《完結》【蒼明記・外伝】カメラ越しに映る彼女たち―――   作:雷電p

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序章
記録者“S”


 

カメラとは、真実を映し出す鏡である――――――――

 

 

 

 

 

そんなことを言い放ったのは、どこぞの戦場カメラマンらしい。

 

 

 元々、カメラと言う道具は、人の瞳に映る思い出を姿かたち変わり無く1つの“ 絵 ”として残すために作られた超便利道具だ。 シャッターを切るだけで、一瞬にして1つの写真(思い出)を創り上げてしまうのです。

 

その写真を見つめて、ある人は嬉しそうに微笑みながらそれを見つめ………… 

 

ある人は、とても懐かしい気持ちになりながら涙を浮かべてそれを見つめるのだろう…………

 

 

 

 世界で初めて、固定された写真を撮影したヴィンセント・シュバリエはこの時、どんな気持ちになったのだろうか? 1つの偉業を成し遂げたと言う高揚感に浸ったのだろうか? それとも、自分はなんとも恐ろしいものを作り出してしまったのだろうと、後悔してしまっていたのだろうか?

 

 だが、誰もそれのことを知る者はいない。 ただ、歴史の1ページのどこかの行文に、ひっそりと名前が載る程度のとってもとっても小さな偉人なのです。

 

 

 

 ですが、これこそ19世紀最大の発明だと私はそう断言してもいいと思うのであります。 かの人がこの偉業を成し遂げてくれたおかげで、私はこうして自分のカメラを片手に様々なものを撮影することが出来ているのですから…………

 

 

シュバリエさん、マジで感謝です………!!

 

 

 

 

 

 

 しかし、かの人が生きた時代からおよそ200年もの月日が経った現在では、カメラは、『思い出を映すもの』から『真実を映し出すもの』と変わってしまいました。

 

 

 20世紀に立て続けに起こった、2度の世界大戦をきっかけに世界中のあらゆる場所――― 命と命がぶつかり合う死地だろうが、日常の小さないざこざが起こる所 ―――には必ず、小洒落た帽子をかぶり、どこぞのビジネスマンのようにスーツを着こなし、左手にはメモ帳、右手には鉛筆、右耳には予備の鉛筆を引っ掛けている。 そして、首からお腹にかけてぶら下げているのがカメラだ。 自分の命よりもこれに写し取ったものの方が価値があるということを堂々と言う輩こそ、マスコミであります。

 

 

 それは世界中のどこにでもいる輩で、人種や言語の区別もない誠に不思議な方々で、写真と共に十数行程度の1つの記事を大々的に報じて世界を大いにかき回してしまう一大勢力です。 彼らはネタと言うネタに餓えており、どんな些細な事でも大事に変えてしまう力を持ってしまうため、芸能人やら政治家なんていうのは、彼らの絶好の餌にしかなりません。 人前によく出る方々なんですから、一般市民からの注目を浴びてしまうことは確かでしょう。 その中でも、特に多くの注目を浴びる方々は大変ですよ? 何てったって、不祥事を1つ起こせば彼らの餌となり、彼らが写し取った写真によって頂点から地獄に落とすことが出来ると言うのですから恐れちゃうに決まってるでしょう。 どんな不正も、我々マスコミによればすぐに明らかにして見せましょう! そう言ってのけちゃうのですから、一介の国の最高指導者すら身震いすることでしょうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カメラは『真実を映し出すもの』である。

 

 

 

 

 

 そういうふうに言われるのは、やはりこうしたマスコミたちの一連の行動がこのようにさせてしまったんでしょうね……………

 

 

 

 

 

 けど、私はそんなことで彼らを卑下したり蔑むようなことはしません。 私自身もこの道に入ってからはそうしたものを映し撮って、世間様をアッ! と言わせてみたいなぁ~……なんて思っても見たりもします。 ですから、私も彼らと同じ社会構造の中の末端として組み込まれていますので、同じ穴のムジナってことになりますね(笑)

 

 

 

そんな私でも、人が決して触れてはいけないもの ―― パンドラの箱 ―― の認識はちゃんとあり、これに出来るだけ手出ししないことをしています。 特に、人間関係だったりする特集(スクープ)は、かなりデリケートな一面が多すぎるため、そうしたものをカメラに収めて、それを基に記事を起こしても決して誰にも公表することはしないのです。

 

 

 

 公表してやりたい!という誘惑には何度も駆られます。

 

 

 飢え渇いた者たちが心を騒がせながら食物と水を求めようとするように、絶望の淵にある者たちが、吸えば気持ち良くなる、とうたっている麻薬を求めようとするかのような気持ちが、毎日、じわじわと私の心に忍び込んでこようとするのです。 確かに、この記事を世間様に公表すればアッ! と驚くことは間違い無し、と言えるでしょう……

 

 

