ビーストウォーズネオ 超生命体トランスフォーマー~純白と漆黒の戦士~ 作:メリア
俺の母に半ば無理やり連れてこられた過去の世界。正確には過去の並行世界だろうが。
「おーい、シャドウワープ!」
「「何だ?/何ですか?」」
…俺が二人…幼い俺もいる為、名前を呼ばれると二人同時に振り返る…という現象が起こる。何ともややこしいな。まぁ、これも俺達がここにいる間だけだろうが。
「でっかい方のシャドウワープはビックコンボイが呼んでて、ちっさい方のシャドウワープはシャルロッテが呼んでたぜ。」
「「あぁ、ありがとうブレイク。/ありがとうございます、ブレイクさん!」」
俺達に伝えてくれたブレイクに礼を言い、幼い俺とビックコンボイと母さんを探しに行く。…何気に広いからな、この基地…。ちゃんと見つかるか?…と思っていると目的の人物の後ろ姿を見つけた。…しかも二人とも、だ。
「ビックコンボイ、母さん。何の用だ?」
「あぁ、シャドウワープ。…小さい方のお前もいるのか。」
「ビックコンボイさん。はい。ママに呼ばれたんです。」
…そういえば、俺小さい頃母さんのことママなんて呼んでたっけ…?母様って呼んでた気がするんだが…。まぁ、そこは並行世界だからな、何もかも同じである訳は無いか。
「…本当に大きくなったのね、シャドウワープ…。」
「…母さん?」
「…いいえ、何でも無いわ。ごめんなさい。貴方をビックコンボイさんに呼んでいただいたのはね、私の力のチャージが終わり次第、貴方達を元の世界へ返せることを伝えるためよ。」
「そうか。ありがとう母さん。でもいいのか?いつデストロンが動くか分からないだろ?」
「うふふ、今日は襲ってこないわ。それに…ライトニングにも会えるわ。」
「え…?じゃあ、まさか今日は…?」
「ええ、私の誕生日…にあたる日よ。私が初めて起動した日。」
…まさかそんな日にあたるなんてな…。
「そうだったのか…。おめでとう、母さん。悪いがプレゼントは何も…。」
「プレゼントなんて要らないわ。未来から貴方が来てくれたことだけで十分よ。」
「…そうか。」
なんかしんみりしてしまったなぁ…。…それにしても父さんが来るのか…。すると母さんが小声で尋ねて来た。
「…ねぇ、シャドウワープ。」
「何だ?母さん。」
「…貴方の今その姿…。カモフラージュの為なのかしら?」
「…まぁ、そんな所。でもコンボイ司令官達が聞いてこない以上、俺は誰にも話すつもりはない。例え父さんに聞かれても。」
「…そう。でも貴方がそうやって意固地になる時って割と理由が重くない時なのよ?」
「…知ってる。」
「拗ねないの。」
「別に拗ねてない。というか拗ねるような年でもない。」
…拗ねないの、拗ねてない、のくだりは普通のトーンで話していたから周りのトランスフォーマー達の視線がこちらに来る。…ちょっと恥かしいな…。
「シャ、シャドウワープ…?」
「本当に拗ねてるわけじゃないからな、グラファイス。…あとブレイク、笑うな。」
…何なんだ、これ。後ろでブレイクは笑ってるし、スタンピーは固まってるし、ロングラックはぼーっとしてるし…。意外って事なのか?
