一方……イチカとは遠く離れたところをミール等は馬を進めていた。
ミール「イチカ、何処にいるんだ?」
ティア「恐らくバルバトスから逃れてる筈だから、結局離れてるとは思うわ。そこからは分からないけど……」
ソニア「ともかく、前へ進むしかないわね。皆シッカリ目を凝らして辺りを見回して、もしかするとイチカが見つかるかもしれないわ」
クロエ「正直あり得んと思うが、万が一っというのもあるしな……」
エクセラ「そうだな、もし近くでイチカが倒れてて気付かないで素通りしたら、本人に悪いしな」
未だイチカを見つけられない一行は更に森の奥へと進んで行った。
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そんな時……
イフリート『気を付けて!ヤツが近くにいるわ!!』
ミール「何、バルバトスがか?!」
クロエ「いた!あそこだ!!」
『!!』
バルバトス「むう?」
クロエの一言に全員がその方向を向くと、そこには確かにバルバトスがいた。
ミール「アイツがイチカを!許さん!!」
シルフ『あ!待ちなさいってば!!』
シルフの注意もそっちのけに、ミールはイチカを傷付けられたことに怒り心頭の状態で飛び込んで行った。
ミール「バルバトス!よくも私の大事な夫を怪我させてくれたな!タダでは済まさんぞ!!」
バルバトス「ん?ああ…アイツの仲間か、また大勢で来たものだな…まあいい。
その方が殺し尽くし甲斐があるってものだしな、フハハハハハ」
ティア「残念だけど、あなたの悪運もここまでよ」
クロエ「そうだそうだ!何せ私達がここにいるのだからな!!」
ソニア「幾らなんでも、あなたにこれ以上勝手な真似はさせないわ!」
エクセラ「貴様の愚行、何が何でもここで終わらせてくれる!」
バルバトス「フハハハハハ!いいだろう!
丁度今我が飢えを癒したいと思ってたところだったからな!
退屈凌ぎに相手をしてくれるわ!!」
イフリート『結局こうなるのね……』
シルフ『付いて行けない……』
ヴォルト『もう何言っても通用しないみたいだから、流されるままやるしかないね……』
更にそこへソニア達も飛び込んで行き、精霊達は最早呆れ気味だった。
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イチカ「ん…んん……」
俺が目が覚めたのは、さっきの真っ暗な空間ではなく、火の付いた松明が辺りを照らす神殿のようなところだった。
しかも意外なことに……
イチカ「あれ?痛みも無いし、服も鎧も綺麗になってる……?」
肩の痛みは消え、しかも服も鎧も新品同様みたいになっている。
一体どうなっているんだ?っというか、ここは何処なのかが一番気になる……
『ここは聖堂です』
イチカ「!?」
その時、どこからか女性の声が聞こえてきた。それも透き通るような声が……
イチカ「聖堂?」
『わたしを祀る聖堂、古代の人達がわたくしのために建てた神殿みたいなところですよ』
イチカ「神殿…っというよりも、あなたは一体誰ですか?」
『あら、まだ名乗っていませんでしたね。わたくしの名はノルンです』
イチカ「ノルン?」
ノルン『そうです。世界の守護神、世界の守り手と人々が呼んでいます』
イチカ「つまりは、神様…になるのですか?」
ノルン『そう言うことになります』
イチカ「それじゃあ、俺を助けたのは……」
ノルン『わたくしです』
神様か…けれど、センチネルの神様なんて一度も聞いた事が無かったけれど……
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ノルン『今まで長話が過ぎてしまいましたので、そろそろ本題に移りましょう。
異世界より召喚されし勇者イチカ、あなたは何人の為に力を得て、そして何人の為にその力を行使しますか?』
勇者かどうかは分からないけど…騎士である以上答えは一つ……
イチカ「俺は…力無き民の為に力を得て、そして力無き民の為にその力を行使します」
ノルン『理由は?』
イチカ「力を持つ以上、その力を持つには犠牲が付き纏います。それに力というものは、個人の私利私欲で得て、そして使うようなものではありません。
俺は、そんな者達とは違います。俺は…俺が大事とする仲間、そして俺が大事とする民の為に…力を使います!」
ノルン『…ふふ……勇者イチカ、あなたの意識、あなたの覚悟はしかと拝見させてもらいました。
あなたならば、必ずこの世界を平和へ導くことが出来るでしょう』
これで…良かったのかな?
