ワンサマー・オブ・ナイト   作:Bloo-D

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10-午後の一時

12時半頃、ようやく午前の授業が終わって昼休みの時間になった……

 

 

 

ミール「フゥ…終わった……こんなに頭を使ったのは騎士団訓練騎士の時以来だわ……」

 

午前中の授業が終わったと同時に机の上で伸びるミール。

ってか一国の姫がそんな事したら恥ずかしいぞ、やれやれ夫の顔が見てみたい…って夫俺だ……

 

 

イチカ「サッサと飯食いに行こうか」

 

ティア「賛成だわ、こんなダラけ者なんかに付き合ってたら幾ら時間があっても足りないわ」

 

ミール「ちょっとティア、それはどういう意味なワケ?」

 

ティア「さあね」

 

ミール「しらっとチラ見してから無視するな!」

 

イチカ「だ〜もう!ミール、簡単に相手の挑発に乗るなよ!ティアもミールを挑発するなよ!!」

 

ミール「うう……」

 

ティア「それは失礼しました」

 

間に入って叱るのはいいけど、何だろう…このやるせない気持ちは……

 

 

セシリア「イチカさん、先ほどは本当に申し訳ありません。わたくし個人の目的の為だけに決闘だなんて」

 

イチカ「構わないさ、別に悪気は無いんだろ?」

 

セシリア「勿論ですわ」

 

イチカ「ならいいさ、寧ろ大歓迎だしな」

 

セシリア「ありがとうございます♪」

 

そんな時にやって来たのはセシリアだった。

どうやら私的な理由で決闘を申し込んだことへの謝罪に来たみたいだけど、俺は別に気にしていないから許してあげた。

 

 

セシリア「ところでイチカさん達は、お昼はどうなさるおつもりで?」

 

イチカ「そうだね、確かここは食堂があった筈だけど、場所がね……」

 

一応山田先生から前持って聞いてはいたけど、どこかは言ってなかったから正直困る話だ。

 

セシリア「それでは、食堂で一緒にランチはいかがでしょうか?わたくし、食堂の場所ご存知ですから案内致しますわ」

 

イチカ「本当?それは助かる」

 

箒「私も同行してもいいだろうか?私だって、オルコットさんと同じ理由で決闘を申し込んだのだからな」

 

セシリア「構いませんわよ。同じ専用機持ちで代表候補生ですもの、仲良くしなくてはなりませんわ。

それと、わたくしのことはセシリアでいいですわ」

 

箒「そうか、なら私も同じでお願いしたい」

 

セシリア「ええっ、それでは参りましょうか」

 

そんなワケで、セシリア達に先導されて俺達は食堂へと向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

イチカ「広いね」

 

ミール「そうだな。軍の食堂も広いといえば広いが、ここはレベルが違う」

 

食堂へやって来て最初に思ったのは、その広さ。騎士団や常備軍が使ってる食堂も広い方だが、ここはレベルが違った。

おそらく2千ほどの人達が入ってもまだ余裕があるくらいの広さで、しかもテラス席まである優雅な時間を楽しめそうな空間だった。

 

 

セシリア「どうしましたのイチカさん?」

 

イチカ「いや、あまりにも広い食堂だなと思ってね」

 

セシリア「当然ですわ。全校生徒おろか先生方もお使いになられる場所ですもの、広いのは当たり前ですわ」

 

イチカ「そうか……」

 

まあ…気にするなってパターンかな?

 

セシリア「さっ、早く行きましょ」

 

イチカ「ああ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

そんなワケで、俺達は食堂内のテーブルを囲んで昼食を摂ることにした。

俺と箒とミールは和風定食でティアさんとクロエ姉さんはナポリタン、そしてセシリアはサンドイッチだった。

 

セシリア「唐突で申し訳ありませんが、イチカさんとミールさんは日本料理ですが、箸の扱いは上手ですの?」

 

ミール「勿論さ、イチカに教えてもらっただけだがな」

 

イチカ「親戚が日本人だから、箸の扱いは上手な方なんでね」

 

セシリア「そうですの。確かに、日本とあなた方の国は近いですものね」

 

まあ実際のところは今でも日本人みたいなものなんだけど、今は偽る形でいるから単なる綺麗事にしかならない言い訳だ。

 

 

箒「それはそうと、イチカ達は肝心の専用機を持ってるのか?まさかと思うが、生身で戦うとは言わないよな?」

 

まあそういう話はやっぱ出て来るよな……

 

イチカ「そんなワケないだろ。まっ、それもあり得るだろうけどね」

 

箒「なっ!?」

 

