魔法少女まどか☆マギカ×Fate   作:くまー

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年内に無事更新。
絵心が無いのでAAで代用。



それでは皆様良いお年を。


まどマギ×Fate 7

 よく晴れた夕焼けだった。市街地へと向かう大通り。衛宮士郎は夕焼けに染まる空を見上げていた。自分の髪の色よりも赤い空を見上げていた。雲一つない鮮やかな夕焼けだった。

 そんな士郎の傍らを少年たちが駆けて行く。学校帰りだろうか。ランドセルを背負って駆けて行く。きっとこれから遊びに行くのだろう。彼らは士郎を追い越したところで、一瞬だけ立ち止まる。立ち止まって、また笑いながら駆けて行った。あはは。何あれ。やべー。見た見た。恥ずいわー。

 

「……」

 

 士郎は何も言わなかった。言わなかったが代わりに何かを堪える様に軽く額に手を当てた。そして溜息。それは何かが色々と絡み合った溜息だった。人通りは決して少なく無く、今も車の通る音が聞こえるというのに、その溜息はやたらと大きく聞こえた。

 士郎は額に当てた手を眉間の方へと移動させる。僅かに開いていた視界が覆われ、少しばかり気が楽になった。……ような気がした。

 

「――――あ」

 

 どこからか呆けたような声が聞こえた。少女特有の可愛らしい声だ。ぽつりと漏れた、と言うのが正しいような語調。人通りは決して少なく無く、今も車の通る音が聞こえるというのに、その声はやたらと大きく聞こえた。

 士郎は耳を塞ぎたいと思った。一瞬だけでいいから外界から隔絶されたいと思った。落ち着くまで引き篭もりたいと思った。それは士郎にしては珍しく突飛も無い考えであり、彼が相当参っている事の証明でもあった。

 きっと今の自分は、相当弱り果てた情けない顔をしているのだろう。そう士郎は思った。それは想像ではなく確信だった。

 

「――――あ……あ……」

 

 震えるような声が耳に届く。士郎と同じく混乱の極みにあるような声だった。具体的には、『目が覚めたら大勢の人の前で恥ずかしい格好をしながら恥ずかしいポーズをしている事に気が付いた』ような声だった。

 士郎はもう一度溜息を吐き出した。何故だか無性にアルコールを飲みたかった。それも度数の強いヤツを。とびっきり強いヤツを。何もかもを忘れるくらい、浴びる様に飲みたかった。

 

「あ――――」

 

 どかーん。

 前の方から爆発音。効果音にしたら、きっとこんな感じ。きっと現実が追い付いたのだろう。……何が何に、については語るまい。言うだけ野暮と言うやつだ。

 士郎は前を向けなかった。向かなかったのではなく向けなかった。両目に溢れる感情を抑えるので彼は必至なのだ。自分を律する事で精いっぱいなのだ。上を向いていなければ零れ落ちそうなのだ。

 

 

 

 そうとも。

 泣くなよ士郎、まだ全ては始まったばかりなんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■ まどマギ×Fate ■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 美味しそうなオレンジパイだった。喫茶店、アーネンエルベ。一番奥のテーブル席。鹿目まどかは目の前で少しずつ冷めて行くパイを見ていた。ほど良い焼き目と光沢、鼻孔を擽る匂い。それは専業主夫であるまどかの父親でも作るには苦労するであろう上等の一品だ。だが手を出すことは出来なかった。

 そんなまどかの目の前で、美樹さやかも同じようにパイを見ていた。さやかはアップルパイを頼んでいた。焼きたてのリンゴとシナモンの香りがさやかの鼻孔を擽る。だが彼女も手を出すことは出来なかった。少しずつ冷めていくパイを見ている事しかできなかった。

 ちらりと。2人は互いの視線を合わせた。

 

「――――つまるところ、貴女は鹿目さんと美樹さんを魔法少女にしたくない。何がどうあっても」

「ええ、そういう事。そんなモノになる必要は無い」

「そんなモノ、ねぇ……でも2人には才能があるわ」

「才能の有無が最善とは限らないわ」

「そうね、それはその通りだと思う。でも、どうするのかを決めるのは貴女ではないわ」

「貴女が勧誘しなければ少しは懸念が減るわ」

「……随分と嫌われたものね。私は説明しただけよ」

「それが余計なのよ」

「知っているのと知らないのとでは大きく違うわ。それとも貴女は、2人は何も知らないままでいるべきだとでも言うつもりなのかしら」

「ええ、そうね。それが最善だと思うわ」

「……呆れた。厚顔無恥もここまでくると清々しいわね」

 

