《完結》【蒼明記・外伝】カメラ越しに映る彼女たち―――   作:雷電p

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(bbbbbbbbbbbb……)

 

 

 

 携帯が激しく震えた。

 

 

 ベッドの上で彼女と寝転んでいた俺に矢のような催促の電話が入ってきたのだ。 俺はもの寂しそうな表情を見せる彼女を口惜しみながらも振り解き、携帯画面を確認する。 すると、そこにはめずらしいあの子の名前が表記されていたのだ。

 

 何かあったのだろうか?と普段からあまり連絡を取らないあの子の声を聞こうと、通話ボタンを押す。

 

 

「もしもし?」

 

 

 少し声高く応えると、俺を待っていたかのように素早い反応が見られたのだ。

 

 

『あっ! 蒼一さん!!』

 

 

 電話越しからアイツと同じく甲高い声が響いてくる。 こうしたところも姉とよく似ているものなんだな、としみじみ感じてしまう。 要件を聞き出そうとしてみると、意外な言葉が飛び出て来たのだ。

 

 

 

『あ、あのっ……! ウチのお姉ちゃんはそっちにいますか!?』

 

 

 その言葉を聞いた瞬間、ドキッと身体を震わせてしまう。 ただ焦る様子を見せることなく、俺は詳細を知ろうと詰め寄った。

 

 

 

 

「それは一体どういうことなんだ、()()?」

 

 

 穂乃果の妹である雪穂にそう聞くと、一旦、一呼吸置いた後に答え始めた。

 

 

「それが……お姉ちゃんがこの時間になっても帰って来ていないんです! それで、もしかしたらと何か知っているのでは思い連絡したんです!」

 

 

 雪穂のその言葉が俺の焦燥感を一気に高ぶらせたのだった―――――――!

 

 

 

 

 

 

 

 

―― 

――― 

―――― 

 

 

 

[ 宗方家 ]

 

 

「やあ、やあ、皆様方、お久しぶりですね♪」

 

 

 にこやかな挨拶を決め出しながら私はこの場に集まってくださいました方々に復活の御挨拶の程をさせていただきました。

 

 

「まったく、何の連絡もよこさないでいきなりいなくなったから戸惑っていたんだぜ?」

 

「いやぁ~、申し訳ございません………これにも事情はあります故………」

 

「……まあ、大したことがなさそうで良かった」

 

 

 眉をひそませながらも安堵の表情を見せてくださいます蒼一さん。 その表情を見るだけでどれだけ心配をおかけしてしまったのかがよくわかります。 あとで、謝らないといけませんね。

 

 

「そんなことよりもよぉ、俺たちをここに一同させて何をしようって言うんだ?」

 

 

 そう明弘さんは首をひねらせながら疑問の声をあげました。

 今、この場に集まって下さっていますのは、蒼一さん、明弘さんをはじめ、μ’sの1年生組、海未ちゃん、にこちゃん、希ちゃんの8名がここに集まっているわけなのです。

 

 

「確かに、こうしてみなさんを集めさせたのにはちゃんとした理由があります。 とりあえずは、こちらを見てください」

 

 

 そう言いましてから、おもむろに自分のスマホを取り出しまして、とある映像ファイルを開きました。 この小さな画面にみなさんの視線が釘付けになった時に、映像をお見せし始めたのです。

 

 

 

 

 

 

【監視番号:41】

 

 

 

【再生▶】

 

 

 

 

(ピッ!)

 

 

 

『ザ――――――――――』

 

 

 再生し始めると、画面に映し出されたのは真っ暗な部屋の様子。 そのあまりにも暗過ぎて、一見、どこであるかが分からない場所なのです。

 

 ですが、私にはここがどこなのかと言うのはハッキリしているわけなのです。

 

 

「暗くて見えにくいわね……」

 

「洋子、これはいったいどこを映しているものなのですか?」

 

 

 真姫ちゃんと海未ちゃんが口々に言いますので、私もここがどこであるかを説明しました。

 

 

 

「実はですね………この映像は音ノ木坂学院内の映像なのですよ」

 

 

『え゛え゛え゛っ!!?!?!?』

 

 

 この説明をしましたら、みなさん目を真ん丸にして驚嘆の声を上げてしまいました。 まあ、仕方ないでしょうね。 どうしてこの映像を私が持っているのかとか……いろいろと言いたいことはあるかもしれませんね。 しかし、それを一々説明している暇などはありません。 重要なのはここからなのです。

 

 

 

「………はい、ここです! ここに注目して下さい!」

 

 

 私が声を張らせてまでお伝えしたかったのは、この部分なのです!