ミール「でも心配は無いわ。私達も専用機は祖国から用意される事になってるから」

 

クロエ「そうだな。特にイチカは、国内では人気でお気に入りの科学者もいるからな。大して問題は無いだろな」

 

ティア「けど問題なのは、稼動時間じゃない?特に私とクロエは、一番稼動時間が短いのよ」

 

確か、俺は良くてもまあ20分でミールはせいぜい10分、そしてクロエ姉さんとティアさんが5分あるかないかかな……

 

 

セシリア「一つお聞きしますが、皆さんISの方は大丈夫ですの?特にミールさんは」

 

ミール「う……」

 

ティア「そうね、ミールは一番問題よね。規則以外の憶えが悪いし」

 

ミール「ああ……それは、確かに重大な問題だな……」

 

そうなるよな……けど、向こう(センチネル)にはマドカ達がいるから大丈夫だろうけどさ……

 

イチカ「心配は無いだろう、ミールには俺もいるし。何より、本国には優秀な操縦者達がいるしな」

 

箒「そうか、確かみんなは本国から直接登校するのだったな」

 

セシリア「そうでしたわね、スッカリ忘れてましたわ」

 

クロエ「何だと、篠ノ之とオルコットは知ってるのか?私達のことは」

 

箒「無論だ、HR前に学園長から聞いた」

 

セシリア「秘密を守るためとはいえ少し事が過ぎると思ったのですが、仕方のないことだと思って受け入れましたわ」

 

学園長…行動早いな……

 

 

セシリア「それにしても、織斑先生はわたくし達とは大違いですわね」

 

箒「全くだ。幾ら自分の弟と顔が似ているとはいえ、一国の王子に虐待未遂を起こすとは考えられんな。

あの人は最も注意を受けている筈なのに」

 

セシリア「えっ、織斑先生って弟さんがいらしたのですか?」

 

箒「ああ、何せ私は織斑先生の弟とは顔見知りだったからな、顔はよく覚えてる。

しかし、だからってあの行動は無いな」

 

セシリア「同感ですわ。けれど、あの様な問題行動を起こしてよくクビにされませんわね。わたくしの国でしたら即座に解雇されますわよ」

 

イチカ「仕方のないことだと思うぞ、何せ織斑先生は世界最強と呼ばれてる人だ。そんな人をクビにしようものなら、女尊男卑主義の輩が面倒事を起こしてより収拾がつかなくなるだろうから、学園側もしたくても出来ないのだろさ」

 

セシリア「それを言われては文句も言えませんが、このままお咎め無しなんてありませんよね?」

 

ミール「それは無いな。何せ、さっきティアが今朝の一件を学園長に報せたからね」

 

ティア「今頃キツイお説教を喰らってる事でしょうね」

 

クロエ「だといいな」

 

それで済めばいいが、あの人(織斑先生)が納得するとは思えんしな。多分これからも同んなじパターンがあるかもな……

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

一方……

 

 

 

十蔵「初日から問題を起こしてくれましたね織斑教諭、危害を加えるなとあれ程注意したじゃありませんか」

 

イチカ達が想像していた通り、織斑教諭は学園長から提示されてた条件を破った為に説教を受けていた。

 

千冬「あれは……一夏が悪いのです。一夏がワケの分からん名を言うから……」

 

十蔵「お言葉ですが織斑教諭、彼はあなたが知る織斑一夏では無く、アストロリアスの王子であるイチカ・ヴァレンス・アストロリアスです。

そのことはあなたにもよく知らされてある筈です」

 

千冬「そんな事は無い!あいつは紛れも無くわたしの弟の織斑一夏です!!

わたしが何が何でも、一夏を誑かした雌豚共から一夏を取り返さなくてはならないのです!!」

 

十蔵「その言葉、アストロリアス側が知ったらどうなさるおつもりですか?幾ら私でも、そこまでは責任は取れませんよ?」

 

千冬「あんな蚊トンボごときわたし一人でも……!」

 

十蔵「言っておきますが、あなた一人で相手に出来る者達ではないのですよ?」

 

千冬「う……」

 

十蔵「分かったのでしたら、今回のような事は2度と起こさない事ですね。

本当ならあなたはとっくに解雇されているのですから、これ程良くしている私に感謝するのですよ?」

 

千冬「はい……」

 

最初のところは抵抗してた織斑教諭だったが、学園長相手に勝てるわけも無く脅しに屈する形で打ち負かされる結果となった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

色々あったけど、今日の授業は何とか終わった。

 

帰ろうと思ったそんな時……

 

 

 

「ねえイッチー」

 

イチカ「ん?」

 

