《完結》【蒼明記・外伝】カメラ越しに映る彼女たち――― 作:雷電p
真姫ちゃんとの会話が行われた翌日―――――
私は、学校に通う生徒の誰よりも早く校舎内に入っていました。
その目的は………………
「よっと……ありましたありました………今日も入っていましたよ……………」
真姫ちゃんの下駄箱の中を調べますと、昨日と同じように誹謗中傷のメッセージが書かれた紙が出てきました。 書かれている内容は違う文面である一方で、その根本となるところは変わらないと言うのです。 まったく、一体誰がこのようなことをするのでしょうか?
―――っと。 考える前に、早くこれらを片づけなくてはなりませんね。
回収しました紙をポケットの中に突っ込みますと、ささっと私の部室に向かって走りました。
頑張らねばなりませんね……真姫ちゃんのためにも、μ’sのみなさんのためにも………!
『…………ふふっ……………』
―
――
―――
――――
[ 広報部部室内 ]
「う~ん………またですか………………」
部室に戻りました私は、すぐにこれを入れました犯人を特定すべく監視カメラの映像を見ていました。 ですが、またもや肝心の部分だけが切られていまして、真相を掴めないままになっていました。
しかし、今回は不思議なことがありました。 前回は夜の10時頃からの1時間程度の空白でしたのに、今回は夕方の6時近くからの30分程度の空白が生じていたことです。 何故、犯人は人目に付くかもしれない時間帯にずらし、かつ、空白時間を狭めたのでしょう? 前回成功したから自信を持っていたのでしょうか? それとも、他に何か問題でも起こったからなのでしょうか?
これもまた、神のみぞ知る……と言うことなのでしょうか………?
頭の中では、様々なことを彷彿させていました。
「ん………? これは一体…………?」
モニターを見ていましたら、気になる映像がチラホラと見えてきました。
現在は空き教室となり、さらにはあまり人が出入りすることがないような場所にあるところに、人が出入りしている様子が見受けられるのです………
「ここら辺に設置したマイクはありましたっけ………?」
PCの中に大量にありましたデータを荒探しを行うかのように見ていましたら、お目当てのデータが発見されました。
「【ファイルNo.14】ですか…………」
私自身もあまり手を付けていなかったファイルで、確認しようとしていたけど、途中で諦めましたと言わんがばかりに放置されてあったのです。
その忘れ去られていたファイルの中から最近のデータだけを引っ張って来ました。 昨日からの1週間分のデータ………これらから何が見つかるのでしょうか………?
ぶるっと震えるような寒気を感じながらそれを聞き始めました。
【再生▶】
(ピッ)
『――――――してる―――――――――しの――――じゃない――』
ふぅ~む……小さくて聴きとり辛いですねぇ………音量を少しあげてみますか…………
『――――昨日から何か様子がおかしいのよ―――――何か知らない―――――?』
「この声は…………にこちゃん………?」
ツンツンと尖ったような独特の口調で話をしているのは、μ’sのにこちゃんのようですね。
しかし、少しだけドスの利いたような声と言いましょうか………いつものトーンよりも低く話をしているので、一瞬、誰なのかと耳を疑ってしまうところでした。 映像の方でもその時間帯の様子を見てみますと、確かに、夏場でもあるのに特徴的なピンクのカーディガンを着ている生徒が教室に入っていくのが見られました。
『ふ――――――気のせいじゃないの―――――――――?』
『気のせい? ふん、とぼけちゃってねぇ………期間は短いけど、これでもアンタと一緒に作業して来たんだから何となくわかっちゃうのよ……アンタが何かを隠しているってことをね………』
『―――――――なんだぁ~――――――さすがだね――――――』
むむむ……このスピーカーでは、もう一方の声が聞こえ辛いです………残念なことにこれ以上は大きくすることは出来そうもないですねぇ………にこちゃんは誰と話をしているのでしょうか?
