遊戯神と神子〜遊戯魔法の使い手〜   作:美山 朱雀

2 / 6
二話目投入!(っ∵ )っ⌒☆


1章
一話


――――ということで俺は予定通りトリックに転生したワケなんだが……、あのふざけた神様(クリム)から説明があったおかげで、特に問題も無く転生に成功した。

 

 最初こそ産婆に抱きかかえられた時はビックリした。しかしすぐに知らない女性の元へ持っていかれたが、前世の記憶からそれが母さんの元に連れて行ってもらえるとわかったおかげで不思議だが安心した。

 

肉体年齢とともに精神年齢も下がっているみたいだな。

さっきも泣いてしまったし……。まあ、産声だから当たり前で、泣かなくちゃまずいんだけどね。

早速母さんに抱きかかえられ、母乳を飲まされる。

 

う~ん、少し恥ずかしいな。

 

俺の母さんはは真っ赤な髪を腰あたりまで伸ばしていてとても美人だと思う。

俺が母乳を飲み始めるとほっとしたような顔になり飲ませ終わったらそのまま寝てしまった。

 

「セリア、お疲れ様。僕が君の父親のランバートだよ」

 

俺は息をつくまもなく父親と名乗った男性に抱きかかえられ頭をなでられた。

ちょ、痛いです。もう少し丁寧に扱ってください! なで方が少し荒いです。

 

しかもイケメンじゃねぇか! 何故か記憶が無いからわからんが、イケメンは敵って感じがするんだよな。

 

父さんは大切な物を守るようにぎゅっと俺を抱きしめ、優しい声音で俺の名前を呼んだ。

 

「君の名前はもうすでに決めてあるんだ。君の名は、リオン。リオン・フォン・リクシスだ」

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

三歳になりました、リオンです。

気付けば三年。いやあ、とっくに母乳も離乳食も卒業しちゃいましたよ。

 

今俺がどこにいるのかって? そりゃあ、自室でしょ。

書斎に行って本を読むとか怪しすぎるでしょ。ちゃんとお持ち帰りして(隠れて持って)来たんですから。

 

はいはい? たっち? 母さんと父さんには隠してたけど一歳でできてましたが何か? 文字? 読めちゃうよ? だって前世あるから記憶無くても知識はあるじゃん? 発声言語が同じだから文字訳しちゃうだけでいいんだぜ?

 

そんなことよりも今は「魔法書〜初心者編〜」を読まなくちゃ。

 

「しゃて、どんなないようなのかな?」

 

え? 聞き取りづらい? まだ三歳なんだ、声帯が発達してないんだ、妥協してくれ。舌がうまく回らないんだよ。

 

やっぱり異世界来たら魔法でしょ! 魔法だよ!? どう考えても使うしかないでしょ?

 

なになに? 魔法とは事象を超えた神から与えられし産物である、か。……まあそうですよね、俺もクリムから貰ったもん。

 

この魔法書〜初心者編〜では初心者の目線になって必死に著者が書き記した、血と汗と涙の結晶です。

 

……おい! 初心者編で血と汗と涙流しちゃったら中級者編以上はどうなるの!? もういいや、先を読もう。

 

えーと、この本では主に属性魔法の説明とその用途、攻撃魔法の解説と呪文を取り扱っています。

まず、魔力を集めます。しかし魔力を感じることが出来なければ魔法はまず使えません。

 

成程、俺のセンスが問われる訳だ。この俺様の類稀(たぐいまれ)なる魔法センスでこの世の全ての魔術を俺様の物にしてやるぜ!

 

……すいません。調子乗りました。いや、あるじゃないですか。こういうテンションの時。あ、そこの人! 石を投げないでください! さっきから、俺誰に向かって言ってるんですかね?

…………。さ、気を取り直してやってみよう!