 

 

 

 

「……あっ! 見てください、画面の奥から人影がっ……!」

 

 

 花陽ちゃんが指を指しながら映像から見える影を捉えました。 それにつられてみなさんマジマジとそれを捉え始め、声を上げながらその様子を見守っていました。

 

 

 

『とん――――――――とん――――――――――とん―――――――――』

 

 

 一定のテンポを付けて足音が残響しまして、手前に向かってゆらりゆらりと影がうごめいています。

 

 

 

 

 

「!! 穂乃果っ――――――!??」

 

 

 すると、海未ちゃんが急に立ち上がりますと、彼女の名前を口にしたのです! それを聞いたみなさんは、一瞬、驚いた様子で海未ちゃんを見つめましたが、「間違いありません、これは穂乃果ですっ!!」と豪語してみせたのです。

 

 そんなまさか、というような空気がみなさんの中から湧き始めているのですが、残念ながらそうではないのです………

 

 

 

「はい、海未ちゃんの言う通りなんですよ………この影は穂乃果ちゃんなのです………」

 

 

『ッ―――――――!!!??』

 

 

 わたしの言葉を聞いてさらに驚く様子を見せましたが、映像をよく見始めていきますとみなさんの口から納得の声が聞こえてくるのです。

 

 そうなのです。 この特徴的なサイドテールとその根元に飾られたリボンを持つ人物と言うのは、穂乃果ちゃんを置いて他に誰もいないのです。 そして、決定的な瞬間が映像に残されているのでした。

 

 

 

 

 

『ッッッ―――――――!!???』

 

 

 

 一瞬だけ、明りのあるところに顔を出したところが映し出されますと、その時の穂乃果ちゃんの表情を見てここにいる全員が驚愕の表情を表したのです。

 

 

 その穂乃果ちゃんの表情は、あまりにも恐ろしく、これが私たちの知っている穂乃果ちゃんなのか?と疑ってしまうほどの憎悪と狂気に満ちあふれた表情を見せていたのです。

 

 

「ほの………か…………?!」

 

 

 冷汗を垂らしながら声を漏らしました蒼一さんは、彼女のその変わりように絶句しているかのようでした。 彼にとって、穂乃果ちゃんは幼馴染でありながらも親友である関係なのですから、余程ショックだったのだと思います。

 

 

 

 

 

【停止▪】

 

 

 

 そして、この映像はここで止まったというわけなのでした。

 

 

 

 映像を見終わりますと、みなさんの中に沈黙が流れ始めました。 それもそのはずです、このような衝撃的な映像を見せられては、どういう反応を示せばよいのかが分からないモノですから…………

 

 

 しばらく、このままの状態が続きました。

 

 すると、この沈黙を破るかのように、彼の口から気になる言葉が飛び出て来たのでした。

 

 

 

「………そうか………穂乃果は今そこにいるのか………」

 

「どうかしましたか、蒼一さん?」

 

「いや、ついさっき、雪穂から穂乃果がどこにいるか知らないかって? 聞かれたのを思い出してさ……」

 

「雪穂ちゃんがですか?! それで何と?」

 

「俺の家にいて今日は泊まっていくって言う嘘を伝えたんだが、その時の反応がどうも気付いているらしくってな、深みある言葉で『お姉ちゃんをよろしくお願いいたします』って言ってきたわけさ」

 

「そうなのでしたか………雪穂ちゃんがそんなことを…………」

 

「だから、何としてでもアイツを今日中に取り戻さなくちゃいけないんだ………」

 

 

 その瞬間、蒼一さんが気持ちを厳とする覚悟が垣間見えたのでした。 彼をここまで動かすのは、やはり、穂乃果ちゃんが幼馴染であるから故のことなのでしょうかね? 海未ちゃんを取り戻そうとした時と同じような雰囲気を感じてしまいます。

 

 

 

「……ふむ、と言うことは、これから音ノ木坂に行くってことでいいんだよな、兄弟?」

 

「当たり前だ、穂乃果がここにいるってことを示しているって言うのに、いかないでどうするんだ?」

 

「いやぁ………しかしですね………この映像はですね、およそ1時間前のモノでして……リアルタイムのモノではないのですよ………」

 

「「そう……なのか………??」」

 

 

 わたしの一言が衝撃的だったのか御二方の動きが急に鈍くなりだしてしまいました。 これには深いわけがありまして………こうしてスマホで見る映像と言うのは、我が部室内にあるPCからデータを変換させて送られてくるモノでして、変換作業に1時間近く掛かってしまうのが難点なのです。

 

 しかし、別の方法であればリアルタイムで観れることも実はあったりするのですが、私はそれを実践する前に捕まってしまったので、このスマホにはそうした連動がとり行われていないのです。

