Lyrical NANOHA The Lord 〜契約せし魔法使い〜   作:vegatair

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では第6話をどうぞ!



通りすがりの魔法使い

 

 グール達を倒したスバルとティアナ。そんな二人に今度はファントム化したワイバーンが立ち塞がる。

 明らかにグール達よりも強力な威圧感を発するワイバーンに、ティアナはデバイスの銃口を向けたままどう動くか考える。

 

「さーて、まずはこっちから行かせてもらうよ!」

 

「──っ! スバル回避!」

 

 ワイバーンの口元に炎が収束していくのを視認したティアナは咄嗟にそう叫び、彼女の声に従ってスバルはその場から後退する。その直後、ワイバーンの口から燃え盛る火炎弾が放たれ、先ほどまでスバルが立っていた場所に着弾。轟音とともに巨大な爆破地を起こす。

 スバルへ攻撃した隙をつきティアナが数発発砲するが

 

「よっこらせっと」

 

 まるで椅子から立ち上がるかの様な暢気な声と共にワイバーンは尻尾を横薙ぎに振るい、ティアナの放った魔力の弾を全て破壊する。

 そしてワイバーンはそのままティアナへ向かって駆け出す。その速度は常人の比ではなく、すぐにティアナとの距離は縮まっていき

 

「そぉれっ!」

 

 そんな掛け声とともに鋭利な爪をティアナへと振り下ろす。だがティアナはすんでのところで回避に成功、そのまま後方へ退避する。

 

「でやぁあああ!」

 

 すると今度はワイバーンの横からスバルが接近し、右手を後ろへ引く。すると右手の籠手──リボルバーナックルから薬莢が一つ排出され、手首についている歯車状のパーツ──ナックルスピナーが高速で回転する。

 

「リボルバーシュート!!」

 

 スバルの叫びと共に突き出された右腕からは、ナックルスピナーの回転により起こった魔力を帯びた衝撃波が放たれワイバーンへと襲いかかる。だがワイバーンは避ける素振りすら見せず、むしろスバルの攻撃を受け止めようと右手を突き出す。

 そしてワイバーンと衝撃波が衝突、数秒の拮抗の後に徐々にワイバーンは後方へ押されていき

 

『ティア、今の内に!!』

 

『分かってる!』

 

 ワイバーンがリボルバーシュートを受け止めている隙にスバルはティアナに念話を送る。スバルの意図していることをティアナはやや怒鳴り気味に返し、自身の足元にオレンジ色の丸い魔法陣を展開。するとティアナの周りに7つのオレンジの球体──魔力スフィアが生成され彼女の周りを漂う様に浮遊する。

 ティアナは全神経を集中させ、漂うそれらの照準をワイバーンへ合わせると

 

「クロスファイア……シュートッ!!」

 

 右手を薙ぐ様に払い、スフィアをワイバーン目掛けて一斉放射する。放たれたスフィア達はそれぞれが不規則な軌道を描きながらワイバーンへ向かって進んでいき

 

 ──ドドドドォン!!

 

 轟音と共にワイバーンの姿が爆煙の中に消える。

 

「はぁ、はぁ……少しは効いたかしら」

 

 肩で息をしながら立ち上る煙に視線を向けるティアナ。そんな彼女の元へスバルが笑顔で駆け寄ってくる。

 

「やったねティア!」

 

「まだ終わったわけじゃないのにはしゃがない。気を抜いてる暇なんかこれっぽちもないわ」

 

 冷静な面持ちでスバルをそう注意するティアナだったが、彼女も先ほどの攻撃には確かな手応えがあったのか内心では拳を握っていた。

 ──だがティアナの言う通り、気を抜いている暇などこれぽっちもなかったのだ。

 

 スバルを注意するティアナの視線の先、漂う煙の中で赤い影がまるで生き物の様にゆらゆらと動いていた。あれがいったい何なのか、頭で理解するよりも早くティアナの体が動く。

 スバルの肩を片手で掴み自分の後ろへ強引に押し退けた直後、煙の中から現れる一発の火炎弾が二人へ襲いかかる。すぐにティアナは自身の前にオレンジの障壁──プロテクションを展開し火炎弾を受け止めるが

 

「キャァアア!!」

 

「ティア!」

 

