ワンサマー・オブ・ナイト   作:Bloo-D

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今回は原作キャラの話、とはいえモップさんの話が最も長いのですが……


特別編 Ⅱ

【セッシー】

 

 

 

セシリア「全く!幾らISを使えるからと神聖な領域たるIS学園に入学させるとは、IS乗りへの冒涜ですわ!!」

 

チェルシー「まあセシリア様、そう気を悪くなされては折角の美人像が台無しですよ」

 

セシリア「そんな事気にしてる場合ではありませんわ!問題なのは、“下等な男風情がISを使えること”ですのよ!!」

 

 

チェルシー「そんなことを言ってて宜しいのですか?相手は新国家の方とはいえ、立派で聡明な騎士にして王子様でもあるのですよ?」

 

セシリア「えっ?それは本当ですの!?」

 

チェルシー「ええ勿論、オマケに顔も良いし考えは硬いですし、セシリア様の理想にピッタリ合うお方ですよ」

 

セシリア「気が変わりましたわチェルシー!早速おめかしをしなくては!!」

 

チェルシー「それでこそ由緒正しきオルコット家のご令嬢ですわ(やはりセシリア様は扱い易いですね)」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【モップ】

 

 

 

箒「はぁ……」

 

とある一室に一人の女性が大きな溜め息をついていた。彼女の名は篠ノ之箒、ISを開発した束博士の実の妹だ。

彼女は今…と言うよりもある時までは“重要人物保護プログラム”による日本政府の方針で日本各地を転々と移住させられていた。

 

ある時までは……

 

 

そのある時に至るまではまず、彼女の過去から話していかねばならない。

__________

 

彼女の実家は“篠ノ之神社”という神社で住職をしつつ、敷地の一角にある剣術道場の師範を務める家柄だった。

 

そのため、幼い頃から剣道をたしなんでおり、実力は大の大人相手に互角に渡り合うとかなりのものだった。

 

初志貫徹で頑固一徹、尚且つ日進月歩の性格な彼女は日々鍛錬を怠らず、己が気を許した相手以外では素っ気ない態度を取っている。

 

気を許したある一人を除けば……

 

 

その人物の名は織斑一夏。

彼女の姉が本人の姉と親しかった上に、一夏の姉が道場によく顔を見せていた為、一夏とは顔馴染みだった。

 

彼女にとって織斑一夏とは理想的な男性だった。

歳は変わらないが剣の腕は強く、箒とも良い勝負が出来る程の実力者だった。

 

箒は織斑一夏に恋をした。

彼女はそれまで、彼程の実力を持つ男は剣道師範にして自分の父を除いて知らなかった。

 

 

その為彼女は一夏を独占しようと、彼に近づく者は姉と自分の家族を除いてほぼ力づくで追い返していた。

更に一夏が家に帰る時もまとわり付き、彼といる時間を作ろうと本人の意思を無視して無理矢理剣道場に通わせたりなどして、挙句自分がやった罪を彼になすり付けて自分はただ“自分は悪くない、悪いのは一夏だ”という始末だった。

 

だが、彼女は分かっていた。

そんなことをしても、得をするのは自分だけで一夏本人はただ友達も作れずに孤立することくらいは……

しかし、彼女はそのことは口に出して言うことが出来なかった。

“もしそんなことを本人の前で言ってしまえば、一夏は一生自分を避けるのではないか”と思って彼女は言えなかった。

 

彼と別れた以降も……

 

 

彼女は小学4年で一夏と別れることとなった。

 

理由は、彼女の姉がISを発表し、姉がISに必要なコアを467個目を作った矢先に姿を消し、唯一姉と連絡がとれる彼女が、政府の思惑で強制的に親と離れて、誰にも気付かれない遠い所へ移り住むことになったのだ。

 

それを聞いた彼女はせめて今まで言えずいたことだけでも一夏に打ち明けておこうと思ったが、政府の役人はそんなことは許さなかった。

 

もしそれで彼女の居場所が知られたら困るからだ。

 

それで止むを得ず彼女は、想い人の一夏に何も言えずに別れた。

またいつか、彼と逢えることを祈って……

 

 

だが神様は非情だった。

 

箒は想い人の一夏が死んだことを、偶々観ていた第二回モンド・グロッソのテレビ中継で知った。

 

生憎死体は見つからなかったが、ドイツ軍が誘拐現場に突入した際にみつかった多量の血痕が、一夏本人の血液とほぼ一致したのが決定打となり、ドイツ軍と政府は織斑一夏は誘拐先で撃たれ死亡したと決定づけて捜査を打ち切ったそうだ。

 

けれど、彼女が最も気に食わなかったのは政府の対応だった。実は織斑一夏が誘拐されたという事実を、その時のモンド・グロッソに出場していた日本代表にして一夏の姉の織斑千冬が決勝まで勝ち上がる前に政府は知っていた。

 

なんと一夏を誘拐した誘拐犯が、丁寧に教えていたのだ。

 

