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よく晴れた空だった。見滝原中学校の屋上。まどかはベンチに深々と腰掛けて、雲一つない空を眺めていた。膝元ではさやかがまどかの膝を枕代わりに寝ている。幸せそうな寝顔だ。それを見てまどかは少し嬉しくなった。そして小さく欠伸を漏らす。どうやら昨日一昨日の疲れがまだ無くなってはいないらしい。つまりは朝からお疲れである。それでも大親友が先に――それも自身の膝を枕代わりに――寝てしまったため、彼女は起きているしかなかった。
「……さやかちゃんも起きてくれればいいのに」
ぽつりと漏れた言葉は彼女にしては珍しい愚痴だった。まどかは滅多な事では愚痴を零さない。それは彼女が心優しく、他人を責める性分では無いからだ。にも拘らず当人を前にして――聞いてはいないけれど――愚痴を零すというのは、それだけさやかの事を信頼している証明でもある。無防備に寝顔を晒す大親友の髪を梳いて、笑みを零す。
まどかはもう一度空を見上げた。本当に良く晴れた日だ。確かにこれは眠くなっても仕方が無いと思った。
現在時刻は12:30。次の授業が始まるまであと20分ある。お昼ご飯は食べ終わった。そして自分も眠い。だがこの中途半端な時間帯に寝てしまえば、きっと起きる事は叶わないだろう。放課後までさやかと仲良く寝過ごしてしまうであろう事は想像に難くない。そして、それも良いかな、と考えるにはまどかは真面目過ぎた。
「……?」
ふと、視線を感じた。
感じた先へと視線を向けるが誰もいない。念のため周囲にも視線を向けるがやはり誰も見当たらない。まどかの眼が映したのはいつもの平和な見滝原中学校の屋上だ。ここ数日の非日常のせいか心の中にモヤモヤとした違和感が芽生えるが、自分の気のせいだろうと結論付けた。
ルビー? 今日は大丈夫、多分。うん。
ふわぁ、と。誰も見ていないのを良い事に、今度は大きく欠伸を零した。見上げた空には小鳥が飛んでいる。小鳥の鳴き声。校庭から聞こえる学生の喧騒。そしてさやかの寝息。まだ休み時間が終わるまで時間はある。平和で平穏で温かな日常に意図せず口元が綻んだ。
「……良いですねぇ。可愛らしい少女たちのお昼の一幕。実に素晴らしい」
「……」
「そうは思いませんか? ほむらさん」
■ まどマギ×Fate ■
見滝原中学校には屋上を見下ろせるような塔が造られている。
その塔の内部。物陰に隠れる様にして一人の少女が壁に背を預けていた。
「……何の用かしら」
腰まで届くであろう艶やかな黒髪。すらりとした体躯。感情の篭っていない冷淡な眼が近寄り難さを醸し出しているが、それでも所謂美少女であることは疑いようがない。年相応の顔立ちとは相反した大人びた雰囲気が印象的である。
少女の名は、暁美ほむら。
つい先日この見滝原中学校に転校してきたばかりの女生徒である。
「いやー、色々と訊きたいことがあるんですよー」
そんな少女とは相反して、どこまでも底抜けに明るい声を発し続ける一本のステッキ。愉快型魔術礼装ことマジカルルビーである。相変わらず常識を無視した動きをしながら空中で八の字を描く。それを見て一層視線の温度を下げるほむら。空気を読む能力が無いのか、それとも敢えて読んでいないのかは判断に困るが、ルビーはほむらの視線に物怖じすることなく言葉を重ねた。
「先日まどかさんたちに魔法少女になる事に対して忠告をしていましたよね? 何か理由があるんですか?」
「……言葉の通りよ。魔法少女なんてなるものじゃないから忠告しただけ」
「その理由が知りたいんですよー」
「……」
