今回は大丈夫ですよ。
それではどうぞ。
平和とは維持し続けることが出来ないもの
もう少しで一夏の刃が鈴に届きそうになった時、突然大きな衝撃がアリーナ全体に走った。
鈴の衝撃砲ーーではない範囲も規模も桁違いだった。
事故かそれとも悪意あるものかそれは誰にもわからない。
しかし1つわかることがある、それは先ほどの衝撃は外部から来たということと正体不明のISが一機アリーナの中央で静かにそれでいて不気味に佇んでいるということ。
さらにアリーナの上を見上げるとその先には全てを飲み込んでしまいそうなほど大きく見える穴。その穴が現在ここにいる全ての生徒、全ての人間を見下ろしさらに全員の心を不安にさせた。
謎のISが動き出す。
地面に開けた大きなクレーターから這いずるように上がって来たそいつはこの世の言葉では表せないほどに不気味で不愉快で見ているだけで恐怖が込み上げてくる、悪魔そのものだった。
「なんなんだ、こいつは」
そんな中で勇敢に最初に声を出したのは一夏であった。
実際のところ一夏も相当焦り混乱していた、そのため自分に言い聞かせるような言葉しか言えなかった。
(なんだこいつはまさか外から来たのか?一体どうしてーー)
一夏の目の前が光で染まる
一夏がそれに反応出来たのは奇跡に近かった、生物の生存本能がそれを可能にしたのだ。
「あ、危ねぇ、ハッ…ハッ…ハァ、掠っただけでシールドエネルギーがこんなに…セシリアよりも完璧に出力は上だもしかしたらノエル兄よりも…」
謎のISが考える暇を与えない。
(くっ、避けるだけで精一杯だッ このままじゃまずい、一度鈴と合流して)
「鈴ーー」
一瞬だった、一夏が謎のISから目を離したのは1、2秒もないだろう。しかも一夏の反射神経はISを装着していることもあり普段よりも数倍跳ね上がっている。だが戦場ではその一瞬が命取り、1秒でも0秒でも敵を見失った方が負けるのだ。これが戦場、休む暇などない休めば後ろから撃たれる、刺されるは当たり前だ。
そして現在一夏もこの瞬間から戦場にいる、行きたくなくても行かねばならない、やりたくなくてもやらねばならない。どんな理不尽な理由でも戦場には逆らえない自分が嫌でも相手はそうは思ってはいないのだから。
そして一夏はそんな戦場から一瞬、目を背けた。
ーーゴォオオオウッッ!!
それは速かった、それは一瞬だった、それは目で追えなかった。
謎のISはその歪な図体に似合わず素早い動きで此方にアリーナの遮断シールドを貫通したものと同じビーム兵器を撃ってきた。
ーー此方に高熱反応接近。ロックされています。
白式の警告が一夏の脳内に鳴り響くが、遅すぎた。
「一夏ッ!!」
「!!!!!」
鈴の絶叫がアリーナによく響く。
一夏は反射的に目を瞑った。
激しい振動、神経に突き刺さる痛みが一夏に容赦なく降りかかってーー
ーーは来なかった。
「う、うぅ?」
おかしい、アリーナの遮断シールドを貫通するほどの威力があったはずなのに今の一夏はこれっぽっちも、全く、全然痛くはなかった。
「大丈夫ですか?一夏」
「ノエル兄ッ!!!」
白よりも白く穢れを祓うその色は全ての原点である0と同じ名を持ったISを纏っているノエル・ピースがそこにいた。
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「システム破損!何かがアリーナのシールドを貫通してきたようです!これは、アリーナに所属不明のISが侵入しました!」
「試合中止!織斑、凰直ちに退避しろッ!」
ーーこれは、一夏ッ!
ノエルは人知れず走り出していた。ただ一夏を守るために。
「アリーナに穴を開ける貫通力と攻撃力、明らかに殺しにきてますねッ」
ノエルが目指すのはただ1つゼロが置かれている整備室だ。
整備室を目指す途中様々な人とすれ違うが今はそれを気にする時間はない。ノエルはただ整備室のみを目指した。
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IS学園は世界から見ても相当大きな学校だ。一般の学校のようにチャイムギリギリに走って間に合うという事はない。
どんなに急いでいても4〜5分はかかる。しかしノエルはそれを僅か2〜3分できた。しかし彼も人間走れば息切れを起こし、息は乱れ、
汗もかく、
「ハッ、ハッ、着い……た」
整備室にはケーブルに繋がれたゼロが先程と何も変わらないままでそこにいた。
ゼロは相変わらず美しく輝いていた、しかし今はその輝きが酷く不愉快に見えた。
ゼロは機械なのにまるで意志を持っているかのように
それはまるで長年一緒に歩んで来た最愛のパートナーのようであり下から見上げているノエルに
ーー私が必要なんでしょ?
