魔法少女まどか☆マギカ×Fate   作:くまー

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誤字脱字報告をしていただいた方々、ありがとうございます。
プロローグとか酷かったですね……
色々と至らぬ点はあると思うので、これからもご指摘頂ければ幸いです。




まどマギ×Fate 5

 キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ……検索結果ゼロ

 マジカルルビー……西洋アジサイがヒット

 マジカルルビー 魔法少女……よくわからないのがヒット

 マジカルステッキ……市販の子供向け玩具がヒット

 

「……」

 

 連絡が取れない人への連絡の取り方……参考にならなそうなものばかりヒット

 連絡 取り方 初対面……参考にならなそうなものばかりヒット

 連絡 宛先不明 どうにか……参考にならなそうなものばかりヒット

 連絡 取りたい 知らない人……参考にならなそうなものばかりヒット

 電話番号不明 コンタクト 方法……参考にならなそうなものばかりヒット

 

「……」

 

 キシュア……エクアドルの少数民族がヒット

 ゼルレッチ……検索結果ゼロ

 シュバインオーグ……検索結果ゼロ

 

 

 

「……はぁ」

「あらー、暁美さん? 授業中に別の調べものとは感心しませんね」

「……!?」

「暁美さんも放課後職員室に来るように。分かりましたね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■ まどマギ×Fate ■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 話の流れが本来の趣旨から恋愛絡みの愚痴へと変わっていく事は、見滝原学園英語教師早乙女和子(年齢3×)の特徴の一つでもある。

 放課後の職員室。五限目の授業に遅刻してきた鹿目まどかと美樹さやか、そして授業中に別の事をしていた暁美ほむらを呼び出して説教を始めたはいいものの、最終的にはサーモンを寿司ネタとするか否かで揉める男は付き合うな、と言う結論に落ち着いた。そこらへんは個人の裁量だからお互いに如何こう言わなくても良いんじゃないかなぁ、とまどかは思ったが、一々ツッコミを入れていると話が終わらないので黙っていた。まどかは空気が読める良い子である。

 

「はい、それではちゃんと反省をして、明日からは真面目に授業を受ける事。分かったわね」

 

 パンパン、と。手を叩いて早乙女和子(年齢×4)は話を切り上げた。彼女は教師としてそれなりに忙しい身であり、可愛い教え子とは言え説教にばかり時間をとってもいられない。幸いにして3人がしでかした事はそこまで責め立てる内容でもないので、反省文を書かせるまでもないと判断して30分ほどの説教で切り上げたのだ。

 

「失礼しましたー……」

 

 3人は仲良く一礼して職員室を出た。どことなく元気の無い声で。それを聞いて、少し叱りすぎたかな、と早乙女和子(年齢××)は思った。真面目なまどかと転校してきたばかりのほむらはともかくとして、快活さがウリのさやかまで元気が無いのは気になる。だけど、そう言えば恋愛絡みで悩んでいたなぁ、と昨日の説教を思い返して一人納得をした。恋愛なんてのは過ぎれば麻疹のようなものでしかないが、その真っただ中にいる当人にとっては、文字通り世界の運命を左右するような悩みなのだ。ましてや今は思春期と言う難しい年ごろ。無事に乗り越えることが出来ますように、とお茶を飲みながら思う。

 

「あー、終わったー……」

 

 そんな早乙女和子(年齢--)の思いなど知る由もなく。

 職員室を出て、下駄箱で靴を履き替えて、学校の校門を出たところで。大きな伸びと共にさやかは言葉を零した。心底疲れたと言いたげな表情だった。そしてそれを見て苦笑いを浮かべるまどか。さやかは昨日も呼び出されて説教を受けたばかりである。元気がウリのさやかと言えども、流石に2日連続での説教には疲れたらしい。

 ゾンビの様に呻き声を上げていたさやかだが、ふと思い出したかのようにほむらへと顔を向けた。

 

「しっかし遅刻した私とまどかはともかく、ほむらまで呼び出されるとはねー……何をしでかしたのさ?」

「授業に関係のない事を調べていたからよ」

「関係のない事を調べていたって……ほっほぅ、どうやら優等生っぽいのは外見だけって事かーい?」

「ほむらちゃんってすごい頭良いんだよ。昨日も先生の問題にスラスラ答えていたし」

「……大したことないわ、あの程度」

「ぐはっ」

 

