エンドレス・ストラトス 終わらない歌とお人好し   作:青の雲

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物語が遂に動き出す。
そして、ノエルの過去もーー

それではどうぞ。


曇りのち曇り

ーーチュン、チュン

 

ーーチチチチッ

 

「朝ぁ…で…すかね」

 

どうも皆さま、おはようございます。まだ眠くて頭がぐわん、ぐわんするノエル・ピースでございます。

最近どうも寝起きから始まるのが多いような気がしますが悪しからず。

うっ、昨日の影響で筋肉痛が…イタタ、朝から疲れが溜まっております。

現在朝の6時、教師生活とは辛いもので本来ならまだ布団が恋しい時間ですが、そうもいかず出勤しなければこの部屋に千冬と言う名の鬼がやって来る始末です。今度豆でも撒いときましょうかね……いや、やめときましょう。

ああぁ、起きたくない、起きたくないよぉ〜。今布団がメッチャ体にフィットしてるんですよね。それはもう 逃がさないッ と言わんばかりに、はい。

 

「ああ、起きねば。でも布団がぁ」

 

こんな事している間にも時間は進み現在6時15分。あと45分分で出勤しなければ千冬が来る。

ノエルは布団を頭まですっぽりと被り考える。

暫くうんうん考えていると急に頭に名案が。

 

「……仕方ない、今日は有給休暇を使いましょう。よし、そうと決まれば早速携帯で 『あら、それはダメよ』…んぇ?」

 

部屋の中に若い女性の声が聞こえた。

それも相当近くから。

 

「え、誰です?」

 

ノエルは部屋の中を見渡すが誰もいない。

ノエルは自然と唾を飲み込んだ。

 

『あら、まさか怖いの?』

「ヒャッ!」

 

何処からか可愛らしい悲鳴が出た。

 

『フフ、先生って可愛い声出すのね。まるで小さな子供みたいね♡』

 

何処からか聞こえる怪しい声にノエルは朝から冷や汗を大量にかいた。

体は小刻みに震える。

呼吸は ハッ、ハッ と短く、早く、回数も増えていく。

頭から布団を被り、目はぎゅっと閉じている。

まるで子供そのものだった。

これらからわかる1つの事実、そう、ノエルはお化けや幽霊が大の苦手だった。夜に放送される心霊番組は勿論、ゲーム、映画のホラーも全く駄目。TVのCMでホラーが映れば直ぐにチャンネルを変え誰かに電話をかける。

ノエルがどうしてそこまでオカルト系が駄目なのかはまた今度話そう。

そんな幽霊が大の苦手なノエルからすれば部屋から自分以外の声が聞こえるのは1番嫌な状況だった。

 

「ま、まさかこれが話に聞く呪い⁉︎ ジャパニーズ呪い⁉︎ こここ、この部屋まさかのいわくつき物件⁉︎ 」

 

ノエルさんはご乱心だった。

いい歳した大人が布団にすっぽり埋まり、ガタガタ震えるその様はまさに外に行かない引きこもり君そのものだった。

今この状況を第三者が見れば呆れるか、お腹を抱えて大笑いする事間違いなしだろう。

そんなニートよろしく状態のノエルに近ずく怪しい影もとい侵入者が1人。

2人分の膨らみが外から確認できる。

そのうちの1つの膨らみが徐々に上へ上へ上がってきている。

 

 

ーーそして今2つの膨らみが一箇所に。

 

 

「きゃぁぁああああああああッ!!!!…あああぁ〜………」

 

 

ーー集まり、朝のIS学園に悲鳴が鳴り響いた。

 

 

「うう、お、落ち着け 落ち着け 落ち着け 落ち着け 落ち着け 落ち着け 落ち着け 落ち着け」

 

ノエルは必死に自己暗示をかけ恐怖と戦っていた。

 

(こんな心霊現象自分には起こらないと願っていたのに、朝一番に起こってしまった。最悪です、最悪すぎます……あぅ。

もうそろそろ支度しなくてはいけないというのに、これでは支度はおろか起きることさえ出来ない、くぅ、情けない。

そ、それに、心なしか何かもぞもぞと動いているような。いやありえない、この布団は私しか居ないはずだ!!