 プロテクションに火炎弾が触れた直後、火炎弾が爆発しプロテクションを破壊。その衝撃と熱気を浴びたティアナは吹き飛ばされ、スバルへ覆い被さる様に倒れこむ。

 ティアナのバリアジャケットは所々が焼き焦げボロボロで、そこから覗く素肌には軽い火傷の痕が見える。

 

「しっかりして、ティア!」

 

「うっさい、聞こえてるから……でかい声で叫ばないで……」

 

 意識はしっかりとしているらしく、途切れ途切れになりながらもスバルに言葉を返すティアナ。そこまで酷い怪我ではなかったことにスバルがホッとしたのも束の間

 

「危ない危ない……危うく殺しちゃうところだったよ」

 

 スバルの耳に届いたのはそんな男の声。スバルは声の聞こえた方へ目を向けると、そこにはほぼ無傷の姿で立っているワイバーンの姿が。

 

「それにしても、さっきのはちょっとばかり効いたよ。いやはや、女の子だからって甘く見すぎてたね」

 

 変わらぬ口調でスバル達に言うワイバーン。スバルは怪我をしたティアナを庇うように胸に抱きかかえ、ワイバーンを睨みつける。

 そんなスバルを見ながら、ワイバーンはぐるぐると右手を回すと

 

「さて、これでゲームオーバーだね。傷を負った仲間を庇ってじゃあ君も上手くは戦えないだろう?」

 

 ワイバーンの言葉にスバルはティアナを抱く力を強め、抱いてない方の拳を握りしめ構えを取る。ワイバーンはふっ、と嘲笑すると

 

「ま、気絶程度で済ませてあげるから……二人仲良く眠りな」

 

 そう言いワイバーンは口元に炎を収束させ、スバル達へ火炎弾を放とうとしたその時

 

『──ワォォオオン!!』

 

『──キィイイイ!!』

 

 どこからかそんな獣の叫び声が聞こえたかと思うと、白と黒の小さな影がワイバーンを襲う。

 

「なっ!? なんだこいつら!」

 

 突然の襲撃にワイバーンは怯み、攻撃を中断しその二つの小さな襲撃者を払い退ける。

 ワイバーンから離れスバルとティアナの前に移動したのは、トオルの使い魔のブラックフェンリルとホワイトガルーダだった。

 

「なに、この小さいの?」

 

「いや、私にも何が何だか……」

 

 スバルから体を離し上半身だけを起こすティアナ。彼女の質問にスバルは目を丸くし首を傾げて答える。

 いったい目の前のロボットのような動物はなんなのか、二人はブラックフェンリルとホワイトガルーダに不思議そうな視線を送る。

 

『ガウガウッ!!』

 

『キィィィイ!!』

 

 するとその二体は一つ雄叫びを上げると再びワイバーン目掛けて襲いかかる。ブラックフェンリルはその機動力を生かし地面からワイバーンを襲い、ホワイトグリフォンはワイバーンの周りを旋回し翻弄しつつ攻撃を加えていく。

 対しワイバーンは二体の小ささと動きの素早さからなかなか攻撃を当てることができずにいた。

 

「くっ……この! ちょこまかちょこまかと!」

 

 ダメージは軽量だが継続的に続く攻撃に対して苛立ちを募らせていくワイバーン。二体のプラモンスターを引き裂かんと爪を振るうも、それは徐々に大振りにそして単調になっていく。

 

『──ッ! ガウガウッ!!』

 

『キィィッ!』

 

 すると突如、ブラックフェンリルとホワイトガルーダが攻撃を中断しワイバーンの元から離れる。急に攻撃を中断したことに疑問を抱きつつ、ウザいと感じていた二体が離れたことにワイバーンが内心安堵していると──突如、プラモンスター達の背後に銀色の魔法陣が展開される。

 

「ティア、あれって!」

 

「魔法陣……だけどミッドチルダ式でもベルカ式でもない……?」

 

 現れた魔法陣を指差すスバル。その隣ではティアナが目の前の魔法陣が自分の知るどの魔法陣とも一致せず、疑惑の視線を向ける。

 

「銀の魔法陣……まさか!」

 

 一方、この魔法陣の主に覚えがあるらしいワイバーンは、どこか焦燥を含ませた声音でそう叫ぶ。

 すると魔法陣が一際強い輝きを放ち、スバルとティアナはその眩しさに思わず目を閉じてしまう。そして光が収まり二人がゆっくりと瞼を持ち上げると

 

「……銀」

 