 ほむらの何気ない一言に何ショックを受けるさやか。まるで銃で撃たれたかのように大げさに仰け反る。何せさやかの英語の成績は壊滅的なのだ。英語の歌詞ならまだしも、授業で習う英語なんて訳ワカメとはさやかの言葉である。だったら英語の歌から学んでいけば良いんじゃないかなー、とまどかは思うのだが、さやか曰くそういうのは違うらしい。何が違うのかは分からないのだが。

 

「ゆ、優等生め……うぅ、英語を理解できる頭が欲しいよ……」

「勉強するのが一番だと思うなぁ」

「いやー、それは分かっているけどさ……あーあ、どっかに落ちていないかなぁ、英語の才能」

 

 誠に無駄な願望を口から垂れ流すさやか。苦笑いを浮かべながら後を追うまどか。2人に黙ってついていくほむら。

 

「あ、閃いた。ほむらと脳みそを交換すれば、英語が出来るようになるんじゃないかな?」

「……意味が不明ね」

「それだと人格ごと移動するから、あんまり意味がないんじゃないかな?」

「む、そっかそっか……うーん……あ、じゃあ英語の部分だけ交換するとか!」

「……」

「さやかちゃん。勉強しよう。ね?」

「ぐうぅ、ほむらの視線とまどかの優しさが痛い……」

「うーん、そんなに手っ取り早く英語が出来るようになりたいなら、いい方法がありますよ?」

「へ、何?」

 

 後ろから聞こえた声に疑う事無くさやかは反応した。反応してから、どっかで聞いたことある声だなー、と思った。具体的には昨日とか。昨日の夜とか。さやかの記憶はボロボロである。

 

「はい。私と契約して魔法少女に――――あっぶなぁぁぁあああ!?」

 

 そして振り返る間際。ちょうどよく聞こえた胡散臭げなセリフと切実な悲鳴に、漸くさやかの記憶が一つの像を掘り返す。

 あ、ルビーだ。この声。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……随分と良い度胸ね、マジカルルビー」

「ちょっ、ちょっと待ってくださいほむらさん! 私は求められたから反応しただけですっ! 迷える子羊に救いの手を差し伸べるのは……」

「問答無用よ」

 

 予想通りと言うか何と言うか。さやかが振り返った先にはルビーがいた。まどかの背中に隠れる形で。ほむらにこれでもかと敵意を飛ばされながら。ちなみにほむらは右手に金づちを持っていた。制服姿で。シュールだ。

 

「忠告はしたはずよ。それとも数時間前の事すら記憶できない鳥頭なのかしら」

「いやいやいや、覚えていますよっ! でも違います違うんです。求められたら応えるのは当然――――」

「貴女の事情なんて知らないわ……どきなさい、まどか。そいつを壊せない」

「ま、待って、ほむらちゃん。お、落ち着こう?」

「そ、そうですそうです。どうか弁護を……今一度弁護の機会を……」

「……」

「ほ、ほむらちゃん?」

「ちょ、ちょいちょいちょい、ストォォォォォップ!?」

 

 暫し呆然としていたさやかだが、まどかが泣きそうな顔を浮かべたところで慌ててほむらに抱き着いた。腰に腕を回し、動きを阻害するように力を込める。

 

「ほむら、気持ちは分かる! でも落ち着こう、ね?」

「そ、そうだよほむらちゃん……」

「そうですそうです、短気で暴力的なのはマイナスのステータスですよっ! 暴力反対っ、平和万歳っ!」

「ルビー、アンタ、ほんと黙れ」

「ところでさやかさん。ラブアンドピースとかラブアンドパワーって中々良い響きだと思いません?」

「本当に黙れ」

 

 三人寄れば姦しいと言うが、実際に姦しくしているのは人でも何でもない愉快型魔術礼装のみ。

 登場から僅か1分未満で混沌と化する場。冷淡な眼でルビーを見るほむら。泣きそうな顔でほむらとさやかを見るまどか。必死にほむらを抑えるさやか。そしてまどかの後ろに隠れる様にして浮いているルビー。第三者が居たら、きっとさぞ珍妙な光景に映っただろう。幸か不幸か当人たち以外は誰もいないが。

