忙しく中々出来ませんでした。読んでくださっている方々これからもこの小説を宜しくお願いします。
それではどうぞ
両者最後の攻撃の後、爆発による煙も完全に晴れたアリーナの地面には大きなクレーターが出来上がっていた。そして今はクレーターの整地兼次の試合の準備が個々で行われていた。
試合の結果はーー
ーーノエルの圧勝だった。
セシリアの最後の攻撃も虚しくノエルには届かなかった。
が、セシリアは清々しい気持ちだった、あれだけ軽蔑していた男に負けたと言うのにだ。
それもそうだろう、仕方ないことだ。なんせ自分よりも圧倒的に格上の存在なのだから、誰も彼女を咎めたりしないだろう。そしてセシリアやクラスで一夏やノエルを男という理由で笑った者も彼を下に見ることは無いだろう、否 尊敬さえするだろう。
ーー彼女の父親はずっと彼女の母親の顔色ばかり気にする人だった。セシリアはそんな父親が嫌いで男性を嫌悪していた。しかし彼ーーノエルは違う代表候補生相手に圧倒的な強さを見せた、かつての英雄、愛する者たちの為に命をかけて死んでいった男達のように。女尊男卑が当たり前の社会である現在、今の男性達にはない物の1つだ。今日セシリアの中で男性の評価が変わった。1人の男が変えたのだ、これから彼の事を自分は尊敬し続けるだろうとそう静かにセシリアは思いながら次の試合の準備をするのだった。
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時は少し遡り…
先程セシリアとの試合を終えたばかりのノエルはピットに戻っていた。そしてようやく一夏のISも到着したようだ。
「ノエル兄お疲れ、すごかったぜ!」
「ありがとう一夏」
「流石だな。…しかし少し顔色が悪いようだが?」
「心配してくれるんですか?大丈夫ですよ千冬」
「…そうか、なら問題ないが」
「どうやってあんなに動けるようになるんだ⁉︎ノエル兄に教えて貰えばよかったな」
「なっ!一夏お前は私の教え方に文句があるのか!」
「だって箒、この1週間剣道しかしてないんだぜ」
「それはお前が腑抜けていたからだろう!」
「それでもーー」
2人はそのまま夫婦漫才のように意見を言い合っている。チラリと千冬を見ると我関せずと言わんばかりにこちらを見ている。
(全く、さて私はシャワーにでも…ッ⁉︎)
ノエルが移動しようと歩き出した瞬間、ふらつき ガクンッ と足の力が抜け、倒れそうになるがそれに一足早く気づいた一夏に支えられて倒れることは無かった。
「ノエル兄大丈夫か⁉︎」
「え、ええ、大丈夫ですよ。ありがとう」
(ノエル兄すごい汗だ。ISってこんなに体力使うのか?)
「それより一夏そろそろ準備しないとまずいんじゃないですか?私はもう大丈夫だから」
「あ、ああ、そうだなじゃあ行ってくる!」
「頑張れ、一夏」
「おう、じゃあ後でなノエル兄!」
一夏と箒が走って試合の準備に行った。
一夏と箒が行ったここには千冬とノエルしかいなかった。
「千冬は一夏の試合を見なくていいんですか?私は少し休んでから行くので大丈夫ですよ」
「あいつなら大丈夫だ。それより今はお前のほうが問題だ」
「私なら大丈夫ですよ。ほら、この通り」
本当はすぐにでも休みたいのだがノエルは悲鳴をあげる体に鞭を打ち大丈夫だと見せつける。しかし千冬は…
「ほう、立つだけで精一杯の奴がよく言ったものだな」
どうやら千冬には気づかれていたようだ。
「………気づいてたんですか」
「当たり前だ。お前の嘘は分かりやすい」
「やれやれ、千冬には嘘はつけませんね」
「お前は昔からお人好しでバカだからな、偶には人に頼れ」
「ははは、じゃあ肩貸してもらえますか?」
「ああ、最初からそう言え。全く」
千冬に助けてもらいながらゆっくりと立ち上がる。
千冬はノエルを小石のように軽々と持ち上げる。一体この細い体のどこにこんな力があるというのだろうか。
「こうして誰かに支えてもらうというのもいいものですね」
「ああ、そうだな」
「千冬、よかったら今日一緒に飲みに行きませんか?」
「!…いいだろう」
「約束ですよ」
「ああ」
頷いた千冬の顔はほんのり赤みを帯びてきたリンゴのようで、普段の千冬からは考えられない表情だった。年相応の女性が彼氏とデートに行く約束をした時のようだった。