 まどかは先ほどから胸が痛かった。それがすぐ隣で交わされている舌戦が原因であることは明らかだ。だが原因が分かっていても、どうしようもないことは世の中に沢山ある。

 

「厚顔無恥で結構。その程度で済むなら万々歳ね」

「皮肉だったんだけどね、今の」

「ええ、分かっているわ」

「……皮肉かしら、今の」

「事実を事実として肯定しただけよ」

 

 さやかは先ほどから胃が痛かった。それがすぐ隣で交わされている舌戦が原因であることは明らかだ。だが原因が分かっていても、どうしようもないことは世の中に沢山ある。

 暁美ほむらと巴マミの仲は、出会った時から険悪だった。最初こそ表面上は取り留めない自己紹介をしていた筈なのだが、気が付けば冷静に且つ上品に口論が交わされている。それも絶対的な平行線での口論だ。どちらかが折れるまでは終わるまい。それも議題は自分たちについてだ。だがまどかとさやかにはこの口論を終わらせる手が思いつかなかった。

 なんでこうなったんだろう?

 パイを見つめながら、全くの同時に2人は同じことを思った。本当なら仲良く4人で談笑するはずだったのだ。笑い合いながら楽しいひと時を過ごすはずだったのだ。こんな状況は想定外なのだ。

 

 ――――さやかちゃん……

 ――――分かっているよ、まどか

 ――――このままじゃ終わらないよ……どうにかしよう

 ――――うん、何か考えよう

 

 ちらりと。2人は互いの眼に視線を合わせて意思を疎通する。

 アイコンタクト。

 言葉を介さない意思疎通。

 仲の良い2人だからこそできる芸当だった。

 

「貴女が言っているのは2人が巻き込まれなかった場合の話よ。でも2人は魔女の結界に巻き込まれ、魔女の存在を知ってしまったわ。なら、今の現状での最善を考えるべきじゃないかしら?」

「魔法少女にならないのが最善よ」

「私も無理に戦う必要は無いと思っているわ。だけど貴女の意見は極端すぎる」

「魔法少女になる必要が無いの。戦う云々は別の問題よ」

「何の覚悟も無く契約する事になっても良いってこと?」

「そもそも契約するという前提条件からして間違っているのよ」

 

 ああ、ヤバい。不穏さが増していくばかりの会話を聞きながら、まどかとさやかは懐からスマホを取り出した。そしてほむらとマミに気が付かれないように素早く現状の打開方法を調べ始める。正論はダメだ、2人に勝てる気がしない。それなら面白動画とかで話の流れを変えるとかどうかな、さやかちゃん。よし、まどかそれで行こう。

 検索。

 検索。

 検索。

 検索。

 検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索検索――――ッ!!!

 

 

 

「「あ」」

 

 

 

 検索していた指が止まる。一つの画像が目に映る。

 2人は互いに視線を合わせた。全くの偶然だが、2人は同じ情報を同じページから同じタイミングで入手していた。そしてその事実をアイコンタクトで共有する。

 オッケーだよ、さやかちゃん。

 こっちもだよ、まどか。

 

「ほむらちゃん!」

「マミさん!」

 

 2人は隣にいる人物の名前を大声で呼んだ。呼んで、2人が反応するよりも早くスマホの画面を眼前に突き付けた。

 

 

 

「「見滝原市に新しい魔法少女が現れたみたい(です)っ!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 中沢@nakazawa       17分前

 やべー、見滝原に魔法少女が現れた

 

/i´Y´`ヽ    

ハ7'´ ̄`ヽ. .   

| ,イl//`ヘヘ!   ミ☆彡     

リノ(! ° ヮ°ノリ   |     

ノ  ⊂)i杏i| つ    |              

((  く__ハjノ_」  |   

   し       

 

 

