インフィニット・ストラトスW ハーフボイルド一夏 作:ベロリンガRX
それはあまりにも異質な存在だった。全身装甲のISはまだいい。だが、アレは何だ?ISにしては趣味が悪すぎる。蜘蛛が突然変異したものとか?それこそありえない。それなら何故人型なんだ。アレの正体が全くつかめない。
「ちょっと!あんた達一体なんなのよ!?あたし聞いてないんだけど!!?」
鈴が正体不明のISと蜘蛛怪人に問いかける。
『……………………』
全身装甲のISからは返答がない。そして蜘蛛怪人は――――
『………ふむ、聞いていた話とはだいぶ違うが、あの二色の全身装甲がターゲットか』
喋った。しかもあいつは俺がターゲットだと言った。
「誰だよお前……生憎蜘蛛男に知り合いなんかいねぇぞ」
『本来聞いていた話によると白いISだと聞いていたが……まぁいい。貴様のISは俺が頂くぞ』
俺の話なんかまるで聞いちゃいねぇ。
「さっきから言いたい放題言いやがって……お前みたいなのにやられるかよ!」
いい加減こいつの戯言に付き合ってやる気も失せたのでさっさと片付けてやろう。そう思っていた次の瞬間―――
ズドォォォン!!
「うおわッ」
蜘蛛怪人に気を取られてすっかり忘れていた全身装甲のISがビームを乱射してきた。なんとか紙一重で躱す俺と鈴。
「あぁっ、もう。鬱陶しいわね!そんなバ火力ビームバカスカ射ってくるんじゃないわよ!」
『騒がしい女だ。まず貴様から葬ってやろう!』
蜘蛛怪人が鈴に手から蜘蛛の糸を飛ばしてきた。鈴は青龍刀で飛んでくる糸を切り払っているが全身装甲のISのビーム兵器と蜘蛛怪人の蜘蛛の糸の2つを同時に相手取るのは実に面倒だ。
「おい、フィリップ。あいつら一体なんなんだ?」
「おそらく、全身装甲のISの方は人間じゃない」
「人間じゃないだって?ISに無人のISなんて存在しないんじゃなかったのか?」
「いや、今まで無かったからといってこれから完成しないなんて道理はない。おそらく僕たちの知らないところで秘密裏に作られていたんだろう」
「それじゃああっちの蜘蛛怪人は?人間じゃないって言うのならあいつだって……」
「いや、奴はれっきとした人間だ。それもISを使っていない」
「ISじゃない……じゃあ一体あいつは何なんだよ」
「おそらく……あれは『ガイアメモリを使った人間』だ」
「は?ガイアメモリだって!?」
「ガイアメモリをドライバーを使わず直接体内に挿入した状態だと思う。メモリと言う不純物を使ってドーピングする怪物……『ドーパント』と言ったところだね」
「じゃああいつは蜘蛛のメモリのドーパント……スパイダードーパントってところか」
「一夏、フィリップくん。いつまでも逃げてばかりってのも癪に触るからとりあえずあっちの全身装甲の奴片付けちゃうわね」
「鈴ちゃん大丈夫かい?君のISも万全の状態じゃない。無理は禁物だよ」
「わかってる。だからあっちの蜘蛛はよろしく!」
そう言うと鈴は全身装甲のISのビームを器用に交わしながら突っ込んでいった。
「大丈夫なのか?あいつ一人で」
「心配なら早くドーパントを片付けよう。それに、メモリには同じメモリで対処できるしね」
「どうすればいいんだ?メモリを入れた場所を見つけるとかか?」
「そんな面倒な事はしなくていいよ。Wにはあらかじめ対メモリ用に調整された設定がある。その状態でマキシマムドライブを食らわせればメモリを破壊・排出させることができる。」
「メモリブレイクってとこだな。よし、それじゃあ一発熱いのかましてやるか」
「一夏、ドーパントが相手でもISとの戦闘とあまり変わらないんだ。メモリブレイクするために相手の体力を削っておく。ISのシールドをある程度削らないとマキシマムドライブが使えないのと同じだよ」
「必殺技は弱らせてから……まぁ当然だな」
