《完結》【蒼明記・外伝】カメラ越しに映る彼女たち―――   作:雷電p

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(ドンッ!!!)

 

 

「待つんだ、真姫っ!!!!」

 

 

 扉が激しい音を立てて開かれると、そこには、蒼一の姿があった。

 

 

 その意外にも思える事に、真姫は目を見開いて彼を見つめた。

 

 

 

「そう…………いち……………?」

 

 

 

 

 

 

 

―― 

――― 

―――― 

 

 

 

 洋子が失踪した翌日―――――

 

 

 俺は海未からそのことを聞かされ、あらゆるところに洋子はどこにいるのかを探し回ったが、誰1人としてその行方を知らなかった。 親友である穂乃果たちにさえも何も話さずにいたそうで、お手上げ状態だった。

 

 

 さらに、そのことが影響しているのか、μ’s内でも何やら不穏な感じがし始める。

 感情や言葉には出さないモノの、何か落ち着かないような感じがしてならなかったのだ。

 

 それに、この日は真姫が早退したのだ。

 そのことをことりに聞かされるまで知らなかった俺は、すぐに真姫のところに駆け付けては、その様子をずっと見守っていたのだった。

 幸いにも、何も異常が無かったのだが、胸のあたりが痛むと言っていたので、また()()()が発病しないかと内心冷や冷やさせていた。 だから、何が起こるか分からないと就寝の時も一緒にいていたのだった。

 

 

 

 その翌日の今日―――――

 

 

 この日も洋子の足取りは見つからない。 どうしたらよいだろうかと悩んでいる中、学校に来て早々、穂乃果に絡まれてそれどころではなくなってしまう。 異常なほどに高いテンションに終始翻弄されがちだったのだが、そこに意外な人物の到来により、何とか収まりを付けることが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【監視番号:26】

 

 

 

【再生▶】

 

 

(ピッ!)

 

 

 

 

『こ~ら、穂乃果ちゃん。 蒼一が困っとるやろ? もういい加減にせな』

 

『えぇ~、そんなのイヤだよ、希ちゃん! 穂乃果はまだまだ、蒼君と一緒にいたいんだもん!!』

 

『そういうわけにもいかんやろ? 蒼一には、まだまだ頑張らなアカンのやで。 こないなところで萎まれたら後で後悔するのは穂乃果ちゃんやで?』

 

『え? 穂乃果が?? なんで?』

 

『んっふっふ~、それはやなぁ…………蒼一は練習後の方が激しいんやで♪』

 

『おい待て、何を言っているんだ?』

 

『蒼一はな、体を動かした後はかなり気分がええんやで。 せやから、そんな時に声かければ、蒼一の方から迫ってくるんやで♪』

 

『言われの無いことを話すんじゃない! 穂乃果が本気になっちゃうだろ!!』

 

『わかったよ、蒼君!! だったら、練習後に行くから待っててね!!!』

 

『って、待てェェェ!!! 本気で信じるんじゃないィィィ!!!』

 

『うふふ、ほんと、穂乃果ちゃんはおもしろいなぁ~。 ホンマに信じちゃうんやし♪』

 

『希……怨むぞ………?』

 

『や~ん♪ さては、ウチを襲う気やな~エッチ!』

 

『しないわ、アホ!! そんなことするわけないだろ!!』

 

 

 

『あはは、言ってみただけやて………そんなことよりも、蒼一。 はよ、真姫ちゃんトコに行くべきやで』

 

『真姫が? どうして??』

 

『真姫ちゃんにイヤなお告げが出されたんや………コレよ』

 

『【死神】のタロット………これは一体………?』

 

『コレの正位置なんは、死と言った不幸が迫っていることを指しとるんや。 今の真姫ちゃんにそれが間近にあるということや』

 

『んなっ?! どうしてそんなことが!!?』

 

『そのことはまた話すから、まずは真姫ちゃんトコに行って!! 多分、()()()()()()()()()()()()()()()()()()!?』

 

