《完結》【蒼明記・外伝】カメラ越しに映る彼女たち――― 作:雷電p
[ 音ノ木坂学院内 ]
にこが明弘と真姫がいる蒼一の家に行き襲いかかった時と同じ頃、穂乃果は道端で花陽と凛に襲いかかった。 この2つの同時に行われた行動は、すべて彼女の手によって仕組まれ、実行に移されたものだった。
彼女は自身の障害となる者を着実にこの壇上から消し去ろうとしていた。 彼女にとって、彼にまとわりつく者誰しもが邪魔で仕方が無かった。 しかし、彼女の我慢も限界だった。 それ故に、彼女は行動に移してしまったのだ。
もはや、後戻りなど出来ない―――――やるからには、徹底的にやるつもりだったのだ。
その首謀者である彼女は今、音ノ木坂にいる。
彼女は自らの手で直接手を下さなければならない人物を目の前にしていた。
確実に消し去らなければならない――――彼女はそう感じていた。
「ウフフ………そのままその部屋に入って行ってね………♪」
彼女は
ガチャ――――――――
「(キタッ―――――!!)」
ドッ―――――!!ガラガラガラガラガラ!!!!!!!!!
「ッ~~~~~♪♪♪」
彼女はその状況をこの目で確かめるべく、部屋の中に入る。
中に入ると、見るも無残に散在された工具や用具の数々が目の前に広がっていた。 その一点だけが少し盛り上がっているようで、まるで、人1人がその中に埋まっているのではないかと思ってしまうものだった。
「………やった…………やった……………やった…………!! あはっ……アハハ………アハハハハハハハハハハハハハハ!!!!! やったわ!!!!!」
彼女は全身をぞくぞくと震えあがらせ叫び出した。 彼女の思い通りに事が進んだことに興奮を隠せないでいるようなのだ。
「!!」
彼女は下の方に目を向けると、赤黒い液体が彼女近くにまで迫っているのが見えた。 彼女は一瞬だけ表情を固めると、すぐに嘲笑うかのような冷淡な叫びを響かせた。
「あ……は………アハハハハハ!!! これで………これで私の計画を邪魔する者はいなくなった!! 真姫ちゃんも花陽ちゃんも、ついでに凛ちゃんも!! みんなみんな私の前からいなくなる!! そして、私のためにいなくなってくれた絵里ちゃん♪ 今、どんな気持ちかな??? いろいろなモノでそのイヤらしい体を弄ばれてどんな気持ちなのかなぁ???? とっても気持ちいいことになっているんだろうね?? 気持ち良すぎちゃって嬉しくなっちゃっているんじゃないかな??? まるで、天にまで昇るような気持ちになっているんだろうね??? あっ、そうだった………もう、昇っている最中なんだっけ?? アハハハハハハハハハ!!!!!」
ドス黒さを前面に出して、歓喜に沸いている彼女――――――南 ことりはその状況に満足し、愉悦な一時を腹いっぱいにため込むかのように浸り続けていたのだ。
ひたっ―――――――ひたっ――――――――――――
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―――
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時同じくして、1人の男と3人の女子がこの男の家に向かっていた。
男の名は、宗方 蒼一。 今回の一件の渦中の人間である。
そして、他の3人の女子は、東條 希、小泉 花陽、星空 凛のμ’sメンバーだ。
つい先ほど、希を除いた3人は狂気となった穂乃果と相対していた。 が、蒼一の辛辣な言葉を前に穂乃果は身を引いてしまたのだ。 そして、残った蒼一たちはそのまま彼の家に向かうこととなったのである。
「凛ちゃん、ぐっすり寝むっとるなぁ~」
「そのようだな、かなり疲れちゃっていたんだろうよ」
3人の女子の内の1人、凛は来る途中に疲労で倒れそうになっていた。 それに気が付いた蒼一は彼女を負んぶしてあげると、心地良かったのか良い表情をしてすぐに眠りについたのであった。
蒼一の家に辿り着くと、そこには明弘が待ち構えていた。
腕には包帯がしてあり、何かが起こっていたのだということを蒼一たちに知らしめていた。
「よお、兄弟……そっちは大丈夫そうだったようだな………」
「明弘……お前………!」