 暫し冷淡な眼をしていたほむらだったが、実に重々しい息を吐き出すと、頭を振って敵意を霧散させた。そして自身の腰にしがみついているさやかの腕を叩く。

 

「……もういいわ」

「え?」

「私は冷静な人の味方で、無駄な争いをする馬鹿の敵。だから大丈夫よ」

「いや、その理論だとルビーの敵だよね? いや、それは良いんだけど、暴れられると困るって言うか……」

「ちょっと待ってください、さやかさん。それは良いってどういうことですか!?」

「……ここでは暴れないわ。それでいいかしら」

「うーん、それなら……」

「さ、さやかさん!?」

 

 味方だと思っていた存在に裏切られたことがショックだったのか。私傷つきました、とでも言いたげにルビーは地面に落ちた。そして涙を流しながら羽でアスファルトを叩く。相変わらず無駄に人間臭い魔術礼装である。と言うかどこからその涙は出ているのか。

 冗談よ、と。顔色一つ変えずにほむらは言った。

 

「でもこれに懲りたら勧誘は止める事ね」

「うーん、それは同意しかねます。私の存在意義に関わる事なので」

「アンタ、今さっきあれだけ敵意を向けられてよく正直でいられるよね……」

 

 呆れたようなさやかの言葉が、今ここにいる全員の心の内を代弁していた。

 

「まぁそれは置いておいて、私がさやかさんの願望を叶えるために魔法少女の勧誘をしたのにはちゃんと理由があるんですよー」

「……それって、さっきの私の英語が出来るようになりたいってヤツ?」

「はい、それです。あ、ほむらさん待ってください。まずは私の話を聞いてくださいお願いします」

 

 コホン、と。わざとらしく咳をして、ルビーはふよふよと3人の前へと移動した。

 

「まず魔法少女となる――もとい私と契約する事で、平行世界の自分の能力が使えるようになります」

「平行世界? 能力?」

「はい。例えばさやかさんと契約したとしたら、さやかさんは平行世界のさやかさんが有している能力を習得できます。具体的には英語がペラペラになったり、歌が上手くなったりします」

「あー、ちょっと待って。まず平行世界って、何?」

「うーん……そうですねー……」

 

 困ったようにルビーはヘッドの下部を撫でた。

 

「……さやかさんって、欲しいものが2つあるのにどっちかしか買えない、みたいな経験はありますか?」

「うん、しょっちゅうあるかな」

「じゃあ片方買ってから、別の方が良かったかな、なんて思ったことはありますか?」

「うん、それもあるよ」

「そして別の方を買った場合の自分を想像したことは?」

「あー、あるかな」

「それが平行世界です。……具体的には、自分が選択しなかった方を選択をした場合の世界線、と考えてください」

 

 成程、と。さやかは納得した。

 

「なーるほどね。選択しなかった想像の先って事ねー」

「……ええと、どういうこと?」

「まどかには欲しいものがあって、買おうかどうか悩んだことは無いかしら?」

「うん、あるよ」

「それなら、もしも買わなかった方を買っていたらどうなったろうって考えた事はある?」

「うん、それもある……あ、そういう事?」

「そうよ」

「それって……例えばだけどさやかちゃんがファッション雑誌と美容情報誌のどっちを買うか悩んで、後悔をしなかった場合の選択って事だよね?」

「そうね、そういう事よ」

「ちょっと待って、まどか」

「あ、話を戻しますねー」

 

 ふよふよと3人の間を飛び回り話の軌道修正をするルビー。さやかの切実な言葉を無視して話を進めようとする辺り、この愉快型魔術礼装の人格が良く分かる。つい1分前に何やかんやで危機を救ってくれた相手に対する仕打ちとは思えぬほどの自分本位っぷりである。

 

「そんなわけで、平行世界と言うのはそれこそ無限にあります。そしてその中には、例えば英語がペラペラなさやかさん、まどかさんのカバン持ちをするさやかさん、ブレイクダンスを踊るさやかさんがいるわけです」