モニターにイヤホンプラグを差し込み、それを耳に入れて何が聞こえるのかを澄ませて聴いてみると、私もよく聞くあの通った声でした…………
『この際、ハッキリと言わせてもらうわ。 アンタでしょ、真姫ちゃんに変な仕打ちを掛けているのは………真姫ちゃんをあんなふうにして、何が楽しいっていうのよ――――――
―――――ことり!!』
『ウフフフフ………あはははははははは!!!!』
そこから聞こえてきたのは、ケタケタと笑い始める私の親友の―――――なんともおぞましい声でした。
―
――
―――
――――
[ 廊下 ]
放課後――――
私は困惑していました。
まさか、真姫ちゃんにあのようなことを行っていたのがことりちゃんだっただなんて…………時間が経った今でも、にわかに信じ難いことであると思っています。
ですが、あの後に聞いた話を思い返してみると、計画的に実行していたのだと言うことがわかり、彼女が行ったのだと確信せざるをえませんでした。
「わかってはいます………わかってはいますけど………!!」
私の中では、未だに葛藤が続いているのです――――ことりちゃんでないと言うことに―――――
しかし、一度疑いを抱いてしまうと、それが真実なのだろうかと探ってしまうのが私の悪い性格。
ですから、今現在、ことりちゃんの様子を見に行こうとしているのです。 出来ることならば、現実でないでほしいです…………
アイドル研究部の部室に向かって歩いていますと、空き教室から声が聞こえてきました。
壁越しに耳を傾けてみますと、渦中の人がそこにいるのでした。
「――――私ね、すごいことを聞いちゃったんだ~。 ねえ、何だか知りたい?」
魅力的な甘い声で話をしますのは、ことりちゃんでした。
一体、誰と話しているのでしょうか?
息をひそめるようにして聞いてみますと、これまた聞いたことのある声でした―――!
「ねえねえ、ことりちゃん。 穂乃果たちにも教えてよ~」
「どうしたのことりちゃん? 一体何を聞いちゃったの?」
穂乃果ちゃんに花陽ちゃん? プランタンメンバーが集結して、何をしているのでしょうか? それに、ことりちゃんは何を話そうとしているのでしょうか?
今までの流れからすると、とても嫌な予感しか抱くことができない私には、この後に出てくる言葉がとても恐ろしく感じました。 それがどのような結果を招くものなのか………息を呑んでしまいます………!
「あのね…」と、ことりちゃんの口が開き、少し悲しそうな声を出てきますと、思ってもみなかった言葉が出てきました。
「蒼くんがね……μ’sの誰かに狙われているの………」
「「ッ―――――!!? ど、どういうこと(なんですか)!!!?」」
蒼一さんがμ’sの誰かに狙われているだなんて………!!
そ、そのような話は聞いた覚えもありませんよ………!!?
その情報は誰からのモノなのでしょうか? 私が知らない間にその話は、浮上していたのでしょうか? いや、そうだとしたら、蒼一さんの周囲に何かしらの大きな変化が生じているはずでは……………ま、まさか………!!
目が飛び出て来るほどに見開くと、とある内容が脳裏を駆け巡りました―――!!
これまでのμ’sの動き………
私の裏活動から見出される収入の変化とその源…………
そして……今日までの監視データ…………!!
すべてが一致した瞬間、1つの答えが導き出されました―――――!!
この一連の流れを生み出した者が誰なのかということが―――――!!
しかし、それが事実なのだとしたら、μ’sは今までどおりに活動出来るはずがありません!! 間違っています………そんなの間違っていますよ………!!!
稲光が雷鳴よりも早く認知される程の速さで確信を抱いていますと、ことりちゃんが続けて何かを話していました。
「まだね、うわさ話でしかないから確信は無いんだけど、蒼くんを個人のモノにしようって考えている人がいるらしくってね、それで蒼くんを捕まえようと考えている人がいるんだって………」
「そ、そうなのことりちゃん?! 蒼君が………! 蒼君が……誰かのモノになっちゃうの!!?」
「そ、そんなぁ………!! 蒼一にぃがそんな……酷過ぎです………!!」
「ことりもそう思うよ………でも、まだ誰がそうしようとしているのかがわからないの………だからね、穂乃果ちゃん! 花陽ちゃん! ことりと一緒になって、蒼くんを守ってほしいの!!」
「「蒼君(蒼一にぃ)を守る……?」」
「そう! 私たちだからこそできることなんだよ! だって、ことりたちは………蒼くんのことが好きなんだから!!!」
「「――――!!」」
「それに、ことりたちのこの熱い気持ちで蒼くんを守ったら、きっと蒼くんから褒められるに違いないよ! 蒼くんが私たちのためだけに褒めてくれるんだよ! これはことりたちにしかできないんだよ!!」
