ある意味日常回
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1940年4月
カールスラント軍前線基地
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ネウロイの進行スピードが予想よりも速い所為で、この前線基地は慌ただしい様相を見せていた。
あれからグラティア達は前線基地へと収容された。
あのとき魔法力を再び使い果たしたウルカは、未だに目を覚ましていない。
グラティアは作戦の報告の為に司令室へと向かっていた。
基地内の慌ただしさとは隔絶された司令室へと向かう廊下で、グラティアとガランドは今までの事、そしてこれからの事を話し合っていた。
「と言う事だ……。自分でも生きて帰れた事に驚いてる」
「ふふっ、なかなか。面白い話を聞かせてもらった」
「おいおい、人の不幸は蜜の味ってやつか……? しかし、お前が自ら助けにくるとは思わなかったぞ」
「前線の支援の帰りだったんだ。ティアは本当に運がいい」
今までの経緯を話すと、ガランドはまるで、冒険物語でも読み聞かせられたかの様に、夢中になって話に聞き入っていた。
互いに軽口を飛ばし合う事で、二人は再会を喜んでいる様に見える。
「あの扶桑人は一体何処で拾った? 話を聞く限りでは面白い奴の様だが」
「オストマルク軍を支援してた時の事だ。あのbfがまた調子悪くなってな……。話した通り墜落した訳だが」
小さくため息を吐きながら、グラティアはウルカとの出会いを話し始めた。
「逃げずに私を助けてくれた。私より年下だと言うのに、しっかりした奴だよ」
「なかなかの根性を持ってるみたいだ。扶桑人らしいと言えばらしいがな」
うんうん、と何かを思い出す様に頷きながら、ガランドは話し続ける。
「そして、あの魔力。彼女の固有魔法だろうが……。これはなかなかに面白くなりそうだ」
「面白くって……。フィニー? 余計な事を考えてるだろう」
「ふふっ、どうして?」
不気味な程に清々しい笑みを浮かべるガランドに、不審を覚えたのかグラティアは釘を刺す。
「お前がそんな顔をする時は、良い事なんて一つも起きないからだ」
「僚機の勘ってことか?」
「言ってろ……。で、今度はなに余計な事を思いついたんだ?」
「ウルカ……だったか? 彼女は良いウィッチになる。私にはそう見えた」
「はぁ……」
グラティアは頭を抱えて深くため息を吐いた。
「だったら何だ? あいつを部隊にでも引き入れるのか? 飛べるかも分からないのに?」
「あれだけの魔力だ飛べるさ。それに、あの時期にあの場所に居たと言う事は、何か裏がありそうだ」
「それは……」
「お前も彼女の事は何も知らないのだろう? だったら、扶桑軍のウィッチだと言う事もあり得る」
ガランドの言葉に、グラティアは返す言葉が見当たらなかった。
確かに、グラティアは命を救われもしたし、ここまで生き残る為に共に努力してきた。
今ここに自分が生きている事は、彼女の助力があった事は間違いないと、グラティアは思っている。
しかし、グラティアは彼女の事を何も知らなかった。
なぜこの欧州の前線に扶桑人が居るのか。
何故彼女は魔法を使えるのか。
生き残るのに必死だった所為で、そこら辺りの事については話しすらしなかった。
「フィニー? ウルカを疑ってるのか?」
「だとしたら?」
疑うのも無理は無い。
この混乱に乗じて、他国の内情を利用しようとする国も少なからずある。
ウルカがそう言ったスパイの可能性も捨てきれなかった。
しかし、グラティアはその可能性を考えたくはなかった。
「ウルカに手を出したら私が許さない」
「何故そこまで彼女に入れ込む?」
「はっきり言わせてもらう。彼女がそんな人物だとは思えない」
