インフィニット・ストラトスW ハーフボイルド一夏 作:ベロリンガRX
俺の名前は織斑一夏。鳴海探偵事務所で探偵見習いをやっていた男だ。
現在俺はこれまたピンチに陥っていた。
その原因はというと………
「おい箒。」
「な、なんだ」
「お前のおかげで剣道の腕は大体以前の感覚を取り戻したといっていいだろうよ」
「そ、そうだな」
「それはいいんだよ。でもな、お前俺に何を教えるんだったか言ってみろよ」
「…………………………………」
「 言 っ て み ろ 」
「………ISのことだ」
「そうだよなぁISのことだよなぁ!なのにこれまでの六日間を思い返してみろよ!六日間まるっと全部剣道の稽古にあててんじゃねぇよ!おかげでこっちはISの事ほとんどぶっつけ本番なんだぞ!」
あろうことか、こいつは六日間の間のすべての時間を剣道の稽古に当てやがったのだ。
おかげでこっちでできたのはISの基礎を少しかじった程度の知識とセシリアのIS『ブルー・ティアーズ』のほんのわずかな情報のみである。
「し、仕方がないだろう。お前のISもなかったのだから」
「まぁその点についてはそうだが……体動かす意外にも方法あっただろうよ」
「………………」
「ハァ………それにしても、まだ来ないのか?おれのISは」
これはいろいろとマズイ事になった。俺専用のISが来るのはいい。だがあまりにも時間がかかりすぎているのだ。一体いつまで時間をかけるのか。このままではセシリアがいろいろ難癖つけてきそうで面倒だ。と、その時。
「お、織斑くん織斑くん織斑くんっ!」
山田先生が駆け足で俺たちの元にやって来た。
「山田先生。ISが届いたんですか?」
こんなに急ぎ足で走ってきたのだからおそらくそうだろう。そう思っていたのだが……
「い、いえ、そのですね、おっ、織斑くんに、お客さんが来てるんですよ。」
「客だって?俺にか?」
「は、はい。今こっちに向かってるそうです。」
俺に客だなんて、一体誰なんだ?
そう考えていると足音が二つ聞こえてきた。
おそらく一つは千冬姉、もう一つが俺の客なんだろう。
「織斑、お前に客だ」
「やぁ、久しぶりだね。一夏」
振り返るとそこには、銀色のアタッシュケースを持った『俺の相棒』がいた。
「よぉ、元気そうだな。フィリップ」
「一夏も大変そうだけど、元気そうだね」
相変わらずの人懐っこい笑顔でフィリップが話しかけてくる。
「フィリップ?知り合いか?一夏」
「あぁ、こいつはフィリップ。おやっさんのところで俺と一緒に探偵見習いをやってた俺の相棒だ」
「君が篠ノ之箒だね。君のことは既に検索済みだよ」
「け、検索?」
「そんなことよりフィリップ。お前がこんなタイミングできたってことは何かあるんだろう?」
「流石一夏だ。鋭いね」
そう言ってフィリップはアタッシュケースを俺に差し出してこう言った。
「君のISを届けに来たのさ」
「何?これがIS!?」
「開けてみたまえ」
フィリップに言われてアタッシュケースを開く。
中にはベルトと思われる物と……六本のUSBメモリのような物が入っていた。
「これが……一夏のIS……なのか?」
「そう。これが僕たちのIS。二人で一人のIS『W』だ」
「二人で一人のIS?」
「ベルトを装着してみれば後の事はわかるよ。」
少し戸惑いながらも俺はベルトを腰に装着する。すると頭の中に大量の情報が流れ込んでくる。俺が初めてISを起動させた時と同じだ。
そして俺の腰にベルトが装着されると、フィリップの腰にも同じベルトが装着されていた。フィリップはアタッシュケースの中から三本のメモリを取り出し、緑のメモリを選んだ。
「さぁ、そろそろ時間なんだろう?早くしようじゃないか」
「……ああ、そうだな」
俺は残りのメモリを取り出し、その中から黒いメモリを選んだ。
「行くぜフィリップ!」
俺はメモリのボタンを押す。
<ジョーカー>
「一夏、キーワードはわかるね?」
フィリップもメモリのボタンを押す。
<サイクロン>
もちろんだ。と頷きながら俺とフィリップはこう叫んだ。
「「変身!!」」
フィリップのメモリがベルトに装填される。するとフィリップのメモリは俺のベルトに転送された。そして緑のメモリを押し込み、俺の黒のメモリを装填。そしてバックルを展開する。
<ファーストシフト>
<サイクロン・ジョーカー>
メモリの音声と共に全身に装甲が展開されていった。
緑と黒の装甲に真紅の複眼。首に巻かれたマフラー。それはまさしく『変身』だった。
「全身装甲か……それにさっきのメモリといい、普通のISじゃないな」
千冬姉が俺のISについて考察している。すると千冬姉の隣りに立っていたフィリップが倒れる。
「なっ、おい、どうしたフィリップ!しっかりしろ!」
「大丈夫、問題ないよ。織斑千冬」
千冬姉、山田先生、そして箒が驚いた様子で俺……いや、『俺達』を見る。
「まさか……フィリップが、一夏の中に!?」
「言っただろう。二人で一人のISだって」
「そ、そんな無茶苦茶な」
「い、いったい、ど、どうなってるんですか?」
「さぁ、行こう一夏」
「あぁ、でもその前に……箒」
「な、なんだ?」
「行ってくる」
「あ……ああ、勝ってこい」
さぁ、箒に勝つ約束までしたんだ。これで勝たなきゃ何がハードボイルドだ。
ゲートが開く。その先に『敵』が見える。だが臆することはない。俺は最高の相棒と最高の応援を受け取った。体が浮かび上がる。拳に力が入る。いざ、決戦の時だ。
次回、いよいよVSセシリアです。