今回は、凪のあすから3周年を記念して、自分でもオリジナルストーリーを作ってみました。今年の夏にこの作品を見て、とても感動しました。
と、いうわけで、自分の頭で妄想し、一応一通り流れを考えて、投稿しています。
他作品もあり、それとはまた違った感じの作品なので、皆さんを楽しませられるかわかりませんが、自分で書きたいと思った作品ですので。気楽に行かさせていただきます。
では、一話目をどうぞ!
一面に広がる青い空。雲は所々に浮き、青空のキャンパスを彩る。
このコントラストがとても美しい。
その下に、今度は一面青く染まり、日光が反射して光り輝く海がある。
澄んだ海からは下の世界が良く見える。様々な魚たちが群れをなして泳ぎ、クラゲは優雅に透明の傘のような部分をヒラヒラさせて、漂うように泳ぐ。
そして、
『昔、人は海に住んでいた』
元々人は陸にはいなかった。"海神様"という神様のもとで不自由なく、大勢が暮らしていた。
しかし、海にしか興味のない人ばかりではない。陸にあこがれた人たちは海神様がくれた、海で生活できる特別な羽衣の
海を捨てたのだ。
だが、陸での生活は苦難の連続だった。
海の生活ではまずない日照り、水不足から起こる争いなど。自分たちの思い描いた生活など全然できない日々が続いた。
あるとき、これらの苦しみは海神様が起こっているからだ!と考えた彼らは、それを沈めるためにある儀式を行った。
それは少女を生け贄とし、船に乗せて海に流す、というもの。
これが"おふねひき"の始まりである。
この儀式は現代でも年に一回行われているが、勿論流すのは少女ではなく米や菓子などだ。
そして、今現在海に住む人間たちは、海神様と生け贄として出された少女の子の子孫だという。
陸に上がっていった人の方が多く、数多くあった海村はもう数える位しかない。それに加えて人口減少も懸念されている。
主に白や青で統一された色の家々がなだらかな傾斜に建ち、段々となって並んでいる。
普通の家はもちろん、少し小さなスーパーなどの店、小学校に中学校などがある。
そこはいつも通り、人こそ多くないものの、互いに支え合いつつ賑やかな毎日を送っている。
――――"彼ら"もそうだ。
秒針が12を過ぎた瞬間、激しい耳障りな音が鳴り始める。
それを布団から必死に腕を伸ばし、ボタンを押して制止させる。
「……うーん、もう時間、かよ」
気持ちよく寝ていた時に急に起こされ、不機嫌のまま目をこすり、
寝起きでボーッとしていると、朝食のスープの匂いがうっすらとしてくる。
まもなく起きろと呼ばれるだろう。
はぁ、とため息をしつつ隣の居間に向かった。
「お、海遥。おはよう」
「はよー」
今台所で料理を作っているのは父の
「なぁ、海遥。最近さ、村の手伝いとかが忙しくてさ。だから……今週も料理当番を」
「やりません。ルールはルールやろ。2週間連続とかダルすぎ」
「ですよねぇ」
和洋は果那ノ海にある渦波神社の宮司をしている。そのうち海遥も後を継ぐのだが、今のところ興味がむかないのでどんな仕事をしているのか具体的には知らない。
それ以前に料理当番を代わりにやってあげる気分になれなかったので、和洋が言い終わる前に断る。
その後まもなく朝食ができて、丸いテーブルに置かれる。
卵かけご飯とスープ、とお茶。
2人のいただきますの合図で食べ始める。
『……警報、注意報は特にありません。また、昨日からの影響により午後の塩分濃度が高くなるでしょう。……』
テレビでは海中の予報を女性アナウンサーが解説している。
「今日から陸の学校だろ?用意とか大丈夫か?」
「大丈夫だよ。たかが始業式を別の学校でやるだけさ」
和洋の質問にご飯をかきこみつつ答える。
食べ終え、お茶を一気に飲み干した海遥は、自身の食器を台所に置いて再び自分の部屋に戻る。
壁に掛けられた制服を取り、パジャマを脱いで着る。
見た目は長袖の白ワイシャツで襟から肩、袖にかけて青い1本線がのび、カフスや前立てやポケット部分も青く色づけられている。ズボンは紺色の長ズボンだ。
ちなみに女子のは、上は男子と同じ感じで、下は端に青の線が入った白のスカート。
筆箱を入れたリュック型の鞄をつかんで、部屋を出る。
「言ってらっしゃ……あれ?それって青海中の制服じゃないの?」