『なっ!!? どうしてそのことも知って……!!!』

 

『そないなことより、はよ行かな!!! 真姫ちゃんを頼んだで!!!』

 

『あ、ああ!! 分かった!! ありがとな、希!!!』

 

『ええんよ、困った時はお互い様なんやし――――――』

 

 

 

 

 

 

(プツン)

 

 

 

 

【停止▪】

 

 

 

 

 

 

 

 

――

――― 

――――

 

 

 

 急いで家に戻ってきた俺の目に映っていたのは、真姫が首元に包丁の刃を向けていた様子だった。

 

 

 まったく理解することの出来ない情景に狼狽せずにはいられなかった。

 だが、それよりも何よりも真姫をどうにかしなくてはいけないという感情の方が強く働き、駆け寄ってその行為を止めようとする。

 

 

 

 

 

「来ないで!!!!」

 

 

 あと、もう十数歩弱のところで静止をかけられてしまう。

 気を動転させたような声を吐きつつ、目で威嚇してくるので止まらざるをえなかった。

 

 俺は咄嗟に言葉を発した。

 

 

「何やっているんだ、真姫!! バカな真似はやめろ!!!」

 

 

 力一杯に振り絞った声をかけるものの、それに動揺する気配もなくこちらをジッと睨みつけていた。 それを見て、真姫は俺に警戒しているのではないかと感じてしまう。

 

 わずかに一歩、前に踏み出してみた―――――

 

 

「来ないでって言ってるでしょ!!!」

 

 

 俺のちょっとした動作すらも目に入ってしまうようで、すぐさま反応してしまうようだ。

 この状況下では、行動に出ることは難しいと判断し、説得を試みた。

 

 

「なあ、真姫。 どうしてそんなことをするんだ?」

 

「どうして? どうしてって………生きるのが嫌になったからよ!!」

 

「なっ?! 何を言い出すんだ!」

 

「ねえ、蒼一…………あなたに大切な人たちから裏切られる気持ちって分かるかしら………?」

 

「なに………?」

 

 

 そう言うと、真姫は一旦腕を降ろす。

 今なら止められるかもしれない、そう考えるものの詰め寄るには少し距離があった。 こちらが行くまでに真姫が先に行動してしまう恐れがあった。

 あと一歩のところで失敗してしまうということにならないために、ここは静かに真姫の話を聞くほかなかった。

 

 

 

「私ね、この数カ月もの間にたくさんの友達が出来たの。 親友も出来たわ、花陽に凛。 そして、μ’sにも入ることが出来たわ。 みんなのおかげで毎日が楽しかったわ。 このまま続いていけばいいなって思ってた。

 けど、この間嫌がらせを受けたのよ。 蒼一と一緒に暮らしていたことがバレたみたい………それが原因だった。 そして、それをやったのは誰かを調べたら、μ’sのみんなが関わっていたって言うのよ。 しかも、親友だった花陽と凛にも裏切られ、花陽には首を絞められて殺されかけたのよ!! 可笑しいでしょ? 仲間だと思っていたのに、本当はあなたのことを怨んでいましたって…………もう………イヤ………こんな苦しみに耐えられない…………」

 

「ま、真姫……………」

 

 

 話をするうちに、真姫の目から涙が流れ始めた。

 信じていた者たちから裏切られ、さらには命を奪われそうになるという深い絶望から流れ出たものだろう。

 

 真姫の話を聞くと、まるで自分のように胸を痛める。

 ギュっと締め付けられるような突然の苦しみが不安と共に心身を脆くさせていく。 前に()()()()()()()()()()()()()()()()のように思えた。 まるで、昔の自分を見ているようにも感じられたのだ。

 

 

 

 だからこそだ………真姫には、俺と同じようになってほしくは無いのだ。

 なんとしてでも、今の真姫を助けなくてはいけない―――――絶対にだ!