『何をさっきからごちゃごちゃと喋っている!これでも喰らえ!』
フィリップと俺が話している隙に蜘蛛怪人改めスパイダードーパントが糸で俺の左腕を拘束してきた。
「うわっ、しまった」
「心配はいらない。ヒートにチェンジだ」
フィリップが封じられていない右腕でサイクロンメモリとヒートメモリを取り替えた。
<ヒート・メタル>
俺の右半身が赤色に変わり、全身に炎を身にまとった。俺を拘束していた蜘蛛の糸はあっさりと燃え尽き、スパイダードーパントは驚きを隠せないようだ。
『何だとっ!貴様、ガイアメモリを!?』
「今更気がついたのかよ。まぁいい、覚悟しやがれ蜘蛛野郎!」
『おのれ舐めるなよ!俺の蜘蛛爆弾を喰らえ!』
スパイダードーパントが口から小さな蜘蛛を飛ばしてきたそれは地面に着弾すると同時に爆発する。
「うおっ、あぶねぇ」
「ハハハハハ!そら、このまま爆死しろ!」
群がるように大量の蜘蛛爆弾が飛んでくる。それを躱し、メタルシャフトで叩き落とす。完全に防一戦だが、そこにISのビームの流れ弾まで飛んでくる。
「めんどくせぇな……いくら鈴が相手してるって言っても飛んでくる流れ弾はどうにか出来ねぇのか」
「そうだ、だったらそれを利用してしまおう。ISのビーム兵器を誘導してドーパントにぶつけるんだ」
「なるほど……あれだけの威力があれば一気に行けるか。不意も付けそうだし」
思い立ったら即行動。空中戦を繰り広げている鈴と全身装甲ISの下へ飛んでいく。
「ちょっと一夏!あの蜘蛛は頼んだって言ったのに何こっちに来てんのよ!」
「わりぃな鈴、少しコイツ借りるぜ」
そう言って俺は全身装甲ISの前に躍り出る。
「ついてきな、遊んでやるぜ!」
俺の挑発に乗った全身装甲ISは俺を追い回し始めた。しかしメタルメモリのせいでスピードが出ないのでなかなか避けるのが難しい。まぁ無理ではないが。
『鈴ちゃん。僕と一夏が奴の攻撃を誘導してあの蜘蛛にぶつけるから、そのタイミングでこのISに全力で衝撃砲を打ち込んでくれ』
『了解よ!全力全開フルパワーでぶち込んであげる!』
フィリップがプライベートチャンネルで鈴に協力を呼びかける。準備は整い、後はタイミングだけとなった。
『クソッ、ちょこまかと飛び回るな!ハエめっ!』
下から蜘蛛爆弾。上からビーム。蜘蛛爆弾は避けづらいが叩き落とせるのでそこまで問題ではない。ビームも早いしデカイが射出までのわずかな硬直でフィリップが先読みして回避できる。あともう少し……できるだけドーパントに気づかれないように、それでいて奴の回避が間に合わないくらいの距離で交わし続ける。そして……
「今だ!鈴!」
「オッケイ任せて!」
俺が鈴に合図を送ると同時にISがビームを放つ。それをギリギリまで引きつけて……躱す。
『何ッ、グワァァァァァァァァァッッ!!!』
ドーパントも気づいた次の瞬間には眼前に迫っていたビームを躱す術はなく、直撃を食らった。
そしてそれと同時に鈴の衝撃砲が火を噴く。吹き飛んだISをメタルシャフトで思いっきり叩き落とす。
ドーパントも瀕死。ISも残りシールド僅か。そろそろ終わりだな。
「フィリップ。終わらせるぜ」
「あぁ、メモリブレイクだ」
<メタル・マキシマムドライブ>
「「さぁ、お前の罪を数えろ!!」」
メタルシャフトの先端に高熱が発生する。発生した高熱を噴射し、その推進力り載せてドーパントとISに必殺の一撃を叩き込む。
「「メタルブランディング!!」」
マキシマムドライブがISとドーパントに直撃し、ISは沈黙しドーパントは爆発して人間に戻り、メモリも破壊された。こうして俺達の初めてのドーパントとの戦いは終わった。だが、これはほんの始まりの合図に過ぎなかったということを俺たちは知る由もなかった。
バトライドウォーヤバい。W超かっこいい。次回はシャル&ラウラ+Aが出る予定