「へへっ、ちょいとばかしヘマしちまっただけさ。 なぁ~に、こんなもんすぐに治るさ。 そんなことより、後ろの凛はどうしたって言うんだ!?」
「ん、あぁ……ちょっと、張り切りすぎただけだ。 大丈夫、ケガなんか何一つ付いちゃいないさ」
「そうか……ソイツァよかったぜぇ…………」
明弘は、ホッと胸をなでおろすと安心した表情を浮かばせた。 明弘の方も真姫が襲われそうになっていたため、凛たちの方にも何かがあったのではないかと心配していたのである。
すると、明弘は蒼一の背中に負んぶされた凛を抱えて始める。 「何をするんだ?」と蒼一が尋ねると、「なぁに、こんなところで寝ていちゃマズイだろ? ちゃんとしたベッドの上で寝かせてやんないといけないだろ?」と言って、そのまま家の中に入り真姫たちが使っている寝室に凛を連れていったのだった。
凛をベッドの上に寝かせた際に、「がんばったな、凛」と言ってその頭を撫でてあげ、讃えていたことは、これはまた別の話である――――――
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[ 宗方家・リビング ]
明弘がリビングに戻ると、真姫と共に先程まで起こっていたにこの襲来について蒼一たちに話し始めた。 蒼一たちもまた、穂乃果のことを明弘たちに話をした。
どちらも、決して良い話ではない。 逆に、最悪な状況だとも言えるのだ。 彼女たちが本格的に打って出てきたのだ。 特に、穂乃果の場合はその危険性を顕著に現わしていたのだった。 昼間のこの時間帯に、人目を気にすることなく目標に向かって襲いかかっていく様子は尋常ではない。
元々、周りからブッ飛んだ性格であると認知されていた彼女だからだろうか。 そうした行動に移すことが出来るのは、穂乃果の他に誰もいないだろう。 それ故に、ここに集まった者たちは彼女を警戒してしまうのだ。
「なるほど……大方の内容は把握することが出来た。 明弘と真姫は問題なかったのか?」
「俺は見ての通り大丈夫さ。 この程度のことでへばってなんかいられねぇからよ!」
「私も心配いらないわ。 もう後ろ向きでいるのは嫌なのよ」
「そうか……強くなってきたな、真姫」
「ふふっ、私なんて蒼一たちと比べたらまだまだよ。 それよりも、にこちゃんを…………」
「ああ、そうだったな………」
真姫のその言葉で、蒼一たちの視線はソファーで眠るにこに集中した。 明弘によって気絶させられて以降、目を覚ます様子は無く、今もこうして穏やかに寝ているわけである。
だが、一旦目を覚ませばどうなることやら………まったく見当もつかないのだ。
「正直に言えば、にこが目を覚ましてしまうことに、ちょいとばかし抵抗があるわ。 にこがまともな状態であるはずがねぇ。 今の状況を見せると、にこは間違いなくここにいる誰かを襲いかかるだろうよ」
「そうね、さっきだってにこちゃんは私の姿を見た瞬間、目付きを変えて襲いかかって来たしね。 今じゃ、花陽や希だっているわけだし、そのまま寝かせておいた方がいいと思うわ」
「け、けど……それじゃあ、にこちゃんを元に戻してあげることができないと思うよ…………」
「そうなんだよな………寝かせたまま元に戻すだなんて、にこの夢枕にでも立って諭すしかないじゃないか…………」
話し合いをしていてもまったく埒が明かない。 現状においての最善策は、やはり蒼一の近による説得しかないだろう………ただ、そうなると明弘たちがにこの目に入り、またしても暴走してしまう恐れがあった。
これは行き詰ってしまうかのように思えた。
「せや! なんなら、こんなんはどうやろ?」
手をポンと叩いて何かを閃いたらしく、希は口を開く。 希が見いだしたその考えに一同は耳を貸したのであった。
そして、希の考えが一同に知れ渡るとすぐに同意し、その考えに従って行動をし始めた。
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昼から夕刻にまで時間が過ぎた頃―――――――
「う……う~ん………………」
それまで、長い眠りについていたにこが目覚めようとしていた。
「う~ん………ここは……………?」
