ポケットモンスター The Rebellion of fate 作:天羽々矢
しかしそこで、最後に立ちはだかる者が・・・
OP:oath sign/LiSA
「あーっ!見つけたーっ!!」
突然大声が聞こえ、アルトが背後に向き直る。
そこにはアルトより歳下か同い年くらいの少女2人。1人は茶色ショートヘアにセーラー服と紺色のスカート。もう1人は白いYシャツに緑の蝶ネクタイ、緑のミニスカート。
アルトを指差しているのは白Yシャツの黒いツインテールの少女の方だ。
「何だ?」
アルトは指を差される覚えがない為、思わずその少女に問う。
代わりに答えたのは隣のセーラー服の少女。
「あなたが黒の凶悪犯ですね!あなたのせいでエリオ君が大怪我しちゃったんですよ!!」
「エリオ・・・?」
”エリオ“という単語を聞き記憶を巡らせる。思い出すのにそう苦労はしなかった。
アルトはオルディンから脱獄する際にその男と戦ったのだから。
「・・・邪魔したから倒した。それの何が悪い?」
「悪いよ!ちゃんとエリオに謝ってよ!」
今度は白Yシャツの少女がアルトに食ってかかる。しかしその際に見つけた。
2人の少女の服の襟元に輝く物、統制管理局のマークを。つまりこの2人の少女は管理局員。即ち・・・敵。
「邪魔した奴に謝る義理は無い。そこをどけ」
「ムキー!じゃあ無理やり謝らせてやる!!やっちゃお、ヨシカ!!」
「うん、ヴィスコンティちゃん!」
ヨシカと呼ばれたセーラー服の少女とヴィスコンティと呼ばれたYシャツの少女がモンスターボールを構える。
「お願い、エーフィ!」
「やっちゃえ、ブラッキー!!」
「エーフィ!」
「ブラッキー!」
ヨシカのボールからはしなやかな体躯に二股に分かれた尻尾を持つポケモン「エーフィ」。
ヴィスコンティのボールからは漆黒の体色に黄色い輪の模様があるポケモン「ブラッキー」が繰り出される。
「・・・ジュプトル、ガバイト、バトルセット!!」
「ジュルィ!」
「ガバァ!」
アルトの号令に背後で待機していたジュプトルとガバイトが前に出る。
2VS2のダブルバトル。その点では既にバトル慣れしているジュプトルとガバイトが有利だと思えるが、相手はエリオを知っている為油断は出来ない。
先陣を切ったのはヨシカのエーフィ。
「サイケこうせん!」
「フィー!」
エーフィの額の赤珠からサイコパワーの光線が放たれる
「受け止めろ!」
「ガバァ!!」
ガバイトが前に移動しサイケこうせんを受ける。ガバイトは苦悶の表情を浮かべるも受けきった。
「うそ!?」
「リーフブレード!」
「ジュルィ!」
次に動いたのはジュプトル。両腕の葉を光らせエーフィに迫る。
「避けて!」
「フィ!」
エーフィは跳躍し回避するが、それが隙となった。
「追撃しろ!」
「ジュル!」
リーフブレードを展開したまま上空のエーフィに迫る。
「エーフィ!!」
「ブラッキー、シャドーボール!!」
「ブラァ!」
ヴィスコンティのブラッキーがエーフィを援護すべく黒い球体を形成し始めるが、アルトにも手の空いているポケモンはいる。
「ブラッキーにりゅうのいぶき!」
「ガバァァァッ!!」
ガバイトがすかさずエメラルド色のブレスをブラッキーに向け吐く。
「ブラァ!?」
「あぁ!ブラッキー!?」
ダメージを負ったブラッキーはシャドーボールの軌道を外してしまう。
「ジュルィィ!」
「フィィィッ!?」
その間にジュプトルがエーフィにリーフブレードを斬りつける。
「エーフィ!!」
「フィィ・・・」
地面に落ちたエーフィはふらつきながらも起き上がる。
「ヨシカ、エーフィ下がらせて!ブラッキー、もう1回シャドーボール!!」
「ブラァ!!」
再び漆黒の球体を形成するブラッキー。今度は軌道を外す事無く打ち出すが、
「ガバァァァァッ!!」
ガバイトがエネルギー充填を始め、エネルギー弾を口から放つ。
2つの弾は互いに押し合い相殺される。
「ガバイト、お前いつの間に”りゅうのいかり”を?」
「ガバッ」
アルトの言葉にガバイトは振り向き笑みを見せる。
「だったら今度はあくのはどうをぶつけちゃえ!」
「ブラァァ!!」
ブラッキーから悪意の波動が放たれガバイトへ迫るが、ガバイトはどこか余裕そうだ。
アルトに笑みを向け、アルトもまた笑い返す。
「もう1発りゅうのいかりをかましてやれ!」
「ガバァァァァッ!!」
再びガバイトからエネルギー弾が放たれあくのはどうと押し合いになる。
今回も相殺され爆発が起こるが、その爆煙から飛び出して来たのはガバイトではなくリーフブレードを展開したジュプトルであった。