ルビーの抗議に口と目を閉じるほむら。拒絶されている事は明白だ。どうやら魔法少女にしたくない理由について言うつもりは無いらしい。試しに顔の周りを飛んでみたり、羽で風を送ってみたり、太陽の光を反射させて当ててみたりしたが無表情を貫かれたままだった。結構我慢強い。ならばと今度は顔ではなくむき出しの膝に風を送ってみる。羽で触れる事はしない。あくまでも超至近距離で風を送るだけだ。そして少しずつ上へと移動する。
――――ガッ
「あうっ!?」
「……何をしているのかしら」
それはもう神速の一撃だった。予備動作が見えぬほどの一撃だった。手加減も何もない一撃がルビーを襲った。逃げる間なんて無かった。
今のルビーはほむらに掴まれている状態だった。ミシミシとヘッドの部分が悲鳴を上げる。華奢な筈のほむらの指には万力のような力が込められており、ルビーを握り潰そうとしているのは明らかだった。ついでに言えばルビーを見るその眼は侮蔑に染まっている。
「あはー、漸く反応してくれましたねー☆」
だが。だが、だが、だが。これで彼女が挫ける様ならば誰も苦労はしない。封印などと言った大仰な拘束をされたりはしない。
何をされてもただでは転ばないのがルビーである。侮蔑の視線を送られようとも罵詈雑言を浴びようとも元マスターの交友関係を滅茶苦茶にしようとも悪びれることなくしれっとしているのがルビーである。故に反応してしまっただけ悪手と言えよう。
ほむらは自身の行動が徒労どころか悪手であったことを本能的に理解すると、呆れを隠そうともせずに溜息を吐き出した。そしてルビーを投げ飛ばす。
「……魔法少女は死と隣り合わせ。そんなものにあの子たちが関わる必要は無いわ」
「なるほど。確かにマミさんも似たようなことを言っていましたね」
「そういう事よ……満足かしら」
「うーん……実はですねぇ、その点で幾つか気になる点があるんですよ」
ポリポリと器用にも羽でヘッドを掻くルビー。動作の一つ一つに人間らしさが滲み出るのが、この愉快型魔術礼装の特徴でもある。
「昨日マミさんから魔法少女について説明を受けたんですよ。何でも魔法少女は、一回だけ願いを叶えてもらう代わりに魔女と戦い続けなければならないとか」
「……」
「加えて魔女と戦う理由は、願いを叶えてもらった代償としてだけではなく、グリーフシードのためでもあると。これが無いと魔法少女は十全に力を発揮できないそうですね。……ここまでに間違いはありますか?」
「いいえ、無いわ」
「なるほど」
納得したようにルビーは羽でヘッドの下部を撫でた。少しだけヘッドを曲げているところと言い、まるで人間が考え込んでいる仕草のようだとほむらは思った。
「マミさんはソウルジェムの濁りを消すのにグリーフシードが必要だと言っていました。では濁りを消さなかった場合、ソウルジェムはどうなるのでしょうか?」
「……巴マミから聞かなかったのかしら。あの人が説明を省くとは思えないけど」
「いえ、聞きました。ですが、彼女は分からないと言っていました」
「そう……」
「それで、どうなるんでしょうか?」
「魔法少女として活動できなくなるわ」
「……それだけ、ですか?」
「ええ、そうよ」
意外、とでも言いたげにルビーは声を上げた。そしてまたも考え込むようにヘッドの下部を撫でる。
「だからそうなる前に魔法少女はグリーフシードを手に入れなくてはならない」
「……」
「キュゥべぇも同じことを言うわ。アレに訊いてみたら?」
「うーん……そうしたいんですけど、キュゥべぇさんが見つからないんですよ。マミさんもどこに行ったか知らないみたいですし、昨日は呼んでも来ませんでしたし」
ピクリ、と。ルビーの言葉にほむらの眉が若干の反応を示す。それは言われなければ分からないほど僅かな変化だったが、無表情の彼女にしては珍しくも目に見える形での変化であった。そしてそれを見逃すにはルビーは目敏過ぎた。
――――何に反応した?