 

 

「ですから、今お見せいたしましたデータと言うのは、1時間近く前の出来事を指しているわけで、実際に、穂乃果ちゃんがそこにいるって言う保障は無いと言うことなのです」

 

 

 私がそう断言してしまいますと、みなさんの表情がまたしても暗く沈み始めてしまいました。 決して、みなさんの気分を削ぐようなことを言おうとしたわけではないんです。 ただ、事実を述べたまで……なのです………

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいや、そうでもないで………穂乃果ちゃんは、ちゃんと学校におるよ」

 

 

『!!!』

 

 

 スッとタロットカードを持ちながらビシッとそう言い放ったのは、希ちゃんでした。 その何とも自信のある確信的な言葉に思わず心が揺さぶられました。

 

 

 

「ど、どういうことなのですか? なぜ、そんなことが断言できるのです?」

 

「ふふっ、それは……カードがウチにそう告げとるんや」

 

 

 くすっと微笑を浮かばせながら希ちゃんはそう言い切ったのでした。

 しかし、当てずっぽうのように聞こえるはずの言葉が、本当のことであるかのように聞こえてしまうのは、何とも不思議なことでした。

 

 

 

「………そうだな、希の占いは確実性がある。 今回もそうなんだろうよ」

 

「そういうこっちゃ。 そんじゃまあ、出発準備でもするとしますかぁ」

 

 

 御二方がそう言いますと、すぐに誰が学校に行くのかを決め始めたのでした。

 

 

 

 とりあえず、決まりましたのは、蒼一さんと希ちゃん、凛ちゃんに花陽ちゃん、そして、私です。 蒼一さんは1人で穂乃果ちゃんの方に向かうのに対しまして、私は希ちゃんたちと共に我が広報部の部室に行き、確認しなくてはならないこと見に行くのです。

 

 あそこで得られるものは、今日までの情報です。 学院内に仕掛けておきました数多くのカメラなどからの情報をすべて入手して、蒼一さんたちの役に立てられる情報を提供していくことが目的となっています。

 

 ちなみに、明弘さんはケガの治療ということで今回は真姫ちゃんとにこちゃんと共に控えられることになりました。

 

 

 

 

 

「あ、あのっ……!」

 

「どうした、海未?」

 

「蒼一……私も連れて行って下さい!」

 

「!!!」

 

 

 すると、急に海未ちゃんが名乗り出たのです。 その姿を見た蒼一さんは、少し渋い顔を見せながら海未ちゃんに尋ねました。

 

 

 

「……本当にいいのか……?」

 

「はい……と言いますか、私がいかなければならないのだと思うのです。 穂乃果があのような姿になってしまったのには、私にも責任があると感じるのです。 それに、私は穂乃果の親友ですし、これからもそうでありたいと思うのです。 蒼一が私のことを受け入れてくださいましたように、私も穂乃果のことを受け入れてあげたいのです………」

 

 

 眉をひそませ寂しげな素顔を見せるのですが、その言葉には、親友を助けたいと言う強い想いが込められているように見えました。 私が海未ちゃんから穂乃果ちゃんたちに裏切られてしまったと言う話を聞かされた時も、ひどく落ち込んでいた様子を見せていました。 それほどまでに、海未ちゃんにとって穂乃果ちゃんは大切な人なんだと言う印象を改めて感じさせられました。

 

 

 

「わかった……けど、俺がいいと言うまで洋子と一緒に行動していてくれ。 今の穂乃果を下手に刺激させれば、逆に悪化させてしまう恐れがある。 アイツほど、何を仕出かそうとするのかわからんからな………」

 

 

 未だに、渋い表情を崩さない蒼一さんの言葉に、海未ちゃんは「はいっ!」と決意に満ちた言葉で返していました。

 

 

 

 

「そんじゃあ、兄弟。 俺たちゃここで報告が来るのを待ってるぜ!」

 

「ああ、その間留守を頼むぞ。 真姫もにこも頼むぞ」

 

 

「「任せなさい!!」」

 

 

 力の籠った2つの声色が重なり合う。

 それが彼に贈られる声援のようにも感じられました。

 

 

 私の知らない間に、何かが大きく変わってしまったかのように思えました。

 

 

 

 

「準備はいいか―――――?」

 

 

 

 蒼一さんの掛け声に、私を含めた6人は立ち上がって蒼一さんのもとに行くのでした。

 

 

 

 

 そして、私たちは歩き出したのです――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは夜の8時を迎えるアラームが鳴り響いたところでした―――――

 

 

 

 

(次回へ続く)

 




ドウモ、うp主です。


今回は筆休めみたいな話でした。


次回もよろしくお願いします。
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