全体的にのんびりとした袖長な女子生徒に呼び止められた。

 

イチカ「俺に何か用?って言うか、“イッチー”って?」

 

「うん、イチカだからイッチーだよ。

そうそう、わたしは布仏 本音(のほとけ ほんね)。のほほんさんって呼んでね」

 

イチカ「“のほほん”ね……」

 

確かにのほほんとした人だけど……本名を縮めると“のほほん”になるのがある意味ミラクルだな……

 

 

ミール「それで、私の夫に何か用か?」

 

本音「うん、あるよ。

それと、“ミルミル”と“クロっち”と“ティンティン”にも用があるんだけどね〜」

 

ミール「ミルミル?」

 

クロエ「クロっち?」

 

ティア「ティンティン?」

 

こいつ変な呼び方するな…ちゃんと公私混同とか出来てるのか?

 

本音「イッチーが心配することないよ〜。だってわたし、こう見てもメイドさんなんだし〜」

 

「「「「えぇええええええ!!?」」」」

 

嘘この人これでもメイド!?ってか心読むって一体何者!?

 

本音「何でそんな驚いた顔するのさ〜、ただ見ただけで分かるものだし〜。

それよりも、すぐ終わるから付いて来てくれない?本当すぐ終わるから〜〜」

 

イチカ「わ…分かった…行こうか……」

 

「「「うんうん」」」

 

断わったら後でいや〜な仕返し受けそうで怖いから、大人しくのほほんさんの後を付いて行くことにした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

そして案内されたのは、1年4組の教室だった。

 

イチカ「え〜と、ここの誰かに用?」

 

本音「うん、そうだよ〜。かんちゃ〜ん、連れて来たよ〜〜」

 

かんちゃん?

 

「う…うん……」

 

その直後に出て来たのは、なんか“守って欲しいオーラ”を醸し出す眼鏡っ娘で美少女だった。

 

イチカ「え〜と、君がかんちゃん?」

 

「うん。けど、それは本音がそう呼んでるだけ。

私の本名は更識 簪(さらしき かんざし)、簪って呼んでね」

 

イチカ「あ…ああ……なら俺らも、呼び捨てでいいから」

 

ミール「まあそうだな」

 

クロエ「同じ学年同士だものな、仲良くするのは当然だ」

 

ティア「そうね」

 

え〜と、のほほんさんとは違って、こっちは頼りなさそうだから、つい気をつかってしまうような……

 

 

イチカ「あ〜、それで俺…元より、俺らに何か用?」

 

簪「うん、二つ用があるの。一つはテレビで見てカッコ良かったから一度お話したかったことと、もう一つはイチカに聞きたいことがあって」

 

イチカ「俺に?」

 

何だろう?

 

簪「イチカって、強いの?」

 

イチカ「まぁ…強いと言えば強いかな?」

 

簪「どうしてイチカは強くいられるの?」

 

聞きたいのってそれか、俺なりに言うなら……

 

イチカ「大切な人達を守りたいから……かな?」

 

簪「大切な人達ってイチカの奥さんや仲間のこと?」

 

イチカ「それもある。けどそれ以外に、民を守りたいのが大きな理由だ」

 

簪「民を…守る?」

 

イチカ「そう、新米騎士の時代にミール達から教わったことがあるんだ。

“力有る騎士は力無き民の為、我が身に宿りし力振るいて、自らの魂犠牲にしてでも大義を成せ。”ってね」

 

簪「それってまさか、ノブレス・オブリージュ(高貴さは義務を強制する)?」

 

イチカ「そう、我がアストロリアスの騎士の鉄の掟にして最大の誇りだ。俺らアストロリアスの騎士達は、それを心掛けて民を守っているのさ、民の幸せの為にね」

 

簪「そうなんだ、凄く格好いいね」

 

イチカ「そうかな///?」

 

そう褒められると、恥ずかしいな……

 

 

簪「ねえイチカ、今度一緒にご飯しようよ。私、本音しか友達居ないから寂しいし」

 

イチカ「勿論さ。同級生なんだから、仲良くしないとね」

 

ミール「そうだな、これから宜しくな」

 

簪「うん♪」

 

本音「良かったね〜かんちゃん、ついにお友達が増えてね〜〜」

 

簪「本音は黙ってて」

 

そういったワケで約束を交わし、俺らは外に出ると人気の無い森の中で転移装置の設定をしてセンチネルに戻った。




はぁ…なんか途中から面倒臭くなって色々飛ばしてる感じがする……

それはさて置き、次回はセンチネルでのとある任務。ついにあいつが姿を現す……
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