僅かな反応と直感を基に思考をフル回転させる。ほむらが反応を示したのはキュゥべぇが話題に上がったところ。より正しくは、キュゥべぇが見つからないと伝えたところだ。
だがこれでは情報が少なすぎる。
「ほむらさんはキュゥべぇさんが何処にいるか知りませんか?」
「……知らないわ」
「呼ぶことは可能ですか」
「無理ね」
即答。それも可能か不可能かに対して、無理。
「無理というのは、ほむらさんには呼ぶ能力が無いということでしょうか? 魔法少女には固有の能力があるそうですが――――」
「アレを呼ぶつもりは無い。……これでいいかしら」
断定。そして宣言。
マミはキュゥべぇの事を信頼していたようだが、ほむらは違うらしい。僅かではあるが声に感情が込められていたのをルビーは聞き逃さなかった。友好的ではない、なんなら敵意と言っても差し支えは無い感情。ルビーが何度も元マスターに浴びた感情だった。
「うーん、何とかなりませんかねー。キュゥべぇさんにも訊きたいことがあるんですよー」
「巴マミに頼む方が効率的よ」
取り付く島もない、とはこの事か。キュゥべぇを呼ぶ件について、ほむらはルビーに協力するつもりは一切ないらしい。数瞬前には確かにあった感情を消して、素っ気無くほむらは答えた。
……これ以上は無理か。この場の細かな機微を察して、そうルビーは結論付ける。理由は分からぬがキュゥべぇとの対話についてほむらの協力を得る事は不可能だ。そして掘り下げるには文字通り命を掛けなければなるまい。何せ相手は警告なしに銃弾をぶっ放してきた輩である。まだまだやりたいことのあるルビーとしては、ここで目的半ばにして散るのは本意ではない。昨日の撃たれた衝撃が、暁美ほむらに対して警告を発していた。
「……ま、そこまで言われたら仕方ないですねー。マミさんに訊いてみる事にします」
「賢明ね。……で、話は終わり?」
「ええ、私からは。すいません、時間を取ってもらって。ありがとうございました」
「構わないわ。私も訊きたいことがあるから」
やっぱりマミさんを通すしかないかー、と。あっさりと追及を諦めてそんなことを考えていたルビーに予想外の言葉を重ねられる。
相も変らず感情を消し去ったまま、ほむらは口を開いた。
「マジカルルビー、と言ったわね。……貴女は何なの?」
それはひどく抽象的な疑問であった。何に対して疑問を呈しているのかが不明なので、受け手からすれば答える内容の判断に困る。とは言え彼女の疑問も致し方あるまい。常識的に考えて――魔法少女だとか魔女だとか魔法だとかは置いておいて――どこの世界に浮いて喋って魔法少女の勧誘をするステッキがいるというのか。
「私ですか? あー、自己紹介していませんでしたっけ?」
「……ええ」
「あら、それはすいません。それじゃあ改めて……」
コホン、と。わざとらしく咳をしてわざとらしく羽を五芒星に添えてわざとらしく言葉を溜めて。
ルビーは口を開いた。
「私、愛と正義のマジカルステッキ、マジカルルビーと申します! 親しみを込めてルビーちゃんとお呼び下さい!」
■
場が冷えるとか、空気が重たいとか。そういった言葉は、きっと今のこんな状況のためにあるのだろう。
蔑むような眼でルビーを見るほむら。
状況を全く理解していないルビー。
ルビーの自己紹介からたっぷり5秒。冷え切った空間と重々しいほどの沈黙が、ルビーとほむらのいる空間の全てだった。
「……あれ?」
思っていたような反応が見られない事に漸くルビーも気が付いたのか。実に間抜けな言葉と共にルビーはヘッドを斜めに傾けた。彼女の脳内ではほむらが何かしらの可愛らしい反応を示してくれる筈であり、こんな無反応は全くの想定外だったのだ。成功すると疑わぬ当たり、実に頭がお花畑としか言いようが無い。
「おかしいですねー、ここら辺でほむらさんが(キュートで初々しい)反応を見せてくれると思ったんですけどねー」