 ですが、それを公表した後の当事者たちの反応やその人たちの関係が崩れて、その火の粉がこっちに降りかかってくることがあったらどうしようか? と考えてしまう私がいるわけなので、そうした記事は、今でも私の部屋の奥の方に厳重に仕舞っております。

 

 

 これは私のモットーと言いましょうか、プライドと言うものなんでしょうか……… いずれにしても、面倒なことにならないようにしていきたいものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな私は高校2年生―――

 

 

 伝統ある国立音ノ木坂学院の新2年生で、さらに広報部部長としてひっそりと活動をしていました。 新2年生なのにどうして部長に就任しているのかって? そんなの簡単な事です、私以外の誰もがこの役職に就きたがらなかったからですよ。 一応、上級生は何人か所属はしているのですが、ほぼ幽霊部員状態。 他の部員も低確率でやってくる程度の方々しかいないのですから、必然的にやる気(だけは)ある私が就任したってわけです。

 

 

 部長になったからと言っても、やりたい放題が出来るわけではなく、少ない予算でいかにクオリティのあるものを制作していくことが出来るのかが私に求められていること。 月に何回か発行している校内新聞もいいネタが存在しないと、大きな文字で書いただけの広告みたいな訳の分からないものになったり、ネタが無くて新聞の余白が空きすぎてしまう、何ともこざっぱりしたものになってしまう……… しかも、制作者は私のみ! 猫の手も借りたいほどです…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな私に、悪い話と良い話が新学期早々に入り込んで来たのです!

 

 

 

 

 

 

 

悪い話は、音ノ木坂学院が廃校になってしまうこと―――――

 

 

噂では聞いていましたが、とうとうそんな時が来てしまったのかぁー………

 

 そんなことを思いながらもあまり関心は湧きませんでした。 何と言うか、来るべくして来てしまったような感じで、どう反応すればよいのかが分からなかったのです。 悲しめば良いのだろうか? 私の友達の穂乃果は、廃校の話を聞いて深く落ち込んでいたようだし、多分、それが正しい反応なんだろうと思う。 けど、私にとって音ノ木坂は将来に向けての踏み台にしか考えていないので、悲しいという気持ちは抱きませんでした。

 

 

 けれども、そんな私でも寂しいという気持ちはわずかながら抱いていました。 1年も過ごしたのです、ちょっとくらいの愛着は生まれたのでしょうね。 そう思いながらも私は淡々と残りの学校生活を送るつもりでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………が、そんな私に良い話が舞い込んできたのです!

 

 

 

 

 それは………私の学校に男子講師が2人もやってくると言う話と我が校始まって以来のスクールアイドルの結成という2つの朗報が来たのです!!

 

 

 この2つの出来事がほぼ同時に起こったのですから良い記事になるに違いないと思い、早速、取材に向かっていったわけです。

 

 

 

 

 

そこで出会ったのが、宗方 蒼一さんと滝 明弘さんでした。

 

 

 運動神経抜群! 異常なまでの歌唱力! 頭脳明晰! そして、何よりもイケメンであるという才色兼備な御二方(滝さんは頭脳の方が怪しいです……)の存在は、この女子高においては、白馬の騎士! いや、王子様に匹敵するような感じですよ!! 最高です! 最高ですよ!!! こんなところに、こんなネタの宝物庫が現れてくれるなんて、思ってもみませんでした。

 

 

 

 

 

これで、1年間はネタに困らずに済みそうです!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう………本当にネタが尽きることがありませんでした――――――――――

 

 

 

 

 

 

彼らがやって来てからずっとその姿を撮り続けました。

 

 

 

その周りに集まってくる沢山の人々の姿も撮り続けました。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、μ’sも―――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はこの1年で今までに経験したこともないものを見つけました。

 

 

 

 

嘘と真実、陰謀に絶望、嫉妬、醜態、悲壮……………

 

 

 

 

 

 

 

愛、喜び、希望、友情、信頼……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、奇跡を―――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これからお見せするのは、部屋の奥の方に保管していた、私が見た1年の記録とその物語―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【記録日】

〔20■■年 ■月■■日 〕

 

【記録者】

〔島田 洋子〕

 




みなさん、はじめましての御方、お久しぶりと言う御方。


どうも、雷電pです。



とある御方の言葉で新たな展開を繰り広げるため、このような形で新たな小説を書き始めることになりました。
目次の方でも書きましたが、こちらは私が連載中(10/3時点では更新停止中)の小説、『蒼明記~廻り巡る運命の輪~』の外伝作品として書いています。 本来ならば、本編(蒼明記)の方ですべてを書くつもりでしたが、何分、話の数やら総文章量が多いため、やりにくかったというのが本音でした………


私の作品を知っている御方ならば、ここでどういう内容を書き連ねるかはお分かりのはずです。 しかし、今現在(10/3時点)では、そこまでの展開をお見せすることは難しそうです……… こっちの更新は、今しばらくお待ちください。







P.S.

この1話だけを見ていて、本当にラブライブ!なのかが分からなくなってきた(笑)

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