《完結》【蒼明記・外伝】カメラ越しに映る彼女たち――― 作:雷電p
[ 音ノ木坂学院・屋上 ]
それは、ちょうど我々全員が昼食をとっていた時のことでした―――――――――
「兄弟が………いなくなった……………」
『はい???』
とても慌てた様子でやってきた明弘さんが開口一番で口にしたのが、まさかの話に………
それを聞いた私を含めた全員が驚愕の声を上げたのだろうと思われました。
「弘君!! それどういうことなの?! 蒼君に一体何があったの?!」
「ちょっと落ち着きなさいよ、穂乃果! 明弘は知らないからこっちに来たに決まってるでしょ?」
「あっ! そっか………で、でも、にこちゃん! 蒼君は今日の朝はちゃんと穂乃果と一緒に起きて、ご飯も食べて、見送りもしてくれたんだよ! そんな蒼君が急にいなくなるなんて考えられないよ!」
「なんか、さり気なくとても羨ましいことをしていたんだって聞かされると、複雑な心境だけど……要は、穂乃果を見送った後に、何かがあったってことでいいのよね?」
にこちゃんの推察に明弘さんは「そうだ」と小さく頷き応えました。
「さらに正確に言えば、つい3時間くらい前までには、兄弟から反応はあったわけなんだが……急にポッキリなんだ。 そんでよ、もしかしたらって思ってこっちに来て確かめに来たってわけよ」
そう言うと、キョロキョロと視線を動かし、何かを探すように見ていたのですが、それについては何も答えてはくれませんでした。 ですが、彼の考えていることは、何となくなのですが分かるような気がしました。
「んで……またあの2人は来ていないってことか?」
その言葉が発せられますと、みなさんの表情が一段と暗く沈みだし始めました。 みなさんも何となくだったと思いますが、理解できていたのでしょうね。 明弘さんがここに来た理由が……
「残念やけど、今日もえりちは来とらんのよ………連絡しても繋がらんし………」
「こちらも朝からことりの姿を拝見していません………それに、私の場合は連絡したいにもあのようなことをした後では………」
明弘さんの視線が2人に向けられたのでしょうか、それを察しました希ちゃんと海未ちゃんは、気持ち沈んだまま、それぞれ現状を伝えていました。 「そうか…ありがとな」と明弘さんはわずかに微笑んで礼を言いますと、一変して訝しげな表情となって親指の爪を噛み締めていました。
「どこに掛けても連絡もこねぇ……足取りもたどれねぇ………手がかりすらもねぇとなると……手の打ちようがねぇじゃねぇか………」
動揺と焦りが明弘さんの表情を険しくさせていました。 ただ手をこまねくことしかできない私たちも同じく動揺が煙のように立ち込めてしまうのです。
私たちに何かできることは無いのでしょうか………?
白い雲が覆う空を見上げながら、途方に暮れるだけでした。
「あーあぁ……こんな時に、追跡機能の付いたもんでも兄弟に取りつけときゃぁさ、すぐに特定することが出来るんだけどよぉ………」
溜め息交じりに覇気の無い言葉が零れ出す。
「あっ………」
ですが、その言葉を聞いた瞬間、そう言えば…と脳内にとあることが過りまして、思わず声が出てしまいました! そうですよ! あの方法ならば、捜索できるかもしれませんね!