そして思ったことを口にしてしまう辺りが本当に救えない。言葉に反応してより一層ほむらの視線の温度が下がる。それはゴミを見るような眼だった。残念ながらルビーは一切気にしないが。
ふよふよと神経を逆撫でするかの如く上下にルビーは動き始めた。
「何か今のところで分からないところあります?」
「……分からないところだらけよ」
「うーん、具体的には?」
「全てよ」
「ちょっと抽象的ですねー」
お前にだけは言われたくない。きっと第三者が居たらそう思っただろう。だが現実はルビーとほむら以外には誰もいない。つまりはこの状況を正してくれる存在は居ないのだ。
ほむらの目尻が僅かにひくついていた。それがルビーの返答のせいであることは明らかであり、機嫌がよろしくない事は疑いようもない。
「……何故、魔法少女の勧誘をするのかしら?」
「(私にとっての)悪と戦ってもらうためですね」
「……その悪って言うのは?」
「そんなの、私に逆らう存在に決まっているじゃないですか」
「……随分と自分本位なのね」
「はい。正義や悪に明確な定義なんてものはありませんから。ですから自分本位が一番です」
ルビーにしては珍しく含蓄のある言葉だった。言っていること自体は最低でしかないが。最低をこれでもかと煮詰めて抽出したようなクソみたいなものだが。
「貴女がこの街に来た目的は?」
「それはクソじじい……もとい、生みの親に投げ出されたからですね」
「投げ出された?」
「はい。『ここで1時間くらい待っとれ。そっからは好きにしろ』と言われて投げ出されたんですよー。あ、場所はほむらさんやまどかさんたちと初めて出会ったあそこです」
全く、失礼しちゃいますよねー。封印から解いてくれたのは感謝してますけどー。
私、怒っています!とでも言いたげにあらゆる動きが忙しなくなるルビー。何故か怒りマークが可視化されているあたり芸が細かい。何のための芸かは分からないが。
「ま、クソじじいからは好きにしろって言われたので、好きにすることにしたんです。幸いまどかさんやさやかさんと言うキュートでリリカルなマスター候補とも出会えたことですし」
言質は取ってあるから大丈夫。そうとでも言いたげにルビーは羽を器用に曲げてほむらにつき出した。それはまるで人がサムズアップをしているかのよう。本当に無駄に高性能である。
だが一方で。何故かほむらは考え込むように視線をルビーから外していた。顎に手を当て、眉根を僅かに顰めている。
「……生みの親の名前は?」
「……じじいの事ですよね、それ」
10秒ほどの時間をかけて口から出された疑問の言葉。
此処に来て初めて、ルビーは嫌悪感を露わにした。
「名前を訊くって事は興味を持ったって事ですよね? 止めた方が良いですよ、アレは――――」
「名前は?」
「……キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ」
渋々と、本当に渋々とルビーは己の生みの親の名前を告げる。自身の好悪は別として、答えたところで何が変わる訳でもないという判断故だった。
キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。ルビーの属する世界で言えば、彼ほど高名な存在はいない。第二魔法『平行世界の運営』に至った唯一の存在であり、現存すると言われる4人の魔法使いの1人。ルビーからすればクソじじい以外の何物でもないが。
「……言っておきますけど、弟子になろうとか考えない方が良いですよ」
「そんなつもりは無いわ」
「なら、良いですけど……」
髪をかき上げてほむらは否定の言葉を口にした。本心は不明だが、確かめる術が無い以上ルビーは引き下がるしかない。
ちなみにルビーが弟子入りについて難色を示したのにはちゃんと理由がある。キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグに弟子入りする事とは、それ即ち廃人への片道切符を手にする事と同じなのだ。今までどれだけ才能のある弟子が再起不能となったことか。つまりは取り返しが付かなくなる前に愚行を止めようとしたのは、ルビーなりのささやかな良心である。