 

次は何をするんだ? はいはい。深呼吸するのね……。身体全体の内側に何か暖かいものを感じるな……、これが魔力か。感じれたことだし次のステップ行ってみよう。

 

魔力を感じることが出来たら、簡単な生活魔法を使って見ましょう。魔法は込める魔力量、呪文を唱えるスピードで発動した魔法の出力が変化します。

魔力は込めた分だけ威力や勢いが増します。

呪文ですが、詠唱と唱えるは違います。

呪文を唱える、これを「詠唱」と言いますが、詠唱が短ければ発動する速度が早まり、「唱える」スピード、詠唱速度をその呪文のレベルによって定まっている速度で唱えれば、発動した魔法が安定するとされています。

 

ふむふむ。長いっ!! 難しい! 前に本で軽く読んだけど、そりゃあこの世界に魔法師(魔法を使える人)は少ないよ! だってこれセンス(才能)と努力の塊じゃん!

 

まあいいさ、魔法の才能は神にもらったし……、大丈夫だよな?

とりあえず生活魔法の火からいってみよう。

 

火の精霊よ、(こた)(たま)え、我に火の力を! トーチ!

 

え、これ言うの? 言うんですよね? 言っちゃうんですよね?

 

「ひのようしぇいよ、こらえたらえ、あれにいよちきゃらを! とーち!」

 

……………………。

 

何も起きねぇじゃねえか! 何だ? 発音の問題か? 試しに心の中で言ってみよう。

 

火の精霊よ、応え給え、我に火の力を! トーチ!

 

「うわぁっ!?」

 

試しに言ってみたら右指からガスバーナーみたいに火が吹き出したぞ!?

これはヤバイ! カーテンに燃え移ってる!

身体が思うように動けない……!?

そうか、俺まだ三歳だった!

ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!

 

「何か臭いますね……、ってリオン様!?」

 

メイド長!! あぁ、助かったぁ!

メイド長が来てくれれば安心だ……。何でもできる万能メイドだからな。

 

「水よ! ……なんで火が出ているのかしら? まさか!?」

 

あ、ちょっと! 魔法書取り上げないで!

俺にはこの世の全ての魔法を使う夢があるんだ! 情けをくれ! メイド長〜!!

 

「そんな……、ありえない。三歳の子供が魔法を使うなんて……。普通なら生活魔法のトーチだけで魔力枯渇するはずなのに……」

 

先程の魔法書にも書いてあったな、トーチでは暗い中明かるくして周りを(とも)すことしか出来ないって。

魔力を込めすぎたのかな……? でもさっき使った感触的にはまだまだ行けるんだが……。

 

「リオン様、失礼します」

 

メイド長は理を入れてから俺の身体を調べるように撫で回した。

いや、決して変な意味じゃないぞ? ただの触診だ。

 

え? 何も感じなかったのかって? そりゃあ今の精神年齢三歳だし? 性欲はわかないけど目の前でゆさゆさ揺れてた双丘が目の保養になったとだけ言っておこう。

 

「やはりリオン様が魔法をお使いになったようですね……、これは奥様にご報告しなければ」

 

メイド長は魔法書を持って、俺に「リオン様、もう魔法は使ってはいけませんよ?」と指を立てて注意した後、足速に部屋を出て行った。

多分母さんのところへ行くのだろう……。

 

はぁ、先が思いやられる。母さんが魔法に絡むと面倒事にしかならないんだよな……。

 

俺はため息をつくと、大人しくその場で母さんが来るのを待つことにした。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「リオン! 魔法が使えるのね? あぁ! こんなに嬉しいことはないわ!」

 

俺の様子を見にくるはずだった母さんは、俺を高い高いしてブンブン振り回す。

お、おうぇ。母さん、吐いちゃいそう。その綺麗な赤い髪を汚しそうです。

 

すると俺の表情から何かを察したらしく母さんは俺を抱き抱えてソファーに座るとメイド長に鑑定石を持って来てちょうだいと告げると俺に頬擦りをしてきた。

 

「そうよね〜、リオンは魔導師になるんだもんねぇ〜。魔法師なんかさっさと超えちゃいましょっ!」

 