 

 

 

 

 

 

 だが、その真姫から唐突な言葉を投げかけられる。

 

 

 

 

 

「蒼一………あなたも私のことを裏切るのでしょ………?」

 

「ッ―――――!!? 何をバカなことを!!! 俺がそんなことをするわけないだろ!!?」

 

「嘘よ――――!! ことりから聞いたわよ、あなたは私のことを邪魔に思っているのでしょ!? 一緒に暮らして、私のことを煙たく思っているのでしょ!?」

 

「そんなはずはない!! 俺はそんなこと微塵たりとも思ったこともない!! なぜ、そんなことをお前に対して抱かなくちゃいけないんだ?!」

 

「じゃあどうして私の気持ちに応えてくれないのよ!! 私がこんなにもあなたのことを愛しているのに、どうしてそれに応えようとしてくれないのよ!?」

 

「うっ……!! そ、それは…………」

 

 

 真姫から出た言葉に思わず口をつぐむ。

 今の俺にとっての一番の痛点である案件―――――彼女たちの愛をどう受け止めれば良いかと言うこと。 それは真姫だけじゃない。 ことりだってそうだ、アイツも俺に愛を示してきた。 それに、他にも…………

 

 

 だが、今の俺にはそれの答えを見いだすことができなかった。

 

 悲しいかな……それが今の俺だ。

 

 

 

 

「応えられないでしょ………? そうよ、あなたは私からの愛に逃げている。 自分には応えられないからと言って………だから、一緒にいる私のことが目障りに思うのでしょ!?」

 

「違う!! そうじゃないんだ、そうじゃないんだよ!!!」

 

「もういい!! もうたくさんだわ!!!!」

 

 

 張り裂けるような叫び声をあげると、再び首元に包丁を添える。

 彼女はやる気だ。 自らの手で首元を切り裂き、その短い生涯を閉じようとしていた。

 

 それを止めに懸かろうとグッと足に力を込め始めるが、遅いのだ。

 こちらが先に出る前にあっちの方が確実に早く切り裂くのが目に見えていたからだ。 もはや、人の手では難しい状況となりつつあったのだ。

 

 

 首元に包丁を添えた真姫は、滂沱の涙を流しながらこちらを見つめる。

 もう俺に嫌悪を抱くような敵意は向けられていなかった。

 

 ただ、これから起ころうとすること―――――その後のことを見据えたような顔をしていた。

 

 

 

 だが、それは希望を抱いてなどいなかった。

 

 

 

「もし………生まれ変わることが出来るのなら、あなたと愛し合えるような世界に行きたいわ…………」

 

「ッ――――!!!!」

 

 

 なんて力のこもらない言葉なのだろう――――それは、まるで遺言状のようにも思えるその言葉に絶句する。 待てよ、ふざけるなよと言いたくなる。 だが、そんな安っぽい言葉では彼女を止められないことは重々承知だった。 もっと、強い言葉で彼女を戻さなくてはいけなかった!

 

 

 もう躊躇することは無かった。

 俺は力のこめていた足で精一杯床を蹴り飛ばした。 ギアを最大限にまで引き上がらせる。 体に大きな負担が掛かっても構わない。 ただ俺は彼女を助けたかった――――救いたかった!! ただそれだけの衝動で全力を振り絞っていた。

 

 

 

 

 

「さよなら―――――蒼一―――――――」

 

 

 俺の目の前で澄んだ声が通り過ぎると、彼女の手が動き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「まきぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ザシュ――――!!)

 

 

 

 

 

 

 

(ボタッ―――――ボタッ――――――)

 

 

 

 

 

 切り裂かれた皮膚から鮮血が零れ落ちた―――――――――

 

 

 

 

 

 

(次回へ続く)

 




ドウモ、うp主です。

ここの話も佳境に差し掛かりました。
おそらく、1、2話で終わるだろうと思います。


次回以降もよろしくお願いします、
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