「根拠は?」
「ない! ただ、私を励ましたあの言葉は本物だ」
グラティアは鋭い視線でガランドを睨みつける。しかしガランドは凛々しい表情のまま、ぴくりとも表情を変えない。
「……どうやら、彼女は何かを惹き付ける力を持ってるらしい」
「はぁ?」
「始めにいっただろ?『彼女は良いウィッチになる』と。もとより悪く扱うつもりは無い」
「お前……」
「興味がある。なぁティア? ウルカを私にくれないか?」
ピキッと時が止まった様に場の空気が凍り付く。
グラティアは、目の前に居る女が何を言っているか理解出来なかった。
暫くの思考の後、思考が繋がり、グラティアは叫ぶ。
「はあああああああ!? 馬鹿じゃねぇのっ!? どどど、どういう意味だそれはっ!?」
耳元で叫ばれたせいか、流石のガランドも表情を歪めた。
「だから、興味があるから彼女が欲しいと断りを入れたのだが」
「おまっ、お前にあげる訳ないだろっ!?」
「と言いつつも、ウルカはティアの物でも無いだろ?」
「そっ、それはそうだがっ……!」
「なに興奮してるんだ?」
真っ赤な顔で興奮気味に叫んだグラティア。
ガランドに突っ込まれると、顔から湯気が出る様にさらに顔を赤くする。
「ウルカは……。その、約束があるんだ。だからお前にはやれない」
「そうか、それは残念。部隊に居ると便利そうだったのだが……」
「っ! 欲しいってそういう意味かっ!?」
「ん? 初めから言ってるが?」
「っ〜!」
「彼女の事が好きなのか?」
「うっさい!」
恥ずかしさで、もうガランドを直視出来なくなったのか、グラティアは顔を背けた。
「お前は、言葉足らずなんだよ……!」
「まぁいい。最終的には彼女次第だ。出来るなら事なら、今はどんな者の手でも借りたいからな」
「……人材不足なのか?」
「ここ一週間で帰ってこないウィッチも多くなった……。侵攻も思ったより速い」
先ほどとの空気とは変わり、二人は神妙な面持ちで会話を元に戻した。
「この基地も一週間以内には放棄する事になる。近々、あの作戦も実行される」
「……どうにかならないのか?」
「ノーコメントだ……」
ガランドはギュッと拳を握りしめる。
彼女の表情からも、悔しさと言う感情が伝わってきたのか、グラティアはそれ以上話しを聞く事はしなかった。
「ティアには暫く私の下に居てもらう。いいな?」
「仕方が無いな……」
「はぁ、私は一応お前の上官だぞ? 少しは敬ったら?」
「次の機会にな」
言葉を交わしながら、彼女達は司令室へと入っていった。
廊下は再び静けさに包まれていた。
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????年
あの時
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「機体には何も問題は無かった。故意にやった事ではないのかね?」
薄暗く、闇の中とも思える空間に声が響く。
只じっとその言葉を聞いていた。何度も繰り返されるあの時の光景。
「自分は……」
「通信の記録も残っている筈です。何故あのような事が故意に出来るのですか……!」
冷静な中にも強い抗議の意思ともとれる言葉。
誰も味方がいない中、この男だけは彼の味方だった。
「十五人……。君にはこの事態の重さが分かっていない様だが」
「話が反れています。……には責任は無かったと思えます」
「しかし、回収した機体に異常は無かったのだよ」
「それは通信記録を見れば!」
「通信記録にも、問題は残っていない」
言い争いの言葉が永遠と続く。彼は闇の中で幾度と無く経験した。
苦しく。逃げ出したいのに逃げ出せない状況。
息が詰まる。
吐き気がする。
この悪夢から逃げる為なら何だってしてしまいそうだ。
……