俺が反応に困っていると部屋のドアが壊れそうな勢いで開いた。

そこには焦燥の色を顔に浮かべた父親が俺に向かってくる。

 

「リオン! 違うよな? お前はリクシス流剣術を引き継いで立派な騎士になるんだよな!?」

 

そう、俺が先程言った面倒事にしかならないとは、両親が俺が「魔法師になるか騎士になるか」で毎回揉めているため、魔法がバレた時は憂鬱な気分になったんだ。

 

「違うわ、ランバート! リオンは魔導師になるのよ!」

 

「いいや、セリア! この子は騎士になるべきだ!」

 

毎回毎回よく飽きないな。俺はこんな両親が好きだけど俺が魔法を使える事で全て解決すると思うんだが……。

 

「剣術はこの子の兄弟に継がせれば良いじゃない!」

 

あー、お二人共仲良いですもんね。隣の寝室から毎晩ギシギシ聞こえてますもんね。この件にならなければ見ていて鬱陶しい程のイチャつきぶりなんだけどなぁ。

そろそろうるさいので俺が解決策を出してやろう。

 

「かあさん、とうさん。ぼく、まどうしにも、きしさまにもなるよ! がんばるからけんかしないで?」

 

喰らえ! 俺の必殺! 天使の微笑み(エンジェルスマイル)

見ろ! このもう喧嘩やめてという可愛いこの顔を! 最初鏡で見た時に誰だがわからなかったよ!

え? 口調が違う? 俺はいい子ですからね。

 

「うぅっ、リオン。あなたは母さんの自慢の息子だわ……」

 

「リオンっ、お前ってやつはぁ! 流石僕の息子だっ!」

 

「ぼく、がんばるよ!」

 

「……………………」

 

ひしっ! と三人で抱きつく家族を、丁度鑑定石を持ってきてその場にいたメイド長だが、俺ら家族の法要が解けるまで待ってくれていた。

メイド長、君は優しい! 褒めてつかわそう。

 

「鑑定石をお持ちしました。早速始めますか?」

 

「ええ。家族の意見もまとまりましたし、始めましょう」

 

俺の目の前に置かれたのは鑑定石。

鑑定石とは丸い水晶のようなもので、魔力量の多さと自分の属性が分かる。

鑑定方法は鑑定者の両手を鑑定石に乗せるだけでいい。

 

魔力量の判定は良くあるモヤの大きさで決まる。

属性判定は、

火は赤色

水は青色

風は緑色

地は茶色

光は白色

闇は紫色

と、それぞれの色にモヤが光り、全属性の適性がある場合は虹色に光る。

 

大きな街や王都にある神殿に行くと魔力量が数値化され、細かい属性適性判定ができるらしいが、貴族でもない限りその必要はない。

 

何故貴族が必要なのかというと、単に「自分はこれだけすごいんだぞ」という一種のステータスになるからだ。

 

中小貴族は大貴族に「自分は使えますよ」とアピールし、その大貴族の恩恵を受けることができる。

大貴族は使える格下の貴族を参加に加えることができるため、Win-Winの関係を築けるという訳だ。

 

閑話休題。

 

俺は両手を重ねて鑑定石の上に乗せる。

 

「あなた……、これは予想以上だわ……」

 

「そうだね、僕は予想を遥かに超えられちゃったよ……」

何故このような反応になったか、それは鑑定石にある。

鑑定石の中のモヤは溢れそうなほどの虹色で埋め尽くされているからだ。

二人が驚愕の表情で俺を見つめる中、俺の顔はホクホクしていた。

 

よし、これで魔法を使って楽に人生を送ろう!

 

しかし俺の人生は早くも地獄を見ることになりそうだ。

 

「これは訓練を厳しめにしないと……」

 

「そうだね。これだけ魔力量があれば強化魔法も覚えられる。ビシバシいこうか」

 

…………、せめて殺さないでくださいね。父さん、母さん。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。