「ジュルィィィッ!!」
「ブラァァァッ!?」
ブラッキーにリーフブレードが直撃し、ブラッキーは勢いをもらいヴィスコンティの元へ吹き飛び、
「へ?うじゅあ!?」
ヴィスコンティを巻き込み共に目を回した。戦闘不能である。
「ヴィスコンティちゃん!?」
「余所見厳禁だ、ガバイト!」
「ガバッ!!」
いつの間にかエーフィに接近していたガバイトが両腕の爪を光らせた状態でいた。
どうやらりゅうのいかり習得の際にエネルギー循環が上達したようだ。
ガバイトはそのまま光らせた爪”ドラゴンクロー”をエーフィへ繰り出す。
「フィィィッ!?」
「エーフィ!!」
ドラゴンクローが直撃しエーフィはヨシカの下へと転がる。
「エーフィ・・・」
戦闘不能状態になったエーフィをヨシカは静かに抱きかかえる。
戦闘終了。勝利を収めたアルト達はもう1度船着き場を見るが、船着き場には砲台が爆発した時にできたであろう瓦礫が塞いでいた為、このままでは船に乗れない。
しかも着いたとしても瓦礫を退かす時間も無い。
ガバイトがどうすればいいのか頭を抱えている時、静かにアルトが口を開く。
「心配ない。船は海門を突っ切る。あいつらもきっと同じ事を考えてる」
そしてアルトの予想通り、船は今の状況を把握したのかラティオスの操船で速度を緩める事無く真っ直ぐ来た。
「行くぞ」
この一声に一行は踵を返し反対側へ移動する。船は速度をそのまま海門に侵入。
まずジュプトルとガバイトが飛び降りた。
しかしそこで、戦闘不能だったはずのヨシカのエーフィが、ヨシカの腕から抜け額の赤珠にパワーを集め始める。
そして飛び降りたジュプトルへサイケこうせんを放つ。
「ワゥ!?」
リオルがそれに気づくが、飛び降り無防備な状態のジュプトルに回避する術は無い。
咄嗟にリオルが動いた。
「おい、何を!?」
リオルの行動にアルトが驚愕する。
そしてリオルが跳躍しエーフィの放ったサイケこうせんの射線上に出る。
「ワゥゥゥゥッ!!」
「フィィ・・・!?」
ジュプトルを庇いサイケこうせんを受けるリオル。
エーフィは驚愕した後、力を使い果たし再び倒れる。
リオルは光線を受けそのまま飛ばされる。その先に足場は無い。アルトは既に走り出していた。
あの時は届かなかった・・・今度はもう何も無くしたくない。だから・・・!!
「届けえぇぇぇぇっ!!!」
左腕をめいいっぱい伸ばしリオルの右腕を掴み。右腕で剣を抜き壁に突き刺す。
「ふぅ・・・、お前は!」
「ウゥ・・・」
リオルを叱るアルトだが、その顔には安心しているのか小さく笑みが浮かんでいる。
下を見るとジュプトルとガバイトが無事に船へ降りた。
「行くぞ」
アルトがそう言うと、壁を蹴り剣を引き抜いた。
「ウッ!?ワウゥゥゥゥッ!!?」
叫び声を上げるリオルと共に船へ落下していく。
そして船の帆がクッションになりそのまま甲板へ滑り降りていく。
この時刻を持って、アルト達は海門要塞を無事攻略し、ロサシティへの歩を進める事になった。
要塞を突破した一行は現在、内海の航路を進んでいる。
「ウゥ・・・」
リオルはどうやら叱られた事を気にしているようだが、アルトはしゃがみ目線を近づける。
「よくやったな、お前」
「ウゥ・・・?」
アルトは静かにリオルの頭に手を置き軽く撫でる。
その様子にリオルは戸惑っている。
「・・・身体を張ってジュプトルを守ろうとしたろ」
その言葉にジュプトルは軽く驚愕するような表情を浮かべる。
アルトが軽く説明し、そ理解したジュプトルもリオルに近づきポンポンと頭を軽く叩く。
「・・ワゥ」
リオルは小さく、しかし確かに笑みを浮かべる。少しずつ心を開いてきたようだ。
そんなリオルに、アルトは空のモンスターボールを渡す。
その行動にリオルは首を傾げる。
「お前の道だ。嫌なら捨ててもいい」
どうやらどうしたいかはリオル自身で決めさせるつもりのようだ。
アルト達が離れようとした時、リオルは決心した表情を浮かべ、モンスターボールのスイッチを押し自分から入っていった。
ボールは少しの間動き、・・・そして止まる。
リオルはどうやらアルト達と共に行く覚悟を決めたようだ。
アルトはリオルの入ったボールを拾い、中からリオルを出す。
「・・・よろしくな、リオル」
「ワゥ!」
アルトの言葉に、リオルはこれまでの臆病さが嘘のように力強く頷いた。
戦闘BGM:戦闘!ジムリーダー/ポケットモンスターX・Y
ED:オラリオン/やなぎなぎ
またまた雑な展開に・・・
今回のキャラ2人にはモデルがいます。読者の皆様は誰か分かりますか?