魔法少女リリカルなのはViVidー人喰らいし、古の血ー   作:ダラケー

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hunting 68

ミッドチルダ某所にある洋食レストラン。

 

洋食レストランから少し離れた路上に1台のトラックが止まっていた。

 

局員A「また入りました」

 

局員B「これで5組目です」

 

モニターでレストランに入っていく客を確認する。

 

トラックの荷台に偽造された移動指揮所である。

 

中には外部カメラを確認するモニターや通信機などが取り揃えられていた。

 

ティアナ「分かりました。お二人は準備いいですか?」

 

報告を聞いたティアナはシグナムとリュイに言う。

 

2人はティアナに言われて頷くとトラックから降りた。

 

トラックから降りた2人は私服姿でレストランの方へ向かっていく。

 

理由はティアナが扱っている事件は何人も人間が行方不明になっており、職業・年齢・体質などはバラバラで唯一共通するのが全員がこの管理世界のレストランに入っているという。

 

もしかしたらアマゾンマンションのように複数体がいる可能性があるため、アマゾンを感知できるリュイと援護できるシグナムが入店して数を計り、ティアナが魔導師を率いて突入することになっている。

 

シグナム「行くぞ、リュイ」

 

リュイ「うん……」

 

シグナムがレストランの扉を開けて入店した。

 

シェフ「いらっしゃいませ」

 

2人が入店するとシェフが出迎えた。

 

シグナム「あの、ここやってますか?」

 

初めて来た一般客を装ってシグナムはシェフに聞く。

 

シェフ「はい、やっております。ご案内しましょう」

 

笑顔でシェフは先を案内する。

 

着いていこうとするシグナムだが直ぐに引っ張られる感覚を感じた。

 

見るとリュイがシグナムの服を掴んでいた。

 

シグナム「どうした、リュイ」

 

小声で

 

リュイ「しぐまま…あのひと…あま…ぞん…」

 

シグナムにシェフがアマゾンだと伝える。

 

シグナム「やはりか…」

 

リュイに伝えられたシグナムは服の下に隠している愛機(レヴァンティン)を握る。

 

シグナム(1体だけなら私とリュイで何とかなるか…)

 

シェフ「どうかされましたか?」

 

シグナム「いえ、なんでも…」

 

シェフに聞かれてシグナムは答える。

 

シグナムの言葉を聞いてシェフは「そうですか」っと言って奥へ2人を案内する。

 

案内された2人が見たのは2人ずつ席についている数人の客たちだった。

 

部屋には子供用の椅子があるだけのテーブルがあった。

 

客たちはシグナムとリュイを一斉に見た。

 

リュイ「――!?」

 

客たちが一斉に見てきてリュイはビクッとした。

 

シグナム「どうした?」

 

小声でリュイに聞く。

 

リュイ「み、みんな…あま…ぞん…」

 

シグナム「なっ!?」

 

リュイの言葉にシグナムは耳を疑った。

 

シェフを含めてこの店にいる人間はリュイを除けばシグナム以外全員がアマゾンであると。

 

少なくとも10体はいることになる。

 

ティアナ「嘘でしょ…」

 

アマゾンマンションに引き続き、複数体のアマゾンが1ヶ所に集まっていることにティアナも驚いていた。

 

局員A「どうしますか?」

 

ティアナ「このままま作戦を続行するしかないわ。シグナムさん、危険かもしれませんがお願いします」

 

無線でシグナムに指示を出した。

 

シグナム「分かった」

 

指示を聞いてシグナムは言う。

 

するとシェフが後ろから来た。

 

シェフ「あ、申し訳ありません。御子様用しかありませんでしたね。大変申し訳ありませんがお持ち込み様は別室でお待ち下さい」

 

シグナムに言うシェフ。

 

リュイ「しぐまま…」

 

1人なるのが不安なのかリュイはシグナムの服を強く握る。

 

シグナム「大丈夫だ、リュイ」

 

リュイにそう言って安心させるシグナム。

 

リュイ「うん…」

 

シグナムに言われてリュイは服から手を離した。

 

シェフ「ではこちらへ」

 

笑顔でシェフは言うとシグナムと共に更に店の奥へ行ってしまった。

 

リュイ「…………」

 

1人になったリュイは用意されている御子様用の椅子に座って状況をみることにしたがまだ不安なのか、少々緊張していた。

 

 

 

一方、リュイを1人にしてシェフと移動していたシグナムは業務用の冷蔵庫がある部屋に来た。

 

