魔法少女まどか☆マギカ×Fate   作:くまー

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以前にpixiv様に投稿した作品が原案。
妄想と好奇心で書きました。
終わり方は考えているので、そこに辿り着けるように頑張ります。


まどマギ×Fate プロローグ

 宝石の輝き。

 幾重もの世界。

 連なる因果。

 一つの道筋。

 

 

 

 ――――その日、少女は運命に出会う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――見滝原市。

 近年の著しい開発故に大規模な工場や高層ビルが乱立する、日本の地方都市の一つ。

 最先端技術が数多く導入されており、公共機関のみならず一般家庭にもタッチパネルによる操作などが普及している。

 例を挙げるならば、市内の学校施設に電子黒板や床収納式机などが導入されているほど。

 

 鹿目まどかは、そんな都市に住んでいる、どこにでもいる普通の少女である。

 

 見滝原中学に通う中学2年生。誕生日は10月3日。家族構成は母、父、弟の四人家族。

 仲の良い友人と学校に行き、真面目に授業を受け、友人と談笑しながら帰宅し、夜は家族との団欒を楽しむ。

 特別な何かが起こるわけでもない、平和な日常。どこまでも普通の――かけがえのない『普通』の日常を彼女は送っている。

 

 だがそんなまどかにとって、今日と言う日はいつもと違う日であった。

 

 不思議な夢を見て。

 その夢に出てきた少女が転校生としてクラスに編入して。

 少女を保健室に連れていく際に、何故か問いかけと忠告を受けて。

 でもその言葉が不思議と頭に残ったまま、今も離れない。

 それは放課後になって、友人の付き合いでCDショップに来た今も続いている。

 

「ハァ……」

 

 目の前でCDを選んでいる友人――美樹さやか――に気が付かれぬ様に、そっと溜息を零す。

 一応今日の転校生――暁美ほむら――との会話はさやかに話している。が、話した程度で胸中のモヤモヤが解決するはずもなく、今もまだ振り払えずに一人悩んでいる。

 

「ハァ……」

 

 だから、もう一度小さく溜息。友人から三歩ほど後ろに立って、胸中に巣くう憂いを霧散させるように、そっと吐き出す。

 

 ――――今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね。さもなければ、全てを失うことになる。

 

 何を暁美ほむらは意図していたのか。そして何を自分に伝えたかったのか。

 受けた忠告は抽象的で、明確な例を提示されたわけではない。だが不思議と無視をする気にもなれない。

 だからまどかは悩む。

 夢と、少女と、忠告の。

 不思議な一連の意味について、悩む。

 

『助けて!』

 

 声が聞こえたのは、悩みに溜息を吐き終えた、その次の瞬間だった。

 声に反応して慌てて周囲を見渡す。だが視界に映るのは買い物客に溢れたいつものCDショップであり、どこにも助けを求めているような人は見えない。

 現に目の前でCDを模索している友人は、今の声に気がついていないらしい。

 ――――聞き間違い……かな?

 ここにあるのはいつもの光景。友人も声には気がついていない。

 ならば自分の気のせいと言う結論に至るのは当然だろう。

 声の残響を振り払うように首を振って、 

 

『助けて! まどか!』

 

 ……今度は、聞き間違いではない。なにせ、名前付きだ。

 そして気が付いた時には、弾かれるようにまどかの身体は動いていた。

 

 

 

 ――――鹿目まどかは優しい子だ。

 不可解な状況にも限らず、助けを呼ぶ声が聞こえたと言う理由で、声の主を探そうとする。

 普通の人間なら、まず気味悪がって関わらない事を決めるだろう。

 或いは、自分の幻聴だとして無視するだろう。

 だが鹿目まどかは、そうはしない。

 

 

 

 友人に一言かけるよりも早く、まどかは声に導かれるままに走り出した。

 頭に直接響く、助けを求める声。それを彼女は真摯に受け止め、助けるために走る。

 そうして気が付けば。普段ならば絶対入り込まないような場所にまで来て、

 

「どこにいるの……」

 

 非常用の扉を開ける。

 目の前は、光の届かぬ暗闇。

 一瞬その暗闇に怯むが、自身を振るい立たせて声を上げる。

 先ほどまで聞こえていた声は止んでしまった。

 だがきっと、ここに声の主がいると。

 その直感に従って、一歩を踏み出す。

 

 

 

「わおっ!」

 

 

 

 だがまどかの声に反応したのは、全く別の声だった。

 

「マジかっ! 本当にすっごい素質のある美少女発見! ええい、クソじじいの言う通りに行動して正解ですよっ!」

 

 それは唐突だった。唐突に声と共に上から降りてきた。暗闇を切り裂くように、まどかの眼前に降り立った。

 五芒星を象った金色のヘッド。

 ふわふわ動く六枚の羽根。

 そして赤色の細い胴体。

 

「いやー、人の言う事は時には素直に聞くものですねぇ。何の意図があってここに放り投げられたのかは不明ですが、とりあえずは許しちゃいましょう!」

 

 そう。それは幻でも夢でもなく――――

 

「おおっと、じじいの事なんかどうでもいいっ!」

 

 そう。それは紛れもなく――――

 

「初めまして、私の名前はマジカルルビー!」

 

 そう。それは間違いようもなく――――

 

「どうです、私と契約して魔法少女になってみませんかっ! てかなりましょう! 今すぐなりましょう!」

「……す」

 