「あぁっ、そんなっ!? 隊長! あぁぁっ!」
そして切り替わる場面。ある建物の一室。
彼は叫び声をあげて崩れ落ちる。
下がっていた。
揺れる不気味な影。
それは紛れもなく人だったもの。
今はもう抜け殻に過ぎないそれは、不自然にゆらゆらと揺れている。
揺れる不気味な果実は、彼を絶望の底に突き落とすのには十分な光景だった。
ただ一人、彼の味方だった。
「隊長……!」
彼に味方したが故か。
「隊長……」
責任を背負って死んだのか。
「あぁぁぁあああぁぁぁぁああっ!!!!」
それは今となっては分からない。
ただ彼の声にならない慟哭が、部屋に響いていた
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「隊長っ!?」
ウルカは勢いよく飛び起きた。
「ゆめ……ふっ……」
そしてまた悪夢に魘されていたと分かると、頭を抑えて思わず苦笑する。
身体は汗でベトベトになっている。
毎回こうでは身体が持たない。と思いながら、ウルカは大きくため息を吐いた。
「また魘されていたな。大丈夫か?」
ウルカが声のする方を見ると、ベッド横の椅子に座って心配そうに見つめているグラティアの姿があった。
「ここは……。天国にも思えないし、俺は生きてるみたいだな……」
「そうだな、生憎、天国よりは良くないが、地獄よりはマシな場所の筈だ」
清潔に整備された簡易ベッドをポンポンと叩き、ウルカはグラティアの方に向き直った。
辺りには数床の簡易ベッドが用意されており、その全てに怪我人が横たわっていた。
野戦病院の一角である事はウルカにも理解出来た。
「気分はどうだ? こんな場所しか用意出来なくてすまない」
「いや……、今は五体満足で生きてるだけマシだ」
「そう言ってくれると助かる。ここはカールスラント軍の基地だ。見ての通り最前線のな」
辺りを見回すグラティア。部屋の中には、うめき声や、慌ただしい声が谺している。
入れ替わり立ち替わりやってくる負傷者に、手が回っていないのか、軽傷の者は床に放置されている。
「立て続けにすまないが、起きたならベッドを空けなくては」
「あぁ、分かってるさ」
「立てるか……?」
ゆっくりと様子を伺う様に、ウルカに手を差し伸べるグラティア。
ウルカはその手を握って立ち上がると、少しふらつきながらも体勢を立て直した。
「二日酔いを二倍に濃縮した気分だよ」
「ふふっ、酒も飲んだ事が無いのに二日酔いか。それは面白い」
冗談が言えるなら大丈夫だろう。グラティアはそう言った様な微笑みを浮かべる。
「歩きながら話そう。ついてきてくれ」
「あぁ」
ウルカは歩き出すグラティアの隣に寄り添って歩き始めた。
野戦病院は大きなテントの中に作られていたらしく、そこを出るとさらに騒がしさをます。
エンジンの音。人の声。近くを横断していく戦車の履帯の擦れる音。
「Ⅳ号戦車……。まさか本物を見る事になるとは……」
ウルカの目の前を横切っていったのは、史実では第二次世界大戦に使われていた名作戦車の一つだ。
その光景がまた、自分はとんでもない場所に迷い込んでしまったと実感させる。
史実では70年以上前の車両が、現役として使われている事に、不謹慎ながらも胸の高鳴りをウルカは感じた。
「あぁ、扶桑人なのに詳しいな。我が国が誇る戦車だ」
グラティアは自慢げに、その光景を見つめながら言う。
「扶桑には戦車は無いのか?」
「あぁ、えっと…。この時代なら……チハとかになるのか……?」
「んっ? ずいぶんと曖昧だな」
突っ込まれた事に、ウルカは肩をビクッと震えさせる。
この二人、世間話や身の上の話し等、一切してこなかった。
その為よく知っている様で、よく知らない。グラティアとウルカは不安定な仲である。
「ウルカは何処出身なんだ? 扶桑は横須賀ぐらいしか知らないが……」