シェフ「大変恐縮ではありますがこちらでお待ち下さい」

 

そう言ってシェフはシグナムに一礼すると部屋を出ていく。

 

シェフが出て行ってシグナムは扉のドアノブに触れるが鍵が掛けられているのか開かなかった。

 

シグナム「やはり、鍵は掛けられているか…」

 

鍵を掛けられてレヴァンティンでこじ開けられるだろうがそうすれば他のアマゾンたちにバレて逃がしてしまうかもしれないからだ。

 

他に脱出経路を探そうとしてシグナムは冷蔵庫を見た。

 

アマゾンは人肉を食べるがなぜ冷蔵庫があるのかと疑問に思っていたのだ。

 

シグナム「まさか………」

 

嫌な予感がしてシグナムは冷蔵庫を開けた。

 

そこにあったのは全身の皮を剥がされた人の死体だった。

 

シグナム「なんと惨いことを…」

 

死体を見てシグナムは吐きそうになるのを我慢する。

 

シグナム「リュイ……」

 

吐きそうになる我慢よりシグナムはリュイを心配していた。

 

 

 

その頃、リュイはシェフからハンバーグを出されていた。

 

シェフ「熱いから気をつけて」

 

子供であるリュイに言うシェフ。

 

シェフ「それでは皆さん、ごゆっくり」

 

シェフはそう最後に言うと厨房の方へ戻って行った。

 

シェフが行くとリュイ以外の客は何も言わずにハンバーグにフォークを刺してナイフで一口サイズに切り口に運んで食べ始めた。

 

リュイ「…………」

 

周りが食べているなかでリュイは食べていなかった…いや、食べたくなかった。

 

周りが全員アマゾンだと分かっているから食べているハンバーグ…その元が何なのか察しているからだ。

 

女性「何も心配することはないわ」

 

リュイがまだハンバーグを食べるのに戸惑いがあるのかと思ったのか女性が話しかけてきた。

 

女性「こうして少しずつ食べていれば…私たちが覚醒するのを防げるの…確証はないけど、みんな静かに暮らしたいから」

 

リュイに優しく微笑みながら女性は言う。

 

リュイ「………」

 

女性の話にリュイは心が少し揺らいでいた。

 

ただ静かに暮らしたい、アマゾンの中には人間社会に溶け込み、人間たちと変わらない生活が送りたいと細やかながら願っていると分かったからだ。

 

だが直ぐに揺らぎを取り払った。

 

 

 

リュイがハンバーグを出されて少ししてシェフはシグナムを閉じ込めている部屋に来ていた。

 

鍵を開けて中に入った時だった。

 

シグナム「はああああああーーーーーーーーー!!」

 

扉を開けた瞬間、騎士服姿でレヴァンティンを構えたシグナムが扉を破ってきた。

 

シェフ「!?」

 

シグナムのレヴァンティンの刃がシェフの左脇腹をとらえた。

 

しかし、響いたのは金属同士がぶつかり合う高い音がした。

 

シグナム「くっ…」

 

レヴァンティンの刃は赤いハサミ―アマゾン化したシェフの腕にガードされてしまっていた。

 

シェフ「お前…魔導師だったか」

 

シグナム「ああ。既にこの店は時空管理局の知るところだ。この店は今日限りで閉店だな、シェフ」

 

シェフ「ふ、ふざけるなあああああああああああああ!!」

 

店を潰される訳にはいかないとシェフは体から蒸気を発して一気に沸騰するように高熱を出しながら姿を変えた。

 

シグナム「くっ!!」

 

高熱を出しているシェフからシグナム素早く離れる。

 

冷蔵庫の冷気とシェフから出た高熱で爆発が起きた。

 

 

 

爆発音と共に騎士服姿で、レヴァンティンを構えたシグナムとカニの姿をしたアマゾンが出て来た。

 

さらに店の入り口からティアナたちが突入してきた。

 

シグナム「リュイ!!」

 

リュイ「うん……!!」

 

シグナムに呼ばれてリュイはアマゾンズドライバーを出して左側のグリップを捻った。

 

GA()M()MA()!】

 

リュイ「あまぞん……」

 

ANCI(エンシャ)AN(エン)ANCIENT(エンシャント)!!】

 

ポソリと呟いて再び捻るとリュイはガンマに変身した。

 

ガンマ「仮面ライダー…アマゾンガンマ…hunting start……!!」

 

変身して直ぐにガンマはカニの姿をしたアマゾンであるシェフこと【カニアマゾン】に向かっていくのだった。


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