そこからしばらく会話は無かったが気まずい雰囲気はなく、ゆったりとした雰囲気を2人で楽しんでいるようだった。
心なしか千冬の顔が赤い気がするが此処ではあえて触れないでおこう………
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千冬に肩を貸してもらいながらやっと着いたモニター室では既に一夏とセシリアが試合を始めており、既に30分は過ぎようとしていた。
「ありがとう千冬、もう大丈夫ですよ」
「ああ」
少し残念そうに聞こえるのは気のせいだろう。
一夏のISは『白』だった。まるでナイトのような姿をしていた。他者を寄せ付けない威圧感が感じられるがノエルのIS程ではなかった。
武器は刀のような近接ブレードのみだった。
さて試合の方だが一夏がセシリアのレーザーの弾丸を避け続けるだけで試合は全く動かなかった。それに一夏のISのシールドエネルギーは残り僅かとなり、一夏には非常に辛い状況になっていた。
一方セシリアは先程ノエルとのあれだけ激しい戦闘をしたというのにその動きには全く疲れが見えず先程の試合と変わらない動きだった。
流石は代表候補生だろう。しかしノエルに圧倒的にあれだけ攻撃されていたというのに『ブルーティアーズ』は全く損傷していなかった、それもそのはず、ノエルは『BT兵器』のみを破壊したのだから。本体へのダメージは最小限にし『BT兵器』のみを無効化するのはそうそう出来るものではない。
その事にセシリアは気づいているだろうか?いや気づいてないだろう。代表候補生にも悟られずに出来るノエルは流石と言えるだろう。
(これは一夏がまずいな。。それにしてもセシリアさん、先程よりもいい顔になりましたね。機体の方も問題なさそうでよかった。怪我もなさそうだし。…だが思った以上に『ゼロ』の反動が大きかった。…まだ体中が痛い、しかし『ZEROシステム』が出てこなくて本当に良かった)
その後試合は一夏の1次移行(ファースト・シフト)が起こり、まさかの逆転かと思われたが、先に一夏のシールドエネルギーが無くなり結果セシリアさんの勝利で終わった。
そして現在、一夏はアリーナのとある一室で千冬と箒に説教されている。
「よくもまぁ、持ち上げてくれたものだ。それでこの結果か、大馬鹿者」
「うう、はいすみません」
「そうだ一夏。私が1週間訓練してやったというのになんだあの体たらくは、まるでなってない」
「ハイ、スミマセン」
……私は何も言わず山田先生と一緒に見ているだけでしたがあまりにも一夏が目線でずっと助けを求めてきてなんだか哀れに思えてきたのでそろそろ助け舟を出す事にした。
…それに私も早く休みたいですし。
「まぁまぁ千冬、箒さんもうそこまででいいんじゃないですか?一夏も反省してるようですし」
すると千冬は心底疲れるような顔をして。
「はぁ、だからお前は昔からお人好しと言われるんだ。」
「そうです、私はお人好しなんです。それに一夏は初心者なんですし今後に期待という事で」
「…ノ、ノエル兄」
一夏が嬉し泣きしそうな顔でこちらを見ている。
「それに私も疲れてますし、これ以上お説教が伸びるなら残念ですが飲みに行くのはまた今度になりそうですね。あーあ、楽しみだったんですがねぇ」
少し大きめの声でわざとらしく言ってやると千冬がピクッと反応したのが見えた。普通の人なら見逃すような変化だが昔からの付き合いであるノエルにははっきりと見えた。
「まぁノエルもこう言っているから今回はここまでにしよう、しかし織斑、今回は武器の特性を考えずに使うからああなるのだ。身をもって分かっただろう。明日からは訓練に励め。暇があればISを起動しろ。」
「はい…」
「何にしても今日はこれでおしまいだ。帰って休め、ノエルも夜まで休んでおけ」
「はい…」
「了解」クスッ
何気に千冬も楽しみにしてるんですかねぇ。
「織斑くん、これがISを展開させる時のルールブックです。規則があるのでしっかり読んでおいてくださいね」ドサッ
「え…………」チラッ
一夏が無言でこちらを見てくる。…………はぁ
私は無言で頷く。………一夏、そんなあからさまに嬉しそうにしないでください。千冬がすごい睨んでますよぅ、全く世話のかかる弟だ。
そう言えばフランスにいるシャルロットは元気にしてるのでしょうか?