眠たげな目蓋を擦りながら体を起こし、今、何が起こっているのかを把握しようと眠っている脳に働きかけていた。 そして、ぼんやりと視界が明るくなっていくと、にこは一点に焦点を合わせた。
「おはよう、にこ」
「ッ――――!!! そういちぃぃぃ!!!!!」
蒼一をその視界の中に取り込むと、すぐさま体をバネのように跳ねさせると彼に向かって飛び込んで行ったのだ。 そのあまりにも急な出来事だったのにもかかわらず、蒼一は飛び込んでくるにこをしっかりと受け止めることをしたのだった。
にこは彼の体を力一杯ぎゅっと抱きしめると、顔を彼の服に埋めて彼自身を感じ始めた。 服から感じる彼の匂いや肌の温もり、それらすべてを感じ取ろうと彼女は出来る限りの手段で彼を知ろうとし始めたのだ。
「あはっ♪ いいわいいわよ、蒼一! もぉ~、どこに行ってたのよぉ~? にこは蒼一に会いに来たって言うのに、肝心の蒼一がいなかったから、寂しかったのよぉ~?? おかげで、にこの頭の中は蒼一のことでいっぱいになりそうなのよぉ~~~? 体だって蒼一のことを欲しがってて、もう抑えられなくなっちゃっているのよぉ~~~~♪♪♪」
顔を真っ赤に染めた彼女の口から、イヤらしい口調で彼のことを誘惑する言葉を掛け始める。 それに、自らの腕でその体を弄くり始めて、溜まった鬱憤を晴らすかのように熱く発情する。 解き放たれた華奢な指先が、衣服越しからその小さな乳房に手を掛け撫でまわし始める。 一撫でするごとに甘い吐息を発し、その先端に付いた固い突起物に手を掛け刺激を与えると電流が走ったように一瞬だけ体を震え上がらせる。 にこはそれを我慢することなく、その場で感じた快楽をそのまま口にして発散させた。
にこの体がカイロのように熱く火照り出すと、熱がこもる乱れた吐息と共に言葉にならない淫らな言葉が口から漏れ始める。 とろんと溶け出したような目元から放たれる視線は彼の真剣な眼差しを捉える。 「もう逃さない」と言わんがばかりに見続ける彼女のアプローチは数秒ごとに激しさを増していこうとしていた。
「そうか、にこは俺に会いに来てくれたのか。 そうだったか、少し留守にさせちまって悪かったな」
「そうよぉ~! おかげで、にこは我慢に我慢し続けちゃって、こんな体になっちゃたのよぉ~? もうぉ~責任取ってよねぇ~~???」
「そんなこと言わないでくれよ、こっちだって忙しいんだからさ。 先に連絡してくれれば、こっちからにこに会いに行ったんだぜ?」
「そうなの!! やぁ~ん♪ 蒼一がそこまでにこのことを思っていてくれていたなんて、にこ感激ぃ~♪ もうにこと蒼一はそれくらい思い合える仲だったってことよね♪♪」
「そうなのか? だとしたら、もう連絡を入れる必要はなさそうだな。 お互い、そう感じ合えるのであれば…………な?」
「もぉ~~~!!! 蒼一ったらぁ~~~~~♪♪♪」
一方的にも思えるにこの言葉に蒼一は冷静に受け答えていた。 いや、それにしても冷静すぎるように思えてしまうだろう。 いくらこの数日の間、様々ないざこざに巻き込まれたからと言ってこんなにも冷静でいられるのは考えられないかもしれない。
けれども、それはすべて計画の内であるのだ――――――
「そう言えば、蒼一がいない時に邪魔ものがいたんだけどぉ~。 ちょっと、仕留め損ねちゃったのよぉ~。 先に何とかしないといけないわねぇ…………」
にこは気絶する前に考えていたことをふと思い出す。 真姫と明弘を排除しようとしていたことをもう一度、彼女の計画の中に打ち込もうとした。
すると、そんなにこを見て何か思ったのか、蒼一は彼女を抱きしめたのだった。 蒼一の温もりがにこに近に伝わり始める。 ただでさえ、にこは体を火照らせているのにも関わらず、蒼一のその行為を嬉しく思ったのか、さらに強く彼の体に抱きつき、湯気が出そうになるくらいに熱くなるのだった。
「なあ、にこ。 邪魔者って一体誰のことを指しているんだ?」
「それは、邪魔者は邪魔者よ! 蒼一をたぶらかそうとする悪女たちをにこが排除しようと……」
「何を言っているんだ、にこ。 この家にはそんな人はいないぞ?」
「んなっ!? そんなはずはないわよ!! 確かここに、あの女が………」
