インフィニット・ストラトスW ハーフボイルド一夏   作:ベロリンガRX

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その名はW/これで決まりだ!

「あら、逃げずに来ましたのね」

「おう、待たせちまったなレディ。なんとかパーティーには間に合ったみたいだな」

「それにしても……あなたのISは随分と軽装なのですね。そんな装備で大丈夫なのかしら?」

セシリアは物珍しそうにこちらを見てくる。ISにしては珍しい全身装甲、それも左右二色の独特の雰囲気を醸し出すWならなおさらだろう。

 

「大丈夫だ、問題ねぇ」

「それに敵を見た目で判断するのは良くないよ。セシリア・オルコット」

「……なんですの。いきなり声を変えたりして」

当たり前と言えば当たり前だが、セシリアはフィリップのことには気づいてないらしい。まぁ、逆に気づいていたらそれはそれで末恐ろしいが。

 

「ああ、そういえば君は知らないんだったね。僕は――」

「待て、フィリップ。これから戦う相手にわざわざこっちの情報教えてやる義理はないだろ」

「今度は一人芝居だなんて……あたな、わたくしをどこまでコケにすれば気が済むのですか!?」

「いやだから馬鹿になんかしてねぇって……」

ホントこのレディには短気は損気って言葉を送りたいね。

 

「ふん、まぁそんなことよりも。あなたに最後のチャンスをあげますわ」

「あん?最後のチャンス?」

いきなり何言い出すんだコイツ?

「わたくしが一方的な勝利を得るのは明白の理。ですから、ボロボロの惨めな姿を晒したくなければ、今ここで謝るというのなら、許してあげないこともなくってよ」

いわゆる最後通告ってやつのつもりか。

「あんなこと言われてるけど……どうする?謝るのかい?」

「ヘッ、馬鹿言ってんじゃねぇよ。なんで勝てる勝負で引かなきゃいけねえんだ?」

「そう?残念ですわ。それなら――」

「来るよ、一夏!」

「おう、いつでも来やがれ!」

 

「お別れですわね!」

セシリアが銃のトリガーを引く。砲口からエネルギー弾がこちらの体を射抜かんと飛翔してくる。

それを紙一重で回避する。

「あら、少しは出来るようですわね」

「ったりめぇだ!舐めんな!」

「でも躱してばかりではわたくしには届きませんわよ!さあ、踊りなさい。わたくし、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲で!」

そう言うなり、ブルー・ティアーズから射撃の豪雨が降り注ぐ。

俺もサイクロンメモリのスピードのおかげで何とか凌いでいるが完全にあちらのペースだ。これはマズイ。

 

「クソッ、これじゃあキリがねぇ」

「一夏、ジョーカーメモリじゃ不利だ。メモリを変えよう」

「わかった。メタルで全部叩き落とすぞ!」

俺はスロットに入っているジョーカーメモリを引き抜き、メタルメモリと交換した。

<サイクロン・メタル>

音声とともに俺の左半身の色が変わる。そして背中にはメタルメモリの武器『メタルシャフト』が現れた。

 

「色が変わった……成程、そのメモリで換装をおこなうのですね」

「ご名答。正解者にはきっつい一撃をプレゼントだ!もってけ!」

「本気ですの?中距離射撃型のわたくしに、近距離格闘装備で挑もうだなんて……笑止ですわ!」

 

すぐさまセシリアからエネルギー弾の嵐が襲いかかる。

だが、セシリアの余裕の笑みは、一瞬にして驚愕に染まる。

「オラオラオラオラオラァ!」

それはまるで、嵐と嵐の衝突。セシリアの打ち出す射撃の嵐の中、一夏はメタルシャフトの旋風棒術で弾く。弾く。弾く。弾く。

「ハァッ!」

一瞬にしてセシリアに肉薄する。しかしセシリアも簡単には攻撃を許さない。

「させませんわ!」

メタルシャフトの一撃が放たれる直前にブルー・ティアーズのBTレーザーが一夏を襲う。

「ガァッ!」

「一夏、気をつけるんだ。あのISはビット兵器が搭載してあるようだ」

被弾してしまったが、メタルメモリの力で大したダメージは受けなかった。

そして、セシリアもこの瞬間に理解した。目の前の存在の強大さを。あれは間違いなく強い。決して余裕を持って倒せる様な相手ではないと。

 

「なるほど……どうやらわたくしはあなたを過小評価しすぎていたようですわね」

改めて俺に目を向ける。その目には明らかな闘争心が感じられた。

「先程までの無礼、これからのわたくしの全力を持って謝罪とさせていただきますわ」

「上等だ、かかってきやがれ!」

こうして一方的な狩りと思われていた勝負は、正真正銘の『決闘』となった。

 

 

撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。

銃口から。ビットから。四方八方から射撃が飛び交ってくる。

それを弾く。弾く。弾く。弾く。弾く。弾く。

正面から。右から。左から。後方から。上から。下から。

射撃の包囲網を自力でどうにか突破していく。

それでもセシリアは敵を近づけさせようとはしない。

手が届きそうになれば目の前が真っ白になるほどの膨大な量の射撃を打ち込んで決して近寄らせない。

 

「クッ、全然近づけねぇ」

「そう簡単にはやられませんわよ!」

「どうする、トリガーにチェンジするか?」

「いや、ここはルナでいこう」

そういうとフィリップがサイクロンメモリとルナメモリを交換する。

<ルナ・メタル>

今度は右半身が黄色に変化した。

 

「また変わった……でも武装に変化はない?」

今度は何が起こっているのかわからない分、余計に警戒するセシリア。

しかし、人間とはいくら警戒しようとも予想外の自体には弱いものである。

「いくぜ、オラァ!」

勢いよくメタルシャフトを振り回す。すると同時に。

メタルシャフトが伸びた。

まさか鉄の棒があんな風に伸縮自在になるなどとは夢にも思わなかったセシリアは、あっさりと拘束されてしまった。

「キャッ!なっ、なんですの!?」

「捕まえたぜ!」

俺は簀巻き状態のセシリアを思いっきり地面に叩きつける。

 

ドゴォォン!!

とてつもない轟音がアリーナに響き渡る。

セシリアも何とか無事だったが、絶対防御が発動してしまい、残りのエネルギーもわずかとなってしまった。

 

「そろそろ決めるぜ、フィリップ」

「あぁ、マキシマムドライブだ」

<サイクロン・ジョーカー>

メモリを交換し、セシリアに止めの一撃を叩き込むためにジョーカーメモリをマキシマムスロットにセットする。

「「これで決まりだ!」」

<ジョーカー・マキシマムドライブ>

俺の周りに緑の竜巻が発生する。それはまるで、風の力をその身に取り込んでいくように見えた。

「「ジョーカーエクストリーム!」」

そして俺達はセシリアに向かって必殺の一撃を叩き込む。だがセシリアもただでは負けはしない。

「クッ、まだ終わってませんわよ!」

セシリアの射撃が俺達を捉えたかに見えた。

だが、俺達はエネルギー弾が直撃する瞬間に左右真っ二つに分離した。

「なっ」

「「ハァーーーッ!」」

そして俺達のジョーカーエクストリームがセシリアに炸裂した。

凄まじい爆音と共にブザーが鳴り響いた。

『試合終了。勝者――織斑一夏』

 




次回、ダブルドライバーやガイアメモリの説明会(予定)
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