 視線の先に映った人物を見て、スバルは小さな声でそう漏らす。

 風で靡く黒のマントから覗くのは銀の装甲に包まれた四肢。そして威風堂々と佇むその姿にスバルとティアナは視線を釘付けにされ

 

「昨日ぶりだねぇ。それにしてもお早いお付きじゃないか……魔法使い」

 

「魔法…使い……?」

 

 皮肉めいた口調になるワイバーン。そんな彼の放った言葉に、スバルはその瞳を見開かせる。明らかに自分の知る魔法使い、いや魔導師とは違うその風貌。それに魔導師の要とも言えるデバイスも持っていない。

 するとその魔法使いと呼ばれた人物──ロードはプラモンスターに視線を落とすと

 

「よくやってくれたお前達。もう戻っていいぞ」

 

『ガウ!』

 

『キィィ!』

 

 そう労いの言葉をかける。するとプラモンスター達はロードの左右の手の平の上に移動し、それぞれ白と黒の魔法陣を潜ると指輪へとその姿を変える。

 指輪へ戻ったプラモンスター達を左腰のホルダーに収納し、再びワイバーンへと視線を向ける。

 

「なるほどねぇ、その二体は君の使い魔だったのか」

 

 ロードが予想よりも早くこの場に駆けつけたことに納得するワイバーン。だがロードはそんなワイバーンを無視し、後ろにいるスバル達へと視線を向ける。

 傷つきボロボロになったティアナとその隣に座るスバル。そんな二人を一瞥し、ロードは視線をワイバーンへ戻し

 

 《コネクト・カモーン!》

 

 魔法陣からブレイドモードのローブレイドバスターを取り出し、その切っ先をワイバーンへ向ける。

 

「今度はもう逃がさねぇぞ……ファントム!!」

 

 ワイバーンへそう告げたロードは剣を構え直し、ワイバーンへと襲いかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──時はスバル達がワイバーンと出会う少し前まで遡る

 

 その頃トオルはと言うと、とある場所へと向かっていた。その場所は小さな工場のような場所で、トオルは鉄製の扉に手をかけ中へ入る。工場の中にはコンピューターや細々とした機械の部品などが入った棚などが置かれている。

 そんな薄暗い通路の中をトオルが進んでいくと、その先に作業着を着た黒髪の男の後ろ姿が見えてきた。

 

「おやっさんおはよう」

 

 トオルはそんな男に挨拶をすると

 

「おお、トオルか。久しぶりだな」

 

 男はトオルに顔を向けそう言葉を返してきた。トオルがおやっさんと呼んだ男は仏頂面の口元を僅かに綻ばせると、静かに立ち上がりトオルの元まで歩いてくる。

 男の名前はガッド・モノビース。この工場の長であり、二人しかいない作業員の内の一人である。もう一人の作業員とは言わずもがなトオルのことだ。

 

「おやっさん、珍しく笑ってるけどどうしたんだ?」

 

 ガッドはいつも仏頂面で笑うことは少なく、彼が口元を綻ばせていることにトオルは少しばかり驚きながらそう尋ねる。

 

「ああ、お前が女を連れたって聞いてよ。ようやく異性に興味を持ったかと思ってな」

 

「異性って……別にそんなんじゃねぇって言ったろ? 居候だって居候」

 

 トオルはガッドに昨日、エルピスと買い物に行くと言ってもう一日休みを貰ったのだ。

 そんなガッドにトオルは苦笑いしながら返すと、奥へと進んでいき作業着へと着替える。

 

「さてと……おやっさん、今日の仕事はなんだ」

 

「ああ、今日はこいつの修理をしといてくれ。魔法学校の嬢ちゃんのデバイスだ」

 

 そう言って手渡されたのは剣型のデバイス。所々に刃こぼれや損傷が見られ、確かに修理が必要のようだ。

 トオルとガッドが働くこの工場では主にデバイスの修理や改良を請け負っており、ガッドの腕はその筋では知らない人はいないと言ってもいい程の職人である。

 その弟子でもあるトオルもまた、彼には劣るが腕は一流に近いモノを持っている。早速、トオルはデバイスの状態の確認、そして修理を開始した。

 

 

 それから一時間と少し経過し、トオルが修理を続けていると

 

「──っ!?」

 

 トオルの視界が一瞬白に染まったかと思うと、目の前の光景とは別の何かが映し出される。

 そこには昨日出会ったファントム ワイバーンと

 

(スバル、それにティアナちゃん!?)