「ちょっと待って、どっからツッコめばいい」

「勿論平行世界が無限にあれど、出来ない事は出来ません。生身で大気圏突入とか。ですが、大概の事は出来るはずです。そしてマスターの要望に応じて、平行世界から能力を借りて使用できるようにする事が、私の能力の一つです」

「なんだかスマホのアプリみたいだね」

「あー、永久には持続できないので、ちょっと認識は違いますねー」

 

 そこのところは勘違いしないで下さい。ふよふよと動き回りながらルビーは訂正を入れた。

 

「平行世界の能力が使えるのは、あくまでも私と契約している間だけです。契約を解除した場合は能力も解除されてしまいます。加えて、使用できる能力の数と規模はマスターの才能次第によります」

 

 パスタを上手に茹でる能力と満漢全席を上手に作る能力では難易度が異なりますよね。ルビーの言葉にほむらは成程と納得した。有している容量をオーバーする量の能力は使用できない。その点はパソコンに様々な機能をインストールするのと似ている、と思った。マジカルらしさの欠片もないその納得の仕方に、もしもルビーが知ったらショックを受けるであろうことは想像に難くない。

 

「まぁ、あまりに無茶な能力で無ければ、大体は使用できると考えてください。それこそ英語が出来るようになるくらいであれば全く問題ないでしょう」

「ホントかなー……こう言うのはアレだけど、私の英語の成績って相当悪いよ?」

「それはこの世界線のさやかさんだからです。別の世界線では英語の楽しさに目覚めてイギリスに留学しているかもしれませんよ?」

「だったら嬉しいけどなー……」

 

 あははー、と。何故か苦笑いを浮かべるさやか。その様相を見てほむらは疑問に思った。何故さやかは乗り気にならないのか、という疑問だった。

 ルビーも同じ疑問に至ったのか、不思議そうにヘッドを傾けた。

 

「あれ? さやかさん、意外と乗り気じゃないですね」

「いやー……何ていうかさ……」

 

 言いにくそうに口調が淀むさやか。

 それはいつもの快活な彼女にしては珍しいものであり。

 

「いや、あんだけアンタに関わって酷い目に合っているのに、ちょっと話の内容が都合良すぎて……というか胡散臭すぎて……」

「あー、そうだね……」

「えーっ!? それは無いですよ、さやかさんっ、まどかさんっ!」

 

 日頃の行いって大切ね。

 他人事のように、そうほむらは思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私たちはマミさんに会いに行くけど、ほむらはどうするの?」

 

 さやかがそんな事を言い出したのは、一行が市街地と住宅地へと分かれる大通りに着く直前だった。さやかからすれば何の意図もない言葉である。私たちはこれから買い物行くけどアンタはどうする、と同じくらいのニュアンスでしかない。

 だが巴マミの名が出た途端、ほむらの眼が敵を見るかの如く眇められた。

 

「……どういう事?」

「んー? 昨日聞けなかった魔法少女の概要について続きを聞こうと思ってさ」

「アーネンエルベって喫茶店で待ち合わせをしているの」

「本当は放課後に直接マミさん家に行く予定だったんだけどさ。ほら、先生に呼び出されちゃったじゃん?」

「それでその間に魔女が出たみたいで、マミさんは魔女を退治に行っちゃったの」

「退治は無事に終わったみたいだけど、出たのが街の方だったんだって。だから近くの喫茶店で話の続きをすることになったって訳よ」

 

 一方でそんなほむらの態度の変貌など露知らず。マミに会いに行くことを前提にまどかとさやかは話を進める。懐からスマホを取り出して、キョロキョロと辺りを見回した。

 

「ところでアーネンエルベってどこにあるのかな。地図検索しても出てこないんだけど」

「……ホントだ。ネットの口コミにも出てないよ」

「マミさんのメールは……ダメだ、店名しか載ってないや」

「うーん……とりあえずどこにお店があるのか訊いてみるね」

 

 ささっとメールを打つまどか。流石は最先端技術に慣れた現代っ子である。ものの数秒で送り終わると、そこで漸く2人はほむらに向き直った。

 

「で、ほむらはどーする? 来る?」

「何も用事が無ければ、ほむらちゃんも一緒に行かない?」

 