今度電話でもしましょうか。
「一夏、帰るぞ」
「ああ、じゃあノエル兄また後でな!」
一夏はそう言って元気そうに寮へ帰って行った。
残ったのはこちらを睨んだままの人類最強。
「もちろん千冬の約束が先ですよ」
「うむ」
千冬は満足そうに頷いた。よかった、よかった。
「じゃあ、私も疲れたんで部屋に戻ってますね」
「ああ、分かった」
そうして私は千冬と別れ自分も部屋に向かった。
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部屋に着くと私は真っ先に自分のベッドに倒れこんだ。
それほどまでに疲れていた。できれば夜まで動きたくないほどに。彼は決して体力が少ないわけではない、むしろ平均より断然上だろう。
ISの操縦は確かに大量の体力は使うがこれは誰が見ても異常レベルだった。
「思った以上に今の『ゼロ』は体力を使いますね。それにリミッターの分やはり重い、これ程までに体に負担が掛かるとは、今後調整しないと…」
「ね、眠い…時間もあるし夜まで…寝ます…か」
そこから彼の意識はシャットダウンされた。
時は夜、ここはIS学園から少し離れた場所にある小さな居酒屋、その店を経営するのはこの道一筋の70代の女性。
味は折り紙つきだ。
その店のテーブルである女性が人を待っていた。女性はとても整った顔つきで、男なら10人中10人が振り向くだろう。体型もほっそりとして世の男達の理想の体型と言える。鋭い目つきもその女性の雰囲気に非常に合っていた。こんな女性が待っているのは誰だろうか?男ならみんな気になる事だろう。しかし女性と約束した人物は時間になってもまだ来ていない、女性を待たせるのはいつの時代でもマナー違反だこればかりは今の時代にも適応された。だんだん女性の機嫌が悪くなってきた。
もともと鋭い目つきがさらに鋭くなり、指でテーブルを叩くペースが早くなってくる。
そのイライラしている人物とはそうーーー千冬だ。となると来ていないのはノエルとなる。
千冬は仕事も早めに終わらせ、約束の時間に来たというのに約束した当の本人がまだ来ていないのは、誰だろうと怒るだろう。
しかも今怒らせているのは世界最強の千冬だ。ノエルは今日が命日になるかもしれない。
そう考えているとドタドタと騒がしい音と共に店のドアが開く。開いた先にはーー息を切らしているノエルだった。
「す、すみません!…ハッ、ハッ…寝坊しました」
「ほうお前は自分から誘っておいて遅れるのか」
「も、申し訳ありません!」
ノエルは綺麗に腰を垂直に折り曲げ反省していた。
店の前に頭を下げている男と店の中で腕を組んで目を鋭くしている女性ははたから見ればそれはそれはシュールに見えるだろう。しかしそんな事を気にするほどノエルには余裕はなく、千冬はそんな事は関係なしと組んだ腕は崩さず、ノエルをじっと見ている。
店の女性は空気が読めるのかノエルが来た途端に店の奥に引っ込んでしまった。
ーー5分、ーー10分くらいで千冬がやっと口を開いた。
「もういい」
「じゃ、じゃあ」
「ああ、私は心が広いからな。今日は全てお前のおごりで手を打ってやろう」
「え…………分かりました」
そうしてやっと千冬からのお許しをもらったノエルはようやく店に入ることが出来た。
約束していた時間よりもだいぶ遅れてしまったが、もともとノエルが遅れたのが原因なのでしょうがない。やっと2人だけの飲み会が始まる。
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2人で飲み始めて既に2時間が経過した。
千冬は既に大きなビールジョッキを5つ程平らげており顔は多少赤いがまだ余裕がありそうだった。
ノエルは千冬とは違いちびちびと会話と料理を楽しみながら飲んでいたが顔は既に千冬よりも赤く、そろそろ限界だろう。
すると突然ノエルが酔いの勢いからかとんでもない事を口走った。
「…千冬あなたに大切な人はいますか?」
「ごふっ!、ごほ!ごほ!…お前は急に何を言っている///」
刹那千冬の頭に浮かんだのは一夏と……隣で酔いから顔を赤くしている男。
「ッ〜〜〜〜〜〜///」
一瞬で先程よりも顔を赤くした千冬の出来上がり。
「千冬、顔が赤いですが大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ///」
出来るだけ動揺を消しているが顔の赤みは取れないようだ。
「…千冬もそろそろ色恋沙汰の話の1つや2つあるかと思ったんですが」
「一夏が一人前になれば見合いの1つ2つくらいすぐにできる…そういうお前はどうなんだ」
「…私は好きな人はいませんが大切に思っている人はいますよ」
「ほう、それは誰だ?」
「それは秘密です」
「なんだつまらん」
「…まぁ、千冬…も大切な…人…です…よ…」
「なっ///ノエル今なんて言ったんだ!」
千冬聞き間違いかと思ったが、ノエルは既に眠ってしまい体を揺すっても起きなかった。
ーー起きた後ノエルはこの会話を覚えてないだろう。
千冬視点
千冬は好きな人はいますか?
私はノエルが何気に聞いてきた言葉がずっと頭の中に残っている。
あいつは酒に酔っていたから起きた後この会話など覚えてないだろう。
しかし、こいつからこんな事を聞くことになるとはな…
気になる人ならいるのだがな、これが恋心などと呼ぶのかは分からんが、私が気になる人物は今、人の気も知らず壁にもたれて眠っている。
いやこんな事を考えるのは私らしくない、全学園の小娘共でもあるまいし。
私はジョッキの残りを一気に飲みきった。
しかし先程から身体が異様に熱い、正確には身体が火照っている。普段ならこのくらいの酒では全く酔わないのだが、この火照りはこいつ(ノエル)が変な話をしてからだ。
この火照りも全てこいつの所為だ。そんな無理矢理な考えで私は1人で完結した。
(全くこの責任はいつか取ってもらうぞ。……大馬鹿者)
そうして私は気づかれないようにそっとノエルの手の上に自分の手を重ねたのだった。
感想を見るとやる気出ますね。これからも頑張ります!
次はいよいよ新章突入