「そう………だよね……穂乃果たちしかいないもんね………蒼君を助けてあげられるのは、穂乃果たちしかしないもんね……………」
「蒼一にぃが………花陽を褒めてくれる………? 蒼一にぃが花陽のためだけに褒めてくれるの………? 蒼一にぃ………蒼一にぃ……………」
「そうだよ………これは私たち3人にしかできないことなんだよ…………だからね、みんなには秘密だよ。 もちろん、蒼くんにも秘密にするんだよ。 すべてが終わった時に打ち明けるの、『私たちが蒼くんを守っていたんだよ』ってね………♪」
「ことりちゃん………私やるよ。 だって、蒼君のためなんだもん………穂乃果たちがやらないといけないんだもんね………!」
「私も頑張るよ………蒼一にぃは私の大切なお兄ちゃんなんだもん………絶対に助けるんだ………花陽たちでやるしかないんだよね…………」
「ありがとね、穂乃果ちゃん、花陽ちゃん。 蒼くんもきっと喜ぶに違いないよ♪ 一緒に頑張っていこうね! 蒼くんのことを苦しめる邪魔者は排除しないとね♪ そして、すべてが終わったら……蒼くんは、私たちだけの蒼くんになるの………!」
「私たち…………!」
「だけの……蒼一にぃ…………!」
「うん♪ そしたら、ずっと、ずぅ~っと蒼くんと一緒にいられるんだよ♪ だからね、それまで一緒にガンバロウネ、2人トモ―――――――」
「ッ――――!!!」
脚に力を込めますと、私は全力で床を蹴りあげてこの場を立ち去りました。
ことりちゃんの話を聞いて、疑惑が確信へとつながりました。
すべての元凶は彼女にあった………!! ことりちゃんが、一連のことを起こした犯人なんだと、私は確信したのです!
このことを早く話さなければ―――――!!!!
私はあの教室からかなり離れたところで、携帯電話を手に取り、電話を掛け始めました。
その相手は――――――――
「もしもし!! 聞こえてますか――――――――!!
―――――蒼一さん!!!!」
「―――ウフフ、逃さないよ♪」
恐怖から逃げ去ろうと駆け抜ける私に這い寄ってくる影――――――
私から日常を奪っていく者が私を捕まえようとしていた――――――
【監視番号:14】
【再生▶】
(ピッ)
『…………何がおかしいっていうのよ?!』
『―――ウフフ、そっかぁ……にこちゃんにはわかっちゃっていたんだね~。 ことりもうっかりしていたよ~』
『答えになっていないわね……アンタ、私の真姫ちゃんに何をする気なの?』
『ウフフフフ……“私の”……ねぇ………ウフフ……逆に、どうしてもらいたいのかな? 私だったらにこちゃんが望んでいることができるんだよ?』
『っ―――――!? んなっ、何を言っているのかしら………まったくわからないんですけど………』
『とぼけちゃって☆ 本当は、真姫ちゃんなんてどうでもいいと思っているくせに………』
『はぁっ!!? アンタいい加減にしn『ウソなの? 本当にウソなの?? ねえ、にこちゃん答えてみてよ。 本当にウソならちゃんと答えられるはずだよね? さあ、どうなのかな?』…っ~~~~~!!!』
『ウフフフフ………あははははははは!!!!! そうだよ……そうだよ、にこちゃん! にこちゃんの目には真姫ちゃんなんて映ってないんだから。 映っているのは違うんだもんね???』
『う、うるさい………!!!』
『知ってるよ……ことりは全部知っているんだよ? にこちゃんがずっと、“蒼くん”のことを見ていることをね………』
『っ―――――!!!』
『図星だよね♪ にこちゃんって、隠すのが下手だもんね~。 すぐにわかっちゃうんだよ?』
『だ、だからどうしたって言うのよ………アンタだって同じでしょうに………』
『違うよ~、私はずっと蒼くんのことしか考えていないよ? みんなよりもこの気持ちがちょっと強いだけだよ?』
『くっ―――――! 何を言っても無駄なようね………いいわ……アンタの好き勝手にはさせないわ……!!』
『だぁ~め♪ そうはいかないよ、にこちゃん。 そ・れ・に、にこちゃんももうちょっと素直になればいいのにね~』
『んなっ!? なに触ってんのよ!! 私に触れないでよ!!!』
『ウフフフフ…………今からにこちゃんを素直な子にしてあげるからね♪』
『やっ……! やめなさっ………!! うぐっ………!!!!!』
『に~こちゃん♪ 終わらないパーティ………はじめよ?』
『いや…………真姫…………ちゃ……ん…………………そ……う…………い…………………ち……………………』
(―――――プツン――――――)
【停止▪】
(次回へ続く)
ドウモ、うp主です。
次回でFolder No.1が終わりそうです。
次なるステップアップが始まるようです。