も、もう一度確かめてみましょう。なぁに、ただの気のせい、そうただの気のせいですよ。落ち着け ノエル・ピース !!)

 

ーーもぞ、もぞもぞ

 

(…やっぱり動いてるじゃないですかッ⁉︎ え? え? なんで! なんで! こっちに来る⁉︎ 来てる⁉︎ 来るの⁉︎)

 

今のノエルに冷静という言葉はきっと世界一似合わないだろう。

 

(くぅ〜〜〜……ん、謎のもぞもぞが止まった? 今一体何処に…)

 

ーーぎしり

 

部屋にベットのスプリングが軋む音がしたが今のノエルには聞こえなかったようだ。

 

(くっ、一体何処に、け、気配も感じない。き、消えたのかな?)

 

謎の気配が消えたことにより幽霊が消えたと判断したノエルはゆっくり、ゆっくりと目を開けた。

部屋がまだ暗く、なおかつ布団の中にいた為はっきりと顔は見えなかったが、それでもこの事実を知るには充分だった。

 

 

 

 

ーー目の前に人間の顔がある、と。

 

 

 

 

 

 

「お・は・よ・う♡ 先生」

 

更に驚くべき事に目の前の顔はノエルに向かって呑気に朝の挨拶をした。

 

 

 

 

 

 

 

「きゃぁぁああああああああッ!!!!…あああぁ〜………」

 

ノエルのとっくに覚醒した脳がこの事実を理解するまでそう時間はいらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

楯無サイド

 

「困ったわね…」

 

私の名前は更識楯無、IS学園2年生で生徒会長をしているの。

一応現役ロシア代表操縦者でもあるのよ、覚えといてね。

それはさておき、私は現在ちょっと困っていた。

私は昨日、織斑先生に極秘の依頼を受けた。依頼内容を詳しくは言えないけど簡単にいえばある人物の護衛兼監視だった。

こんな任務は馴れているから私はその依頼を快く受け入れた。

ーーえ、どうして高校生のお姉さんがこんな依頼に馴れているかって? うふふ、秘密♡

 

 

まぁ訳あって今は言えないの。ええ、今はね。

依頼を受けた私はそのまま監視対象の部屋に先回りして待っていたの、メイドの衣装で。

え、メイドの服を着る意味がわからない?

お姉さんが人を驚かすのが好きだっていうのと、お姉さんがメイド服を着たかったから♡

それでわざわざメイド服を用意して待っていたのに…肝心な人が全く驚きもしないし見向きもしないのよ。

おねーさん、自信なくしちゃうなー。私だって毎日体の手入れはしてるし、ちょっとは見た目にだって自信はある。

それなのに全く見向きもされないというのは流石に女のプライドが許せない。

悔しかったから仕返しにと思って一緒のベットに入って朝を待ったの。朝一番にリベンジする為にね。

 

 

結果的にリベンジは成功したんだけど、…また女のプライドを傷つけられた気がするのよね。

ーー…ちょっと、脅かし過ぎたかしら?

 

 

目の前の人物を見ていると、どうしても自己嫌悪してしまう。

私はこれからどうしようかと思いながら未だ気絶している男に声をかけた。

 

 

 

 

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「もし、もし、しっかりして」

 

うん? 誰かに呼ばれている。

はて、誰でしょうか?

それより、どうして私は……あっ!!