けれど政府はそれを無視した、『織斑千冬の弟が誘拐されたくらいで、そのことを姉の千冬に伝える必要は無い』と、人の命より自分達の利益を優先して簡単に切り捨てたのだ。

 

それを知った箒は激情し、「自分達の私利私欲の為に人の命を勝手に切り捨てる貴様らなぞ二度と信用しない!もう私は、篠ノ之束の妹でも何でも無い!よって私は…お前たちには縛られない!!」っと暴言を吐いて今まで伸ばしていてロングヘアだった自分の髪を、肩辺りで切ってショートヘアにした。

 

それは今まで自分の本心を何も言えなかった自分への戒めと同時に、一夏に対する彼女なりの償い方だった。

 

 

その後彼女は姉の助力で政府に圧力をかけて要人保護プログラムを解除させ、自分は実家の篠ノ之神社へ帰り、後に“倉持技研”というIS企業からスカウトを受け、『家族に一切迷惑を掛けない』ことを条件に入社し、現在は倉持技研の企業代表にして日本国家代表候補生として活躍している。

 

 

これが篠ノ之箒だ。

__________

 

箒「一夏…私は…お前への罪をシッカリ償えてるか……?」

 

彼女は二度と逢えないであろう想い人にむけそう呟いた。

彼女としては、彼女なりに過去の自分に決別を誓い、二度と同じ誤ちはしないと心に決めた気だった。

ただそれでも罪悪感だけはそうとはいかない。彼女は何度も何度も天国から自分を見ているであろう一夏に謝ってきたが、それで本人が許してくれるなど流石の本人も思ってはいない。

 

箒「せめて…生きていれば……」

 

彼女はいつもそう呟いている。

前に一夏の姉から、『一夏は死んでいない、だから望みを捨てるな』っと言われたことがあったが、彼女は当の本人を信用していないからのらりくらりと交わしたくらいでそれから連絡も何もしていない。

そんな彼女が何気無くテレビをつけた時、あるニュースが彼女の目に止まった。

 

『臨時ニュースをお伝えします。先週日曜日の○○デパートで開催されたIS展示会でISを動かした男性は、先程国連の安全保障理事会の採択で建国された新国家、“アストロリアス王国”の第一王子のイチカ・ヴァレンス・アストロリアスであることが明らかとなりました。

これに対し国際IS委員会は……』

 

箒「えっ、一夏?」

 

そのニュースの人物の名前と写真、それは死んだと言われた織斑一夏と瓜二つな顔の青年だった。

 

箒「ま…まさか…な……(だが、もし本物なら…逢えたらいいな……)」

 

一瞬戸惑った箒だったが、別人だと思いつつ、本物であって欲しい気持ちが混み上がるのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【鈴】

 

 

 

鈴「なんであたしがIS学園に入れないのよ?!」

 

幹部「それは我々が入学を勧めたのに、“君が行かない”と言ったからじゃないか」

 

幕僚「そうですね」

 

 

鈴「さっき見たあの男のニュース見て気が変わったのよ!だから行かせて欲しいのよ!!」

 

幹部「そんな事を言われてもな、我々も最近は忙しいからそんなことを急に言われても困るな」

 

幕僚「そうですね」

 

 

≪ズガアァアアアア!≫

 

鈴「あたしも強行手段は取りたくないので、おねがいしますね、お・じ・さ・ま?」

 

幹部「分かったすぐ上に話すとしよう。だが今からだと4月には到底間に合わんからそのつもりでな……」

 

幕僚「そう…ですね……」

 

鈴「分かりゃ良いのよ、それじゃお願いね(一夏かどうか分かんないけど待ってなさいよ、一発思いっきりぶん殴ってやるんだから!)」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【シャル】

 

 

 

「シャルロット、あなたには重要な任務を与えるわ」

 

シャルロット「なんでしょうか、社長婦人様?」

 

社長婦人「あなたにはIS学園に入学し、例の男のデータ入手と誘拐を命令するわ」

 

シャルロット「えっ!?

そんなの無理ですよ!IS学園の警備が厳重なことくらいあなたでもよくご存知な筈です!!」

 

社長婦人「ええ分かってるわ、そのくらい。

でもいいのかしら?もしやらないのなら、あなた自身がどうなるかくらい分かるでしょ?」

 

シャルロット「それは……」

 

社長婦人「分かってるのならやりなさい、これは社長命令でもあるのよ。良い?」

 

シャルロット「承知しました……」

 

社長婦人「それと、IS学園への編入…もとい入学は5月以降になるから、そのつもりで」

 

シャルロット「分かりました……」

 

 

社長婦人「フン、もしあいつが(社長の)愛人の娘じゃなかったら、すぐに始末出来たというのに……」

 

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【黒ウサギ】

 

 

 

クラリッサ「隊長、先程軍司令部より司令書が届きました」

 

ラウラ「うむ、読め」

 

クラリッサ「ヤー、『本日をもって、シュヴァルツェ・ハーゼ隊長 ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐をIS学園へ編入させることが決定された。