と優しく妖しく子供をあやす母親のようだった。
「……今は、ゼロ…貴方の力が必要です」
ノエルはゼロを見上げ力を欲する
ゼロはノエルを見下ろし願いを叶える
了解とゼロが返事をするようにシステムの再起動が終了した。
「今回の勝利条件は敵の無力化及び生徒たちの安全確保」
「敗北条件 この学園内にいる人間の死亡」
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「ノエル兄ッ!!」
「一夏怪我は?無いなら後ろに下がってーー」
「!!!!!!、ノエル兄前ッ!!」
謎のISはもう直ぐそこまで来ていた。
「くっ、邪ッ魔ッ!」
ノエルは力強く敵を蹴り飛ばした。
蹴り飛ばされた敵は勢いよく地面に激突しクレーターが出来上がる。
ノエルは振り向き一夏と向かい合う。
「一夏今のうちに」
「ノエル兄はどうするんだよ⁉︎」
「私は教師としてあなた達生徒を守る義務があります……大丈夫、一夏は部屋に帰ってお菓子でも食べていて下さい。私も後で行きますから」
そう言ったノエルの顔は全身装甲の為全く見えなかったが見えたとしたら微笑んでいただろう。少なくてもこれから戦うとは思えないほど優しいくらいに。
「分かった。ノエル兄の好きなお菓子を用意してるよ。早く来ないと無くなっちまうからな」
「はいはい」
一夏は後ろに下がっていく。
「ちょっと一夏、ししょーだけで大丈夫なの⁉︎」
「大丈夫さ鈴、ノエル兄がああ言ったんだ、俺はノエル兄を信じる」
一夏は曇りない真っ直ぐな瞳で鈴を見る。
「…分かったわよ、あたしも信じる」
「おう、じゃあノエル兄の邪魔にならないように下がってようぜ」
「うん」
一夏達が後ろに下がったのを確認するとノエルは意識を再び敵に向けた。
敵はまだ黙々と上がっている砂煙で姿は見えないがまだ地面に埋まっているようだ。さっき蹴り飛ばした時にチラッと見えただけだが相手はゼロと同じ全身装甲だった。しかもその装甲は非常に硬い。
『ノ、ノエル先生』
山田先生が開放回線で話しかけて来た。
『何です山田先生」
『あの現在ですね、アリーナの遮断シールドレベル4なんですがどうやって、そのぉ出撃されたのかなと思いまして』
「……」
「……」
「……」
『あの〜ノエル先生?」
『無………り…こ…開け………した』
『え?』
『ノエルはっきりと喋れ』
『ヒッ!』
千冬、怖いですよ怖すぎますよ。山田先生が怖がってるじゃないですか。
このままじゃ謎のISよりも帰ってから千冬に殺される。
何か言い訳を考えなくてはッ
『ちなみに言い訳をすれば殺す、しなくても殺す、いいな』
ーー死亡確定
『さぁ、言え』
『む、無理やりこじ開けたんです。ハイ』
長い静寂、ご丁寧に敵も攻撃はして来ない。
『ノエル、帰ったら私直々の説教と反省文20枚の提出、それと今度また奢ってもらおう、山田くんもどうだ。『じゃ、じゃあ』決まりだな。勿論お前の有り金全部だ。早く帰ってこい』
千冬の言葉はこれだけだった。
どこのジャイアンかと、いやまだジャイアンの方がマシか。
とりあえず
ーー死体蹴りも確定
してしまったノエル。
「…帰りたくない、でも一夏と約束しましたし……このストレスは敵で発散させてもらいましょうか」
どうやらノエルはこのやるせない気持ちを敵で発散すると決めたようだそんな中ゼロから新しい情報が送られてくる、先程の間に敵を解析していたようだ。
「ゼロ、こんな情報を送るならさっきの話の打開案を送って下さいよ」
『…………』
ゼロは何も言わない。関わりたくないようだ。
「………」
ノエルは自分が乗っているISからも見捨てられた。
心が傷ついたノエルは先程ゼロが解析したデータの中に気になるものを1つ見つけた。
「敵IS生体反応なし…」
ノエルの頭の中で敵を倒すプランが纏まった。
「作戦変更、勝利条件 敵ISの
人間じゃ無いなら一刻も早く撃破する。
こいつは危険だ。
ーーピピッ
了解と返事をするように起動音が鳴る。
ここではまだ沢山の生徒が避難できずアリーナに残っている。
その為威力がありすぎる武器は使えない。相手の装甲は硬いがゼロのツインバスターライフルの威力を上げれば簡単に撃破出来る。しかしあのISを撃破する威力では勢い余って相手を貫通しアリーナのバリアーをも貫通してしまう。
このアリーナ内ではツインバスターライフルは最高で5〜6%が限度だ。
ならどうするか敵の攻撃を1つもアリーナのバリアーに当てず相手を撃破する。これが今回のノエルの任務だ。
最早他のことは考えない、任務にのみ集中する。
生徒誰1人として死なせない。
さぁ、始めよう。
ーー任務開始
ーーストレス発散も込めて
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これからも頑張ります!!