 

「ゆ、幽霊ッ 『ゴツ』 あてッ〜〜〜〜」

 

勢いよく起き上がると頭を何かにぶつけた。

 

「痛ーーーー」

 

声がする方を見ると水色でまるで清らかな水のような色の髪を持つ人がいた。

制服を着ているからうちの生徒で間違い無いと思うが。

「もう、急に起き上がるからお姉さん頭打っちゃったじゃない」

 

ああ、どうやら彼女の頭にぶつかったようだ。

「すみません、今冷たいタオルを取ってきますから」

「あら、そこまでしなくてもいいのに」

「ダメです、私の不注意でそうなったんですから、それに貴方も女の子なのに跡でも付いたら大変でしょう。いいから座って待っていてください」

 

そう言ってノエルは冷たいタオルを取りに冷蔵庫のあるキッチンに行った。

 

「元はと言えば私が悪いのだけど…彼、お人好しなのかしら?」

 

更識楯無は小さな声で呟いた。

数秒後ノエルが帰ってきた。

 

「はい、それじゃあ動かないでくださいね…ここかな?」

「え⁉︎」

 

ノエルは楯無の髪をゆっくりと上げおでこの部分に優しくそっとタオルを置いた。タオルを当てた瞬間タオルの生地がこそばかったのか楯無の体がビクンッとはねた。

 

「あ、あの、先生?」

「んー? 何ですか?」

「これ先生にやってもらわなくても自分で…」

「ダメです、自分で自分の顔は見えないでしょう。ここは黙ってされるがままにしていてください。それに私人の世話をするのが大好きなんですよね」

 

ノエルは笑う優しく。

 

「あぅあぅ…///」

 

現在の体制は楯無、ノエル共に椅子に座りノエルが楯無の額にタオルを当てている状況であり、これにより2人の距離は必然と近くなりノエルは全く意識していないが高校2年生の楯無には少し気恥ずかしい様で顔を赤くしてノエルの言った通りに大人しく座っている。

普段人を脅かすのは得意だが自分が何かされるのは馴れていない様だ。

 

(あぅあぅ、ま、まさかこんな事になるなんて///……人を脅かすのも少し控えようかしら。それにしてもこの人いまいち掴み用の無い人ね。写真で見た時からそうだったけど、本当にこの人があの無人機を倒したのかしら? あの無人機の出力、火力共に完全に世界基準のISを超えている。私達2年生いえ、3年生が挑んでも勝てるかどうか…それにあの白いISの性能、確かゼロと呼ばれていたかしら、1度詳しく調べる必要があるわね………見れば見るほど不思議な人ね、掴み用の無い人間、まるで空に浮かぶ雲みたい。貴方が白くて清々しい気分になれる雲なのか、はたまたこの学校に害をもたらす雷雲なのか、しっかりこの目で見させてもらうわ。ノエル先生)

 

楯無の目がギラリ鋭く光った様な気がした。

 

「さて、もうそろそろ良いですかね。跡は…うん、すっかり消えましたね。跡が残らなくて良かったです」

ノエルは額に当てていたタオルをそっと外す、楯無はタオルの冷んやりした感じが心地良かったので少し残念に思えた。

 

「ん…ありがと、先生。それで私が来た理由なんだけど…」

 

喋り始めた口をノエルが人差し指で止める。

 

「すみません、色々しているうちに時間が」

 

そう言って伸ばされた指の先にある時計は6時55分

 

「ん〜〜〜〜〜、じゃあ今日の放課後生徒会室に来て、待ってるから。じゃあね先生」

 

そう言い残し楯無は部屋からさっと出て行った、…メイド服のままで………。

1人になった部屋でノエルは。

 

「最近の女の子の部屋着ってあんな感じのなんですねぇ。寒くはないのかな? …さて行こう」

 

平常運転だった。

 

 

 

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時は進み学校

 

「先生、昨日のISって先生ですよね!」

「…ん」

 

放課後になり約束通り生徒会室に向かうため廊下を歩いていると後ろから誰かに話し掛けられた。

 