「えーと、そのだな……」
ウルカは一旦考え込む。
(下手な事を言って大丈夫だろうか)
二人は今まで、二度も窮地を生き延びた仲である。
ウルカは少しぐらい、突拍子も無い事を彼女に言っても、聞いてくれるのではないか? と考える。
しかし「実は男で、起きたらこの世界に居て、女の子になってました。てへっ☆」なんて言ったら狂人の類いに見られる事は間違いなしだ。
その事はいくらなんでも言っては不味いと、その考えを一旦閉じ込める。
(なるべく当たり障りの無い様に……)
「もったいぶらずに教えてくれないか?」
「あぁ、俺は福岡って場所の出身だよ。佐世保のある地方の別の県だな」
「佐世保は分かるぞ。へぇ、なるほどな」
ウルカは無難な返答をグラティアに返す。
グラティアは納得してくれてのか、腕を組んでウンウンと頷いていた。
「あれ? もう腕はいいのか?」
腕を組んでいるグラティアを見つめて、折れていた筈の腕に何も巻いていないのにウルカは気づいた。
「あぁ、前線と言うだけあって、優秀な治癒魔法を持ったウィッチも居るからな」
「あぁ……芳佳みたいなのが居るのか」
「ヨシカ? ウルカの友達か何かか?」
ウルカはアニメの内容を思い出して、ぼそりと口に出してしまう。
気付いた時にはもう遅い。
気が緩んでるにせよ、いくらなんでも口が軽過ぎると、ウルカは自分に呆れた。
「いや、まぁ、知り合いと言えば……知らなくもない……というか」
「ふふっ、また曖昧だな。おかしな奴だ」
慌てた様に取り繕う姿が滑稽に見えたのか、グラティアの口からは笑い声が漏れていた。
(カールスラント侵攻以前と言う事は、アニメの話しはもっと後になるのか……)
彼は歩きながら、彼は物思いに耽る
(ダイナモ作戦より前でガリア侵攻はまだだ。と言う事は1940年時点……)
ウルカは実際の歴史に照らし合わせて、今の状況を整理する。
「グラティア? 今は1940年で問題ないよな?」
そして事実を確かめる様に、グラティアにやんわりと質問をする。
「あぁ、1940年の4月……って、なんでそんな事聞くんだ?」
「色々あって混乱しちゃって。ちょっと忘れちゃってさ」
「おいおい、しっかりしてくれよ?」
当たり前の様な事を聞いた所為で、不審そうな顔でグラティアは首を傾げた。
それをもっともらしい理由で片付ける。
(物語の四年前。そしてダイナモ作戦の一年前か……。これ生き残れるのか……?)
深刻そうな顔をウルカは見せる。
この時期の欧州戦線と言えば、負け続けの作戦が続く日々である。
戦略的撤退を続けていき、最終的にはダイナモ作戦により、ブリタニアへの撤退も決まる。
物語では語りきってないが、この時期に戦死した名も無きウィッチが居る筈だ。
物語通り進むとすれば、ウルカに一つの疑問が生じた。
(俺みたいなモブAは……本当に生き残れるのか?)
例えば統合戦闘航空団のメンバーはほぼ実在のエースを元に名前がついている。
この世界では、史実のエースがウィッチと言う存在に置き換わっているのは確かだ。
その殆どは1945年時点までは生き残っている。
と言う事は、その殆どが生き残る約束をされている様なものだ。
もちろん物語通りにこの世界が続けばと言う条件付きだが。
だからこそウルカは不安に駆られる。
(明日はどうなるか分からない……か)
今までもなんとか生き残れた。
しかし、ここは戦争の最前線。この瞬間だってどうなるか分からない。
考える暇ができたせいか、彼の思考に不安が舞い戻る。
「ウルカ?」
「あっ、いや、何でもっ……ないっ……」
手が震える。
恐怖を実感した途端に彼の手が震え始めたのだった。
(なに震えてんだっ! 元の世界に居た時だって、昔は何事にも恐怖せず空を飛んでたじゃないか……!)