善き方向にへと導くことが出来そうな閃きが過る中、「どうした、洋子?」と、明弘さんが尋ねてきましたので、「ちょっと、一緒に来てもらえませんか!」と手にしていた昼食をその場に残して、彼の手を握り締めながら駆けました。
そして、そのまま連れてきましたのが、ここ我が部室です。
「どうしたんだよ、洋子? 俺をここに連れだしてさ?」
「ちょっと待っててくださいね! 少し、良い方法を思いつきまして………」
明弘さんを入口のところで立たせたまま、私はいつものパソコンの前に座りまして、とあるファイルを探し始めます。 そうしている間に、屋上で留まっていた穂乃果ちゃんたちが、何事!? と言わんがばかりの表情をしてやってきていました。
そうこうしている内に、目的のファイルを見つけ出し、その中にありますアプリケーションを立ちあげました。
「洋子ちゃん、一体何をしているの?」
黙々とパソコンとにらめっこし続けている私のことが不思議に思ったのでしょう、穂乃果ちゃんが疑問を抱きながら聞いてくるのでした。
ちょうど良いかもしれませんね……明弘さんだけではなく、みなさんにも手伝っていただくことにしましょうか………
「ふっふっふ……いやですねぇ、実はですね、ちょうど良いモノが手元にありまして……」
「洋子ちゃん……ちょっと不気味だにゃぁ………」
そんなに不気味でしょうかねぇ? 私としては、これが普通のように感じられるのですがねぇ? と思いつつ、私は変なモノでも見ているような顔をします凛ちゃんを横目にセットアップの方を完了させました。
「よし、できましたできましたぁ~♪」
久しぶりに起動させますこちらのアプリが無事に起動できたことに、思わず喜びの声を上げてしまいました。 そんな私のことが気になったのでしょう、背後にはみなさんの姿がありまして画面を覗き見していました。
これを一目見たみなさんは、思わず目を見開いてしまいました。 まあ、当たり前なんですけどね。
「洋子、これってまさか…………!」
明弘さんが声を震わせながら聞いてきますと、私は自信ありげに応えるのでした。
「ふっふっふ………分かります? コレ、追跡マップなんですよ~♪」
『えぇぇぇぇぇぇぇ!!???』
ふふふ、当然の反応で上々な気持ちです♪
普通の人から見ましたら常識はずれな光景かもしれませんね。 ですが、そこは私欲と言うヤツでしょうか? 思わず、手に入れてしまったのですよ♪
「な、な、なんで、洋子がこんな警察とかが使ってそうなのを持っているのよ?!」
「いやぁ~それはアレですよ、にこちゃん。 わたし、広報部員。 取材のため、使ってる。 OK?」
「OKじゃないです!! それでは、ただ私欲のためだけに手に入れたみたいじゃないですか!!」
「まあ、そっちの方が強いかもしれませんねぇ~。 元々は、特定の人物を探し出して取材するために使っていたのですがねぇ、あまり使う機会が無くってですね……って、海未ちゃん?! ちょっと怖いです!! どうして怒ろうとするのですかぁ?!」
気が付けば、海未ちゃんが鬼の形相になって私の方を見ていましたので、ついつい恐ろしくなってしまいました。 い、いやぁ……いつ見ても怖いです………
「そんで、コイツで兄弟の居場所を割り当てようってことか?」
「まあ、その通りですね。 しかし、ちょっと問題がありまして………」
「と言うと?」
「はい、この追跡機能は携帯電話などに使われてますGPS検索のものでありまして、もし蒼一さんの携帯が電源を切られていたりしますと、反応しないわけなのですよ」
「ちょっと、限定的なものかもしれないが……それ以外は何も問題なさそうだな」
「てことは……すぐに、蒼君を見つけられるってことだよね!」
「多分ですよ、多分」
さて、どうなるかは分かりませんが、早速探索させてみますか~♪
検索欄のところに、蒼一さんの携帯番号を入力しまして……と。 それでは、検索開始です!
ジジジ―――――――――――
ジジジジ―――――――――――
ジジジジジ――――――――――――
「大丈夫ですか? 何か、変な音ばかりが聞こえてくるのですが………」
「大丈夫ですよ、少しパソコンの機動が遅くなるだけですので、ご心配なく………おや! 結果が出たようですね」
しばらくのノイズが続いた後に、ピコンと言うお茶目な音を鳴らしまして結果報告を出してきました。 その様子を後ろにいますみなさんも目をくいるように画面を眺め始めましたのでした…………
「結果は…………
…………『特定不可』………ですか………」
それを見て、全身から力が抜け落ちるような溜め息が部屋に響きました。
期待はずれ………
「………と言いたいところですが、ここで終わりませんよ~♪」
「えっ?」というみなさんの声を聞き流しながら、私は更なる検索をし始めます。 ここからは、私の本領発揮といったところでしょうかね? このアプリの真の使い方とその反則技と言うモノを………!