にこの中に留まっていた疑念が再沸しようとすると、蒼一は彼女の唇を指で押さえて話を途切れさせると、こう付け足した。
「今は、俺とにこしかいないだろ? 他のことなんか気にしちゃいけないじゃないか………さあ、俺だけを見な………今の俺には、誰が映っているかな……?」
「えっ……? に……こ………よね…………?」
「ふふっ、正解♪ よくできました、にこ♪」
「ッ~~~~~~~//////////////」
彼女の小さな頭の上に手を置いて、やさしく撫でながら明るさまに何かの思惑を感じさせるような台詞を並べる蒼一。
だが、今のにこにはどうでもいいことだった。
蒼一がにこのことだけを見ている―――――
蒼一が誰よりもにこのことを思っている―――――
蒼一の目には、にこしか映っていない―――――
蒼一が私のために―――――――――
ただそれだけが、にこの脳裏に張り巡らされた思いなのである。 そんな一方的な解釈で固められたその考えは、にこの好感度を極限にまで引き上がらせたのだ。 彼女の気持ちがすべて彼に集中するようになる。 もう彼女の頭の中には彼のこと以外考える余地が無くなってしまったかのようだった。
だが、蒼一がここまで跳ねあげたのにはちゃんとした理由があり、この次の行動に移せるように仕向けていたのであった。
そして、彼は計画を前進させようとする――――――
「なぁ、にこ。 1つお願いがあるのだが…………」
「なぁに、蒼一♪ 蒼一のためだったら、にこは何だってしてあげるわ♪ 蒼一が望むのなら、この体だって蒼一の思うようにしちゃってもいいのよ♪ なんなら、私のすべてをアナタに捧げちゃっても構わないわ♪♪♪」
にこの従順なるその姿に普通なら言葉を失い掛けそうになるものなのだが、それでも蒼一は冷静にそれを見守っていた。
すると、蒼一はこう言いう。
「今からにこの家に行ってもいいか? こころちゃんたちにも会いに行きたいし………それに、にこのことももう少し知りたいんだ…………」
「ッ~~~~~!!!!!!!!!」
蒼一のその耳元で囁くような言葉を聞くと、にこはこれまでにないほどの絶頂に達していた。 まさか、蒼一の方から誘ってくるとは思ってもみなかったようだ。 そのためか、彼女はその悦びを隠すことなく天にまで昇るような気持ちにまで駆け上がったのだ。
「えぇ!! いいわよ、すぐに来る?今すぐなのね!わかったわ、だったらすぐに行きましょう!!この興奮が冷めないうちに早く行きましょう!!!」
そう言うと、にこは蒼一の腕を強く引っ張り外へと連れ出す。 どうやら、言葉通りにすぐ彼女の家に向かうつもりのようだ。 嬉しさのあまり我を忘れてしまっているにこは、先程まで脳裏に置いていた疑念の一切を投げ捨ててしまう。 そんな些細な事は、この状況下ではお荷物にしかならないと感じたためなのだろう。 何のためらいもなく、無垢な子供が一心不乱に遊ぼうとするような気持ちで彼と共に行ったのであった。
このすべては、まさに計画通りだったということも感じることもなく――――――――
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―――
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蒼一とにこが家から出ていく様子を見送ると、2階で息を潜めていた4人が顔を出す。
どうやら事が順調に運んで行っている様子に、安堵の吐息が漏れ出す。
「ここまでは順調のようね………」
「せやなぁ。 ええ感じに、にこっちをこの家から出すことが出来たんやし、問題は無いと思うで」
「しっかし、ここで聞いててもめっちゃクサイ台詞を吐くよなぁ、兄弟のヤツ。 聞いてて背筋がゾッとしちまったぜ………」
「えっ? そうかしら? 私は結構いいと思ったわよ♪」
「わ、私も……蒼一にぃにあんなこと言われたら嬉しいです♪」
明弘が感じていることとは、真逆の反応を見せる真姫と花陽。 こちらは、違った意味で蒼一に毒されているわけで、頬を染めながらも嬉しそうな表情をしていたのであった。 そんな2人に呆れてしまいそうだった。
「マジか………さすが、ラヴァーズだな、おい。 兄弟のことなら何でもいいって感じじゃんかよ………希はどうなのよさ?」