「…ほら母さん、主役が準備しなくていいのか?…ミルフィ、母さんを頼む。」
「君はどうするんだい?」
「俺は幼い俺と父さんを迎えに行きます。どうせ基地まで飛んで来るか歩いて来るかするでしょうから。…はぁ…またあのバカップルぶりをみる羽目になるとはな…。」
「…バカップルなのか?お前の両親は。」
「…あぁ。まぁ、そのうち分かるさ…。とりあえず行ってくる。」
「行ってらっしゃい、シャドウワープ。あ、ライトニングには通信で事情を説明しておくわ。」
そう言いながらミルフィと基地の奥の方へ歩いていく母さん。それを見届けて俺達は基地を出た。暫く歩いていると前方に黒いロボットが見えた。ライトニング…漆黒の異名を持つ俺の父だ。
「パパ!」
幼い俺が父さんの方へ駆けて行き、父は彼を受け止めて、頭を撫でていた。
「君がもう一人のシャドウワープだね?」
「はい。」
「そんな他人行儀じゃなくていいさ。多少大きくても君は僕達の子供なんだから。」
「分かった、父さん。」
「さ、基地へ行こう。既に通信もGPS機能も切ってあるから道はデストロンの誰にも分からないさ。ここに来るまでに尾行はされてなかったから問題は無いと思うけどね。」
そうウインクしながら言う父さん。…相変わらず抜け目のない事で。基地の方へ歩き出す俺達。途中で幼い俺が父さんに抱っこをせがみ、それを見た父さんがニコニコしながら抱き上げてるのを見た俺は何とも言えない気分になった…とだけ言っておこう。父さんと幼い俺が仲良く話しいているのを見て、此処がまだ争いがあるとはいえ、平和な方の世界なのだろうな、と改めて思った。母さんの誕生日なのにしんみりして帰るわけにはいかないから思考を切り替えるか…。
「あ、もう少しで着くね!」
幼い俺の声で前を向くと基地が見えてきた。…俺の仲間達の父さんを見た時の反応が不安だ…。
「ただいまー!」
「失礼する。」
「…。」
…し、失礼するって…。前途多難…か?これは。
「よく来たな、ライトニング。」
「コンボイ司令官。今日はお招きありがとうございます。」
「君の妻の誕生日だ。今日くらいは敵味方なしで行こうじゃないか。」
…司令官いい人だな…。あとはいい考えと短気さえ無くしてくれれば…。いや、あれがあの人のいい所でもあるのか…?よく分からなくなってきた。そして父の興味はビッグコンボイ達の方へ向かう。
「君達がシャドウワープの仲間かな?僕はライトニング。息子が世話になってるみたいだね。これからも頼むね。」
「ぼ、僕!?」
「ん?変かい?…あぁ、あまりデストロンで僕っていうトランスフォーマーは居ないからね。」
「俺達の知ってるデストロンを想像してたから…心配して損したな。」
やっぱり起こったな…。無理もないか。
「ははは。僕はデストロンに所属してはいるが、争い事は好きじゃないからね。」
…背に剣を背負ってる状態で言っても説得力ないだろ…。まぁ、父さんはそれがデフォルトだけどさ。
「ずっと俺、なんで機体カラーのメインの色が白と水色のシャルロッテさんの子供のシャドウワープの機体カラーが黒なのか不思議だったんだけどよ、…親父さんのカラー継いでたんだな。」
「…まあな。戦い方も父さんに似てるからな。…基本的に父親似だな。」
「デストロンにいても慕ってくれて…いい子達に育ったものだね。」
…褒められたんだよな、きっと。素直に受け入れるには年を取りすぎたな、俺。
「そういえば母さんは?」
「ライトニングに迎えに来て欲しいそうだ。」
先生が言うと父さんは母さんを迎えに行った。…ふと周りを見渡してみると…正にパーティー会場と化していた。あの短時間で、か?サイバトロンの団結力…侮れないな。なんて思っていると父さんが母さんを連れて来た。
「おめでとう、シャルロッテ。君にこれを。」
父さんがそう言い、渡したのは…花束。
「エネルゴンで作ったんから枯れることはないよ。」
…器用だもんな、父さん。時折とんでもない兵器を作り出すこと以外は。
「ありがとう…。ずっと大切にするわ。」
…花束を胸に抱き締める母さん。
「シャルロッテ、僕と出会ってくれてありがとう。」
「私こそ…。私と出会ってくれてありがとう、ライトニング。」
…新婚かよ。
「例えこの星が二つに割れようと…僕達の心は離れない。」
「ええ。例え死が二人を分かつとも…。貴方と一緒よ。」
いや、新婚の空気の次は突然何を言いだすんだよ…。
「シャルロッテ…。」
「ライトニング…。」
「「ひしっ」」
何で抱きついた時に効果音まで喋るんだよ。別に伝わらない訳でもないだろうに。見てれば分かるだろ、普通。
「今ひしって言ったよな、ひしって。」
「…抱きつく時に効果音まで言う人初めて見たよ…。」
コラーダとスタンピーが言う。…まぁバカップルなのは何時もの事だけどな…。
「うえっ…。砂糖吐きそう…。」
「俺もだ、ブレイク。…本当いい歳してバカップルってどうなんだよ…。」
「…息子にここまで言われるなんて…流石と言うか何と言うか…。」
…ドクターが言う。いやまぁ、この頃の俺はまだ純粋だったから、バカップルだなんで微塵も思ってなかったけどさ。
「…いいなぁ、パパとママ。」
とはいえ…あれの何処がいいんだか…。あんな周りに甘いオーラを漂わせて…その上仲間達に砂糖を吐かせかけるだけだろ。いや、未遂な分ましなのか?