 何を疑う事も無く2人はほむらを誘った。そしてその時にはほむらは自身の感情を霧散させた後だった。2人には分からぬ様に消し去った後だった。

 少しばかり考え込んでから、ほむらは口を開き――――

 

「……すいません、まどかさん、さやかさん。もう一度店名を言ってもらって良いですか?」

 

 ――――それより先にまどかの懐から声が生じる。人通りが多くなってきたのでアクセサリーに扮したルビーだった。

 

「ん? 店名? アーネンエルベだけど?」

「……失礼ながら、その店には良く行かれるのですか?」

「いや、私は初めてだけど……まどかとほむらは?」

「ううん、私も行ったことないよ」

「私もよ」

「……そうですか」

 

 それはルビーにしては珍しく真面目な声だった。何かに対して考察するときの、遊びを排した時の声だった。

 

「まぁ私たちが放課後に寄り道するとしたらファミレスとかコーヒーショップとかだしねー」

「うん。喫茶店は中々行かないかな」

「敷居が高いんだよね。そもそもお店を見て回って解散、って事の方が多いし」

 

 懐に優しくないからね。ケラケラ笑いながらさやかは可愛らしい財布を懐から取り出し片手で弄ぶ。言葉の通り中身はあまりないのか、小銭がぶつかる音だけが微かに聞こえた。

 

「ま、今回は仕方が無いんだよね。マミさんのご指定だしさ」

「うん。それにちょっと楽しみ」

「そうそう。こんな機会じゃなきゃ絶対行かないしね。名前からしてオシャレ感と高級感がヤバいし」

 

 すでに2人の意識はまだ見ぬ喫茶店に向いているのだろう。ほむらの静けさにも、ルビーの言葉の意味にも注意を払っていない。

 ふと思い出したようにまどかは口を開いた。

 

「それで、アーネンエルベがどうかしたの、ルビー?」

「……いえ、ちょっと聞き覚えのある名称だったので」

「え、ルビー知ってるの?」

「…………………………ええ」

 

 それは苦虫を嚙み潰したような声だった。嫌悪感を隠そうともしない声だった。認めようとする事を認めたくないと言いたげな声だった。

 ルビーらしからぬ声に自然と3人の視線はルビーに集約する。パッ、と。アクセサリー姿を解いて、ふよふよと3人の間を移動するルビー。3人以外の人目にはつかないようなベストポジショニングで移動し、そのまま傍の自販機と自販機の僅かな隙間に入り込んだ。

 

「……私は行きません」

「へ?」

「3人とマミさんとで楽しんできてください。私は行きませんので」

「え、何で?」

「行かないったら行かないんですー。そんな気分じゃないんですー。まどかさんのお部屋で少女マンガでも読んで待っていますー。あ、それと私の事はくれぐれも内密にお願いします。それでは」

 

 言いたいことだけを言って姿を消すルビー。急浮上で空へと飛び上がると、1秒もせずにその姿は視認できなくなる。キラキラと煌く金色の残滓だけが彼女が確かに浮上した証拠として残っているだけだ。神秘の秘匿はどうした。

 

「……いったいどうしちゃったのさ、アイツ?」

 

 まるで疑ってくださいと言いたげなその態度。

 思わず零れたさやかの言葉は、3人の胸の内を的確に表していた。

 

 

 




 おまけ



「早乙女先生も大変ですね。あの青髪の子なんか2日連続じゃないですか」
「根は悪い子じゃないんですけど、タイミングが悪いと言うか何と言うか……」
「あはは、いますよね。そういう生徒」
「それに恋愛絡みで悩んでいるみたいでして……」
「あー、中学生って難しい年頃ですもんね……」
「ええ……本当にそう。終わってしまえば甘酸っぱい思い出でしかないのにね……」

(サーモンは川魚だから江戸前寿司のネタじゃないんだよ)
(こんなに美味しいのに?)
(そう。新鮮味とか寄生虫とかの問題で、寿司ネタとして歓迎されていなかったんだ)
(へー、物知りなんだねー)
(まぁ、これくらいはね。それにサーモンが寿司ネタとして流通し始めたのも――――)

 ピーチクパーチク、ヘェヘェヘェ……



「ふふっ……美樹さん。サーモン……もとい寿司ネタの蘊蓄を披露する男と付き合ってはダメですよ……」



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