「震えてるのか……?」
「いやっ、ちがう……」
拳を握りしめて、その恐怖が去って行くまでじっと耐える。
「……我慢する必要はないんだぞ?」
「っ……」
グラティアはウルカの前に回り込むと、震える手を包む様に両手で握りしめた。
「私だって、突然怖くなる事もある。苦しくなる事もある」
「俺は……これでも元空自のパイロットだ……守る為に……だから……怖がってたら……」
優しく語りかける声に、誰に聞かれた訳でもないのに、ウルカの口から言葉が漏れだした。
グラティアはそれに質問する訳でもなく、ただ言葉を続ける。
「クウジが何か分からないが、お前は私には想像もつかない様な事を抱えているのだろう?」
「……グラティア」
「お前はよくやってる。だから私にも隠さず教えて欲しい。怖いときは怖い。悲しいときは悲しい」
「よくやっている」と言う言葉に、ウルカの頬に一筋の涙がこぼれた。
それは、ウルカの心にぽっかりと空いた穴を埋める様な言葉だった。
「出会って間もないが、私はウルカの事を友達だと思っている。その関係はこれからも続けたい」
心を満たしてくれるかの様なグラティアの言葉に、ウルカの手の震えはいつの間にか止まっていた。
「友達なら、もっと素直にいろんな事を共有していい筈だ」
「でもそれじゃ……、グラティアに迷惑をかける……」
「なに言ってるんだ? 私だって迷惑をかけている。お相子だな」
太陽の様な笑みを見せてくるグラティア。
裏など微塵も無いそんな表情に、ウルカは少しだけ呆気にとられた。
「私はきっと、これかもウルカに迷惑をかける。だからウルカももっと私を頼ってくれ」
「……出会って数日も経ってないのに、なんでそこまで」
「同じ質問をさっきされたんだよなぁ。まぁ、お前は裏がある様に思えない。そんな感じだよ」
グラティアはきっぱりと言い切る。
「だから、私はそんなウルカと友達で居たくなったし、守りたくもなった」
「俺だって! グラティアの事は……好きだぞ? いや、もちろん友達としてな?」
「っ! ……面と向かって、真っ向から好きだと言われると気恥ずかしな」
頬を指で掻きながら、グラティアは照れた様に呟いた。
「俺にもお前を守らせてくれ……。これ以上誰かを失うのは……嫌だからな」
「それは嬉しいが、あまり急いた判断をするなよ?」
「……分かってる」
その言葉が何を意味するのか。
ウルカにもグラティアにも分かりきっていた。だからこそグラティアはもう一度考える様にと伝える。
「難しい話しはこの位にして、気分転換にシャワーでも浴びてこい。その後はメシだ」
「あぁ……、は? えっ、シャワー!?」
シャワーと言う単語にウルカは混乱した様な様子を見せた。
「シャワーって、あれですよね……!? 服を脱いで……」
「服を着てシャワー浴びる馬鹿が何処に居るんだ?」
「でっ、ですよねぇ!」
ウルカは今の今まで、自らが女体と化している事を忘れていた。
だからこそこの慌てようである。
「この基地は前線でも唯一、そう言った設備があるからな。時間の関係上、一人5分までだが……」
今まで女に縁のなかったウルカからすれば、女体が、しかも裸の女体が大量に存在する場所を想像しただけで、顔が赤くなってしまう。
(お風呂……。女体……。未知の世界……)
「ほら、これが着替えだ。ウィッチ用の制服で悪いが、これしか無いんだ」
「あっ、あぁ」
何処からとも無く取り出した着替え一式を受け取ると、ウルカは思考の世界に旅立ったまま、ただ話しに流されるがままになっている。
「いい気分転換になると思う。シャワー室はここからまっすぐの行った場所だ」
「あぁ……」
顔を赤くしたまま、呆然と人形の様に言葉を反射的に返すウルカ。
「後は一人で行ってくれ。私はこの後、報告書やらの作成もある」
指を指して場所を伝えると、グラティアはポンとウルカの方を叩き、その場から去ろうとする。
「終わったら第二会議室に来てくれ。場所は兵に聞けば分かる」
「あぁ……」
「あっ、結構臭うから、ちゃんと洗えよ? 折角可愛いのに台無しだからな?」
冗談の様に付け足すと、そのままグラティアは去って行ってしまった。
取り残されたウルカは、思考の世界からこの世界に戻ってくるまで、暫く立ち尽くしていた。
評価やお気に入り、感想の数々。
この場でお礼を言わせて頂きます!
本当にありがとうございます!
更なる感想等々お待ちしております!
誤字などの報告、感謝しています。ありがとうございました。