 そう。それは見間違えでも聞き違えでもなく――――

 

「す?」

 

 そう。それはどう見ても現実であって――――

 

 

 

「ステッキが喋ってる――――!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――ええと……つまり……ルビーは自分と契約してくれる女の子を探している……って事?」

「厳密に言えば違いますけど、大体はその通りですねー」

「……今更信じないわけじゃないけどさ、正直超びっくり。何このファンタジー」

 

 夜も更ける午後八時。

 所変わって、見滝原市内にあるマンションの一室。

 より正確に言うならば、美樹さやかの自室に二人と一本はいた。

 ベッドにまどかが、椅子にさやかが腰かけ、その二人の間にルビーは浮いている。

 

「さやかさん、人生不思議な事なんて幾らでも起こり得るんですよ?」

「現在進行形で更新されまくってるよ……」

「そ、そうだね……」

「あはー☆」

 

 茶化すようなルビーの言葉と、心底疲れたと言いたげなさやかの溜息。

 異なる二人――正確には一人と一本――の様子を見ながら、まどかも静かに息を吐き出した。さやかほど表に出さないだけで、まどかだって彼女と同等に――――いや、それ以上に疲れてはいるのだ。

 

 何せまどかにとって、今日と言う日はいつもと全く違う非日常であった。

 

 ルビーと出会って。

 魔法少女の勧誘をされて。

 そしたら天井が崩落して。

 白い生物が落ちてきて。

 暁美ほむらも一緒に落ちてきて。

 その姿を見たルビーが興奮して。

 ほむらが呆気に取られて。

 自身も呆気に取られていたらさやかが来て。

 でもさやかもルビーを見て固まって。

 よく分からないまま三人で固まり続けて。

 でもルビーは興奮しっぱなしで。

 そしたら景色が一変して。

 化け物が現れて。

 ほむらが戦って。

 逃げるように言われて。

 でも動けなくて。

 そしたらさやかが手を引いてくれて。

 二人で逃げ出して。

 ルビーが何故か浮遊しながらついてきて。

 でも逃げた先でも化け物に襲われて。

 今度は巴マミと名乗る人が助けてくれて。

 またルビーが興奮して。

 それはもうすごく興奮して。

 とりあえずルビーを黙らせて。

 そしたらほむらが追い付いて。

 でも2人へ気を回す余裕は無くて。

 ルビーを抱えたままお礼だけ言って。

 逃げるようにCDショップを出て。 

 それでもってさやかの家に避難して。

 今に至る。

 ルビーが現れてから黙らせるまでに限れば、時間にして10~20分程度なのだから、まどかたちが味わった非日常の濃密さは推して知るべしというやつである。これで疲れるなというのが無理な話だ。

 

「てかさー……ええと……転校生といい巴マミさん?といい、アレって何なのよ」

「うーん、残念ながら私も分からないんですよねー。魔法少女であることは確かのようですが、体系が別種なので、詳しいところは不明なままです」

「……そもそもさっきから当たり前のようにアンタが言っている、魔法少女って言葉からして理解不能なんだけど」

「おおっと、これはルビーちゃんうっかり。でも安心して下さい、実演も交えてしっかり教えてあげますよー」

「……ごめん、悪い予感がするから実演は勘弁。言葉でお願いします」

 

 そんなまどかを放って置いて、やたらとテンションが上がりっぱなしのルビー。そして律儀に相手をしているさやかは、状況に頭が追い付かないまま、正直グロッキー寸前である。ノックアウト寸前である。

 

「ええと……ルビー?」

「はい、何でしょうかまどかさん? ……あ、もしかして契約したくなっちゃいました? 魔法少女になりたくなっちゃいました?」

「……いや、正直その通販番組並みのテンションでロクに説明もせずに勧めるってどーなのよ」

「何を言いますかさやかさん。こ・れ・か・ら説明をするところですー」

「……あっそ」

 

 今度こそ完全にさやかは沈黙した。力なく息を吐き出した。

 まどかは思った。あんな死にそうな目をした友人は、直近のテストの時以来だと。

 慌てて後を引き継ぐ。

 

「そ、それで、魔法少女って何?」

「よくぞ聞いてくれました!」

 

 食い気味にこちらを向くルビー。

 引き継いでから後悔する。

 せめて明日以降にすれば良かったかも、と。

 これって絶対話についていけなくなるパターンだ、と。

 そしてその予感は、紛れもない現実となる。

 

「いいですか、魔法少女とは――――」

 

 ずいっ、と。一気に距離を詰めてくるルビーに対し、何故だか楽しそうに笑っていそうな表情を、まどかは幻視した。ステッキなのに。無機物な筈なのに。

 ヘッドについている六枚の羽根が、パタパタと忙しなく動いている。

 金色の五芒星が、困り顔のまどかを映した。

 

 

 

 夜が、更ける。

 

 

 

 

 




 おまけ


「ほ、ほむらちゃん……っ!」
「……っ、数が多い……行きなさい、まどか」
「そんな……でも、それじゃあ……っ」
「いくよ、まどかっ! 私たちがここに居ても邪魔になるだけ……っ」
「さ、さやかちゃん?」
「……行きなさい」
「……っ、ごめん、転校生」



「あ、待ってよ! まどかっ! 僕も――――」
「……アンタは死んどきなさい」

 ――――パンッ


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