ノルン『勇者イチカ、あなたには特別な餞別を差し上げましょう』
イチカ「餞別?いえいえ、いりませんよ餞別なんて」
ノルン『そんなことは言わずにどうぞ、きっと今のあなたに役立つ筈です』
すると、俺の周りを無数の光が包んで、次第に俺の身体へと溶け込んでいった。その直後、身体中から今までになく力が湧き上がる感覚がしてきた。それも今までとは比べ物にならないほどの大きさだ。
イチカ「こ…これは?」
ノルン『この世界を平和へ導くための光明と成り得る力です。あなたが守りたいと思う人々の為にお使いください』
イチカ「は…はい……」
これまさか…試練みたいなものなのかな?でも、合格したようで良かったけどさ……
ノルン『餞別はもう一つございます。古代の人たちが勇者を守護するために作製した、意思を持つ戦闘ドロイドです。さあ、どうぞお受け取りください』
えっ、まだ何かあるの?もう気持ちだけで充分なんですけど……ってか…ドロイド!?
≪ゴゴゴゴゴゴ……≫
そう思った瞬間、地面が揺れ出し地震かと思った矢先、床の一部が抜け、石で出来た大きな棺が迫り出してきた。
イチカ「こ…これが……」
恐る恐る中を覗いてみると、そこにはエクセラさんにも見えなくもない美少女…というか美女?
それよりも、長い髪を纏めてる髪飾りのところに身の丈近くもある大きな刃物が付いてるのが一番気になるんだけど……
≪スッ…キュイーン≫
「適合者の反応を確認、稼動条件オールクリア。
エース級戦闘ドロイド【ケルベロス】、起動します」
イチカ「えっ、動いた!?」
気になって髪飾りに触ったところ突然機械音と共に、ドロイドが動き出した。
「初めましてマスター、私はケルベロスです。以降より、マスターの命に従います」
イチカ「えっ?あ…ああ……こちらこそ初めまして」
ケルベロスね……立派な名前だな…このドロイドを作った人はとても聡明な人だったんだろな……
ケルベロス「それでマスター、私は何をすれば宜しいのでしょうか?」
イチカ「ああ……じゃあまず外に出ようか、仲間が心配しているだろうし」
ケルベロス「畏まりました。では着いて来て下さいマスター」
イチカ「お…お願いします……」
何か…敬語で言われるのは慣れてるけど、今回だけはなんかそう言うワケにはいかないな…何故だ?
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ケルベロス「ここが外です、マスター」
イチカ「ど…どうも……」
なんか気を使ってしまうな……
ってそれよりも……
イチカ「みんなは何処に……?」
ケルベロス「マスター、ここから10km先に多数の生命体の反応を確認。おそらくはマスターのお仲間と見て宜しいでしょう」
イチカ「本当?!」
みんなの事を探そうと思った時に、ケルベロスが何らかの方法で探知してくれたみたい。
ケルベロス「それだけではありません、更にもう一つ大きな反応を確認。おそらくは、バルバトスと思われます」
イチカ「何!?
良し行こう!みんなを助けに行くんだ!!」
ケルベロス「承知しました、マスター」
その直後にバルバトスの反応もあると聞いてすぐみんなの元へ向かおうと、ケルベロスを従えて走り出した。
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一方……
バルバトス「ぶるあぁああ!」
≪ズドドッ!≫
クロエ「うわ!」
エクセラ「くそっ!」
ミール達はというと、バルバトス一人を相手に苦戦を強いられていた。
ミール「お返しだ!
龍爪旋空破!!」
≪ザザザザッ!≫
バルバトス「ぬうぅ!」
ミール「ふん!そう楽にイかせると思うな!
吹き荒れろ狂乱の嵐!
シュタイフェ・ブリーゼ!!」
≪ドドドドッ!≫
バルバトス「うぉおお!」
ミールの猛烈な攻撃と……
ティア「あまり無茶したらダメよミール。
メディテーション!!」
≪パアァアア≫
クロエ「かたじけない、助かる」
ティア「お礼なんかいいわよ、とにかく今はバルバトスを倒すのが先決よ。
グランドクロス!!」
≪ドンッ!≫
バルバトス「ぬおぉ!」
ティアが術で支援をするから持ち堪えてはいるが、相手が太古の凶戦士で知られるバルバトスであるせいか、態勢は徐々に乱れつつある。
そんな時……
ーーーー
「マーシレスハント!!」
≪ドドドッ!≫
バルバトス「うおぉ!?」
『!?』
突然の銃撃でバルバトスが怯んだ。
ケルベロス「……」
イチカ「みんな!」
ミール「イチカ!」
クロエ「無事だったんだな!」
エクセラ「良かった!」
ソニア「心配したのよイチカ」
ティア「よく帰って来たわね」
イチカと共にいるケルベロスからの攻撃だった。
そしてイチカを確認した一堂は揃って本人のもとへ走り寄り、イチカの生還を喜んだ。
出来ればすぐ戦闘に入りたかったのですが、それだと長過ぎてしまうのでここまでにします。
さて、次回こそは戦闘。けれど描写は相変わらず自信がありません……