「
先生から促され教壇の横に立ち、しっかりと丁寧な挨拶をする。もちろんその時に爽やかな、柔らかい笑顔も忘れない。
他人に不快感を持たれない程度には整っている僕の顔は、こういった場面で爽やかを演じることで生きる。自意識過剰、というわけではないが、客観的に観て自分を知るということはとても大切なことだ。特に、僕みたいな人間にとっては。
とめどない拍手とともに、先生に指定された後ろの方の席へと腰掛ける。このあとやってくるであろう質問タイムにうんざりしながらも、転校生の初日なんてそんなものかと考える。それに、最初の立ち回りは今後の学校生活においてかなり重要になってくる。
第一印象での掴みは上々だ。今もひしひしと周りからの好奇の視線を感じる。あとは次の質問タイムで僕に関する情報を少しずつ与えていくことで、これからの僕の立ち位置を確立させる。そのためにも重要になってくるのはクラスカーストトップの人物との接触&友好を築くこと。
「好きなスポーツとかある?」
「音楽とか何聞くの?」
「今彼女とかいるの?」
案の定、ホームルームが終わり先生が教室を去ってすぐ、僕の席の周りにはたくさんの人が押し寄せてきた。正直鬱陶しいことこの上ないが、一つ一つ、みんなの質問に答えていく。
そんな中でじっと周りを観察して、見つけた。
「あ、君は名前なんていうの?」
「俺かい? 俺は葉山隼人。わからないことはなんでも聞いてくれ、雨宮」
「ありがと。よろしくね葉山君。あ、それと僕のことは気軽に悠里でいいよ」
「わかったよ悠里。俺のことも隼人でいいよ」
「了解、隼人君!」
そのあと、隼人君の
ーーと、その時。僕は気になる人物を発見した。
窓際に一人でぽつんと座っている彼は、横目で興味なさそうに僕を見ている。僕と視線が合うと少し慌てたようにして晒したが、間違いない。
ーーあれは
興味が出てきたな、彼。雰囲気的に人前では話しかけない方がいいだろう。おそらく彼はそれを嫌がるだろうし、それで僕に対して嫌悪感を抱かれてしまえば少しだけまずい。いや、すでに気付いているのなら今更だけれどね。
一時間目を知らせるチャイムが鳴り響く。僕の周りにガヤガヤと集まっていたみんなは各々席に戻ると同時に、教科担当の先生が入室する。
そんな中でも依然、僕の視線は窓際の彼に向けられている。
他の人からバレないよう、
ーー比企谷八幡、ね。
こうして、僕の新たな学校生活が幕を開けた。
大好きな俺ガイル! 新刊出てくるのを楽しみに日々生きています……なんて。