 

 バリアジャケットを身につけたスバルに全身が傷だらけのティアナ、そんな二人の姿が視界に入った。

 

「なんで…魔導師の二人がファントムに……」

 

 エルピスの話では魔導師はゲートになることはない。だというのに、なぜ二人はファントムに襲われているのか。

 

(いや、今はそんなことを考えてる場合じゃない。すぐに二人の元まで行かねぇと)

 

「ん? どうしたトオル、んな怖い顔して」

 

 するとトオルの異変に気付いたガッドがそう声をかける。

 

「……おやっさんすまねぇ……ちょっと行ってくる!」

 

「あ? 行ってくるってどこに……っておいトオル!」

 

 ガッドの静止も虚しく、トオルはそのまま工場の外へと走り去ってしまった。

 そして工場の外に出たトオルはマンションに留守番させているエルピスへ念話を送る。

 

『エルピス、聞こえるか!?』

 

『はい、聞こえています。それよりも、そんなに慌ててどうしたんです?』

 

『スバルとティアナちゃんがファントムに襲われた。今すぐ助けに向かうぞ』

 

 トオルはそう言うや否や、手形のバックルに右手を(かざ)す。

 

 《ドライバーオン・カモーン!》

 

「……変身」

 

 《ロード・カモーン! イエス! アドベント!! マイロード!!!》

 

 トオルはロードへ変身、自宅にいるはずのエルピスも彼と一体になる。

 

『トオル、先ほど言ったことは本当なんですか? ワイバーンが魔導師である彼女達を襲っているなど』

 

「使い魔達から連絡が入った。現に今、あのファントムはスバル達を襲っている」

 

 エルピスにそう返しながら、ロードは右手の指輪を付け替える。

 

「場所は使い魔達から聞いている……行くぞ」

 

 《テレポート・カモーン!》

 

 その音声とともにロードの足元に魔法陣が出現。そしてロードの体を通過したかと思うと、ロードの姿はこの場所から消え去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──そして時間は現在に戻る

 

 《バインド・カモーン!》

 

 ロードは魔法陣から出現させた鎖でワイバーンの体を縛り上げ、ブレイドモードからブラストモードに変形させワイバーンの体を狙い撃つ。

 

「グッ…ガァアア!」

 

 大量の銃弾を浴びたワイバーンは鎖から解放され地面に倒れこむ。そんなワイバーンにロードは休む暇なく銃を発砲するが、ワイバーンはすんでのところで回避しお返しに火炎弾を放つ。

 ロードは火炎弾を回避し、さらに指輪を付け替えローブレイドバスターのマーノオーサーに翳す。

 

 《ジェミニ・カモーン!》

 

 すると右手に魔法陣が現れ横にスライドすると、そこからブレイドモードのローブレイドバスターが現れロードの手中に納まる。そしてロードは剣と銃を使いながらワイバーンをさらに追い詰めていく。

 そんなロードの戦闘を遠巻きに眺めていたスバルとティアナは、ワイバーンを圧倒するロードに目を奪われていた。

 

「あの銀の男、化け物を赤子のように……」

 

「それにあんな魔法、今まで見たこともないよ」

 

 ティアナはそのロードの圧倒ぶりに唖然とし、唇を震わせながらそう呟く。スバルも初めて見るロードの魔法の数々に驚きを隠せていない。

 

 その頃ロードの猛攻に追い詰められていくワイバーンは、一度ロードから距離を取り息を整える。そんなワイバーンにロードは一つ質問をする。

 

「お前があの二人を狙った理由はなんだ、教えろ」

 

「いいよ……と言いたい所だけどね、生憎とそれは話しちゃいけない決まりなんだ」

 

 ロードの問いにそう返したワイバーンは「次は僕からの質問ね」と言い

 

「君はなんでその二人を守るんだい? 君にとっては赤の他人のはずだろうに。……それとも、魔法使いになって正義の味方でも志したのかな?」

 

 追い詰められているのにも拘わらず、その皮肉めいた口調を崩さないワイバーン。そんなワイバーンの言葉にロードは動きを止め

 

「正義の味方か……はっ! んなもんには毛ほども興味はねぇよ」

 

 そう言い、ワイバーンの言葉を一蹴する。そして右手にフルストライクウィザードリングを嵌め、ベルトのマーノオーサーを操作する。

 

