今回は短めです。
私────セリア・フォン・リクシスは幸せです。
実家はクレアス伯爵領の領主をやっています。
幼少期は好きな物は手に入り、何不自由無く育ちました。
魔法の才能もあり、実家では蝶よ花よと育てられました。
ですが私はそれだけでは飽き足らず、スリルを求めて屋敷を抜け出し街へ夜遅くまで出歩いていました。
その日も夜遅くまで出歩き、ふと可愛い猫がいたので不用心にも路地裏へと追いかけて行きました。
気がついた時には周りを数人の男に囲まれていて、皆下卑た顔でこちらを見ていました。
完全に油断してました、いえ、自信過剰だったのですね。
私には魔法の才能があったのですぐに解決できると思い込んでいました。
しかし現実はそこまで甘くなく、あっという間に捕まり、男達の手が胸元まで迫っていました。
怖くて怖くて仕方ありませんでした。
そんな時です。さっそうと現れた一人の少年があっという間に男達を
夜中だったため、影で金髪碧眼の綺麗な顔をしていたのをちらりと見れた程度で細部までは見られませんでした。
「君、こんな夜遅くまで出歩いてると危ないよ? 僕が来なかったらどうなっていたか分かるよね?」
お礼を言いたかったのですが、恐怖で口が開かなくて言えませんでした。
その少年は「じゃあ」と言って右手を挙げて去って行ってしまいました。
その時は胸がときめいたものです。これが恋なんだと。
この日は真っ直ぐ屋敷に帰ったのですが、ベッドではどきどきして寝られなかったのを覚えています。
数日後でした。父から婚約者が決まったと言われ、その日はショックで立ち直れませんでした。
私が結婚し、支えてあげたいのはあの夜に出会った少年だったのですから。
そして、婚約者が屋敷にいらっしゃいました。
憂鬱な気持ちでいっぱいの中、綺麗な赤色のドレスで婚約者の部屋に向かったのです。
ですが部屋に入った瞬間後悔したことがありました。
この頃は魔石を使った静止画を撮れるという魔道具が流行っていました。
貴族は息子、あるいは娘の婚約者を静止画に収めて見せるという風習が出来上がりつつありました。
当然私の家にも届いていたのですが、何せ見る気が起きませんでしたから。
私はかなり前に撮っていたので相手の家には送られていたでしょうけど。
そうです。部屋の扉を開けて婚約者として座っていたのはあの少年でした。
名をランバート・フォン・リクシスと言い、リクシス辺境伯家の嫡男でした。
少年は頬をかきながらにっこり笑いました。
もうあれですね、この瞬間私は
ズキューン!!
私にはハートの矢をつがえた天使が私はを撃ち抜いた音が聞こえましたよ。
その後二人きりになった瞬間吹き出してしまいました。
貴族の嫡男が冒険者をやっているなんて、騎士見習いならわかりますけれど。
何も冒険者をバカにしている訳ではありません。ただ、ランバートなら騎士見習いになれるのに、夜な夜な抜け出して冒険者をしていたらしく、それがバレた時の顔がもう最高だったんです。
それからお付き合いをさせてもらって、二人で旅や冒険をして、いい経験になりました。
楽しい日々を仲間とランバートと過ごしてきました。
そんなこんなで結婚し、子供にも恵まれました。
あとは息子も魔法師になれるということで私はこのこの才能を伸ばし、ゆっくりと家族で暮らしていきたいですね。