「せやなぁ………ええんとちゃうの? そのおかげでここまで行けたんやし、結果オーライや!」
ぐっと親指を立てて、良しとしている希を見て、明弘は少しばかり溜息をこぼしてしまう。 これが価値観の違いってヤツなんだとろうかと、自らの状況と照らし合わせて肩を落としてしまう。
「まあまあ、明弘もそんな気を落とさんといてもええやん。 いつか、ええ人が見つかるとカードも言っとるよ?」
「う、うるさい……! そこ気にしているんだから、突かないでくれよ!!」
希からの思いもしない精神攻撃を受けた明弘は、体を大きく傾けてしまいそうになってしまった。 女性に好かれても本気で愛してくれる女性がいない現実にある意味で不満を抱いているので、蒼一が羨ましくて堪らなかったのである。
そんなジェラシーに感じている部分を突かれると、嫌な顔をしたくなるのは必定であった。
「バカな話は置いておいて……今のところ、希が考えた通りに物事は進んでいるようだけど………本当に大丈夫なのかしら?」
「まあまあ、ウチのことを信じてくれてなぁ。 必ずうまく行くって♪」
にこやかに希はそう話すが、真姫は少し不安そうな表情を見せてしまう。
今回のこの計画を提案したのは、言うまでもなく希である。
にこのことをよく知っているからだというところもあったが、希の言うことは当たるという不思議なモノを感じていたので、蒼一は迷うことなく提案に乗ったのだ。 そして、希からにこがどのような行動をしてくるのかをすべて聞き出し、それに受け答えるためのパターンも熟知させたのだった。 それ故に、蒼一はあのように冷静であり、かつ、あのような台詞を吐くことが出来たのである。
ただ、その心境はどうなっていたのかは秘密である―――――――――
「ふわぁ~………よく寝たにゃぁ~…………」
頭をポリポリと掻いて気の抜けた欠伸をしながら凛は彼らの前に姿を現した。 まだ、眠たそうな様子で話しかけてくるので、彼らは張り詰めていた気を緩ませてしまう。
「おはようさん、凛。 よく寝たようだな」
「うん……何だかとってもいい気持ちだったからたくさん寝っちゃったみたい………う~ん………今何時くらいなのぉ………?」
「もう、夕方やで凛ちゃん。 昼間からよく寝てもうたから夜になったら元気になってまうんやないかなぁ?」
「ええっ?! もう夕方なのぉ!!? 凛、まだまだみんなと一緒にいたかったのにぃ~……!」
「………えっとぉ………凛ちゃん……? 私たち、遊ぶために来たわけじゃないんだけど………」
「それでも! ちょっとくらい遊んだっていいよね! いいと思うにゃぁ!!」
「はぁ~………凛、お前と言うヤツは…………」
凛とのこうしたやり取りで頬を緩ませてしまう。 天然なのか、それとも策士か………ここに集まる者たちは満場一意で前者の方を取っていることだろう。
しかし、そうしたところも凛のいいところであると皆知っているのだ。
「ねぇねぇ! さっきから何の話をしていたの? 教えてよぉ~??」
「うぉ?! きゅ、急に抱きつかないでくれよ!! 驚くじゃないか!!」
「え~? いいじゃない、別に~。 弘くんだってこういうの嫌いじゃないんでしょ?」
「た・し・か・に! 嫌いではないが……嫌いではないが…………!!」
「えへへ~♪ だったらこうしてやるにゃぁ~♪♪♪」
凛は明弘に抱きついていくと、そのまま自分の頬っぺたを明弘の顔に押し付け始める。 さすがの明弘もいきなりのスキンシップに戸惑いを隠せないでいた。
「だぁー!! や、やめてくれぇ凛!! そ、それ以上はぁ~~……あぁ、頬っぺたがフニフニしててこれはこれで………」
凛と明弘のこうしたやりとりに収集が付かないことを察した3人は、少し呆れた表情を見せつつも、それを和やかな気持ちで眺めていたのだった。
もしかしたら、この2人はいい感じになりそうじゃない―――――?
ふと、3人の脳裏に過るその思いは果たして現実になるのか?
転がり始める2つのサイコロはどこに向かおうとしているのだろうか?
まさに、神のみぞ知ることとなりそうだ。
(次回へ続く)
ドウモ、うp主です。
次回もにこの話です。
そして、ことりの…………