「ええ、まぁそうですね。…本来これは極秘事項ですので秘密にしといて下さいね、鷹月さん」

「やっぱりそうなんだ!」

「ほら私の言った通り!」

「せ、先生そんな大事な事言ってしまって良いんですか?」

「へー」

「ふふふ、やはり7月のサマーデビルの私の思った通り!」

「やっぱり先生だったかー、あ、先生私の事はリコリンって呼んでね」

「ノー先生、何処行くの〜」

 

年頃の女子高生というものは恐ろしいもので1度話題になるとなかなか火は消えない。

現に今も7人で予想した通りだや、あーだ、こーだと議論している。

ちなみにセリフは上から鷹月さん、相川さん、四十院さん、鏡さん、谷本さん、岸原さんもといリコリン、布仏さん、です。

 

「皆さんが無事で良かったですよ、私は今からちょっと生徒会室に用がありますので失礼しますね」

「あっ、そうなんだ。ゴメンね先生邪魔しちゃって」

「えー、もう行っちゃうの」

「しょうがないでしょ清香、先生は忙しいんだから」

「はは、すみません。また今度時間ができた時にゆっくりお話ししましょうね。

 

そう言って生徒会室に向かおうとした時。

 

 

 

 

ーー ノー先生、なんか無理してる?

 

 

 

 

「………え」

 

思わず足を止めてしまう。

 

止めてしまった。

 

なぜ?

 

「こら本音、先生忙しいんだから邪魔しちゃダメでしょ」

「う〜〜、でも〜、なんかノー先生無理してる感じがするんだよぅ〜〜」

「ああ、それは私も思うな」

「私も」

「なんか先生っていつも頑張ってるけど、ちょっと無理してる感じがしますね」

 

 

 

 

 

彼女たちの会話をまるで他人事の様に聞いていた。

大事な事なのにしっかり耳で聞けなかった。

無理、無理してる、か。

少し前に千冬と山田先生に言われてから少しはマシになったかと思っていたが、やはりまだ,ダメだったらしい。

これはきっと忠告だろう。

『過去は忘れられない』という()()からのーー

 

 

 

 

 

「先生ッ!!」

 

相川さんの呼びかけで意識がハッと覚める。

他の皆さんの顔を見るところ結構な時間ぼーっとしていたようだ。

 

「……はい、何ですか」

「びっくりした、急にどうしたの?」

「すみません、ちょっと…」

「先生、体を大事に使って下さいね」

「はい、わかりました、ありがとうございます、四十院さん」

 

そろそろ生徒会室に行かなくては、これ以上は遅れるのはまずい。

 

「それじゃあ皆さん、気をつけて下校して下さいね。それと布仏さん」

「ん〜〜、な〜に〜、ノー先生」

「貴方からの忠告を守って、無理しないようにしますね。それじゃあ皆さん、さようなら……」

 

そう言って私は少し足早にこの場を去った。

 

 

 

 

人間とはやはりそう簡単に変われないようだ。

そんなことはずっと前に気づいていたのに、千冬と山田先生に甘い言葉を投げかけられ淡い期待をしてしまった。

 

ーー…俺は

 

ーー()()、一体どうすれば良いんだ…。

 

 

ーーZEROは()に何も言ってはくれない。

 

 

 

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「なんか先生の最後の台詞、無理しますって言ってるように聞こえた」

「私も」

「私も聞こえた」

「もー、本音の所為だよ」

「え〜、私の所為〜」

「そう言えば生徒会室って本音のお姉さんがいるところじゃない?」

「あ〜、そう言えば、放課後召集かけられてたっけ〜」

「え、あんた忘れてたの⁉︎」

「えへへ〜、つい〜」

「本音今すぐ行ってきな、ほらッ」

「わぁ〜〜、押さないで〜〜!!」

 

 

 




疲れた。
ノエルさんちょっとうつ気味ですね。どうなることやら。

何かオススメの小説があったら感想で教えて下さると幸いです。
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