異世界転生。それは現代の小説ではもはや定番のネタであり、トラックに轢かれたりして死んだ後、神様と出会ってチートを貰ってお望みの世界に転生するという、所為ご都合主義なものから、知らぬ間に転生していた、チートを持たない、などのバリエーションにも富んでいる。なぜこのような話をしているかというと、
────僕、異世界転生しました。
いやいやいやいや、本当にマジでどうなってるのか…と思っている現在、僕は4歳だ。自我が芽生えたからこのように知識が出てきたのだろうか。これまでの僕がやってきたことはおぼろげに覚えているがなにせ赤子がやったことだからあまりやんちゃな事はしていない。強いて助かったことといえば誰がどのような人かがわかったことくらいだろうか。そんな事を考えていると近くから
「あら、起きたのね。おはよう。」
と、若い女性の美しい声が響いた。この人が僕の母親である女性、ミラだ。肩までかかっている銀髪に碧眼。整った顔立ちをしていて、耳が少し長い。所為エルフという種族でとても清楚な印象をうける女性である。別に僕がお母さんに恋しているとかではなく、誰から見てもそう映ると思っているからだ。母親じゃなかったら危なかったのは認めるけれど…
「おはよー、おかーさん」
と、僕も返す。まだ舌足らずでゆっくりとした口調だが4歳児だから許されるよね?思考回路も4歳のそれで、このように語っているのはあくまで内面としてなのだ。
「やっぱり、メルは物覚えがいい子ね。言葉を話すのも早いし、息子として誇らしいわ。さあ、朝食にしましょうか。お母さんは先に行って温めてるからね。」
と言って、寝室を出ていく。僕もベットから出る。部屋をトコトコと歩きながらもふと鏡を見る。僕も髪は銀色、目の色は変わって琥珀色である。我ながら整った顔立ちをしていると思ってしまうほどには美少年である。そして肝心の耳だが長くない。人間のそれと同じ長さである。これに関しては今気づいたことで想像はできるが事実は知らない。まぁ、それでもお母さんに育てられたことは紛れもない事実であり、この世界での母親はミラだけなのだから、関係も変わらない。問題ないね。さてそろそろ行かないと心配されるので行くことにしよう。
扉を開けると、リビングである。決して広くはない木造建築の一軒家、それにお母さんと僕との二人暮らしであるから当たり前ではあるが。しかし、二人暮らしにしては余裕のある広さではある。そのようなことを考えて、いつもの様に椅子に座る。すると目の前に座るお母さんから声がかかる。
「さて、それではいただきましょうか。」
「いただきます!」
と、僕は元気よく返事をして、目の前に置かれている美味しそうな朝食に手をつける。とても美味しい。やはり、お母さんはとても料理がうまいんだなと思う。たまには自分の口から伝えた方がいいのかな。
「おかーさんのりょうり、とってもおいしいよ!いつもありがとう!」
と言うとお母さんは少しの時間硬直し、涙をこぼしながら優しい微笑みで、
「ありがとう。そう行ってもらえるとお母さんもっと美味しいもの作っちゃうわ。」
と、言ってくれた。正直な感想を伝えただけでも涙をこぼすのだ。案外お母さんは涙もろい性格なのかもしれない。
こうして朝食を終えるとお母さんは家の家事をするためしばらくの間暇になる。僕はいつもは草花を見て戯れていたり、時たま魔法の練習をしたりしている。神様に会った記憶はないけれど、異世界転生した時の特典は四つ程ある。一つ目は、
物覚えの早さ
これは先程もお母さんに言われたが僕はなにをやらせてもある程度はできるというものだ。今はまだ体が小さくてできないことも多いが、大きくなったらこのチートも本領を発揮して、きっとお母さんの役に立つだろう。
二つ目は、
固有魔法の所持
これに関しては数種類あるのであくまで自分専用の魔法があるとだけ言っておく。
三つ目、
一時的な能力値の上書き。
所為、こちらの世界で言う界王拳である。これを使う代償は大きいが、どうしても守りたいものが出た場合に使うことにする。
そして最後の四つ目。これは神様がつけてくれたそうだ。
妖精、精霊、神霊などの親和性、霊脈などの可視化