 ←  ⇔27  ♡54  ✉

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 2人の口論を止めるという目論見は、言葉尻だけを捉えた結果ならば成功したと言えよう。

 まどかから見せられたスマホのページ――流行りの呟き――を見ると、ほむらは驚いたように口を開いた。そして眉間を押さえる。それから目を何度も擦り始めた。

 さやかから見せられたスマホのページ――流行りの呟き――を見ると、マミは疲れたように息を吐き出した。そして頭を抱えて左右に振る。それからもう一度大きく息を吐き出した。

 

「……ごめんなさい、急用ができたわ。お金、置いておくわね」

 

 最初に動いたのはマミだった。

 短くそれだけを言うと、彼女は自身の財布から五千円札を取り出して、テーブルの上に置いた。そして鞄を掴んで足早に店を出て行く。カランコロン、バタン。その姿は行き交う雑踏の中へと消えてすぐに見えなくなった。

 ……あれー? 知り合いだったのかなぁ? もしかしてマジモノの魔法少女?

 2人としては画像を見たほむらとマミから何かしらのツッコミが来ることを期待していた。何このコスプレ、とか。可愛い、とか。だがマミの様子を見るに、どうやらそんな簡単な話ではないらしい。パチモノの魔法少女……というわけでは無さそうだ。

 

「……多分、佐倉杏子ね。風見野を縄張りとしている魔法少女よ」

 

 どうやら本当にマジモノの魔法少女らしい。それも隣町の。

 ほむらの冷静な言葉にまどかとさやかはもう一度スマホに視線を落とす。

 黒色のブーツソックスと赤色のブーツ。

 黒色の線が入った赤色のミニスカート。

 大きな赤いリボンと幾重にも重なった白色と薄桃色のフリルがついたミニスカート。

 赤色を基調として銀色の細い線が入ったベアトップ。

 肘まで覆う赤色のロンググローブ。

 赤色の細いチョーカー。

 大きな黒色のリボン。

 そして満面の笑顔と決めポーズ。

 ルビーの件と言いこの子と言い、この分だと表沙汰にならないだけで、意外と魔法少女はそこら中にいるらしい。

 

「ほむらちゃんはこの子の事を知っているの?」

「……ええ、そうね。知っているわ」

「どんな子なの?」

「私が知る中で、最も魔法少女らしい魔法少女ね」

「へー」

 

 魔法少女らしい魔法少女かぁ。ほむらの言葉を聞いて2人が脳裏に思い描いたのは、テンプレ的な魔法少女像だった。日曜朝8時の魔法少女的な奴だった。

 

「……あれ?」

「ん? どうしたのさ、まどか」

「うん、あのね。この子が手に持っているのって……」

「……へ?」

 

 画像を拡大するまでもない。

 さやかは自分の、ほむらはまどかのスマホに視線を落とし、すぐに彼女の言わんとすることを理解した。

 

「これって……」

 

 杏子と言う名の魔法少女は右手に一本のステッキを持っている。

 赤色の柄。金色の五芒星を象ったヘッド。そして羽。

 そのステッキはまどかたちが良く知るステッキに酷似している。

 

「「「ルビー?」」」

 

 3人の声が重なる。そして同じことを思う。

 アイツ、一体何をしているんだろう?

 

 

 

 

 




 おまけ


 見滝原市、住宅街。
 コンビニ前。



「……おい」
「ひっ」
「撮ってんじゃねぇ、殺すぞ」
「は、はい……」
「さっさと削除して忘れ――――ムグッ」
「ごめん、君。迷惑かけた。でも写真は削除してくれ、頼む」
「え、あ、いや、その……」
「ん? どうし――――」
「そ、その……もう呟いちゃってて……」



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 中沢@nakazawa       27分前
 やべー、見滝原に魔法少女が現れた

/i´Y´`ヽ    
ハ7'´ ̄`ヽ. .   
| ,イl//`ヘヘ!   ミ☆彡     
リノ(! ° ヮ°ノリ   |     
ノ  ⊂)i杏i| つ    |              
((  く__ハjノ_」  |   
   し       


 ←  ⇔256  ♡512  ✉
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「!?」
「!?」

 ――――バキッ!

「ああっ、スマホがっ!?」
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