一言かけようと振り向く和洋は、少し驚く。海遥が今日から行く陸にある
「あー、航大が「俺ら青海の魂は消えてねぇ!白風の制服は絶対に着るな!」ってうるさいから」
「あはは、彼らしいね」
事情を話すと、苦笑いで理解した。
玄関へ行く前に、居間にある一つの黒い仏壇の前に正座する。
そこには二つの写真が置かれていた。左には濃い赤で、後ろで髪を結った女性。右には同じ髪色で、ショートカットの小学生くらいの少女。
「いってきます。母さん、
海遥は目を閉じ、手を合わせた。
玄関で靴を履き、引き戸を開けて外に出る。
開けた音により、周りにいた魚たちが素早く泳いでいく。
海にまでくる太陽の光は、キラキラ輝く。
町も朝日で生き生きとした感じで、家の周りを掃除したり、小学生たちは笑顔で駆けていく。
知り合いの人たち何人かに挨拶をしつつ、目的の場所に向かう。
「……めんどいな。突っ切るか」
海遥は歩いていた道の手すり部分をジャンプして超えて、泳ぎ始める。彼の家は町から少し離れたところにあるためだ。
勢いよく踏み切ったところから、泡がブクブクッと出る。
そのまま道行く人を避けつつ、目的地に着く。細いポールの上に時計がついて建っている。そこには4人立っていた。
「ウイッス、海遥」
軽い感じで手を上げて挨拶してきたのは、茶色でツンツンとした髪型の
「……おはよ」
こちらを見て短く挨拶した、薄墨色の髪で目が少し隠れている彼は
「おはよう、海遥」
こちらの若緑色でボブカットの女子は
「おっはよー、みはっちゃん!」
元気よく手を上げて挨拶した、藍色のセミロングで右前を三つ編みしている彼女は
「うい、みんなおはよ」
「よっし、んじゃ行くか!陸の学校によ」
全員揃うと、航大を先頭に陸へと向かう。
集合場所のそばには隣町へと続く橋があるが、それは使うはずもなく、その橋からそのまま上へと泳ぎ出す。
「あー、緊張するなぁ。陸の学校生活はどんなんだろう」
「たいして海と変わらないんじゃない。ただ、どっかの誰かさんみたく遅刻ギリギリになっても泳いでセーフ、なんてのは使えないけど」
「うっ!」
今日から新しい学校だ。ましては今までとは違う環境。誰だって緊張する。
そんな澄澪に沙月は航大のことを馬鹿にするように言う。
「あれ、別に私は航大のことを言ったわけじゃないケド」
「はぁ?いや絶対それオレのことだろ!」
航大は沙月の発言に反応する。沙月は依然として知らんふりを突き通す。それを見ていた澄澪はそのやりとりを笑いながら眺めている。
それを追い越して、海遥と洋斗は泳ぐ。
「……朝から元気だな」
「まぁな。航大はむしろ元気じゃないと逆に不安になる」
「確かに」
2人はそんな会話をしつつ、地上へと少しずつ近づく。
「っ!」
5人は海面から顔を出す。
太陽の光がやけに眩しい。
手で日光を防ぎ、あたりを見回すとすぐ近くに埠頭から出っ張っている所を見つける。これは事前に、というか昔からここにあると知っていた。
「……ここを使うのは、久しぶりだな」
春休みあたりに白風中の見学に来たときは、別のところから上がってきたが、こちらの方が近道だ。
全員上がり、歩き出す。
「おお、海風がきもちーね!」
海岸線にそって歩く5人を、海風が優しく撫でるように過ぎていく。
それに合わせて澄澪の髪も綺麗になびく。
「やっぱり新鮮な感じだな。……で、今日他になんかあったっけ?」
「始業式ぐらいじゃね?あとは、俺らの自己紹介ぐらいだろ」
航大の素朴な疑問に海遥は少しめんどくさそうに答える。
海からやってきましたー、なんて言うのかと思うと海遥はなんだか気が引けた。
そんな会話をしていると、目の前の分かれ道から2人の男子が出てくる。おそらく彼らは白風の生徒だろう、制服でわかる。
二つの集団はほぼ同時にお互いの顔を見る。それまで来ていることに気づいていなかったのだ。
何気ないこの世界でも、何気ない光景でも、何気ない瞬間でも、運命は動き出す。
それは誰にもわからなくて、誰にも止められない。
人と人との巡り合わせは、時に様々な変化を起こすのだ。
薄い黒の少し髪の長い少年を、澄澪は見て目を丸くした。
その隣の、焦げ茶色の短髪の少年は、澄澪を見て少し頬を赤らめた。
これが、こんな出会いが、始まりだとは誰も知るよしもない。
ほんのちょっとした静止のあと、2人の方が先に歩いて行った。