様に。
粉々になってウルカ側に展開していた三匹のネウロイが消え去る。
「えっ!?」
目を見開いたまま、肩越しに後ろの事を見てしまったグラティアは、驚きの声を上げるほか無かった。
(純粋な魔法力の波動……。ネウロイを消し去る程の……!?)
「……あっ」
「ウルカっ!」
どさりと音を立てて、ウルカは地面に力なく倒れる。
それは、あの町で起きた『魔力を使い果たした』状況に似ていた。
「どっせええええええええい!」
その直後、聞き慣れた声が響く。
グラティアはその方を見ると、空からトラクターが降ってきた。
「カミラっ!」
トラクターは、固有魔法を使ってカミラが投げた物だったのだろう。
それは、一匹のネウロイを下敷きにして撃破する。
「あぁっ! もうっ! 見つかったら逃げんじゃなかったのぉ?!」
残った2匹のネウロイはターゲットを改めたのか、一匹はグラティアに、もう一匹はカミラへと攻撃を始める。
最悪な状況は変わっていない。
ビームの出力が落ちたお陰で、耐久出来る時間は延びたであろうが、攻撃が出来ないため勝つ事も出来ない。
完全に場が膠着した。
「すまんな、カミラ……。ウルカがまた気絶した……!」
「えぇっ!? どうすんのっ!?」
カミラは最悪と言っているのが分かる様な叫びを上げる。
「折角燃料も見つけたのに、ここで死ぬなんてー!」
「くそっ!」
「誰でも良いから助けにきてー!!」
ドンッ——————
辺りに低音が響き渡る。
何かしら硬い物が鉄板を撃ち抜いた音に近かった。
そして結晶の様に吹き飛ぶネウロイ。
「んなっ!?」
「いったい……?」
コアの位置も分からない筈なのに、その攻撃はネウロイのコアだけを撃ち抜いていた。
ドンっ——————
そして、二発目の音。
再びネウロイのコアだけを撃ち抜いていた。
「まさか、本当に助けが……?」
ネウロイが砕け散るのを見ながら、グラティアは只小さく声を漏らした。
そんな声を漏らした直後、レシプロの音が空を切り裂いた。
上空には編隊を組んだウィッチが数機、旋回を行っている。
「救援部隊……?」
「たっ、たすかったぁ……」
カミラはへなへなとその場に崩れ座る。
上空の編隊から、一機が離れてゆっくりとグラティアの前へと舞降りてくる。
その顔を見て、グラティアは目を見開いた。
「誰でも良いとは残念だな。折角助けにきたのに」
「フィニー……! どうして……?」
「ガランド大尉っ!」
フィニーやらガランドやらと呼ばれたその者は、凛々しい笑みを見せる。
「きっと戻ってくると信じていた。だから迎えにきたまでだよ」
「……貸しにしとく」
グラティアもその笑顔に、安心したかの様な笑みを返かえした。
「で、だ。あの膨大な魔法力は? 何が起こっていたんだ? まぁ、あれのお陰で見つけられたのだが」
「そうだっ、ウルカっ!」
グラティアはウルカに駆け寄ると、片腕を使ってウルカを自らに抱き寄せた。
「結果的に、また助けられたな」
「この扶桑人がやったんだな?」
「あぁ、二度も命を救われた事になる……」
「ならば丁重に扱わなければな? 回収部隊に連絡する」
ガランドは通信機を使って、後方に待機している回収部隊に指示を出し始めた。
先ほどまで騒がしかった村には、空を飛ぶウィッチのエンジン音と、回収に向かってくる車のエンジン音が響き渡る。
その音に二人は、自分がまだ生きている事を心から実感した。
こうして三人は支配地域を脱する事が出来たのだった。
やっぱり同じ部隊だったんだし、出してみたくなりますよね。