これに関しては最初の方から結構役に立ちそうだ。なにせ今いる場所がエルフの暮らす森である。妖精や精霊などはそこそこの数いる。外に出ると何匹かの妖精が僕のあとをついてきたりもするのだ。まだ、魔法は使えないので、有用ではないが、遊び相手にはなってくれる。
長々述べてしまったが、この四つを貰った様だ。神様曰く、結構少ないほうらしい。これで少ないとは、転生者ってどれだけ強欲なんだと思わないこともない。と、言うわけでお母さんが取り込んでいるうちは大体は妖精と遊んでいる。今日も外にでて、妖精と遊ぶことにしよう。と思っていると早速来た。
『おはよう、メル。今日もいい天気だね。』
白くて丸い玉から四つの羽根が生えているものから声をかけられる。これが妖精である。ちなみに彼女の名前はハイラ。僕と一番仲のいい妖精であり、友達である。
「おはよう、ハイラ。ほかのみんなは?」
『今日は忙しい日だから来れないかもね…』
「なにかあるの?」
『今日は
「ふぇありーかーにばる?」
『うん、妖精祭って言うのは私達にとっては大事な日で、私達達子供の妖精が大人になれるかどうかが決められる日なんだ。ちなみに妖精祭はマナの周期、つまり12年周期に行われるんだよ。』
「ハイラは行かなくていいの?きょうをのがせば12年もまつことになるよ?」
『大人になるのはそれは魅力的だけど…大人になる条件に《契約者》を見つけなきゃいけないからさ。私はメルと契約者になりたいし、一緒に大人になりたいから12年後かな。』
「そっか、ありがとね、僕とけいやくしてくれるなんてさ」
『あ、今日はその時のための精霊術を練習しようか。メルは親和性も高いし物覚えも早いし、すぐに出来るかもしれないね!』
「ほんとう?やってみたい!」
今日も僕はハイラと遊んだりして、今日はそれに加えて精霊術を試した。簡単な精霊術で、風を起こすものを試してみたら出来てしまった。まだ、そよ風程度だが、これも毎日やってれば風力が強くなると、ハイラは言っていたので、これから少しずつやってみようと思う。
しばらくの間入らと遊んでいるとふと声がかかる。
「メル、そろそろお昼ご飯に…あら、ハイラもいるのね。いつもメルと遊んでくれてありがとう。」
と、お母さんがやって来た。どうやらもうお昼時になっていたようだ。遊んでいるとすぐに時間が進むなぁと感慨に浸りながら、ハイラの方を見る。ちなみにハイラは妖精なので、食事はいらない。強いて言うのであれば森の樹木や草花などからの魔力供給を得て育っている。
妖精との親和性が高いからなのだろうか。僕は自然から魔力を得ることが出来る。しかし周りから魔力を得るという芸当は魔法使いにはできないことであるらしい。自然から魔力を得ていることを知ったのもつい最近のことである。この事については知られたら面倒な事になりそうだし隠している。
「はーい、ハイラまたね!」
『うん、また今度。』
こうして僕はハイラと別れ、家の中に入り、昼食をとる。とっている途中にお母さんから話しかけられる。
「メルは…魔法に関心があるようだけど、将来は何になりたいのかしら?」
このような質問だった。何になりたいかぁ…
「なりたいものはないけど、まわりのひとをまもれるようになりたい!」
舌足らずで、曖昧な表現しかまだ出来ないけれどこれだけは言える。僕の周りでは絶対に悲しいことは起こさせない。そう決めている。何故ここまでこだわっているか、自分でもわからないが、そんなことは些細なことで、守れるものを守りたいのは当たり前だろう。
「…そう。」
と、お母さんは何処か不安そうな、それでも嬉しそうな表情をしてポツリと呟く。
「僕はミラも含めてみんなを助けたい。」
「あなたは…」
と、お母さんは驚く。あまり考えずに物事を言ってしまった。
「どうかしたの?」
「いいえ…何でもないわ。」
それからお母さんの表情が晴れることは無かった。
こうして11年後の僕の誕生日。お母さんは失踪した。
────これを語っているのは僕が16歳になる前日である。
どうも、
飽きが回るのに定評がある主です。
まず初めに、僕の書いてる小説は僕自身が亀投稿でモチベーションが低いため続かないことが多々あります。それでも許せると思う方はどうかこれからもお付き合い下さい。
誤字報告、感想お待ちしております。