追記:編入は5月始めからなので、それまでに必要な準備をされたし』以上」

 

ラウラ「今まで興味無かったから拒否を続けていたが、選りに選ってこんな時に強引に進めるとはな」

 

クラリッサ「私もどうかとは思いましたが、恐らく…例のニュースで上が独自に決定したのでしょうね」

 

ラウラ「世界初の男性IS操縦者か?」

 

クラリッサ「ヤー」

 

ラウラ「確かにあれは驚いたな。しかも、建国されたばかりの極東の国の王子とはな」

 

クラリッサ「どうも都合が良過ぎるのでは?」

 

ラウラ「それは言えるな。しかし、上が決定した以上は従わざるを得まいな」

 

クラリッサ「そうですね」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【楯無】

 

 

 

虚「お嬢さま、先程日本政府からこのような通達が」

 

楯無「えっ、何て?」

 

虚「何でも…『新国家のアストロリアスより世界初のISを使える男が誕生したがどうも日本人にしか見えない。

詳しく調べて調査結果を提出してもらいたい』との事です」

 

楯無「そんなのは政府の専門機関で調べれば良いじゃない、何でこんな暗部専門のとこに頼むのよ?」

 

虚「それが、今政府直属の専門機関は調査の為アストロリアスへ出払っているらしく、国内かつIS学園に通う我々に依頼したそうです」

 

楯無「それにしても強引ね。第一、アストロリアスは確か外人の入国を禁止している国よ。よく行かせる気になるわね」

 

虚「もし日本人なら、即刻連れ帰ってデータ取りの為の実験に使うのでは?」

 

楯無「それもあり得るわね、それだけは何とか阻止しないと」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【簪】

 

 

 

本音「ねえかんちゃん、遊ぼうよ〜」

 

簪「どうせ本音なんか、いつも私を振り回してばっかりで疲れるから、一人でしなさいよ」

 

本音「え〜、一人じゃ寂しいしやだよ〜」

 

簪「はあ…もう……」

 

 

本音「そういえばかんちゃん、あのニュース見た〜?」

 

簪「あのニュース?」

 

本音「ほらほら〜、最近話題のイッチーだよ〜」

 

簪「それって、世界初の男性IS操縦者のこと?」

 

本音「そうだよ〜、王子様で〜、しかも立派な騎士だって聞いたよ〜」

 

簪「ふ〜ん(テレビで顔見たけど、格好良かったわね。同じ学校に行くみたいだし、声でもかけてみたいな……)」

 

本音「ほえ〜?かんちゃんどうしたの〜、遊ぼうよ〜?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【チッフー】

 

 

 

真耶「そういえば織斑先生」

 

千冬「何だ山田先生?(クソッ、疲れてるというのに!)」

 

真耶「テレビで騒がれてるあの人、聞いてますか?」

 

千冬「誰だ一体?」

 

真耶「世界で唯一ISを使える男性のことですよ」

 

千冬「いや、全然知らんが……」

 

真耶「そうですか?でもその男性の顔テレビに映ってたのですが、前に織斑先生から見せてもらった弟さんと顔がよく似てるのですよ」

 

千冬「!(何だと、っということは、一夏が生きてるのか!?だったらすぐ調べなければ!!)」

 

 

真耶「ってあの、織斑先生!一体どちらに?!」

 

千冬「急用を思い出した!悪いが先に上がらせてもらう!!(なら早速あいつに連絡せねば!)」

 

真耶「ってチョ……!

もう、また私が先生の溜まった書類片付けなきゃならないなんて……」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【大天災】

 

 

 

束「えっ、なんで!?どういうこと!?」

 

『繰り返し、お伝えします。

先週日曜日の○○デパートで開催されたIS展示会で偶然ISを動かした男性が、今日未明建国された樺太と千島列島からなる新国家、アストロリアス王国の第一王子のイチカ・ヴァレンス・アストロリアスであることが判明しました』

 

束「いっくんと同じ顔のヤツ…っということは、コイツは今までちーちゃんが探してたいっくんだったり……」

 

 

クロエ・クロニクル「束様」

 

束「何〜、クーちゃん?」

 

クロエ・クロニクル「先程千冬様から束様宛の伝言を預かっておりますが……」

 

束「あ〜、分かってるよ〜。テレビのイッくんだよね〜?

束さんが調べて置くから、『ソイツから適当に血液やら皮膚の皮やらコッチに送って欲しい』って伝えておいて」

 

クロエ・クロニクル「畏まりました」

 

 

束「さ〜て、コッチもイッくんのこと調べなきゃね〜」




こう書いてみると、モップさんのとこ書き過ぎたな……
こうも長いと贔屓してるとか読者から思われちゃうかな〜?(−_−;)

追記:クーちゃんの件はもう一人クロエがいる為、コッチのクロエはフルネーム扱いにしてみました。


まぁそれはさて置き、次回こそは原作の話へ突入、過去との再会。
どうなるかやら……
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