 《ルパッチマジックタッチゴー! ルパッチマジックタッチゴー!》

 

「俺はただ、守らなきゃならねぇもんを守る……それだけだ」

 

 そして右手をベルトへ翳し

 

 《オーケー! フルストライク! ドゥーユーノウ?》

 

 自身とワイバーンの間に幾つもの魔法陣が並ぶ。ロードはその場で一度トントン、と右足の爪先(つまさき)で地面を叩きその場で大きく跳躍。そして降下しながら魔法陣を潜り抜けていき、その度に右足に高密度の魔力が収束していく。

 ワイバーンはロードの攻撃を躱そうとはせず、その場に立ち尽くしたままロードを見上げ

 

「なるほど、それが君の戦う覚悟か。ならその覚悟でどこまで戦えるのか……地獄で見届けてあげるよ」

 

 ワイバーンがそう告げた直後、ロードは最後の魔法陣を潜り抜け銀色に輝く右足でワイバーンを蹴り飛ばす。その一撃を浴びたワイバーンは爆散、ロードが地面へ着地するとワイバーンがいた場所から魔法陣が現れロードの体の中に消えていく。

 そして立ち上る煙にロードは視線を向けると

 

(結局、あいつがなんでスバルとティアナちゃんを狙ったのかは聞けなかったな)

 

 収穫を得られなかったことに少しばかり気を落としつつ、ロードは右手の指輪を付け替える。すると

 

「あ、あの!」

 

 そんなロードにスバルが声をかけ、ロードは彼女へと顔を向ける。ロードと視線が合ったスバルは、一瞬肩を跳ねさせるが、意を決して話を切り出す。

 

「あなたに聞きたいことがあるんです。あなたは一体誰で、あの怪人とどんな関係があるんですか?」

 

 スバルの質問にロードはしばしの間沈黙し、どう答えればいいか考える。馬鹿正直に正体を明かすわけにもいかない……となれば

 

「俺はロード。通りすがっただけの、ただの魔法使いだ」

 

「ロード……それがあなたの名前なんですね?」

 

 スバルの問いに今度は無言で頷き肯定の意を示すロード。

 そして話は以上だと言わんばかりに、ロードはベルトに手を翳すと

 

 《テレポート・カモーン!》

 

 その音声と共にロードは魔法陣の中へと消えていった。

 

 ロードとワイバーン、この両名がいなくなり残されたスバルとティアナはというと

 

「……とりあえず、ティアは病院に行こっか」

 

「……そうね」

 

 一先ずティアナの怪我の具合を確かめるため、病院へと向かって足を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次元と次元の狭間。かつてワイバーンが訪ねたその場所では、ボスと呼ばれたローブの男が椅子に腰掛け、一人静かに本を読んでいた。

 すると男は何かに気づき本から目を離すと

 

「……ワイバーンがやられたか」

 

 そう呟き本を閉じる。そして椅子から立ち上がると本を椅子の上に置きその場で、パチン、と指を鳴らす。すると男の目の前の空間に一つの穴ができ、その中から一つの人影が出てくる。

 

「あの……お呼びでしょうか……」

 

 虫の羽音のようなか細い声でそう言ったのは、淡い水色の癖っ毛を持った見た目小学生の少女。そんな少女に男は歩み寄ると

 

「次はお前の番だ。魔法使いを倒し賢者の石を奪ってこい……いいな?」

 

 少女に対してそう指示を送る。そしてそれ以上は何も言わず少女に背を向けると、椅子へと向かって歩き再び腰をかけ読書を再開する。

 男の指示に少女はスカートの裾を握りしめると

 

「わかり…ました……」

 

 またまた蚊が鳴くような小さな声でそう言うと、いつの間にか背後に立っていたルルハリルと共に歪みの向こうへと消えていった。

 

 

 

 

 

 






なんかこう、薄っぺらい内容になってしまった感が否めませんね。
早く投稿しようとしてこんな話を書いてたら本末転倒もいいところですね。

とりあえず、ロードとスバル達を接触させたくてこんな無理矢理な形に……。
そしてワイバーンの呆気なさはちょっとやり過ぎたかも。

スバルとティアナに関しては、まだデバイスがデバイスなのでファントム相手にはあまり効果がないという設定にしました。
ただ虐めたかったわけじゃないですから、そこのところをお間違えのないようお願いします。

それでは、また次話をゆっくりとお待ちください!

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