ここで私はこのアプリファイルに含まれてます、予備機能と呼ばれる項目をクリックし、真っ白なメモ帳を開きました。
そして………
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ――――――!!
その真っ白なページを黒く染め上げるくらいの文字を叩きこみ始めるのです!!
まるで、川を流れて行くかのように、流暢に数秒単位で一行が埋め尽くされるほどの速さでタイプし続け、とあるプログラミングを即席で作っているところです。 このアプリには本来機能されていなかったモノ、それを反則的に書き換えることで新たな機能を付け加えるのです! タイプミスは許されない、とても繊細な作業工程なのであります!!
この私の様子を見ているみなさんは、ポカンと口を空けて何も言わずにただ見守ってくれていました。 そうしていただき、本当にありがたいことです。
―――――――カタカタカタカタカタ、タァ―――ン!!
「ふぅ~……これでいけるでしょうね………」
ひと作業を終わらせますと、その出来上がったプログラミングをそのままアプリに詰め込みまして再起動を掛けました。
すると――――――
はい! 追加機能が使えるようになりましたぁ~♪と、見事に反則技が使えるようになったわけです。
「ヒュー! やるじゃねぇか、洋子! 即席で、プログラミングを書き換えるだなんて大したもんじゃないねぇか!」
「いやぁ~それほどでもぉ~♪」
もぉ~明弘さんったら、そんなに褒めても何もあげませんよ♪
というより、これを教えてくださった、ちょっと体格のいい自称・スーパーハカーさんに感謝しないとですね♪
「ではでは、調べて行きましょうかねぇ~」
そして、更なる検索結果を出していくのでした――――――――
「おやおや、見つけちゃいましたねぇ~」
「ホントか?!」
「……とは言っても、数時間前のデータですけどね」
「って、なんだよ……そんなことか………」
「まあまあ、これからが面白いことになりますよ……」
私は結果データをマップ上に映し出せるようにしまして、蒼一さんが動いていた場所を確認し始めるのでした。
「この赤く点滅しているのが蒼君?」
「はいそうです。 これは……まだ朝方の様子ですね………これはまだ家にいると言うことなのでしょうね」
朝の8時くらいの様子を映し出していますと、まだまだ家にいる様子です。 ちなみに、追加検索機能で私の携帯と連動させることで、私の電話帳に登録されてあります人が、光となって点滅し、位置情報を教えてくれるのです。 その中で、穂乃果ちゃんの情報も取り入れさせてもらいましたところ、蒼一さんの横に違う色で点滅している光を見つけまして、どうやら穂乃果ちゃんを送っている様子が伺えますね。
穂乃果ちゃんが出て行った後に、しばらくは家にいたようで、それから数十分後に家を出て行ったようです。
すると、近くの公園辺りに来ましたところ、また違った色の光が蒼一さんに向かって近づいてくるではないですか! そして、接触したと思いましたら、共に行動してそのまま何処かへと行ってしまったのでした………
「洋子! あの違う光を出しているのは、誰なの?!」
荒げた声を大にして叫んだ真姫ちゃんは、その光を指さしまていました。 他のみなさんもその光が誰のことを指し示しているのかが気になっている様子でした。
「登録された携帯番号に該当するのは………
………絵里ちゃん………!!」
『ッ―――――!!!?』
絵里ちゃんの名前を口にした途端、この場の空気が一気に重く圧し掛かってくるようでした。 何となく、心の片隅に置く程度に分かってはいました。 しかし、いざその名前を目にすると、どうも複雑な気分になってしまうのです。
出来ることならば、違う人であって欲しかった……と思うところが何処かにあったようなのです………
振り返ってみますと、みなさんも複雑な表情で画面を見つめていたのでした。
ですが……それでも今は、蒼一さんのことを第一優先しなくてはいけないのです。 元を辿ってしまえば、私の不注意でこのようなことになってしまったのです。 ですから、どんなことをしてでも変えて見せますよ! たとえ相手が、絵里ちゃんだったとしても……やらなければならないのです………!!
蒼一さん……待っていてくださいね………!!
(次回へ続く)
ドウモ、うp主です。
ここからどんな展開を見せてくれるのでしょうかね?
次回を待っててください