「貴方達も来る?シャドウワープ?」
「「うん!/いや、遠慮しておく。」」
幼い俺は腕を広げて走っていき、二人に抱きつく。
「お兄さんも来たらいいのに。」
「あのな?俺はもうそんな歳じゃない。…だからブレイク笑うな!」
…最早ブレイクのみならず皆に笑われている。もう勘弁してくれよ…。
「…なぁ母さん、一つ聞いてもいいか?」
「何かしら?」
「…母さんは創造神プライマスに造られた古代のトランスフォーマーだろ?…どうして父さんと出会ったんだ?…いや、それどころかどうしてこの世界にいる?」
「…。」
今までの笑顔を消し、黙り込む母さん。
「…どういうことだ?」
「簡単な話さ、ビッグコンボイ。母さんを造ったのは創造神プライマス。創造神、という位だから全てのトランスフォーマーの親とも言える存在だ。だが、この世界の創造神といえばコンピュータではあるがベクターシグマだろう。…プライマスが居ないと断言は出来ないが。…少なくとも俺はこの時代でも…この少し先の時代でも…ユニクロンという名は知っているが…プライマスという名は聞かなかった。」
「…そうね。…だって私はここではない世界から来たのだもの。並行世界。…私は確かに古代のトランスフォーマーではあるけれど、でも最初の13人では無い…。」
「…は?」
…最初の13人…?何だそれは…。
「貴方も自分の事を知る権利はあるものね。…いいわ。貴方達をその世界へと送りましょう。」
「「…何でそうなるんだよ…。」」
母さんの微妙に違う解釈にコラーダとマッハキックが声を揃えて呟いた。何方かというとそれは俺の台詞だけどな…。
「…相変わらず強引だな、母さん。」
「そうかしら?…いえ、そうかもしれないわね。貴方からしたら。でも、これだけは忘れないで。たとえ貴方は時代が違っても。」
「僕達の子供なのだから。…仲間達を大切にするんだよ。」
「あぁ…。ありがとう、父さん、母さん。シャドウワープ、これから多くの困難が待ち受けているかもしれないが…負けるなよ。」
自分で幼いとはいえ自分に向かってシャドウワープっていうのは違和感があるな。
「うん、お兄さんもね。」
なんか皆にはこんな家族に付き合わせて悪いよなぁ…。
「アンゴルモアカプセル探し、頑張ってね。」
「あぁ…。って俺達はその事言ってないよな、母さん!?」
「ふふふ、秘密よ。…さよなら、皆さん。息子をお願いします。」
この一言を言い終わると、俺達に反論もさせず、転送を強制的にする母さん。いや、アンゴルモアカプセルのこと何処で知ったんだよ…。
「おい、シャドウワープ、どうにかしろよ!?」
「いや…無理だ、マッハキック。」
「…多分言っても無駄なんだなぁー。」
「そこは否定してくださいよ、ハインラッド…。」
こんな感じで俺を含む新兵達と会話をしつつ…俺達は異世界へと転送された。…どんな世界に飛ばされるのか…そこで何が俺達を待ち受けているのか…俺達はまだ知らなかった。
相変わらずグタグタで申し訳ありません。
ライトニングの「例えこの星が二つに割れようと…」の下りは某アニメの嵐を呼ぶ旋風寺さんと妻のハネムーンのドラマCDのワンシーンを参考にしました。
これからも変わらず亀更新ですが、よろしくお願いいたします。