「ちなみに、シュバインオーグさんと会話することは可能かしら?」
「……うーん、不可能ですね。連絡手段がないうえに、基本的に自分勝手な人ですから。一つの場所に居る事は殆どありません」
「そう……」
またもほむらは考え込む。左手を顎に当てて、右手で左肘を支える。視線は下に。ルビーを見ていない。
むぅ、と。ルビーは少しだけ不満そうに声を漏らした。ミステリアスな美少女が小難しい顔で思考をしているのは絵になるが、ルビーとしては蚊帳の外に追い出されているのと同じなので、端的に言えばツマラナイ。ましてや今はキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグことクソじじいの話をしたばかりである。気に喰わないクソじじいの話をしたばかりである。ぶっちゃけ不機嫌なのだ。
――――キーンコーンカーンコーン
「……時間ね」
遠くで鐘の音が聞こえる。正確には階下から。壁と床が邪魔して遠くに聞こえるだけだ。
休み時間は終わり。つまりはルビーとほむらのお話も終わり。ほむらは思考を打ち切ると、壁に預けていた背を離して一歩前へと進んだ。
「それなりに有意義だったわ。ありがとう」
「いえいえ、此方こそ」
それは事務的な会話だった。お互いに感情を含んでいない、予めプログラムしておいたものを自動再生させたかのようなやり取り。それでも今日の始まりに比べれば随分と仲は進歩した、とルビーは考えている。どこからその自信が出てくるのかは甚だ疑問でしかないが。
「……忠告よ、マジカルルビー」
ルビーの隣を素通りし、階段に足をかけ。そこでほむらは足を止めた。まるで劇の台本のようなタイミングの計り方だった。
そしてルビーへと振り返ると、昨日の会話を焼き回すかのように口を開いた。
「――――2人を、魔法少女にしようなんて思わない事ね」
おまけ
「……まろかー」
「なーに?」
「ぁ……」
「……」
「すぅ……」
さやかの髪を梳く。水色の、癖の少ない髪を丁寧に梳く。
然したる抵抗も無くまどかの指はさやかの髪の中に埋まった。きっと寝坊したのだろう。指先に少しだけ髪が絡んだ。髪のケアが疎かになっているときは、大抵彼女は寝坊している事が多い。朝の支度に時間を掛けられないためだ。
活動的で勝気な性格からは誤解されやすいが、さやかが誰よりも女の子である事をまどかは知っている。柔らかな髪も、整った眉も、ハリのある唇も、全てはさやかの影の努力の賜物。クラシック雑誌に隠す様にしてファッション雑誌や美容情報誌が保管されている事をまどかは知っている。昨日家に泊まったときはベッドの下に隠されていた。ご丁寧に別の雑誌の下に埋もれる形で。
本人が公言しない以上とやかく言うつもりは無いが、さやかが努力している事をまどかは誰よりもちゃんと知っているのだ。
「ぅ……」
「んー?」
「まろかー……」
「なーに?」
「よめー……」
「……?」
「ふぅ……」
「……」
「すー……」
「……ふふっ」
見上げた空は青一色。透き通るような高い天井。柔らかな日光と心地よい風。そして膝にはさやか。
いつまでもこんな時間が続けばいいのに。
心から、そう思う。
「あらー、まどかさん。コンニチワー」
「っ!? る、る、ルビー!? な、何で!?」
「うーむ、その基本を外さないキュートな反応。それでいて寝ているさやかさんを起こさない配慮……実に素晴らしいです」
「え、え、え……いや、どうしてここに!?」
「いやー色々ありまして……それよりまどかさん、大丈夫なんですか?」
「な、何が……?」
「時間ですよ、時間。午後の授業は――――」
「え……あ、あああああああっ!!!?」
「わ、な、なにっ!? へ、え!?」
「お、起きて、さやかちゃん! 起きてっ!」
※結局午後の授業には遅刻しました。